もう後1話位投下できればよかったけど
レンが撃った拡散弾をその身に受けて墜落してくる緑色の体。
下敷きにならないように急いで緊急退避する姫とレン。しかし、その場に1人の男が残っている。
「次は俺の番ってことね」
着地点より少し離れたところでライブラが己の武器、ガンランスを構えて立っている。
そのランスからはバーナーを着火するような独特の音が響いている。
「これがガンランス特製……竜撃砲だ!!」
耳をつんざくような爆音と共に雌火竜の眼前で爆発が起こる。
ランスに近い構造のガンランスには一撃必殺の竜撃砲がある。威力はすべての武器の中で圧倒的に高い。
ただし、発射するまでに時間がかかる上に一度使えば刃が毀れる。更に次に使うまでに冷却期間を置かなくてはいけないなどの理由であまり使い手がいない武器だったりもする。
タイミングは完璧だった。だれが見ても命中したと思った一撃だったのだが。
グォオオオオオオオ!!
「外した!?」
「まあ気を落とすな。そういうこともある!!」
「だっさ。次は誰の番だって?」
欲張って頭を狙おうとしたのが駄目だったのだろう。倒れた瞬間に頭を上げてくれた為に避けられたのだった。
ハンターをやっていれば今みたいなイレギュラーな事態は日常茶飯事である。ようはそこで直ぐに立ち直れるかなのだが。
「よし! やるか!!」
案外直ぐに立ち直った。まあ上級レベルのハンターならば普通に出来ることなのだが。
side ライブラ
凄いなぁ2人とも。俺は戦いながらも2人の戦いを見ながら感じたのはそんな普遍的なものだった。。
姫様は相変わらずの戦い方。どちらかというと大型モンスターと戦う方が良くわかる。
まるで舞を舞っているようにみえてそれでいてしっかりと戦っている型。まさに美しい戦い方なんて言葉はあの人のためにあるんじゃないかと。
むしろあんな風に戦っていてよく戦えるなって不思議だよ本当に。
「おっと危ない」
「おぉ! すまんな!!」
「いえいえ」
舞に夢中になりすぎて偶にこちらに刃が飛んでくるのが問題なんだけど。ってか危ないなこれ。
そんなことを考えていたら今度は背後から弾が飛んできてレイアの顔面に直撃する。
「アンタちょっと危ないわよ!!」
「そりゃごめん」
レイアの攻撃を潰すように弾丸を放ってくるレンの方も中々の腕前だな。2人の実力が上手く噛み合っているけど。
今日は微妙にタイミングを合わせられない俺がいるのが問題と。
ガンランスは機動力が低いからどうしても敵にくっついて攻撃しないといけないしな。
逆に離れると今度は接近するのが難しくなってくる。そのクセの強さが面白い武器でもあるんだけど。
「中々やるなお主! しかしまずは尻尾を貰う!!」
うぇええええええ!? マジなにしてんのあの人!? レイアが尻尾振った先で待ち構えるとか。
死ぬよ。普通に死ぬよ!!
「だが余の方が一歩上なり!!」
しかも平気な顔してぶった切ってる。ドヤ顔はしなくていいよ。本当に恐ろしいなこの姫。切れなかったら肋骨の1,2本は吹っ飛んでいただろうな。
こんな無茶するのは……他にもいるか。
「ボーッと突っ立ってるそこの馬鹿!!」
「はいはい! 追撃するよ!!」
尻尾を落とせたってことは恐らくもう直ぐ倒れるハズだ。それまで防御を堅くしてと。
side 姫
まっこと詰まらん。詰まらんのはあの男のことなのだが。
槍の奴は余自ら引っ張ってきた男だ。もちろん、余といえ適当に選んだのではない。なにやら光るものがあると思い、直感で選んだのだ。
確かに光るものはある。位置取りも余が今まで見てきたガンランス使いにしては一番いいし、急造チームとはいえよく着いて来られている。
特徴といえば奴のハンター装備か。ガンランス使いは皆、重量装備をしておる。それは竜撃砲の威力に負けないようにということなのだが。
一昔前に流行った軽量ガンランス使いか。機動力があまりないガンランス使いの機動力を少しでも上げて、手数を叩き込む型だったか。
ただし、それならばランスでも良いし、肝心の竜撃砲の命中率を下げるという意味で廃れた型であったはずだ。
それに、そういうものならば上位のハンターならば誰もが出来て当然のことなのだ。
上位のハンターまでならば努力や才能でなんとでも出来る。逆にどちらかが欠けると上位に上がれぬというのが余の持論だ。
しかしその上。Gクラスとなるとまた話は別になってくる。
余がこのギルドを設立したのはG級クラスに入れるハンターを1人でも多く入れるため。ならばGクラスに求められるハンターとはどんな者か?
それはなにか他のハンターにはない突出した能力を持っておることだと思っておる。
余やレンの直観力然り。それはハンターをやる内に育てられるものであり、余はそれを持つハンターが欲しい。
槍よ。この場でそれが見せられなければお主はここで終わりだぞ。
side out
なにやら誰かさんが散々いわれていたような気がするが。戦いが始まり数時間。既にリオレイアの体はボロボロであった。
逆に姫やレンは汗はかいているものの殆ど無傷の状態。ライブラは多少傷ついてはいるものの、それは盾役にならなくてはならないガンランスの辛いところだろう。
「このまま彼奴を逃がさぬように仕留めるぞ!!」
「わかったわ!!」
レイアは追い詰められているとわかっているのか、空に飛び上がるのに邪魔な周りの物目掛けて我武者羅に暴れまわる。
人は人語を喋られない獣を時に舐める傾向がある。それが何度も殺したことがある相手なら尚更そういうことに陥る。
それが飛んできたのは突然だった。
「――なっ!?」
「レン! 危ない!!」
がむしゃらに暴れているように見えたレイアの狙いは、自身の切り下ろされた尻尾を投げ飛ばして後方にいたレンを狙うこと。
ただし、直観力が高いレンにとっては……
「甘いわよ!!」
回転しながら飛んでくる尻尾の軌道を見切り、体を捻ることでそれを避ける。
”ただそれだけでは駄目だった”
それに気づいていたのはただ一人であり
「頭を下げろ!!」
「きゃっ!? なにすんのよ!!」
体を捻っているレンの体を無理やり掴み地面に叩きつけるライブラ。そして遅れるように構えた盾から聞こえてくる銃弾を当てられたような金属音。
その音を聞いた後に自分が攻撃されそうになったのを気づいたのだろう。レンは顔を真っ青にして叫びだす。
「なに!? 今のタイミングなら避けられたハズなのに!!」
「レイアは顎の棘から獲物の肉を出して子供に餌を与えてるって。たまに飛ばしてくるから気を付けた方がいいよ」
そんな行動をとるレイアなんて知らないわよと愚痴るレン。
それを見て一番驚いたのは姫だろう。
(確かあやつのレイア討伐記録は余たちよりも少なかった記憶があるが……偶然か?)
とまあ各々がそんなことを考えている内に攻撃役2人がいなくなったのを見てレイアが空へと飛び上がる。
「お姉様ごめんなさい」
「ふむ。これはもう仕方ないの。次で挽回せい!!」
明らかに油断していたレンは気まずそうな顔をして姉に謝っている。
ただし1人だけ諦めていない男が1人。
「諦めるにはまだ早いよ」
なにを思ったのかライブラは自身が持っている盾の取っ手部分をランスの先端に取り付ける。
普通ならばなにをとち狂ったのかと思うのだが、取り付けた様を見るとまるで”最初から盾はランスの延長線上につける補助具のようにしっくりくる”
「槍。貴様は余になにを見せてくれる」
「炎の槍」
脇に支えたそれをフラフラと飛んでいくレイアへとあわせる。
「射出準備」
ガンランスが竜撃砲を撃つ際独特の音が周囲に鳴り響く。しかしレイアとの距離は既に離れていて、ボウガンですら届くかどうかわからない距離となっている。
しかし、それは普通ならばだ。
「射程距離50m。レーヴァテイン発射!!」
強烈な爆発音と共に槍が射出される。普通のガンランスでの竜撃砲と違い、それは真っ直ぐ伸びていった。
例えるならばグラビモスが出す熱線に近いもの。
真っ直ぐに伸びていった槍は飛んでいたレイアを貫き、レイアは力なく墜落していく。
「討伐完了。これで良かったかな」
「大金星ではないか! よくやった!!」
姫がライブラに抱きつき頬ずりする。傍目から見ればかなり恥ずかしい行為なのだが、男は既に諦めているのか。
「ってか崖下に落ちたレイアの死体どうすんのよ」
「それはもちろん! これから剥ぎ取りに行くぞ!!」
「面倒臭いわね」
「だが奴も我らと戦った歴戦の猛者! このまま死体を放ったらかしにするわけにもいくまい!!」
ウキウキと上機嫌で崖下に下りていく姫と違い、面倒なことをしてくれたなと言わんばかりにライブラを睨み付けてくるレン。
確かに格好付けずにそのまま巣まで追えば良かったと少しだけ後悔するライブラであった。
それから死体を片付けて2日程で拠点である神楽まで戻って。
「ギルド設立初クエストどうもお疲れ様でした。私が腕を揮って料理を作ったので食べてくださいね」
「はーい!!」
現在は武具を降ろして料理を食べている3人と受付さん。クエスト中は簡単なものしか食べられないので、食が進む進む。
「ところで槍。本日の大金星はお主だ。なにか褒美をとらせよう」
「いや別にいらな――いたっ!?」
「お姉さまがくれるっていうんだから貰っておきなさいよ。本当は私が欲しいぐらいなのに」
ブツブツとなにかを呟きながら机の下でライブラの脛を蹴りつけているレン。
それを知らずに満足顔で喋りだす姫。
「ふむ。なにが良いか悩んだのだがな。お主には余と一晩だけ添い寝する権利を――」
「それじゃあお疲れ様でした~~」
いつの間にか立ち上がったライブラが2階へ逃げようと早足で歩いていくのだが。それは受付さんの手によって止められる。
「どうして逃げるんですか?」
「逃げたくもありますよ。あの人きっと本気で言ってるんですから。ってか離してください」
「嫌です。間違って爛れた関係になってください。そっちの方が面白いので」
「知らないですよ。殴られたくなかったら早く退いてください」
「へっへーん。あなたが女の人を殴れないことぐらいおみとお――いったー! 見ました!? この人今、私を殴ったんですよ!!」
いい加減に鬱陶しいので頭に拳骨を食らわすライブラ。もうこの人はどうしてこうなのかと。
レンは馬鹿を見る目で2人を見ていたのだが姫は愉快そうに笑い2人に近づいていく。
「うむ仲が良いな! だが今宵は余に譲れ」
「はいいいですよ。連れて行ってください」
「ちょっと待って。冗談でしょ? 冗談ですよね。止めて! 無理矢理連れていかないでおかされ――」
姫の部屋。そんなに部屋に帰ってくることがないため、あまり散らかっていない自分の部屋と比べて結構散らかってるなという感想を漏らすライブラ。
なぜか彼は今、女性の部屋にいる。しかも泊り目的で。
彼にしても別に女の部屋に泊るのが初めてというわけではない。そこに家族という括りがつけばの話だが。
当事者本人は水浴びをしてくるといい、ライブラを自身の部屋に置いて外出中である。
「帰っていいかな……帰ったら今度は俺の部屋に直接乗り込んでくるか」
既に諦めが入っているライブラ。既にこの年にして諦めが肝心だという真理に達している彼である。
「なんだ逃げなかったのか」
「逃げても無駄だしね。それと服を着てください」
頭を抱える彼の前には全裸の姫がいる。せめて年相応の恥じらいを持って欲しいと思う自分は既に年だなと1人愚痴る。
「なんじゃお主は。襲って来いとは言わんがもう少しねっとりと観察してもいいのだぞ」
「まあ十分に綺麗だとは思うようん」
「どうにも棒読みな気がするの。まあ良い」
いそいそと着流しを着る姫。それでも帯をしないのだから裸よりは少しマシというレベルなのだが。
それとライブラが綺麗と言ったのは別にお世辞でもなんでもない。
ハンターをやっている以上、女性とはいえ体に傷がつくのは普通なのだが姫にはそういった傷が全く無い。
そういうハンターもいるにはいるが、総じて傷がつくのが嫌で戦闘を避けるハンターが殆どで。
そういった意味では尊敬に値するといってもいいだろう。
「ほれ、早く寝るぞ」
「はいはい」
2人して布団に入る。つーか距離が近い。しかもそれに対して2人とも全く動じてないのが更に凄い。
「今回のクエストではお主の実力を測らせてもらった」
「なんとなくそんな気はしてた」
「十分に合格だな。余たちと共に戦うに相応しい」
ナデナデと頭を撫でられながら言われる。この時になってようやくライブラは恥じらいのようなものを見せる。
少なくともこの年になり、女性からここまで優しくされるのは初めてであったからなのだが。
「それとだ。今回は妹を助けてくれて感謝する」
「いや。それは仲間だからいいんだけど」
「それでもだ。余たちはあまり他人と一緒に戦ったことがないからな。こうやって助けられるのは新鮮でな」
それはどういう意味ですか。そんな意味合いのことを聞こうとしたライブラなのだが。
「くぅ……すぅ……」
「寝るの早いな。まあいいや。おやすみなさい」
そういってライブラも眠りに落ちる。眠りに落ちるのがいつもより早かったのは誰かさんと添い寝をしていた為とは気づかず。
後日談になるのだが。翌日ライブラは姫の部屋の前で起床した。
「姫の寝相が悪かったのか俺の寝相が悪かったのか。本命はレンが無理矢理俺を外に出したのだが」
恐らくそれが一番確率としては高いと思いため息をつく。とりあえず早く起きられたことを前向きに考え今日は武器屋に行こう。
とまあそんな感じで彼の初夜(意味深)は終わった。
武器解説
種別:ガンバスター
ギルドで実験的に作られたガンランスの上位武器の1つ。最大の特徴は盾に装備されている着脱式の砲身を装着することによるレーヴァテインだろう。
空を飛んでいる敵を追撃する目的で作られ、竜撃砲の爆撃を一点に集めて熱線のような形で撃ち出す事が出来る。
代わりに盾の方の砲身が一発でイカれてしまうため、砲身が使い捨てになってしまうのが欠点。更に打ち出す際の反動も普通のガンランスよりも強い。
そういう欠点があったため、実験段階で廃棄処分となった一品である。
そんなわけでタグにもあるようにオリ武器登場です まあガンランス自体がロマン装備とか言われてるぐらいだし こんな装備があってもいいよね(チラッ
レイアの肉噴出攻撃は書いてから気づいたけど、そんな勢い良く噴出しないよねと まあなんとかなる
次回は日常話と絡めながら次のクエストの前フリへといけたらと思っています では