久しぶりに書きたくなりました。ほとんど内容決まってないおかげで超自由に書けました。←おい
僕は吸血鬼が好きなんじゃ! 願望詰め込み作品を目指してひっそりと書いていきます。
この作品の大雑把な活動方針はあとがきにて。暇つぶしにでも、読んでいってくださいな。
目を覚ましたら知らない天井だった。
目に悪い全体赤色の部屋。しかし、嫌な感じはせず、机に花が飾られていたり、綺麗な装飾の施された大きな扉から、ここは客室なのだろうと推察する。
まず、最初に感じたのは『体の異常なまでの軽さ』、そして『目を覚ましたことへの疑問』だった。
自分の死ぬ瞬間は、よくわかった。思い出したくはないが、その記憶がこびりついて、一生離れることはないだろう。
だから目を覚ましたこと事態が異常なのだ。
この体の軽さも相まって『僕は死んだのでは?』なんて思うが、すぐにその考えを消した。死後の世界なんて見たことはないが、少なくともこんな生活を感じさせる客室ではないと思うからだ。
唐突にガチャリ、と扉の開く音が客室に響いた。
「そろそろ起きる頃かと思っておりました」
少し高めの、清楚さを感じさせる声。僕はそちらに目を向ける。
メイド服を着た銀髪の女性。十代後半といったところだろうか。シワなくキッチリ着こなしている姿から、品の良さが伺えた。
「……よろしいでしょうか?」
「あ、ああ、悪い」
完全に無視して考え込んでしまっていた。素直に謝り、聞いた。
「ここはどこですか?」
「はい、ここは紅魔館といいます。私はレミリアお嬢様に仕えているメイド、十六夜咲夜と申します」
「丁寧にどうも。僕は……いや、その前に一つ聞きたいんだけど――」
一つ呼吸をおいて言う。
「僕って、死にました?」
こんな突拍子もない、傍からしたら『バカじゃねーの!?』と笑われるような質問に、咲夜は無表情で答えた。
「はい、お嬢様からそう聞いております」
「そう、か……」
それならますます不思議だ。
死ぬことに抵抗がないといえば嘘になるが、僕はあそこで死ぬ気だったのだ。妖怪にやられて、大量出血で死ぬ。それが僕という人間の末路だったのだ。
なのに、一度死んだとはいえ、今こうしてここにいる。それが少し気に入らない。
僕はこれ以上何のために生きればいいのだろう。
「お嬢様がお呼びです。ご案内します」
そんな悩みなんか露知らず、咲夜が言った。
僕は何となく察していた。
このお嬢様と呼ばれる存在が、僕がここにいる原因を作った張本人。
なぜ、人間の生を馬鹿にするような行為を行ったのか。会えば何かわかるような気がする。
僕は咲夜についていくことにした。真っ赤な廊下に響くふたり分の足音。
そこに会話はなく、ただただコツコツと、不気味に音を鳴らしていく。
「ここがお嬢様のいるお部屋となります。くれぐれも粗相のないよう、お願いします」
咲夜がそう言って、数回ノックする。
「お嬢様、彼が目を覚まされましたので、お連れしました」
「そう、入りなさい」
幼い女の子の強気な声が扉越しに聞こえる。「失礼します」という咲夜に連れられ、部屋に入ると、そこには小さな少女がいた。
綺麗に澄んだ色をした青色の髪に、真紅に染まった赤い瞳。一言喋る度に口元から鋭い牙を覗かせ、優雅に座る少女。
彼女が普通でないのは、ひと目でわかった。
「それでは、失礼します」
そう言って咲夜は音もなく消えた。それを目の前の少女は気にもとめず、一度そちらを見たあとこちらに目を向けた。
「私のこと、覚えているかしら?」
「もちろんです」
もちろん覚えている。あの雨の中、唯一僕の死を見届けた少女のことを、忘れるはずがない。
「別に敬語じゃなくていいのよ? 私は貴方と対等でいたいの」
「そうですか……いや、そうか。ならそうさせてもらう。なぜか君を見てると自然と敬語で話そうと思ったんだ」
本当に自然に、敬語が口をついて出たのだ。何となく『彼女が自分より上の立場』だと、身体がそう覚えているかのような――。
「それもそうね。あなたは私と同じ、吸血鬼になったのだから」
「……吸血鬼?」
思わず聞き返す。少女はそれに対して口元を手で隠しながら、上品に笑った。
「そうよ。死の間際、あなたは私の手によって人間から吸血鬼になった。本来あなたはそこで死ぬはずだったのよ」
まあ、わかっていたと思うのだけど、と言って、更に少女は話を続ける。
「それを、私はあなたを吸血鬼にして生かした。吸血鬼の再生力によってあなたは傷を癒したの。だからあなたは今、吸血鬼として生きている。人間をやめたのよ」
「なんで……」
「なんでかしらね? 確かに私はあなたに興味が沸いたけれど、あえて言うなら、『あなたが人間をやめることを望んでいたから』かしら?」
「僕が、望んでいた……」
「そうね、言うならばただの気まぐれよ。長く生きる私たちのちょっとしたスパイス。あなたが面白そうだったから、とでも思ってちょうだい」
彼女は吸血鬼らしく、口角を上げて意地悪っぽく笑った。
「ハハッ、僕が望んでいた、か。まあ、間違ってはいないな」
「フフッ、そうでしょう? あなたはこっち側の人間なのよ」
「まあ、今は吸血鬼だけどな」
「確かにそうね」
そう言って、二人して笑い合う。
きっと彼女とは何かしら気が合うのだろう。今まで生きてきた中で感じることのなかった、空っぽになった空間にすぅっと入り込むような、そんな不思議なものを感じる。
「零夜」
しばらくして、彼女はポツリと言った。
「あなたの名前よ。あなたは一度死んだ。
「随分と辛辣な物言いだな……まあ、その通りなんだけど」
彼女の散々な発言に苦笑いを浮かべる。
零夜。新しい、僕の名前。今までの『カタチだけのもの』なんかじゃない、『明確な意味をもったもの』。
「僕は零夜だ。君の名前は?」
「気に入ったようで何より。私はレミリア・スカーレット、この紅魔館の主よ。仕方がないから、零夜には気軽にレミリアと呼ぶことを許可するわ」
「こちらこそ、ご厚意痛み入ります、レミリアお嬢様?」
「あなたも大概ね……」
「そっちこそ」
くだらない話をかわしつつ、お互いに見え見えの探り合いをする。しかし嫌な気は全くしない。むしろお互いにそれを楽しんでいた。
「レミリア」
「なにかしら?」
一区切りついて、僕はレミリアの名前を呼ぶ。それに答えるようにレミリアはこちらに赤い目を向けた。
「ありがとな」
「な、急になによ……」
確かに急だった。少し照れるような素振りを見せるレミリアを見て面白いと思うが、からかうのは次の機会にして、僕――俺は言葉を紡いだ。
「俺、生きているのが億劫だったんだ。だからここに来て、生きていることを知ったとき、『なんで生きてるんだろう』って思った。でも、レミリアと話して良かったよ。これからのことを考えると、すごくワクワクするし、すごく楽しみなんだ」
きっと僕は今、柄にもなく笑っているだろう。それも、屈託のない笑顔で。
「吸血鬼になった、なんて聞いたとき最初はどうなるんだろうとか思ったけど、これはこれできっといいと思う。まあ、まだわからないけどさ。だから、レミリア――」
僕はレミリアに頭を下げた。
「ここに住まわせてください」
無音は一瞬。小さく笑う声が一つ、この部屋に響いた。
「最初に言ったわよね? 私と零夜は対等なの。わかる?」
「ああ、わかってる」
「なら、やり直しなさい」
「……ありがとう」
俺は改めて、笑みを浮かべるレミリアをみて言った。
「これから、お世話になるよ」
「ええ、勝手にしなさい」
レミリアがにやりと笑いながら手を差し出す。俺はその差し伸べられた手を、拒むことなく受け入れた。
レミリアの口調が定まってないとか言わない。でも一貫して強気な少女です。そこは絶対に変えない。イメージは固まっているのです。男の子の妄想力を舐めちゃいけないよ()
あとなぜか零夜と対等でいようとするレミリアしゃん(誤字にあらず)。別に恋に落ちるとか考えてないけど、二人は対等です。主従関係ではなく、あくまで対等なのです。
とりあえず、この作品の方針。
まず、この作品は異変とかいろいろ終わったあとの時系列です。なので戦闘が多くあるわけでもなく、どちらかといえば日常系です。
もちろん霊夢とか魔理沙とかアリスとか、たくさん出てきます。
今はこんなあたりしか公言はできないですね。序盤は紅魔館の方々とほのぼの過ごしていく感じになります。まだレミリアとしかまともに会話してないですからね。
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