なお、本人では無い模様
空間震
発生原因不明、発生時期不定期、被害規模不確定の爆発、振動、消失、その他諸々の広域振動現象の総称であり、空間の地震と称される突発性広域災害。
発生するとその爆心地に存在する建物や地面などは巨大なクレーターを残して跡形も無く消滅し、その周辺は爆発によって甚大な被害が生じる。爆発の規模は精霊によって大きく異なる。30年前、ユーラシア大陸の中央(当時のソ連・中国・モンゴルを含む一帯)が一夜にして消失し1億5000万人の死傷者を出した〈ユーラシア大空災〉を皮切りに世界各地で小規模の空間震が頻発した
これが精霊が起こした災害として認識されている
識別名<ナイトメア>
この精霊がどうして人間を殺すのか不明だが、彼女の行動で既に1万人以上この世を去ったと言われている
ただ
この世界では<ナイトメア>を遥かに上回る災害を起こす精霊が存在する
識別名 <キャスター>
最初の空間震から数年で既に100万以上の人類を消した精霊である
某国の街
昼
今この街には車はおろか人すら見当たらない
いや、車だったものや人だった物体はそこら中に散らばっていた
ただ、日常生活では決して見ることのないモノがいなければの話だ
道路や歩道には汚泥の他、炎上するトラックの運転席、道路沿いにあるレストラン等に多数の流血と臓物が溢れかえり、その死肉に多くの蠢く何かが群がっていた
そのナニかはヒトデの様な見た目で、しかし見たもの全てが自分を疑う程この世のものとは思えない生物が、人だったものに対して一心不乱に貪っている
それは車で出かけていた家族だったり
日課の散歩に出かけた老夫婦だったり
学校に向かう途中の子供だったり
一切関係なく、まるで餌の用に無慈悲に、一切の容赦もなく食われていた
駆け付けたであろう警察官だったものの銃すらも、まるでスナック菓子かのように食していく
そんな地獄ともいえる街の直上に、彼女はいた
黒く短い髪
全体的に濁った黒系のローブと手には分厚い本
そして黒く濁った瞳
病的までに白い肌
こんな地獄を生み出したというの表情一つ変えずに、手元にある本をただじっと眺めていた
暫く本を読み進めていた手を止め、少女は顔を上げる
「・・・・・・・読めない」
これが世界を震わせている精霊の正体であった
某国、上空
フラクシナスの会議室のモニターを見ながら五河 琴里は長かった会議に漸く終わりが見えてきたことに一安心する
精霊を救う為に自分の兄を危険にさらす
そもそもどうやって精霊を救うのか理解できない重役達に旨い具合に丸め込むのが一番時間が掛かったが、それも今日までのこと
「では、これで精霊に対しての今後の方針が決まったわけだが・・・・〈キャスター〉についてはどうするおつもりですかな?ウッドマン殿」
気を抜いていた瞬間、緩んでいた気が一気に引き締まる
「そもそもこの精霊は救う必要があるので?多くの精霊が直接人的被害を出さないとはいえ、中には<ナイトメア>という特殊な精霊もいます。」
「しかしあの精霊は別格です。奴は空間震の規模こそ小さめですが、奴が起こす被害は我々が担う危険とイコールで結ぶとどうしてもと言わざるを得ません。」
「そこのところをどうお考えなのか、是非とも聞かせていただきたいものですな。」
そう肥え太った重役の一人が言う
確かに、<キャスター>が出す被害は尋常ではない
現に撃退に向かった魔術師達は軒並み生きて帰っては来ない
琴里は救うことが難しいと思いつつ、兄ならばもしかしたらと淡い希望を抱いていた
自分を救ってくれたのだ、他の精霊もきっと「では、こうしよう」
ウッドマンは琴里の方を向いて話しだした
「原則、例外はないが、もし万が一君たちに直接的被害又は人的災害が起こされた場合に限り、精霊<キャスター>を敵対生命体とする」
これでどうかね、とウッドマンが意見を述べる
他の重役もそれならと賛成の意を示していく
ただ一人、琴里を残して
皆はfate/zeroというものをご存じだろうか
自分は学生の時偶然みた事からはまりだした
様々な人物が描かれている中で、最も心惹かれたのはキャスターと呼ばれていた人物
そう、あのCOOLな奴だ
それから俺は様々な書物や創作物、漫画やアニメなどでキャスターの事を調べまくってどんどんのめり込んでいた
そしてそれの副次的に盲目的に彼女の事も気になっていた
キャスターが崇拝に近い感情を抱いていた聖女
彼女、麗しの聖処女彼女に自分も崇拝に近い感情を抱いていた
そうしてそんな気持ちを抱いていたある日私は死んでしまった
私はどうしても許せなかったのだ
彼女が死んだことが良いんだよと言った人の顔を勢いよく殴った
その後、その人ともみ合いになって死んでしまった
まぁもみ合ってたの駅のホームだったし、その反動で路線に落ちたのも非力だった自分の責任だから何も言えない、しかたないねぐらいの気持ちである
死んでしまったのには未練も後悔も勿論あるが何よりこの聖女への気持ちを持て余した状態だったのが悪かった
どうやら自分は転生してしまったようだ
勿論神なんて人物に会ってもないし、声も聞いてない
ましてやあの某幼女のアニメの用に引かれる前に時間が止まる何て事もなかったから違うだろうと思う
しかし、自分の姿は愚か性別も変わってるぽい事は解った
自分は死ぬ直前はヨレヨレのシャツとジーパンといった何処に出掛けても違和感無い(自分では)格好だったのがあら不思議、ローブ何て来てまぁ胸に装甲までついてまぁ…えぇ…
何よりも俺の手に持っていたこの本が問題だ
そうこの本はかの魔術師が使っていた物
螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)
ヒトデっぽいのを無限に召喚でき、尚且つヒトデっぽいのが倒されてもまたそのヒトデから新しいヒトデが召喚できる優れもの
更には普通のヒトデっぽいものより大型の奴も出せる優れものだ(使役出来るとは言ってない
まぁこの本だけで普通に世界征服出来そうな一冊である
この体の慣らしで何年か経ってしまったが、解ったのが個々がfateの世界線では無いことが解った
一応アニメとかでちらっとみた魔方陣擬きで喚んでみた
結果は何も起こらなかった
次にこの本を触媒に呼び出そうとした
何も起こらない
一応家畜とかで喚べるか試そうとしたが、一番縁の深い筈の本で喚んでみたのに反応がなかったので選択肢から消した
そもそもfateってあんなゴツい重火器で武装した人何か来ないし
それが解っただけでも成果はあったが、本人に会えないと思うと途端に悲しくなった
折角色々な話が聞けると探してみれば、時代的には自分が死んだ年からさほど経っていると言うことがなかったが、この世界は聞いたことの無い災害があるらしい
人はそれを空間震という
ユーラシア大陸辺りで突如として起こったらしく、相当数の人間が死んだと言うことぐらいしか解らない、てかどうでもいいやとそれ以上は調べなかった
その災害もでかいのがそれ一回切りだったこともあったが、別に生まれ育った国でもないし、対岸の火事?って言えばいいのか、兎に角自分には関係ないと切り捨てた
そう、生まれ育った訳ではないからこそ、自分はどんなことをしても心に響く事はない
この世界に来て最初の頃は混乱したし、疑問も沢山あった
だが時間が経てば順応していって、同時に何ができるのか気になってしまった
まず目についた町にヒトデっぽいものを向かわせた
これはヒトデっぽいものが実際問題ちゃんと自分の指示に従うのかと
結果は失敗、町の住人を一人残らず貪り食い尽くした
ただそんな事をしても不思議と罪悪感も嫌悪感も、何も感じなかった
ただ淡々と仕事していた時みたいにだと思った
ヒトデっぽいものが泣き叫ぶ子供を頭から丸飲みしても
成人男性の四肢を四体のヒトデっぽいものが引きちぎり、だるま状態になって失神している男性を見ても
下半身からゆっくり咀嚼されていく女性を見ても
何も感じなかった
精々少しグロいな、程度だ
ヒトデっぽいものは基本言うことは聞くらしい
止めてーっと思えば止めたし
後は魔術師についてかな
ヒトデっぽいものは空なんて飛べないから一方的にやられてくし
室内に引きずり込めば全然問題ないのだが…
まぁあの魔術師達建物ごと破壊するので、あまりそういう機会はない
生きてる人が居れば中に入ってくるんだけどなぁ
まぁうだうだ考えても無意味なので、他の場所に行くことにした
なんやかんや言いつつこの体のお陰で飛行機なんて乗らなくても世界旅行出来るのは良いと思う
ユーラシア大陸と新大陸は行ったので、次は日本だな
久々に和食食べたいし
翌日、街を通り掛かった一般人からの通報で、警察や消防、軍の魔術師総勢500程が出動
街に着いた彼らが見たのは
道路の至るところにある乾いた血と破壊された車
血で汚れてもなお存在感のある人の手だったものや足だったものが辺りに散乱していた
窓ガラスが全て破壊された後が目立つ商店
その店の壁にもペンキをぶちまけたかのようについている夥しい血、そして肉片
強烈な血と何が焼かれたような臭いに耐えきれず、吐き出すものも居れば、この現実的でない空間にただただ圧倒されてるもの
魔術師は自分の回りに薄い透明な壁が張れるので、臭いで吐く事は無かったが、余りの惨状に顔が青くなる
ただ、魔術師は警察や消防、軍人より余裕があった為、回りを見渡す事が出来た、出来てしまった
そして、破壊された建物から出てくるナニかを見てしまった
生物に例えるならテレビなどでたまにみる生物、ヒトデを連想するだろう
その生物は成人男性程の大きさ、鋭い歯、一般常識では考えられない色味の体
そんな生物がビルや一軒家、商店やマンホール等から溢れる用に出てくる光景をみた魔術師達は自分が見ているモノを認識したとたんに発狂するものや顔が青白くなるもの
魔術師達が混乱すれば近くにいた警察や消防、軍人も気が付くというもの
彼らも魔術師と同じ反応をする者が殆どだったが、中にはここまで乗ってきた車輌に乗り込んで逃げ出すものもいた
しかし既に回りを囲まれている為、車輌で奴らを2、3体轢いた所で止まり、運転席にいる人に腕と思われる触手でガラスを貫いて腹部に突き刺さる
男性をそのまま車輌から引きずり落とし、男性に群がる
男性が悲鳴を挙げる間も無く頭と胴体が引きちぎられた
まるで子供がお菓子を取り合うように男性の四肢、臓器等を取り合い、貪り食らう
警察や軍人、魔術師達の中で比較的平常心を保ってた者は、個々の武器で応戦を始めるものの、あまり効いてる用には見えない
そもそも、視界を埋め尽くす程の化物を見てしまって発狂している者が動き回ってるのに、化物のみを狙う事はほぼ不可能に近い
魔術師達は飛べたので、上空に逃げられるというメリットがあったが、デメリットもあった
下に居る人を見捨てる事にもなる
下で応戦している者は全方位囲まれて尚且つ自分達の武器は歯が立たない
魔術師達の武器は一応効いてはいたが、あまりの数にジリ貧と言わざるを得ない
そもそも個々に来た魔術師は精々20にも満たない数しか居ない
化物の勢いが増す
それだけで皆食われていった
最終的に生きて帰ってきたのは飛ぶ事で難を逃れた魔術師達のみ
この化物が現れた街は後日軍の航空機による絨毯爆撃とミサイル数十発を消費し、殲滅することに成功した
この件は表向きは「テロリストが細菌兵器を使用した為、鎮圧に軍が出動したものの、テロリストが所持していたと思われる爆弾で街ごと破壊された」と発表した
航空機は演習、ミサイルについては宇宙探査機の打ち上げとなった
この過剰とも言える措置に暫し民衆が騒いでいたが、国の首脳陣はそれどころではなかった
まず化物を見たのは現場に行った魔術師達のみでそれ以外は死亡
また、写真やビデオで記録はされていたが、確認した軍の上層部が政治家への閲覧を完全に禁止したため、政治家首脳陣は見たことの無い物のための対策が必要となった
破壊した街に調査のため向かった魔術師からは化物の肉片は愚か痕跡すら消えていたという報告が挙がっていた
これでは対処のしようがないと、一旦は保留にされたが、この様な事態がその3ヶ月後にまた起こり、それが自国のみならず、他の周辺諸国にも被害が出ていた
各国は情報を共用し、一つの真実に辿り着く
精霊
この時には既に精霊というものは首脳陣等は周知していた事だったが個々まで直接人に被害を出している精霊は殆どいない
無論例外にあたる〈ナイトメア〉等の固体はいたが、それでも〈キャスター〉に比べれば可愛く見えて来る程の差がある
今のところ対抗策は魔術師しかなかったのだが全体的に通常火器が大半を締める国々は予算を魔術師装備の購入の為、軍事産業への予算案が提出され始めた
この事から各国は魔術師の増員と充足化に力を入れ始めた
これを受けて魔術師の機器を作っているデウス・エクス・マキナ・インダストリー、通称DEM社への注文数が増えることとなったのは余談である
私は偶々ここ天宮市の駐屯地に配属されたのは本当に運が悪いとしか言えない
唯でさえ此方の攻撃が一切効いてる様子のない相手にひたすら弾薬を消費し続け、相手が消えるのを待つ
で、相手が消えたら駐屯地に帰り、撃退という形だけの報告を隊長がして後は各々宿舎に帰ったりとまちまち、こんな生活を数ヵ月続けていたので、正直慣れが出始めていた
それが良くなかったのか、私も等々運の尽きと言う奴を自身で味わう事になった
最初の報告から疑うべきだった
精霊反応が出て暫くして、精霊反応がある地域一帯に広がり始めたとの報告を聞いた辺りから嫌な予感はあったが、隊長と私、後同期生が二人と先輩が一人の五人で現場に向かうことになった
他の隊員?報告が挙がった後に別の場所でも同様の反応があった為そっちに殆ど向かった
単にシェルターが近いので、人命優先である
二十名程いた隊員の殆どがそちらに向かった
私は安堵した
もしかしたら私の方は大した事ないかもって
間違いに気づいたのは現場に着いた時だった
隊長が周辺に生命反応があると同期生二人を連れて近場のビルに入って行って直ぐだった
最初は隊長と通信が繋がっていたのに急にノイズが入り、そのまま断続的に言葉を拾うだけで一向に回復の兆しはなかった
先輩が一旦駐屯地に報告に戻るので、待機するよう吐き捨てる用に言うとそのまま駐屯地の方に飛行で移動していった
私は未だ聞こえる悲鳴なのか譫言なのか解らない通信に怯えながら先輩を待った
暫くしても先輩は帰ってこない
それどころか通信もない
流石にこれ以上は待てない、それにもしかしたら隊長達はもう嫌そんなはずないと勇気を振り絞り、隊長達が入ったビルに屋上から侵入した
十階建てのビルの調度真ん中、五階に生命反応があったので、そのまま足音を消そうと必死に勤める
ここまでに持ってきた装備はビルの中では邪魔になってしまうので、ライフルと接近専用装備のナイフのみで入ってきた
ビルの階段を降りながら漂う血生臭い臭いから来る吐き気をを必死に耐えて目標の階に着く
ドアノブに手をかける前に本能が叫ぶ
今回れ右すれば助かる
それを押し込めるのに数分必要だった
よし、と気合いを入れてドアを開ける
開けて直ぐ来た道を全力で駆け戻る
ヤダヤダヤダヤダ!あんなの人の死に方じゃない!
あんな…おもちゃみたいに…手足が…
自分の装備をもってすればビルの壁など破壊して逃げれば良かったのに、私は完全に取り乱していた
ただ、武器を投げ棄てなかったのは奇跡だった
私が六階に到達した時に、足が何かに絡まり、一瞬動きを止めてしまう
私は視線を向けず無意識の内に足元に向けてライフルをフルオートで撃った
足の違和感が消えた瞬間に走り出したが、今度は前からアレがやってきた
その時、私は先程部屋で見た光景が甦ってしまった
隊長だったモノを何匹ものアレが引っ張り合い、既に髪しか彼女だったものと認識できる唯一の部分だった
その他は血や肉片、引っ張られる後とに飛び散る臓器のみでとても見れたモノではない
同期生二人は更に醜い
二人は目、鼻、耳、口から下の穴までアレに貫かれ、ぬいぐるみのように縦に引き裂かれた
それを思い出してる内に、私の腕にアレの腕が絡み付いていた
私はパニックになりながらも、近接武器で応戦しようとするも、強い衝撃が私を襲い一瞬意識が飛びかける
私は壁に叩きつけられたと、終わった後に知った
何度も何度も左右の壁に、時に階段に叩きつけられる
随意領域(テリトリー)は私が捕まった瞬間に解けている
どれぐらいそれが続いただろうか
数分か、数時間か、私にはもう何時なのかさえも解らなかった
ただ、引き摺られているのは解った
もう歯は全て折れ、鼻は砕けて、目はもう見えない
それでもこのままでは隊長や同期生達と同じ末路が待っている
やだ…
それだけはやだ!
「いやぁぁぁぁ!いやぁ!はなぁじでぇぇ!はなじでぇよぉ!あぅ」
叫ぶとアレは五月蝿いとばかりに腹を貫かれる
痛いがそれどころではない
死にたくない
死にたくないのだ
「いやぁ…やめてぇ…はなじでぇ…じにだぐない!じにだぐないよぉ!おがあざぁぁぁん!!」
アレは私を引き摺りながら、隊長達の元に連れていく
次第に叫ぶ力もなくなって、静かになってもアレは気にせず引き摺り続ける
意識が落ちる寸前に見えたのは家族か、同僚か
私にはもう…解らない
たぶんつずかない