俺のパンツが無い。   作:彼是

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少しつづお気に入りも増え遂にUA38000超えました。
皆様のおかげでこの小説は続いています。
本当にありがとうございます!

え~この話はぶっちゃけいらなかったです。が・・・書いてしまったので・・・


咲と映画 中編

 俺の中のパン屋さんのイメージは洋風のお洒落な外見のお店で、店内で食べれる場合は大抵はテラスが用意されていてそこで食べるイメージだが・・

 

 ジュンに教えてもらったパン屋さんはめっちゃ和風の店だ。わかりにくいと聞いていたがパッと見た感じ和菓子屋だ。

 

 店内も時代劇に出てきそうな長椅子に座敷、机があった。カウンターもいい色した木材で作られておりパン屋か既に怪しいが、店内にはパンの凄く美味しそうないい香りがする。

 

 奥から可愛らしい今時の赤をベースとした着物と割烹着を足した服装の女性が出てきた。

 

「いらっしゃいませ。店内でお食事でしょうか?」

「えっと・・はい」

「ではこちらにどうぞ」

 

 奥の方にある机に案内された。椅子の上にはクッションが引いてあるので思ったより座りやすい。

 

「す、すごい店ね」

「うん。でもすごい美味しそうな匂いするね」

 

 傍から見れば蕎麦でも出てきそうなお店だが、近くのお客さんを見ればお洒落な鯉の模様が入った和風のお皿に持てるように和紙で包まれているパンが見える。

 

「お品書きはこちらにございます。また後ほど注文にお伺いしますのでごゆっくりどうぞ」

 

 店員さんはそう言って抹茶とお冷を置いて奥の方へ戻っていった。

 

「すごい・・・抹茶だ」

「ホント?あ・・ホントだ」

 

 まさか入っただけで抹茶を飲めると思わなかった。しかも美味しい。

 

「美味しい・・」

「うん。飲みやすい味だね」

 

 なぜ超和風でパン屋なのかは謎だがこれは期待できる。咲も一息つけて少し調子も戻ってるみたいだし。

 

 お品書きを見ると初めにパンは麺麭と記入していますと書いてあった。どんだけこだわるんだ?

 

 中も全部墨で綺麗に見やすく書いてあった。しかも商品の写真は無くイラストで店主本気すぎ。

 

「あ。これ美味しそう」

「どれどれ?」

 

 咲が指さしたのは和風のピロシキだ。中に茸類、挽肉、ネギ、ゆで卵、等が入った醤油味で凄く美味しそうだ。

 

「確かに美味しそう。じゃあこれは?」

「ん~」

 

 俺が咲に見せたのはバケットに鳥肉、キュウリ、鰹節等を入れてこちらも醤油味にした物だ。

 

「いいわね。ん~これは?」

 

 食パンにしらす、マヨネーズ、チーズ、ワカメ等を入れた和風海鮮パンだ。しらす・・・美味しそうだが中々想像しにくい味だな。

 

「へ~揚げパンもあるんだね」

 

 お品書きの後ろはデザートもあり揚げパンやパンケーキ等もある。

 

「咲、決まった?」

「ん~決まったわ。圭は?」

「こっちも決まったよ。じゃあ呼ぼうか。すみませ~ん」

「は~い」

 

 パタパタと店員さんが注文を聞きに来てくれる。

 

「えっと・・俺はこのしらすとチーズのパン一つ。咲は?」

「私はデラックスミックスサンド一つ下さい」

「はい。かしこまりました」

 

 デラックスミックスサンド?そんなのあったか・・・・あったわ。白いサンドイッチ用のパンに色々な味が入ったサンドイッチで、デラックスはボリュームが中々だ。

 

「咲はよく食べるよね」

「そう?圭も食べる方じゃない?」

 

 そう。この世界では女の子の方がよく食べる。もちろんダイエットって言葉はあるが圧倒的に男が使う言葉で女の子は体を絞る為にダイエットをするらしい。

 

「お待たせしました」

 

 店員さんが注文の品を持ってきてくれる。出来立てで非常に美味しそうな香りがする。しかもチーズはトロトロだ。

 

「「いただきます」」

 

 では一口・・・うん!美味しい!思ったよりしらすの味がチーズと合う!チーズのしょっぱさがしらすの旨みを引き立ててる。

 

「美味しいね」

「うん。このミックスサンドも美味しいわ」

 

 確かに色々な具材が入ったミックスサンドは美味そうだ。

 

「咲、ちょっとくれよ」

「いいわよ」

「ありがとう」

 

 俺はミックスサンドの一つを頂く。うん!これは卵がいい味出してる。

和風だしの味が強い、でも思ったよりマヨネーズと野菜に合う。

 

「美味しい。俺のも美味しいぞ。ほら」

「え!?・・・い、いいの?」

「ああ」

「じゃ、じゃぁ・・・」

 

咲は恐る恐る俺の差し出したパンに齧り付く。熱々なチーズがすごい事になっている。口からめっちゃ垂れそうだ・・

 

「咲・・」

「へ?け、圭?」

 

 みるみる内に赤くなっている。これは・・どっちだ?熱かったか恥ずかしいのか・・・

 

「咲・・・チーズが・・」

「え?あ!」

 

 俺のセリフでチーズに気付いたのか咲はチーズを取った。

 

「っ・・ははは!」

「っちょっと!笑わないでよ!」

「ごめんごめん」

「も~。ふふふ」

 

 その後、気分も完全に戻って世間話をしながら食事を取る。世間話と言ってもいっつも話す内容を深く掘り下げたり、これからの予定を軽く決めたりした。

 

「「ご馳走様でした」」

 

 これから映画館に行って先にチケットを買っといた方がいいかな?それで空いた時間に買い物だな。

 

「咲は何か買いたい物とかある?」

「私は特に無いわ。圭は何買うつもりなの?」

「漫画と小説かな。新作が出てるらしいし」

「じゃあ本屋ね。じゃあ先に映画館でチケットを買う?」

「そうだね。じゃあ行こうか」

「うん」

 

 そう言って咲は伝票を取りレジに向かう。

 

「咲。割り勘ね」

「え?いいよ?女だし出すわよ?」

「いいから。割り勘ね」

「いいのに・・・」

 

 この世界では女の子が出す事が多い。俺は割り勘が一番だと思っている。もしくは今回が出すし俺、次回はお前な、だ。咲に自分が食べた分を半無理矢理渡し店を出た。

 

「ありがとうございました」

 

 咲と二人で並んで繁華街を歩く。チケットを購入して、次に向かう本屋は大きめの中古の本も取り扱う○ブックだ。

 

「そう言えば圭の欲しがってる本って?」

「ん?にゃああああんの最新刊」

「ああ。アレね」

 

 家の猫をモデルに主人公(女)と猫の生活の漫画で立ち読みをしたら笑いを堪るに必死になった漫画だ。

 

「圭、動物好きだよね」

「癒されるからな」

「まあ、嫌われてるけどね」

「うっせ」

 

 不思議と俺と天は動物好きだが嫌われる。なぜだ・・・

 

 目的の本を買い、中古の本を咲と見て回る。面白そうな本があれば咲と二人でどんな話なのか予想をする。

 

「この地雷屋ギンは絶対極道系だって!」

「いや!この感じは極道じゃなくて金貸しとかだって!極道までいってないはずよ!」

 

表紙には背中に般若の刺繍が入った男の背中写った漫画を見て言い合って最後に確認する。

 

「「恋愛系!しかも地雷男だった!」」

 

 他には懐かしい漫画で盛り上がった。

 

「うっわ~懐かしい。これ私が幼稚園ぐらいに見たやつだ」

「咲、見てくれ。これ、俺の家にビデオであった奴だ」

「大怪獣ガ○パ・・・あった気が・・」

 

 そんな事をしていたら後映画まで30分ぐらいか・・・なら先に行って待ってる方がいいかな?

 

「咲。そろそろ行くか?」

「そうね。中々楽しかったわね」

 

 そろそろ映画館に向かう事にする。店内を歩き大分ヘイトを稼いだのは気のせいだと思う。

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

 そんなことは無かった。声は落としたからそこまでだが、やはり他の女性からの視線は凄い。

 

「じゃ、じゃあ行こうか」

「うん」

 

 俺は視線に気付かない振りをして店を出た。




古本屋で騒ぐ奴らは嫌い。でも気持ちはわかる。でもカップルてめぇはダメだ。

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