特型駆逐艦一番艦の吹雪は深海の王を相討ちで倒して轟沈したはずが時間を逆行してしまう。
そして吹雪の2度目の運命に対する新たな挑戦が始まる。
ふぶきんです。またまだ拙いですが、よろしくお願いします。様々な感想、コメントをお待ちしています。
戦いが……終わった。
長い間、続いていた私たち艦娘と深海棲艦との戦いが。
つい先程深海棲艦の王だった中枢神姫と私特型駆逐艦一番艦吹雪との一騎討ちが終わった。
まぁ、終わったと言ってもほとんど相討ちのようなものだが。
何より自分のことだ。もう・・・・この身体が助からないだろうことがよくわかった。
身体が沈み始めていることからもそれがよくわかる。
「この海域……いや、世界から…戦いの気配が…消えていく。あ、はは……本当に戦争が……終わるん…だね。」
海に完全に没する前に誰かの声を聞いたような気もしたがどうすることもできず私は沈んでいった。
海面が遠のいでいく。あぁ、私は今海の底に沈んでいってるんだ。
こうしていると今までのことを思い出してしまう。
鎮守府の仲間たち……楽しかったこと……あぁ、ケンカ…したこともあったっけ。
助けることができた人たち……逆に、力及ばずに助けられなかった人たちもいる。……そのなかには、当然私の仲間たちも含まれる。
私をいれた『始まりの艦娘』と呼ばれている五人。電、漣、五月雨、叢雲………私の大切な妹兼親友たち。けれど、残っている始まりの艦娘はもう私一人だ……いや、違うか。私も今、沈んでいってるんだから……もはや0人と言うべきだろう。
「中枢神姫を……倒した以上……きっと皆が……笑顔でいられる……世界が…訪れる…はず。」
思えば、私の艤装にも随分と無理をさせてきた。私の今装備している艤装はこの決戦の為作られた特別製だ。
『試作乙型特殊決戦用艤装SW-001D』これが今の私の艤装の名称だ。
長ったらしいから単に乙型艤装何て呼んでるけど。本来は正式な決戦用艤装のデータ収集用艤装でしかなかった。けれど、今回の決戦が早まったことで乙型艤装までしか完成しなかった。決戦用艤装……たしか『甲型特殊決戦用艤装』……だったかな?これが完成していればと思わなくもないけれど、……まぁ、いいか。
あとの世界の事は……生き残ったであろう仲間たちに任せよう……きっと、みんななら楽しい平和な世界にしてくれるはず。
電、漣、五月雨、叢雲……このまま沈んでいけば、また、みんなに会えるのかな?…会いたいなぁみんなに……
…………それにしても、ずいぶんと長く意識が続くなぁ?沈んだら結構すぐに意識がなくなるものだと思ってたんだけどな?
周りも明るくなってきて……海面も近付いてきたし………?ん?……近付いて?あれ?私、さっきまで沈んでいってたはずだよね?何で海面に浮かんで行ってるの?
「ぷはあっ はあ、はあ。」
海面まで出てきちゃったけど、どういうことだろう?というか、身体の痛みも消えてるし……服も元に戻っている。乙型艤装も見た所傷が無くなってる。
「うーーーん?」
正直、訳が分からない。なにがどうなっているのだろう?よくよく周りを確認してみると中枢棲地があった海域でもない。見覚えはあるのだけれど……?
とりあえず情報が必要だ。あれからどのくらい経っているのか?なにより平和になったのか気になる事はたくさんある。
衛星に通信して情報を収集してみる。
………現在の年号を照合……西暦20××年6月14日……
おかしい。何がおかしいって照合した年号がおかしい。この年号は確か私たち艦娘が初めて人類と接触した日付だったはずだ。というか、私がその『始まりの艦娘』の一人なのだから間違えるはずがない。
そういえば、ここって私が初めて自我に目覚めた場所?
……考えられるとしたら、時間を逆行した?やり直せると言う事?皆と一緒に?
………良くわからないことだらけだし、これが夢でない保証もない。けれど、やり直せると言うならやってみせようじゃないか。今度こそ叢雲たちを失わずこの戦争を終わらせてみせる。
ひとまずこのままでは目立ちすぎるので乙型艤装を艦娘としての力を宿したカードに戻しもう一つの本来の特型駆逐艦としての艤装を呼び出す。
照合した年号が確かなら乙型艤装ではオーバースペックに過ぎる。特型駆逐艦の艤装も改二仕様でオーバースペックなのだが、今は仕方ない。
むしろ性能の高い装備を使えるのだから有りがたいほどだろう。
………あとは、これから出会うだろう電たちも私と同じように記憶があるのかどうか……か。可能性は恐らくは低いと思う。私みたいな事例がそんな何度もあったら大変だし。
………さぁ、始めよう。残酷な運命に対する私の2度目の挑戦を!!