2度目の挑戦   作:ふぶきん

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人間と艦娘との初めての話し合いです。
結構ぶったぎってしまった感が強い気もしますが。

私のところの吹雪は前回の世界のこともあって真面目ですが思い詰めてしまうところがあるようです。あと、少しうっかりさんですね。

拙い小説ですが、最後まで読んで楽しんでくだされば幸いです。


人間との出会いと話し合い・・・あっさりばれた!?

みんなの話しなど聞かず、戦闘海域まで突っ走る。

先の戦闘のときみたいなイレギュラーがあったらみんなを守れないかもしれない。それを確かめるためにもみんなより群を抜いて練度の高い私が先行するべきだ。

 

戦闘海域が見えてきた。反応にあったとおり駆逐イ級二隻が日本船・・・もとい、確か護衛艦だったか?を攻撃しているのが見えた。

護衛艦の方も必死に抵抗しているようだが深海棲艦に人間の純粋な兵器は無力だ。実際、護衛艦の攻撃はイ級になんの効果も発揮していないようだ。

 

「遠目にはノーマルのイ級のようだけど先の戦闘の件もあるし油断しないで行こう!」

この時間の護衛艦には確かまだ私たちと通信をする技術はないはずだ。仕方なく私のとっても旧式の感があるモールス信号で通信をおこなう。

「ワレ,テイコクカイグンクチクカンフブキ。コレヨリ,キカンヲエンゴスル。クリカエス。コレヨリ,キカンヲエンゴスル」

 

さぁ、戦闘開始だ!!

 

まずはイ級たちの注意をこちらに向けるために船とイ級の間を狙って砲撃をおこなう。

今の砲撃でイ級二隻もこちらに気づいた様子だ。それと同時に護衛艦と私のどちらが危険かわかったようでこちらに攻撃の対象を変えてきた。

・・・・・・変えてきたのだが、遅い。

ノーマルのイ級だからと言うよりはお互いの練度の差の問題だろう。

どうやら今回の戦闘ではイレギュラーと呼ぶべきものはないようだ。ならば一気に決める!!

 

主砲をかまえて一気にイ級一隻に近づいていく。

イ級がこちらに向きを変えて砲撃のため気味の悪い口を開けたところで主砲をその口に突き刺す。そのまま、砲撃をおこなっていく。

一発、二発、三発と砲撃を続ける。

一発ごとにイ級が膨らんでいく。奥にいたもう一隻のイ級がこちらに砲撃しようとしているのが見えたため、主砲を突き刺しているイ級を投げつけてやる。

もう一隻のイ級の攻撃もあって投げつけたイ級が私たちの中間で爆発する。

私はその爆発を目眩ましにしてもう一隻のイ級に急速に近づいてイ級の後方に回る。

「これで・・・終わりだよ!!」

もう一隻のイ級もそのまま撃沈する。

 

しばらくは主砲をかまえて警戒していたが、白雪の時のようにドロップ現象がおきることもなさそうだ。

警戒を解いたところで叢雲たちも追いついてきた。と言っても、もう戦闘は終わってしまっているが・・・。

「おーーっい。戦闘は終わったよ。日本の船も無事だよう!日本の船を襲ってたバカどもは私が倒したよ。」

「それはよかったわ。けどね!」

そう言って叢雲が私に向かって思いっきりジャンプしてくる。え?なに?どゆこと?なんで私に向かってジャンプしたと思ったらなんで足をこちらに突きだしてくるのかな!?そのままだと・・・「バカはあんたもだーーーっ!!」

「ぐは!?」

 

さ、さすがは叢雲。練度もまだそれほどでもないだろうに見事なジャンプキックですこと。

「まったく話しも聞かずいきなり一人で突っ走る普通!?」

「はわわ(>_<)吹雪お姉ちゃん、大丈夫なのですか?」

「叢雲~?いくらなんでもやりすぎですぜ?」

「吹雪ちゃ~ん 」

「む・ら・く・もちゃーーん?」

白雪の声に不穏なものを感じたのだろう。叢雲が恐る恐る白雪のほうを振り返っているのが雰囲気で何となくわかった。

「し、白雪?ち、違うのよ?私は吹雪のことが心配だったから 」

「うん、そうだね。叢雲ちゃんの言うことにも一理あるけど・・・あそこまですることはないんじゃないかな?」

「わかったから。私が悪かったから、だから、その・・・ちょっと・・ま!?」

「お・し・お・き!(^_^)」

「アッーーーー!?」

 

なんだかこの状況にどこかで安堵してしまっている私がいる。前回の第1期のメンバーにいた白雪もこんな感じだった・・・私には何かあっても苦笑して少し嗜めるだけでどこか甘いところがあって逆に叢雲に対しては他よりもすぐにお仕置きをするなどどこか厳しめなところがあった・・・出会い方は違ってもその本質や行動は同じ。百パーセント同じなんてことはないと分かっていても・・・やっぱり、嬉しい・・・もの・・・だよ・・・ね・・・

私の意識はここでブラックアウトした。

 

 

 

次に私が目を覚ましたのは、どうやら何処かの医務室・・・かな?白雪たちもいるようだ。私が起きるのを待っててくれたのかな?

「白雪?他のみんなも・・・。」

「吹雪姉さん、身体は大丈夫?」

「問題ないよ。此処は?」

「吹雪お姉ちゃんが助けた日本船の中にある医務室なのです。」

「叢雲のせいでお姉ちゃん、気を失っちゃったから人間さんたちのご厚意で・・・ね?」

「うぅ、それは私が悪かったわよ。」

叢雲が気まずそうにしている。私はそこまで気にしてはいないんだけどあの状況だと仕方ないのかな?白雪の件もあるし(汗

「ちなみにまだ人間の皆さんとは話しをしていません。私たち全員がいる状況でのほうがいいだろうということで。」

「なるほど。了解だよ。船の人を呼んで早速話し合いと・・・の前に私の艤装は?」

「それならそこに置いてあるわ。吹雪の艤装は吹雪にしかカード化できないからね。」

言われた方向を見てみると確かに私の艤装が主砲含めて全て置いてあった。よく船の人が許可したなこれ(汗

格納庫なんかもあったろうに。とにかく、艤装をカード化してから医務室にある船内無線を使って人を呼んで会議室まで案内してもらいそこで改めて話し合いとなった。

 

「自己紹介の前に、ここでの会話は全て記録されることを了承してほしい。」

そう言った自衛官の人はレコーダーを机の上に置く。

「はい。私たちは大丈夫です。」

みんなの意思を確認して私が代表して答えた。

「では、自己紹介だ。私は自衛官をしている山本秀一二等海佐です。よろしく。」

「特型駆逐艦吹雪型一番艦吹雪です。よろしくお願いします。」

「同じく吹雪型二番艦白雪です。どうぞよろしくお願いします。」

「同じく吹雪型五番艦の叢雲よ。まぁ、せいぜいよろしく。」

「特型駆逐艦綾波型九番艦の漣です。こう書いてさざなみと読みます。よろしくです。」

「え、えっと、特型駆逐艦暁型四番艦の電です。よろしくお願いします。」

「私は白露型六番艦五月雨って言います。よろしくお願いします。」

 

お互いに自己紹介したあとは質問しあうことにした。まぁ、私たちからはあの戦争には負けたと言うことや深海棲艦のことの知識はあったので質問の多くはやはり人間側からだ。それに私たちが答えていく形となった。

 

「まずは君たちのことを教えてくれないか?助けてもらったとはいえなにもわからない君たちを完全に信じることはできない。」

「まぁ、そうでしょうね。えぇ、構いませんよ。」

「私たちは、帝国海軍の軍艦の魂がこうして人の姿を得たもの。通称、艦娘です。」

「・・・かん・・・むすですか?」

「はい。より正確には艦魄の分霊が人の姿を得たもの・・・ですね。」

「む、むぅ。」

「無理に理解しようとせず、単にそういうものだって覚えておけばいいわ。」

「 わ、わかった。だが、分霊というのは?」

「あぁ、私たちの本来の魂がある軍艦そのものはまだ海の底よ。だから分霊として分かれた魂の一部が艦娘になってるわけ。」

「ですから、これから先何人もの私たちの同位体も現れるはずです。もちろん、他の軽巡や重巡、戦艦などの艦娘もなのです。」

「な、なるほど。ひとまず他は後で聞くとして敵について知っていることを教えてもらえるかな?」

「奴らは深海棲艦です。そうですね・・・かつての軍艦の負の想念が実体化したものと思っていただければ。」

「負の想念?」

「戦争に対する怨み、妬み、憎しみ、嫉み、深海に囚われた焦燥などの負の想いが実体化したものです。」

「なん・・と・・・」

かなり驚いているのがわかる。当然だろう。人間にしてみればこれだけでもかなり突飛な話だろうし。

「深海棲艦には人間の兵器は残念ながら通用しません。奴らを倒せるのは私たちのもつ力だけ。それは先の戦闘で貴方たちにも理解できたはずです。」

私の言葉を聞いて山本さんは悔しそうに唇を噛んでいる。私たちにもそれはよくわかる。私たちもまた守りたいという想いで艦娘に生まれ変わったのだから。

「君たちと奴ら、深海棲艦の関係は何なんだ?」

「正と負、表と裏、陽と陰、和魂と荒魂、簡単に言うとこんな感じですかね。多分。」

「だからこそ私たちがやらなければならないんです。奴らを沈め、鎮めるために。」

「・・しず・・・め?」

「沈めて鎮める。日本特有の言葉遊びであり言霊ですよ。」

「ついていけない部分も多々あるが、吹雪たちが嘘をついていないだろうことはその目を見てみれば分かるよ。」

やはり前回と同様、この人は話のわかる人だ。最悪、全く信用してもらえない可能性もある。むしろ、可能性としてはそっちのほうが高いだろう。それなのに山本さんはちゃんと話を聞いてくれている。ほんとに助かる。

 

「そういえば、君たちが持っていた武装?はどこにいったんだい?預かったという報告は受けていないが?」

・・・・・・もしかして、医務室に置いてあった私の艤装は許可をとって置いていた訳じゃないのかな?

・・・まぁ、いいや。今は艤装の説明が先だ。

「私たちは元々軍艦ですからね。武装と言うよりは艤装と言う言い方が正しいですね。」

そう言って私は懐から艦娘カードを取り出す。

「それは?」

「艦娘カードと言います。私たちの艦娘としての力が封じられているものでそれを解放することで私たちは艤装を装備することができます。みんな?」

私の声に応えて他のみんなも自分のカードを取り出す。

「私たちが中破や大破をすると絵面が変化するので私たちのダメージの一種の指標にもできます。」

カードの絵面が山本さんにもよく見えるように位置を調整する。

 

・・・・・・あとから考えるとやはりこれがよくなかったんだろう。

 

私たちのカードを見比べていた山本さんがなにかに気づいたように質問してくる。

「その吹雪のだけ名前のところに改二とあるがそれは何なんだい?」

山本さんからしたら今までの流れからの何気ない質問だったんだろう。けど、私としては不味い質問だった。

改や改二はこの世界では当然知られていないし私たち艦娘だって知らなかったことだ。前回だって第1期の明石さんが艦娘という存在を調査していくうちにやっと解明したことだ。つまり、叢雲たちも知らないことのわけで・・・(汗

「あらほんとだわ。これはなんなの吹雪?」

「あ・・・えっと・・・」

「本当なのです。吹雪お姉ちゃんのだけなんか違うのです。」

「だから・・・その・・・」

「そういえば、お姉ちゃんの艤装だけ主砲が12・7cm連装砲ではなく長10cm砲でしたね。何でです?」

・・・そうでしたね。医務室に主砲を含めて艤装全てが置いてあったということは少なからずみんなに見られたということですよね・・・。どうしましょう?どう説明すれば?

「・・・・ふむ。吹雪?余計なことは考えずに全部吐きなさい?」

手をワキワキさせて叢雲が近づいてくる。それがなんだか異様に怖く感じて私は思わず後ずさってしまう。

トンっと何か柔らかいものに当たって後ろを振り向くといい笑顔をした白雪がいた。と言うか、肩を既に掴まれてる。

「白雪?お姉ちゃん、その手を離してほしいかな?」

「ふふ。だーーっめ(^_^)漣ちゃん?電ちゃん?」

「ほいさっさー。」

「な、なのです!!」

さらには漣や電にまで腕を掴まれている。最後の希望にと五月雨を見てみるが、既に申し訳なさそうな顔で私に対して両手を合わせていた。つまり、助けは期待できないということか・・・。

「いや、ちょ、やめ、アッーーーー!?」

 

 

・・・・通信エラーです。しばらくお待ちを・・・・

 

・・・結局、ほとんど全て吐かされました。叢雲や漣だけじゃなく電や白雪まで結託するなんて・・・・

「つまり吹雪は深海棲艦との最終決戦で敵の親玉と相打ちになって沈んだと思ったらここにいたと?」

「ハイ、ソウデス。」

「なら、最初から言いなさいよね?まったく」

「それはさすがに無茶だよ叢雲ちゃん。」

「そんなことすぐ言えるわけないのです。」

「さっきじんも・・・話を聞いているときだってなかなか信じられなかったしね。」

五月雨、今尋問って言おうとしたよね?

間違ってないと思うけどさ。

山本さんも苦笑いしてるよ全く。

「とりあえず、今日はここまで。後日、またお願いすると思いますのでよろしくお願いします。」

「えぇ、それでお願いします。」

早々に私のことばれちゃったけどこれから大丈夫かな?

 

はぁ、なんかどっと疲れたけど、艤装の整備だけはしておかないと。前回からずっと使いっぱなしだしね。

「艤装の整備をしたいんですけど、整備室かなんか借りられます?」

「ん?あぁ、大丈夫だ案内しよう。他のみんなは?」

「私たちは後でいいわ。私たちは少しここで休んでいるから。」

「わかった。」

これからどうなるかなんてわからないけどやっていくしかないんだ。もう・・・失わないためにも。

 

私は自分の想いにとらわれすぎていた。だから、気づけなかったんだ。会議室を山本さんと出ていく私を見るみんなの表情が悲しげだったことに・・・

皆もまた仲間を守りたい想いは私と同じなんだということに・・・

 

 

 

 

 




用語解説
『乙型艤装』
正式名称、試作乙型特殊決戦用艤装SWー001D
名前が長いため吹雪は単に乙型艤装と呼んでいる。
最終決戦用に作られた試作機であり、正式決定していた決戦用艤装のためのデータ収集をするための機体で本格的な実戦での運用は想定されていなかった。
だが、決戦が様々な理由で早まり決戦用の甲型艤装が間に合わず吹雪は乙型艤装での出撃をするしかなかった。
甲型艤装に使われているエンジンが搭載されてるがデータ収集用でしかない乙型ではポテンシャルをフルに発揮できない。高出力・高性能だが試作機の域をでない代物。
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