戦国†恋姫 〜死ヲ穿ツ少年〜   作:録音ソラ

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オリジナル要素は増えてく筈


少女の名は

「おお、起きた起きた」

 

 起きた時に女の子の顔がある。

 こんな経験は二度目だ。

 あの時は俺が寝てしまったから此方の家に不法侵入されたんだった。

 

「貴様、一週間も眠りっぱなしだったんだぞ?壮健なのか?目は見えているか?包帯を取ったが何も傷がなかったから目が見えないのだろうかと思って医者に見せたが、問題はないとのことだったぞ」

「いやそんなことよりも貴様に聞きたいことがある。どうやって天から落ちてきた?いや、どうやって天に昇った?医者にも見せれたから、死人というやつではないな。それとあの光どうやったのだ?あれは日輪の如く光っていた。大日如来の化身とでも言うのか?全くそうは見えないな。やはり、貴様は何者だ、と言う話に戻るが……何か言ってみせよ。黙っているだけでは何が何だかわからんではないか」

 

 黙って聞いていれば…

 起きてすぐにそんな近くで長々と…

 

「…んな…」

「む?」

「この、ばか女ー!」

「っ⁉︎」

 

 つい、大声でしかも初対面の相手に言ってしまった。

 けれど、こっちにだって言いたいことがある。

 

「一週間も寝てた相手に起きてすぐにそんなに聞かれても答えられるわけがないだろ、このばか!寝てなくても答えられる範疇じゃない!一気に何個も聞く奴があるかっ!」

 

 いや、1番言いたいのはこれじゃない

 

「………君誰?」

「無礼な貴様こそ何者だ」

 

 --------

 

「遠野…?遠野氏の出身か」

「遠野氏…?」

「おまえの出身ではないか。何処の出だというのだ?」

「俺は…三咲町で育って、今は用があって東京に来ていたんだが…」

 

 相手は何を言っているんだという顔をしている。

 それは俺の台詞だ。

 

「俺としてはここが尾張清洲で、今川がどうとか、あんたが織田信長だとか、その辺りが全く理解出来ない」

「貴様、我が嘘をついているとでも言うのか?それと、諱で呼ぶのは無礼だと先程言ったであろう!織田久遠と呼ぶがいいとも言った」

 

 目の前の大変ご立腹な少女は、織田久遠信長というらしい。

 確か学校で織田信長とかは習った。

 しかし、その教科書に書かれているのはおっさんだった覚えがある。

 というより、こんな可愛い子が教科書に載っていたら忘れるはずもないと思う。

 いや、まともに授業受けれた日が少ないから言い切れないんだが…

 

「嘘をついているとは言ってないだろ。ただ理解ができないだけだ。…久遠って呼べばいいんだな」

 

 とりあえず怒りを鎮めてもらおう。

 話は、それからだ。

 

「うむ。嘘つき扱いしていたのは許そう。無礼なことも目を瞑ろう」

 

 何とか鎮まりそうだ。

 しかし、久遠と名乗る少女の話が本当ならば、色々とまずい。

 ここは尾張清洲、目の前の少女は織田信長。

 これだけで分かることはここは知っている世界じゃない。

 そして、信じられない、と言いたいがこういうことは魔術師の中では特異点と呼ばれ、実際に存在すると言われる。

 特異点ーそれは世界の歪みとも言える正しい歴史とは異なった空間、らしい。

 詳しいことは全く知らないがそういうものだと聞いた。

 そして、それは世界そのものに影響を及ぼす。

 つまり、それはアルクェイドにも影響を及ぼす可能性があるということ。

 ならば、その歪みを消せばいい。

 だが……

 

「おい、聞いているのか?」

 

 目の前の少女はどう考えても歪みだ。

 しかし、多分、こいつだけが歪みというわけでもないだろう。

 他にもいる。

 そんな感じがする。

 この世界自体が歪んでいる。

 

「無礼なやつだな…」

 

 目の前の少女は睨んでくる。

 

「っと、すまない。考え事をしていた」

「我の前で話も聞かずに、か。無礼なやつだが、貴様について話すというのなら許す」

 

 俺について、か。

 どう話せばいいのか…ただ言えることは一つ。

 

「どうやら俺はこの世界の人間じゃない」

 

 そう言うと少女の目は俺の目を捉える。

 まるで俺の中を覗き込むように。

 

「その様だな」

「……信じるのか?」

「嘘のない瞳をしている。色々と隠し事はある様に見えるが、その事に関しては信じてやる」

 

 信じてもらえるとは思ってなかったがこうもあっさり信じられてしまうとは。

 

「何を間抜け面をしている」

「あっさり信じるんだな、と思ってな」

「世迷言を抜かすような輩を、か?確かにその一言だけでは単なる世迷言にしか聞こえない。理屈としても信じられたものではない。だが、人は理屈のみで生くるにあらず」

 

 そう言い、俺の目を再び見つめてくる。

 その瞳はとても綺麗だと感じた。

 

「我のような立場の者はな、瞳を見ればどのような人物か分かる」

「分かっていて信じられるなら大した人間だな」

 

 元いた世界では、不死者と殺し合い、殺人貴として恐れられた存在。

 そんな人間だと見抜いたなら尚更信じられないのではないか?

 

「この世の中では人を斬るというのは常にあるものだ。それに、見抜いたからこそ信じられる」

 

 その瞳は本当に俺自身の全てを見ているような気がした。

 その目は優しい目だった。

 

「貴様がどのような人間か、それぐらい見抜かなければ生きていけない世の中だ。志貴は信頼出来る者と見た」

 

 久遠は少し離れ、改めて聞いてくる

 

「貴様は何のためにここへ来たのだ?」

「…本来は来る必要はなかったんだが…」

「来る必要はなかった…?」

 

 何を言っているのか、と不思議そうな顔をしている。

 

「俺はここへ来ることが出来るモノを壊しに来ていた、が。何かの拍子に此方へ飛ばされた、ってところだ」

「ふむ…」

 

 考え込む久遠。

 俺は俺でこの先どうするか、それを考えなければならない。

 

「おい」

 

 ふと、久遠が

 

「これからどうするつもりだ?行くあてはあるのか?」

 

 と、聞いてきた。

 

「どうするかはこれから考える。……行くあてがあるなら行ってる」

 

 それもそうか、という顔をしている。

 うん、行くあてがあれば即動いている。

 

「それにしては泰然としているな」

「焦っても何も変わらないしな。何をすべきで何を避けるべきか。そう考えておけば何とでもなるんじゃないかなって」

 

 そう俺が言うと、ジト目で見てくる。

 

「何とでもならないと言いたそうな顔をしながら言うものではないぞ」

「そんな顔してたか…?」

「まぁ、いい。…志貴、我の家臣になれ」

 

「は?」

 

 何がどうなってそんな話になったんだ。

 いや、まぁ、行くあてのない人間を見捨てるような人間には見えないが、かと言ってこんな時代だ。

 ただ、拾ってきた人間を家臣にするとは思えない。

 

「うむ、拾ってきた『ただの人間』であれば、捨てておくが、我がこの目で見て嘘を付くような間者ではなく信頼出来る者だと思ったからだ」

 

 恐らくこれは嘘だろう。

 

「成る程な。けど、悪いが家臣にはなれない」

「ほう…?」

 

 家臣になると言うことは関係のない人間まで殺すことになる。

 俺は人殺しをするつもりはない。

 あくまで、殺すのは人ならざる者だけだ。

 

「人殺しをするつもりはない、それが理由だ」

「…では、どうする。行くあてもない貴様ではこの先生きていけないだろう」

 

 全くもってその通りだ。

 この身体は元から強い方ではない。

 簡単に死んでしまう。

 

「……行くあて何とかならないのか?」

「我に聞かれても、紹介することは出来ん。だがな…」

 

 久遠は少し笑みを浮かべる。

 これを聞くのはやめた方がいい気がする。

 

「家臣ではなく、我の元にいる。そして、衣食住を何とかしてやろう」

「……具体的にどうしろって言うんだ」

「我の夫となれ」

 

 ……意味がわからなかった。

 

「あー、何だって?」

「我の夫となれ、と言った」

 

 聞き間違いではない様だ。

 

「何でそうなるんだ…」

「何、本当に夫になれと言うわけではない。形式上夫であれと言うことだ」

 

 形式上…?

 ようやく納得がいった。

 

「男避け、か」

「そう言うことだ」

 

 簡単に言えば、寄ってくる男を追っ払う為のものだ。

 この時代だとそう言う事がよくあるのだろう。

 

「けど、それなら初めて会った男より元からいる誰かに頼めばいいんじゃないか?他に使い道でもあるのか?」

「…なかなかに聡いな。他の使い道が本来の貴様の役目だ」

 

 ニヤリと笑う。

 面倒なことに巻き込まれそうだ。

 

「本来の役目っていうのは?」

「天から降りてきた貴様が我の勝因だと考える奴が多い。ならば、その勝因となった貴様を我の元に置いておき、相手に何かあると思わせる。その為だ」

 

 成る程な。

 勝ったと同時に俺が現れたと聞いたが、天から降りてきた何かによる協力があって勝ちを得たとあれば……逆効果じゃないか?

 

「待て、未知のものを恐れて逆に追い込まれないか?」

「警戒して攻めてこなくなるだろう。それに、そう思わせる貴様を我の元から離してしまえば、我の方も攻めにくくなる」

 

 本来はそっちが目的か。

 まぁ、拾われて、衣食住を提供して貰えるならそれぐらいの役目は、な

 

「わかった。なら、遠慮なく厄介になるよ」

「……簡単に信用するのだな」

「こっちが信用されてるのに、信用しないってのもおかしな話だ。それに、さっきの話なら信用出来る。筋が通っているんだ。疑いようもない」

 

 不服そうな顔でこちらを見てくる。

 

「悪いことを裏で考えているかも知れんぞ?」

「それはない。いや、あったとしてまんまと騙されたのなら仕方ない」

「仕方ない、で殺されでもしてみろ。それでいいのか?」

 

 殺されるのは勘弁してほしいが……

 

「殺されるつもりはないし、殺すつもりもない。それに助けてもらった立場だ。疑う気にもなれない」

「……胡散臭い」

「ごもっとも……」

 

 それが計算して助けてもらった人間だとしたら、信頼できない言葉だ。

 胡散臭いな…

 

「まぁ、いい。貴様が我の元にいる間は衣食住は何とかしよう」

「ああ、助かる」

「無礼な奴だな、貴様は…」

 

 呆れたと言わんばかりの表情だ。

 

「礼儀なんて教わってこなかったからな。礼儀は少しずつ覚えていくよ」

「それはいつになることか。まだまだ先の話だな」

 

 ひどい言われ様だ。

 だが、お互いに腹の探り合いなんてしなくてもいい。

 そう思える程にはなったと思う。

 

「改めてよろしく頼むよ」

「ああ、我の夫として、働いて貰うぞ。志貴」

 

 こうして、少女と青年の物語が始まる




なんかぐだぐだしてる気が((
剣丞と志貴では境遇も考え方も頭の回転も相当違うので、どうしようか結構悩みますね…
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