何かいい案があれば申し上げください(苦笑)
翌日、学校に行きいつものように追いかけ回されている先輩に会う、そしてそれを助け、他愛のない話をして別れる、放課後時間があれば食事をして帰る。
昨日はデートだったからその感想を聞かないといけない。
そう思っていた。
いつもの日常がやってくるものだと思っていた。
なのにもう、引き返せないところまで、来ていた。
僕は、
朝、学校に行くと信じられない光景があった。
なんと兄様の婚約者であるリアス様と先輩が一緒に登校して来たのだ。
そして気づいた。
先輩が悪魔になっていることに。
そしてその日、先輩と会うことはなかった。
「……………ミッテルトさん」
「ちゃんときてくれたんっすね」
「…………はい」
「何かあったんすか?」
「…………いえ、大丈夫です」
「…………聞きたいことがあるっす」
「………なんですか?」
「…………レインは、光力を一切持たない堕天使はいると思うっすか?」
「いる………と思います、一切魔力を持たない悪魔もいますから」
「…………そういう奴のことをどう思うっすか?」
「どうも思いません……………たとえ魔力や光力がなくても、悪魔に生まれて来たのなら悪魔、堕天使に生まれて来たのなら堕天使なんですから」
「でも………力がないと強くはなれないっす」
「そうですか?………少なくとも僕は、魔力を一切持たず、周りに無能と呼ばれても、必死に努力して、ついに若手悪魔最強と呼ばれるだけの実力を手にした人を知ってますよ?」
「え?」
「その人とは一度だけ戦ったことがありますが、強かったですよ?」
「…………うちには光力がないっす、そのせいでうちは親に捨てられて、死にかけた、でもそんなところをアザゼル様が拾って育ててくれたっす、そして幹部たちも本当の娘のように接してくれたっす」
「そんなことが………」
「でも…………他の堕天使たちは納得できなかったみたいっす。なんの力もない下級堕天使の、その底辺に位置するうちをよく思わない堕天使は多かったっす。そしてうちが一人になったときにそれは起こったっす、いきなり集団で殴られたり、蹴られたりしたっす。バレれば殺されるから、服で隠せるところばかりをねらわれたっす」
「アザゼルさんにそのことは?」
「……………言えるわけないに決まってるじゃないっすか、うちを拾ってくれただけでもありがたいのに、娘のように育ててくれて、はぐれ悪魔やエクソシストに襲われないかいつも心配してくれてるのに……………これ以上心配をかけるわけにはいかないんす」
「ならなんでこの街に?」
「それは…………レイナーレ様に無理やり連れてこられたんっす」
「なんで……」
「こなかったらアザゼル様に報告するって言われて、うちは下級堕天使だから、中級堕天使のレイナーレ様には逆らえないんす」
「ならレイナーレさんの目的はなんなんですか?」
「神器、聖女の微笑みの回収っす、そしてそれを持ち帰ってアザゼル様に気に入ってもらうことが目的っす」
「………確か神器を抜き取られた人間は………」
「………死ぬっす」
「……………他に殺された人は?」
「確か、昨日一人殺したって自慢してたっすね」
「昨日…………」
「あら、ずいぶん楽しそうね、ミッテルト」
「っ⁉︎レイナーレ様⁉︎」
その姿を見て僕は驚いた。
だってレイナーレと呼ばれた人は
「天野………夕麻?」
「あら?なぜ人間ごときがその名前を知ってるのかしら?記憶は消したはずなのだけれど、神器もちかしら」
「まさか、あなたが兵藤一誠を殺したんですか?」
「兵藤?………あぁ、あいつのことね、それなら確かに殺したわ」
「っ⁉︎」
「そんなことよりもミッテルト?これはどういうことかしら?まさか裏切るつもり?」
「そ、そんなことないっす‼︎」
「そう、ちょうどいい機会だから、ここで消しておきましょうか?私の計画に、あなたは邪魔なのよね?バレても、任務中にはぐれに殺されたとでも言えばいいし」
「そ、そんな……」
「あははは、その人間と一緒に死になさい‼︎」
そう言ってレイナーレは光の槍を投げて来た
(ここまでなのかな?やっと見つけたのにな、うちをバカにせずに、堕天使として見てくれる人を。お人好しで、バカで、変なやつだったけど、嬉しかったなぁ)
そしてミッテルトは貫かれ、死んだ……………はずだった
「…………先輩を殺しておいて、そんなこと?…………邪魔だから、部下を殺す?…………ふざけないでください」
「え?」
「なっ⁉︎」
そこには光の槍を掴んで止めるレインがいた
「すでに結界は貼ってある、このことがバレることはありません」
「う、嘘⁉︎なんでただの人間ごときが私の槍を止めれるのよ⁉︎」
「人間?
「⁉︎ならなおさら止めれるわけないじゃない⁉︎」
「そうですね、でもそれも、私があなたより弱かったらの話です」
こうして話している間も、レインの魔力は高まり続けた
「う、うそ⁉︎どこまで上がるのよ‼︎もう最上級悪魔レベルの魔力じゃない⁉︎」
「最上級悪魔?とんでもない、私は貴族の家に生まれた、ただの子供ですよ」
「あ、ありえないわ⁉︎なんで、なんでなのよ⁉︎」
「ここであなたを殺すことは簡単です、でもそれは私の役目じゃない………………死にたくないなら消えてください、そして2度とミッテルトさんに関わらないでください」
「わ、わかったわ‼︎もう関わらない⁉︎だから殺さないで⁉︎」
「……………行っていいですよ」
「ひ、ひぃ⁉︎」
「…………レイン」
「怪我はありませんか?ミッテルトさん」
「………大丈夫っす」
「そうですか…………これからどうしましょうか?」
「……………グリゴリに戻るっす」
「でもそれでは………」
「……………今までのことを話してくるっす」
「…………そうですか」
「うん………多分なんらかの処置が下されるはずっす、だからもう会えなくなるかもしれないっす」
「ミッテルトさん…………」
「だから……………だから、次会えた時には、うちを眷属にして欲しいっす」
「え?」
「アザゼル様には感謝してるし、ひどい扱いを受けたけど、堕天使が嫌いなわけじゃないっす」
「なら、なんで………?」
「そうっすね、レイン風にいうなら、恩返しっすよ、まぁそれだけが理由じゃないっすけどね」
「恩返しされるようなことなんて何もしてませんよ?」
「うちを助けてくれたじゃないっすか」
「でも、それは………」
「む、もしかして、そんなに渋るってことは、うちが眷属になるのが嫌だってことっすか?」
「そんなことないです、でも本当にいいんですか?」
「いいっすよ、本命はもう一個の方っすからね」
「もう一個?」
「いつか教えるっすよ」
「わかりました、それまで待つことにします」
「それでいいっす、今はまだ伝える勇気がないっすから」
「?」
「なんでもないっすよ、それとさっき一人称が変わってたのはなんでっすか?」
「僕は相手がどんなに凶悪な犯罪者でも、礼儀は尽くさないといけないと思ってますから、怒りで忘れそうになってる時は私にして、なんとか抑えてるんですよ」
「そうだったんすね」
「それに2度と繰り返さないと決めたから」
「え?」
「なんでもありません」
「…………レイン、本当に大丈夫っすか?」
「え?」
「なんかに怯えてるような、後悔してるような、そんな目をしてるっすよ?」
「…………大丈夫です…」
「無理しちゃダメっすよ?」
「ミッテルトさんこそ、ダメですよ?あなたには僕の眷属になってもらうんですから」
「わかってるっすよ、あと呼び捨てでいいっすよ?うちはレインの眷属になるんすから、眷属に敬語ってのも変な話じゃないっすか?」
「…………わかったよ、ミッテルト、早く戻ってきてね?あんまり遅いと僕の方から行くから」
「了解っす、絶対に戻ってくるから待ってるっすよ!」
「うん、待ってるから」
そしてその頃
「あうっ⁉︎」
「おいおい、大丈夫か?」
世界はそう、確実に進んでいた
次回ようやくライザーが登場します