あれから数日、その間先輩と会うことはなかった
それと同時に、最近塔城さんから先輩の愚痴をよく聞く
なんでも、ハーレム王を目指しているのだとか
どうやら先輩は悪魔になっても、何も変わっていないようだ
ちなみにまだ、僕が悪魔であることはバレていない
そして今日、兄様から連絡があった
どうやら放課後に、リアス様と婚約について話し合いがあるらしい
そのことについて、僕にも参加して欲しいとのことだ
兄様には、来たくない時は来なくてもいいと言われたが
僕は先輩に謝らなくてはいけない
先輩のことだから、気にするなとでも言うだろう
兄様に迷惑がかかってしまうかもしれないが
それでも聞きたいことがある、だから僕は………
旧校舎に近づくと、大きな気配を感じた
この気配はグレイフィア様のものだ
この距離になって、ようやく気づくことができた
流石だと思ったが、まだまだ僕が甘いだけだと思っておくことにした
僕の目指す目標はただ一人
それ以外の人に劣る時点で、まだまだなのだ
そう思いながらドアの前に立ち、ノックをする
そしてグレイフィア様が扉を開け、数日ぶりに先輩と再会した
「数日ぶりです、先輩」
「なっ⁉︎レイン⁉︎」
おっす!俺はイッセー!最近部長の兵士になった新人悪魔だ!
なんでも今日は大事な話があるそうで、メイド服を着た綺麗なお姉さんが部室にいた
名前はグレイフィアさんと言うらしい
そのグレイフィアさんが集まった理由を言おうとして、部長が止めた時、ノックが聞こえた
そしてグレイフィアさんが誰なのか確かめずに扉を開けると、そこには最近会ってなくて、とても見慣れた人物が立っていた
そして
「数日ぶりです、先輩」
「なっ⁉︎レイン⁉︎」
「久しぶりでございます、レイン様」
「お久しぶりです、グレイフィア様」
「グレイフィア?彼は一体誰なのかしら?」
「お嬢様、この方は………」
「大丈夫です、グレイフィア様、自分で話します」
「しかしそれでは………」
「わかっています、それでも僕の口から話さないと意味がないんです」
「…………分かりました」
「ありがとうございます」
「ですが、詳しい説明はこちらで行わせていただきます」
「はい、それで構いません」
「ちょっと⁉︎さっきから2人で話を進めないでちょうだい!あなたは誰なのかと聞いてるのよ!」
「………申し訳ありません、リアス様。僕の名前はレイン・フェネル………本当の名前をレイン・フェニックスと言います」
「フェニックスですって⁉︎」
「はい、僕はライザー・フェニックスの弟です」
「っ⁉︎グレイフィア‼︎なんでライザーの弟がこの学校にいるのよ⁉︎」
「お嬢様、それは………」
グレイフィアさんが説明しようとした時、魔法陣から人が出てきた
「そんなの簡単だろう、魔王様が入学を認めた、ただそれだけだよ、グレモリー嬢」
「ライザー‼︎」
「兄様………」
リアス様に説明しようとしたその時、兄様が現れた
兄様は僕の方を見ると少し嬉しそうにしていた
「あの、この人は誰なんですか?」
「この方はライザー・フェニックス様です、レイン様のお兄様で、お嬢様の婚約者です」
「え!ええぇぇぇぇぇ⁉︎」
先輩が突然叫んだから、耳鳴りがひどい
「先輩、うるさいです」
「お、おぉ、悪りぃレイン」
僕が先輩に注意すると兄様が驚いていました
「どうかなさいましたか?兄様」
「いや、お前がはっきりと言うのは珍しくてな、少し驚いたんだ」
「?レインはいつもこんな感じじゃないのか?」
「いや、いつもは意見すら言わないで、言われたように行動していたからな」
「そうなのか?」
「?分かりません」
「まぁそれはいい、久しぶりだなレイン」
「はい、一ヶ月ぶりです、兄様」
「さて、わかっていると思うが、今日は婚約についての話し合いをしにきたんだ」
「あなたと話すことなんて何もないわ‼︎帰ってちょうだいライザー‼︎」
「そう言うわけにもいかないんだ、この婚約は俺たちより上が決めたこと、逆らうわけにはいかないんだよ」
「そんなことはわかってるわ!それでも私はあなたとは結婚しないわ‼︎」
「はぁ………何もわかっていないようだなグレモリー嬢?俺たちに拒否権はない……なのになぜ婚約を嫌がる?」
「私は、私をグレモリーではなく、リアスとしてみてくれる人と結婚したいのよ!あなたは私をグレモリーとしかみていない、私を愛してなんかいないでしょ⁉︎」
「そうか、だかなグレモリー嬢?今のお前に何ができるんだ?魔王様の妹という以外に、お前に何があるんだ?あいにく俺も、親父や兄貴たち、フェニックスの顔に泥を塗るわけにはいかないんだよ、だから婚約は破棄できない、お前もそうだろう?グレモリー嬢」
「それは……」
「…………どうしてもというなら、1つだけチャンスをくれてやる」
「チャンスですって?」
「レーティングゲームで勝負しようじゃないか」
「ライザー様それは‼︎」
「兄様………!」
「いいわ、受けて立つわ」
「お嬢様⁉︎」
「そうか、なら決まりだな、10日後に試合でいいか?」
「あら、今すぐでもいいのよ?」
「バカを言うな、俺はプロで、お前は学生だ、当然のハンデだろう」
「なめないで‼︎」
「なめる?事実だろ?」
「ライザー様、本当によろしいのですか?あなたがこの勝負を提案するメリットはございませんが?」
「構いませんよ、ちょうどいい機会です、婚約者の実力を確認しておきたいと思っていましたし」
「兄様1人でですか?」
「…………は?」
「もちろんそのつもりだが?」
「……………僕も参加していいでしょうか?」
「本当に珍しいな?だがだめだ、お前が入ったら試合にならなくなる」
「…………不死性と焔は使いません」
「はぁ、わかったわかった、珍しい我儘なんだ、聞いてやる」
「ありがとうございます、兄様」
「ちょっと待ちなさい‼︎まさかあなた達2人で私たちと戦うと言うつもり⁉︎」
「あぁそうだが?何か問題でもあるのか?」
「問題しかないわよ‼︎それで勝てるとでも思ってるのかしら⁉︎」
「勝てるとも、俺1人でも、何もしなくとも勝てる」
「私たちが弱すぎると言いたいのかしら?」
「いやそうじゃない、お前達は全員ポテンシャルは高い、いづれは最上級悪魔にも引けを取らなくなるだろう、特に赤龍帝、お前は神を殺せる、だがそれもいづれかだ、今のお前達では、俺は殺せない」
「なんだと⁉︎」
「イッセー‼︎」
そう言って先輩は兄様に突っ込んだ
「っ‼︎」
「大丈夫だレイン」
「うぉぉぉぉ‼︎」
「ふっ‼︎」
そして先輩が兄様に触れるか触れないかというギリギリのところで、先輩はソファーに投げ飛ばされた、今のを認識できたのはグレイフィア様と僕だけだろう
実際に
「うそ⁉︎」
「いつの間に」
「……見えませんでした」
「イ、イッセーさん⁉︎」
「ありえませんわ……」
「ライザー様、これ以上はおやめください」
「えぇ、わかっています、これ以上の危害を加えると婚約に支障をきたしますので」
「っ⁉︎イッセーに何をしたの‼︎」
「投げ飛ばしただけだよ」
「うそよ⁉︎」
「どう思うかはお前達次第だが、何があろうと10日後には試合だ、少しは手応えのある特訓をするんだな」
そうして兄様は戻っていった
「いててて!」
「大丈夫ですか?先輩」
「んお?レインか、あぁ大丈夫だぜ!」
「ならよかったです」
「よかったじゃないわ、あなたがこの学校にいるなんて聞いていないのだけれど?」
「それについては申し訳ありません、入学したことがバレれば、婚約に支障をきたした可能性があったので」
「お嬢様、レイン様のご入学は魔王様により了承されております、身分を隠すように強制したのもこちらです」
「なんでそんなことを‼︎」
「では聞きますがお嬢様?もしお嬢様にこのことをお伝えしていれば、お嬢様はそれを元に婚約に口出しをなされたかもしれません、それでは困るのです」
「それは…………!」
「そして本来、ライザー様がレーティングゲームをするメリットはございません、もしお嬢様が負けた場合はグレモリー家に被害が及ぶだけでなく、魔王様にまで過失が及びます、その場合の責任をお嬢様は取れるのですか?」
「っ⁉︎」
「安心してくださいリアス様、兄様は何も責任を取れとはいっていません、今回の勝負は婚約の最終決定をめぐるものです、兄様が勝てば婚約は確定し、リアス様が勝てば婚約は破棄されます、そしてこれが最後のチャンスだと思ってください、僕も参加しますが、これ以上兄様に苦労をかけるなら、僕も我慢ができなくなります、もしかしたら魔王様達に直談判するかもしれません」
「なんですって⁉︎」
「レイン様……」
「大丈夫です、グレイフィア様、流石に殺し合いまではしません、ただ軽い牽制はしあうかもしれませんが」
「おまっ⁉︎魔王様ってめっちゃ偉いんじゃないのかよ⁉︎」
「はい、でもあの人たちは普通にやっても動きませんから」
「…………ごめんなさい、レイン」
「大丈夫です、グレイフィアさん、もう諦めましたから」
「戻ったらきつく言っておくわ」
「ありがとうございます」
「グレイフィア、魔王様とその子は知り合いなの?」
「はい、魔王様とレイン様は親友と呼ばれる中です」
「お前って実は偉い?」
「いえ、僕は地位は低い方ですよ?」
「なら下級悪魔なのか?」
「いえ、これでも上級悪魔です」
「まさかの貴族だった⁉︎」
「………先輩」
「ん?」
「僕を恨んでないんですか?」
「なんでだ?」
「先輩が殺されたのは僕のせいです、僕を恨むのは当然だと思います」
「………俺は今の生活に満足してるんだ」
「………」
「確かに殺された時は、あいつが憎かった、でもお前を恨んだことはなかった、だってあんなにも真剣に話を聞いてくれて、一緒に考えてくれて、そんな奴はお前だけだったしな!」
「でも……」
「それに俺は悪魔になれてよかったと思ってるんだ、ハーレム王になれるしな!」
「…………最低です」
「ははは!なんとでもいえ!それにお前も悪魔なんだろ?ならこれから何千年も一緒にいれるじゃねぇか!だから俺は悪魔になれてよかった!」
「先……輩」
「だからさ、これからも俺の友達でいてくれよ?レイン!」
「…………はい」
そう言うレインの顔は、わずか、ほんのわずかだが、笑顔を浮かべていた、よく見なければ気づかなかった変化、それに気づいたのは、イッセーと小猫だけだった
あぁ、レインが元気そうでよかった
自分をさらけ出せる相手も見つけたようだ
あいつは強いから、どんな相手にも負けないだろう
だから次は俺の番だ
この婚約は必ず成功させる
フェニックスの名に泥を塗るわけにはいかない
今ここで汚名を被れば、2人に迷惑がかかる
特にレインには迷惑をかけれない
俺が罵倒されるのはいい、だがそれであいつらの将来が潰れるのだけはいけない
この婚約に俺の意思はいらない
俺は自分に誓ったんだ、あいつの兄として、胸を張れる男になると
だから俺は負けない、たとえ相手が神を殺せる神器を持っていたとしても
今回の話を書いていてふと疑問に思いました
家族のために自らの意思を切り捨てたライザーと、自らの理想のために婚約を拒むリアス、どちらが正しいのでしょうか?
リアスは人として正しいと思います、でも同時に常識としては間違っているんです
そしてライザーは理屈では正しいのですが、人として間違っているのではないかと思うんです
私はライザーの方が正しいとは思います、しかし自分がそんな立場に立たされた時、ライザーと同じく自分の意思を切り捨てることができるかわかりません
だからと言ってリアスのように自分の意思を貫き通せるような勇気もありません
皆さんはどちらが正しいと思いますか?