不死の咎人 (旧不死鳥の四男坊)   作:kaikai9032

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怪物と太陽

三人称side

 

ここは冥界のとあるパーティー会場、その場には多くの悪魔たちが集まっていた

 

そしてその場に集まっている悪魔のほとんどが、レーティングゲームで活躍する〝今〟を生きる若き悪魔たちであった

 

 

「これは……どういうことかしら?……なぜイッセーとライザーの一騎討ちにこんなにも多くの悪魔たちが?」

 

「お兄様が注目されている証ですよ、リアス・グレモリー様」

 

そう言いながら現れたのは、華やかなドレスを身に纏ったレイン?であった

 

「っ⁉︎レイン・フェニックス⁉︎」

 

リアスたちが警戒する中、ただ一人だけがその存在に違和感を感じていた

 

「…………あなたは…誰ですか?」

 

そう、つい先ほどまでレインと顔を合わせゲームの間に洗練された小猫の本能が、目の前にいる存在がレインとは似て異なる物だと告げていた

 

「流石ですわ、塔城様」

 

「レイン・フェニックスではない?なら、あなたは一体誰だと言うの?」

 

「申し遅れました、私はレイン・フェニックスの妹の、レイヴェル・フェニックスと申します、以後お見知り置きを」

 

そう言うレイヴェルの顔は笑ってはいたが、その目は死んでいた

 

「私は他の出席者の皆様方に挨拶をして回らなければいけませんので失礼させていただきますが、その前に一つ」

 

「…………何かしら?」

 

「今リアス様が無傷でいらっしゃるのは、リアス様がお兄様の婚約者というのもありますが、それ以前にレインが優しいからです、レインはできることならば誰も傷つけたくはないと思っています、ですが………私は違います」

 

「っ‼︎」

 

その時のレイヴェルの顔は無表情だった。それもレインのそれとは全くの別物で、際早その瞳には何も写ってなどいなかった

 

「もし……もしも私の目の前で、レインのことを侮辱などしてみなさい…………その時は、一切の容赦もなく、()()()()()()()()()()()()()()

 

「ひっ⁉︎」

 

「では、失礼させていただきます」

 

そう言って去っていくレイヴェルは、元の表情に戻っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

レイヴェルがリアス達の元を離れてから十数分、レイヴェルは挨拶回りを終え自らの父の元へと戻っていた

 

「ただいま戻りましたわ、お父様」

 

そういうレイヴェルの眼は、やはり死んでいた

 

「ん?おぉ!おかえり、レイヴェル」

 

そう返したのはレイヴェルやレイン、そしてライザー達兄妹の父、アトラス・フェニックスであった

 

「どうだった?いい人は見つかったかい?」

 

アトラスはにやつきながらそう言った

 

「お父様、これはお見合いでは無いのですよ?そもそもレイン以外の方々など興味ありません、そう何度も言っていますわ」

 

そう言うレイヴェルは顔さえ苦笑いを浮かべてはいるが、声には感情はなく、やはりその目は死んでいる

 

「……レイヴェル、何度も言うがその考え方はやめなさい……お前がレインに抱いている感情は……それは……」

 

アトラスはレイヴェルへと深刻な顔をして何かを告げようとした、しかしレイヴェルはそれを遮った

 

「わかっていますお父様。私がレインに向けているのが恋心()()()()()()、ただの()()であることなど、とうの昔に気づいておりますわ」

 

「っ!だったら!」

 

「それでも……ですわ、お父様。私はもう、レイン以外を受け入れられないのです、私はもう、一生レイン以外を信用できないのですわ」

 

「だがっ!それでは!」

 

「大丈夫ですわ、お父様。私は別にレインを拘束したいわけでは無いのです。

私がレインと結ばれることがないことなどわかっていますわ。私はレインの一番じゃなくてもいい、レインがそばに居てくれなくてもいい、ただレインが生きていてくれればそれで良いのです」

 

「レイヴェル……」

 

「私はただレインのためだけに生きる、それが私の幸せであり、生きる理由ですわ」

 

レイヴェルは目をそらすことなく父へとそう言い切った

 

 

 

 

 

 

今から8年前、フェニックス家にてとある事件が起こった

 

フェニックス家の末っ子の少女が誘拐されたのだ

 

それにいち早く気づいた少女の兄は、魔王の元へ向かった

 

幼い少年はその賢明な判断にて魔王の持つ影響力に目をつけたのだ

 

そして少年は貴族の生まれということもありなんとか魔王の元へとたどり着いた、そして目的である少女の捜索を願い出た

 

しかしそれは承諾されなかった、魔王が一貴族の子供のためだけに動くことなど出来なかったのだ

 

世の中とは不条理なものだ

 

そしてそれを理解するのに、()()()()()()()()()()()()

 

故に少年は嘆いた、どうすれば承諾してくれるのかと

 

それに対し、魔王はこう言った、『私を倒すことが出来たら捜索しよう』と、そう言ったのだ

 

その魔王は、あまりに()()()()()

 

これが別の魔王だったのなら、未来は変わっていたのだろう

 

例えば妹好きの魔王だったのなら、優しくはぐらかしたのだろう

 

天才的な頭脳を持つ魔王だったのなら、厳しく真実を伝えたのだろう

 

普段やる気を見せない魔王だったのなら、そもそも相手にされなかっただろう

 

だが、優しすぎる紅髮の魔王は少年に方法を与えたのだ、与えてしまったのだ

 

目の前の少年がフェニックスの天才児であることを魔王は知っていた

 

だがそれでも自分には届かないという絶対の自信があった

 

そして直後魔王は理解する、自分が抱いていたものは自信ではなく慢心であったのだと

 

瞬間、部屋を突然の業火が包む、床は焼け焦げ、炎は天井をも突き破り、周囲にあった金属や硝子は融解し始めた

 

これ程の熱量を持った業火を前にしては、普通であればいくら魔王といえどただではすまないだろう

 

そう、()()()()()()、だ

 

次の瞬間、突如として炎がかき消える、その中から現れたのは()()の魔王であった

 

全てを焼き尽くさんとした少年と同じように、この魔王もまた普通ではなかった

 

その魔力は前魔王の10倍にも及び、その実力は単騎にして世界で10本の指に入るほどの実力者(怪物)であった

 

そして怪物は思う、齢7歳にしてこの実力、魔力、この少年が自分が超越者(怪物)と呼ばれ始めた年まで成長したとき、自分と同等、あるいは己をも超える化け物へと成長するはずだと

 

しかし魔王は同時にこう考えた、やはりまだ己に届くには実力が足りないと

 

そう思考した魔王は、己を心配し少年を取り抑えようと近寄ってくる眷属達に手を出すなと告げた

 

その直後、少年は魔王へと飛びかかる

 

その速度は最強の女王(クイーン)とまで呼ばれる魔王の女王が、初速を認識できないほどであった

 

また少年は先程の業火に勝るとも劣らない焔を纏いその拳を振り抜いた

 

そして少年は、女王は、眷属達は驚愕する

 

なんと魔王は素手で少年の一撃を受け止めたのだ

 

眷属達は己の主の実力を知ってはいた、否、知った気になっていたのだ。自分たちであれば致命傷とまでは行かずとも直撃すれば重症を負うであろう一撃を己の主は素手で受け止め、そして無傷で投げ飛ばす

 

己たちではたどり着けない怪物の領域に、尊敬を通り越し恐怖すら覚えだした

 

だが眷属達は次の瞬間、信じられない光景を目の当たりにする

 

少年の魔力が一段と跳ね上がり、なんと少年は立ち上がって見せたのだ

 

自分たちが諦めた怪物を前にして、少年は未だ折れてなどいなかった。少年の瞳は魔王だけを映し、炎を凝縮し更にその熱量を上げ、再び魔王へと挑みかかった

 

何度も投げ飛ばされ、打倒され、地に叩き落されても少年は立ち上がり魔王へと挑む。それはまるでおとぎ話に出てくる正義の味方のようで、神話に綴られる英雄のような姿でもあった

 

そして魔王もまた、そう感じていた。己には届かない、傷一つ付けることすら叶わない、しかしそれでも、目の前の少年は立ち上がる。何度も何度も打ちのめされ、幾度跪こうとも、少年の心は折れない。

 

魔王は忘れかけていた感情を取り戻していた。己を殺すためではなく、越えようとするために挑戦してくるもの、己の大切なもの(家族)のために立ち上がる強者との戦い。気づけば魔王の頬は釣り上がっていた

 

忘れかけていた闘争心を思い出させてくれたことに感謝し、魔王は少年を世間知らずの子供としてではなく、理不尽に立ち向かい己の我を通さんとする一人の強者(つわもの)として認識し直し、全力を持ってこの強者を叩き潰すことにした

 

瞬間、室内を暴風が襲う。目も開けられないほどの風の中、少年は確かに見た。赤黒き風が魔王を中心として吹き荒れ、その身は血に染められたかのように紅く、その姿はまさしく神話に語られる悪の王としての魔王(怪物)そのものであった。それだけではなく、怪物はその身から魔力を垂れ流す、否、その身全てを怪物が持つ()()()()()()()()()へと変えた

 

そして少年の本能はその圧倒的脅威を前にして、生まれてからの7年間無意識のうちに封じ込めていた己の持ちうる才の全てを解き放った。解き放ってしまったのだ

 

少年の魔力が突如として膨れ上がる。

 

これまでの経験か、生まれ持った才能による直感か、どちらにせよ怪物の脳では異常なまでの危険信号が発せられていた

 

直後少年の体を突き破り、あるいはその身を焼き尽くしながら途方もないほどの魔力と、悪魔の体からは流れ出るはずのない膨大な光力が、絶大な熱量を持って怪物と眷属達に襲いかかる

 

怪物は魔王としてほぼ反射的に自身の全魔力を眷属達と、自らの領地の防衛へと回し、その力をその身一つで受け止めた

 

その爆発は冥界全土を揺らしたが、魔王城周辺が消し飛ぶだけという最小の結果に抑え込むことが出来た

 

 

 

 

 

それが悲劇の始まりになるとはまだ誰も知るよしのないことであった

 

 

 

 

 

 

 

 

魔王の女王、グレイフィア・ルキフグスは全身に走る激痛と辺りに漂う異常なまでの血の匂いに目を覚ました

 

そこには腹から下を無くし地に伏せながら何かを叫ぶ夫と、その身から太陽のごとき炎を溢れ出させる少年、そしてそんな少年をその身一つで抱き抑え、子供ほどの大きさの()()()()()()()()()に血を捧げ続ける青年の姿があった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




激遅投稿再開です
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