GOD EATER 【Ghost in the Rain】 作:謝意・ハルード
かつてその圧倒的な繁栄力でその将来を確実視されていた人類は、今や衰退、ひいては絶滅の危機にさえ苛まれていた。
原因は、生命のサイクルの劇的な変化である。
これまでは生命の中でも最も理知的な生命、人間が食物連鎖の頂点に立つことで、世界の生命の均衡はかなりの高次元で保たれていた。
繋がり合う命と命。これが神が望まれた世界だと、人類はそう思っていた。
しかし、どうやら神はこの人類の行いを良しとしなかった様だ。
神はその鉄槌を生命の姿に変え、世界に向けて振り下ろす。
鉄槌の名は「アラガミ」
まさに荒ぶる神の如きその存在は突如として人類の前に姿を現し、そして瞬く間に彼らの全てを喰らい尽くさんと襲い掛かった。
食物連鎖の頂点に捕食本能の塊のような生命が立った事で、今までの安定した世界の循環は完全に崩壊。平行線上にあったはずのそれは即座に負の螺旋(ダウンワード•スパイラル)へと姿を変えた。
生命を喰らい、文明を喰らい、そして世界をも喰らい続け破滅への道を一直線に進むそれは、言うならば神の定めた世界の再生の過程である。
星の、世界の再生とはそういうものだ。神にとって世界を壊す事は、芸術家が納得のいかない出来の作品を捨てることと同じである。
創るのが神の役目ならば、壊すのも神の役目だ。とでも言わんばかりに神の化身達はその強大な力を世界に見せつけ、その全てを無慈悲に喰らっていった……
しかし神は一つ重大な見落としをしていた。
世界は、その中でも人類は神に言われるがままに滅ぼされる程従順な存在では無かった、という点だ。
人間には考え、実行し、生き抜く力があった。
目には目を、歯には歯を、アラガミには……アラガミを。
かのハンムラビ法典の理論の元で生み出されたるは神を喰らう力、「ゴッドイーター」。
アラガミを構成する超小型の生命体「オラクル細胞」をその身に宿し、同じくオラクル細胞で作られた巨大な対アラガミ兵器「神機」を軽々と振るって人々の未来を脅かすアラガミ達に立ち向かうその姿は、この世界にとって間違いなく勇者そのものの姿であった。
神と人が互いに喰らい合う。
実に胡散臭くて馬鹿馬鹿しい話だか、この世界ではそれが世の理となりつつあった。
しかし物語の歯車はそんな悠長な結末を許さない。
それは西暦2071年、ふとした出来事を引き金に突然回り出した。
物語の舞台となるのはゴッドイーター達の根城とも言える対アラガミ組織「フェンリル」。その中でもかつての日本に存在し、組織内でも屈指の実権と実力を有する「フェンリル極東支部」である。
この支部に某日、ほんの数年前に開発され、絶対数の少ないゴッドイーターの中でも更に使い手を選ぶとされる「新型神機」の適合者が同時に2人配属されるという異例の事態が発生する。
この時より錆び付いていた運命の歯車と物語の歯車は軋みながらも噛み合い、互いをぶつけ合いながら回転を加速させていく……
『Let us, then, be up and doing, With a heart for any fate.』
ー さあ始めよう、如何なる運命にあろうとも、精一杯。ー
【 ヘンリー・ワーズワース・ロングフェロー 】
メインタイトルは日本のロックバンド「the HIATUS」の楽曲より。