魔法少女リリカルなのは『INNOCENT BRAVE』 作:ウマー店長
「第一ラウンドはなのはちゃん達の勝ちか。みんなすごいな」
スピードレーシングの第一ラウンドはチームT&Hが僅差で勝利を収めた。
レヴィの呼び出したフレンドNPCのトラブルや人数差があったとはいえトップランカーのレヴィから勝利をもぎ取ったのだ。
フェイトの正確なスピードコントロールやアリサとすずかのコンビネーション、そしてなによりもなのはの中に眠る潜在能力にアヤトは心を奪われた。
「行かないのですか?」
「え?」
アヤトの視界に顔を割り込ませながらシュテルはT&Hの入り口を指差した。
「デュエルしたくてしょうがない、そんな顔をしていますよ?」
「うぇ!?」
「あっはっは!アヤトさんわかりやすいなぁ」
アヤトはばつが悪そうに頬をかく。
シュテルの言うとおり、アヤトは今ブレイブデュエルをしたくて堪らないのだ。
──あの場面、自分ならこんな風に動いた。
──あの場面、自分なら反応しきれた。
──あの場面、自分なら・・・。
モニター越しに行われていた試合にもし、自分が参加していたら。
そんなシミュレーションを無意識のうちに繰り返す。
そんなアヤトの考えをシュテルは見抜いたのだ。
(そういう意味では、私とあなたは似たもの同士なのかもしれませんね)
アヤトの顔を見ながら、シュテルは心の中でつぶやいた。
「参加するしないは別として、お店に入ったらええやん?いい加減暑いし」
パタパタと手で顔を仰ぐはやての額にはじっとりと汗がにじんでいた。
試合を見るのに熱中していたせいであまり意識していなかったが、アヤトとシュテルも相当汗をかいている。
「そうだね、とりあえずお店の中に・・・」
そうアヤトがつぶやいたのと
「わが主ぃ~~!」
この台詞が人ごみから聞こえてきたのはほぼ同時だった。
「待ってください、わが主!!」
その声の主は小走りでアヤト達のいる場所へと向かってきた。
そして・・・。
「一人で行ってしまうなんてひどいです、我がある・・・じ・・・」
アヤトを目にした瞬間
「あれ、アインスさん。」
「あ・・・」
アヤトに抱きついた。
「アヤト君!!」
「ふぁい!?」
そのまま倒れなかったのはアヤトの日ごろのトレーニングの成果か、ただの気合か。
どちらにせよアヤトの腰に甚大なダメージを与えたことに変わりは無かった。
「どうして最近ウチに来なかったんだい!?お菓子とか料理とかキミの分も用意して待ってたんだよ!?」
「お、落ち着いてアインスさん・・・倒れる・・・倒れるから・・・!」
アヤトの言葉が届いたのかどうかはわからないが、アインスはいったんアヤトのホールドを解き、今度は両肩をがっしりとつかんだ。
若干涙目になっているアインスだが、アヤトも涙目になっていることに気がついていない。
アヤトの涙の理由は腰の痛みのせいだが。
「そもそも、ヴィータとだけ遊ぶなんてずるいじゃないか!シグナムはキミと試合がしたいってつぶやいていたし、シャマルもキミに料理を食べて欲しいと言っていたし、ザフィーラもキミと久々に散歩がしたいといっていたし、と言うか私は全部したい!!」
「いや、落ち着いて!わかった!俺が悪かったから!今度遊びに行くから!!」
「絶対だよ!約束だよ!?」
「わかった!わかったから!!」
その様子を、はやてはほほえましい目で。
シュテルはジト目で見守っていたと言う・・・。