魔法少女リリカルなのは『INNOCENT BRAVE』 作:ウマー店長
「っ・・・あーっ!やっと抜けれた・・・」
人ごみを掻き分けながら数分、シュテルと別れたアヤトはようやく中央の大型シミュレーターにたどり着いた。
「お、あそこにいるのは・・・おーい!アリシアちゃーん!」
アヤトの目と鼻の先には先ほどまで対戦の実況をしていたエイミィとアリシアの姿があった。
そして、もう一人。
「あれっ!アヤトさん!」
「・・・なに?」
アヤトの名前に反応したもう一人の人影は腕組みをしたままくるりと向きをかえ、アヤトに向き直った。
「・・・あれ?ディアーチェ?」
「んなっ!貴様・・・!」
アヤトを見て驚愕の表情を浮かべたのは毛先の黒い銀髪の少女、ディアーチェ・K・クローディア。
なのは達と対戦をしているレヴィやシュテルと同じくグランツ研究所にホームステイしている留学生であり、ブレイブデュエルのトップレベルプレイヤーでもある。
「ふん、久しいな。我の夕餉の誘いを断らねばならんほど忙しかったようだが?もうよいのか?ん?」
「うん!中間も終わったししばらくはのんびりできるよ」
「皮肉の通じんやつめ・・・」
「ん?」
「なんでもないわ!で?貴様も混ざりに来たのか?」
「も・・・ってことはディアーチェも?」
アヤトの問いにディアーチェはブレイブホルダーを取り出すことで答えた。
そして、同じようにアリシアもまたブレイブホルダーを取り出しニヤリと笑う。
「アリシアちゃんも参加するの?」
「そうだよ!このマンシンシ~ンな王様の心を打ち砕こうと思って!」
「ふん!返り討ちよ!」
二人の間にバチバチと火花が飛ぶ。
アヤトがくる少し前、ディアーチェがアリシアを挑発したりアリシアがソレに乗ったりといったやり取りが合ったのだがもちろんアヤトが知るところではない。
「それじゃあ、そろそろ後半戦始めるから三人ともシミュレーターに入ってね」
そういってエイミィは三人をシミュレーターへ入るように促す。
それに従って三人はシミュレーターに入った。
なのは達は高層ビルが立ち並ぶ都市ステージのスタート地点に立っていた。
「二週目もさっきと同じ戦法で行こう。なのはと私で高順位を狙って」
「私とすずかでターゲットを狙う!」
「うん!」
なのはたちは経験者のフェイトを中心に二週目の作戦会議をしていた。
しかし、その内容を聞いたある人物が高らかに笑い声を上げた。
「くっくっく・・・一度成功したからと策も練らず同じ策に頼る・・・。
人、それを短慮と言うのだ!このうつけが!!」
なのはたちはその声が発せられた方向、近くの高層ビルの屋上へと顔を向ける。
そこには三つの人影があった。
「だ、だれ!?」
「ふん!貴様らに名乗る名など無いわ!!」
「やっほ~!」
ディアーチェとアリシアはそのままビルから飛び降り、自らのパーソナルカードを起動した。
「ラッキースター!ミラクルチェ~ンジ!!」
「暗黒甲冑(デアポリカ)!獄装!!」
それぞれのバリアジャケットが起動する。
アリシアは水色をメインカラーとした、かわいらしいデザインである。
緑色のネクタイや星のマークの付いたスカートアーマーが特徴的だ。
ディアーチェは黒をメインカラーとした甲冑の付いた魔術師、といったイメージのデザインとなっており、背中からは小さな黒い羽根が生えている。
「ミラクルチェンジに獄装・・・、ブレイブデュエルは奥が深いね!」
「いや、リライズアップを派手に演出してるだけだからね・・・ってあれ?確かもう一人・・・」
先ほど見たときは三人の人影が見えたはずだが、今降りてきたのはアリシアとディアーチェの二人だけである。
フェイトは改めてビルの屋上を見上げた。
「・・・あれ、アヤトさん?」
「あ!ホントだ!アヤトさーん!」
アヤトの姿を見つけたなのはとフェイトは大きく手を振った。
「あ!アヤトさん!!せっかく乱入したんだから一緒に派手に決めればよかったのに!」
自身のデバイス『フォーチュンドロップ』をマイク形態に変えたアリシアはアヤトに大声で呼びかける。
「・・・いや、いい年してあんな派手な登場は無理だって」
『いい年をしてカードゲームで遊んでいることについては思うところは無いのか?』
「うるさいぞブレイブフォース、大きなお世話だ」
首からさげている青い宝石にでこピンをするとアヤトもビルの屋上から飛び降りる。
「行くぞ、ブレイブフォース!」
『応ッ!』
「カードリリース!スラッシュ!ドライブレディ!!」
アヤトはブレイブホルダーからパーソナルカードを取り出し、スラッシュする。
パーソナルカードが弾け光の粒子となり、アヤトの体を包み込んだ。
「リライズ・アップ!!」
光がはじけ、バリアジャケットを纏ったアヤトの姿が現れた。
簡素な鉄の胸当て、各所に銀色の装飾が付いた黒いジャケット、同じく黒に銀色の装飾のついたブーツ。
そして、右手には杖の形態になっている彼の相棒、ブレイブフォース。
そのイメージは『旅の冒険者』といったところだろうか。
「わぁ・・・!アヤトさんのバリアジャケットもかっこいいです!!」
「あのジャケットは・・・フォースタイプ?」
なのはが純粋な見た目の感想を述べる中、フェイトはアヤトのジャケットのスタイルに注目していた。
「フォースタイプ?」
フェイトが発したアヤトのジャケットスタイルについてアリサが聞き返した。
「うん、アヤトさんの『フォースタイプ』は確か魔力の最大値がすごく多いスタイルだったと思う。
あと、アリシアのラッキースターは『ガンナータイプ』のジャケットを大幅アレンジしたもので、世界に一つのオリジナルだよ。
ディアーチェのデアポリカは希少度の高い『ロード・オブ・グローリー』タイプでその限定ジャケットだね」
アリサとすずかがジャケットのアレンジについてフェイトに質問している中、なのははアヤトのほうへと駆け寄ろうとした。
アヤトはなのは達のチームに入るものだと思っていたからだ。
しかし
「アヤトさん!アヤトさんもウチのチームに・・・うひゃあっ!」
なのはの横を青い何かがものすごいスピードで通り抜けていった。
「ししょ~~~~っ!!!」
青い影の正体は言うまでもなくレヴィである。
なのはを余裕で追い越したレヴィはそのままの勢いでアヤトに抱きつき頬ずりをした。
「ししょ~!ししょ~っ!久しぶり!!」
「久しぶりレヴィ。元気だった?」
「もちろんっ!!」
レヴィは満面の笑みでブイサインをアヤトに向ける。
親密な様子の二人を見て、なのははあっけに取られていた。
「あ、アヤトさんってレヴィの知り合いだったんですか?それにししょーって・・・」
「ん?あぁ、マテリアルズのみんなとはロケテストからの付き合いでね。
あと、師匠って言うのはレヴィが勝手に言ってるだけで・・・」
「えぇ~、ししょーはししょーだよ!」
「・・・いつもこんな感じかな」
アヤトは子犬のようにじゃれ付いてくるレヴィをあやしながらなのはに笑いかけた。
しかし、なのははそんな二人の様子を見て複雑な心境になる。
(私たちと話してるときと、レヴィと話してるときのアヤトさんは・・・なんだか・・・)
まだであって日は浅いが、アヤトは年の離れた自分たちにも友人として接してくれている。
しかし、レヴィとの接し方と比べると自分たちと接しているアヤトはどこか遠慮しているように見える。
付き合いの長さが違う、それは仕方が無い。
しかし・・・。
(なんだか・・・悔しいな)
今は背に隠れて教えを請う立場だが、いつか肩を並べて同じ風景を見ることができるだろうか。
なのははそんなことを考えた。
「ねぇねぇ!ししょ~はウチのチームでやるよね?」
「うん、そうなるかな」
「えぇ!アヤトさんそっち行っちゃうの!?」
なのはの後ろから声を上げたのはフェイトのバリアジャケット講座を終えたアリサだった。
「そりゃそうだよ!だってそっちのチームは“なにょは”“へいと”“アリサっち”“スズカ”そんでもって“ひよこっち”でしょ?もう5人じゃん!」
一部の呼び方がきちんと発音できていないが、とりあえずなんとなくで誰のことを言っているのかを理解することができたのはアヤトとレヴィのこれまでの付き合いのおかげである。
レヴィの言うとおり、ブレイブデュエルは1チーム最大5人が大原則だ。
シミュレーターもそのように設定してあるしT&Hチームに枠が無い以上アヤトがダークマテリアルズのチームでプレイするのは必然だった。
「一緒にプレイするだけじゃなくて違うチームで戦ってみるのも勉強だよ。今回は対戦相手になっちゃったけど現実でも敵対するわけじゃないから大丈夫」
アヤトはそう言ってウインクをして見せる。
アヤトの手の中のブレイブフォースのコアクリスタルが同意を示すかのようにぴこぴこと点滅した。
「戦うのも、勉強・・・」
「そうそう、スキルカードの使い方とか参考にしてみるといいよ
特にディアーチェのはすごいから」
「ディアーチェのですか?」
「すぐに分かるよ」
そうなのはに言い残すとアヤトはふわりと浮かび上がり手を振りながらディアーチェの元へと飛んでいった。
レヴィも「さっきみたいには行かないぞ!」と言い残してアヤトの後を追う。
(ディアーチェの戦い方も気になるけど、本気のアヤトさんのデュエルも気になるなぁ)
飛び去っていくアヤトとレヴィの姿を見送りながらなのはは次のデュエルに思いをめぐらせる。
その後ろからアヤトの姿を見ていたフェイトもまたアヤトから目を離せずにいた。
(アヤトさんのフォーススタイルは豊富な魔力量のおかげでプレイスタイルの幅が広い・・・どんなデュエルをするんだろう)
黒いジャケットをたなびかせながら飛び去るアヤトの姿を眺めながら、フェイトはこれから始まるデュエルに思いを馳せた。
最近ラブライブが楽しすぎてそっちでも小説書きたいなと思ってる私です。
はい、ちゃんとこの小説書き終わってからにします。