魔法少女リリカルなのは『INNOCENT BRAVE』 作:ウマー店長
「な、何で素っ裸になるのよぉ・・・」
「あ、アヤトさんのエッチ・・・」
「もうお嫁にいけない・・・」
「な、なんか・・・ごめん」
アヤト落ち込む少女たちを必死に慰めていた。
本来の予定ならばこの白雲漂う大空のステージをみて感動した少女たちにブレイブデュエルのイロハを教えるつもりだったのだが、”些細な”アクシデントにより少女たちのテンションががた落ちしてしまったのだ。
今まで触れていなかったが、アヤトは大学一年生の十八歳である。
世間一般で言う「ロリコン」という特殊な性癖も持ち合わせていない彼からすれば、小学生のなのはたちの裸(のようなもの)を見たということも別段気にすることではない。
まぁ、多少気まずくはあるが。
しかし、いつまでもこうしている訳にも行かない。
シミュレーターの使用時間は有限なのだから。
「ほ、ほら!せっかくの初プレイなんだから楽しもう!ね!?」
『その通りですよナノハ』
「ふぇ?」
「おっ」
思わぬ方向からかけられた声にようやく顔を上げるなのは。
きょろきょろと辺りを見回すが周囲にはアヤト、アリサ、すずか以外にはところどころに浮かんでいる雲ぐらいしか存在しない。
『こちらです。貴女の手の中です』
「ふぇ!?」
なのはは慌てて自分の両手を見る。
なのははいつのまにかパーソナルカードの中の自分が持っている杖と同じものを握っていた。
『始めましてナノハ。私は貴女の武器たる「デバイス」、RH-01です』
「は、はじめまして」
「おっと、忘れてた。それはデバイスといってブレイブデュエルの操作説明や戦闘の補助をしてくれる武器なんだ。」
『彼の言うとおりです。操作説明を行いますか?』
「う、うん!お願い!」
なのはのデバイス、RH-01がなのはにごく基本的な操作方法を説明する。
操作、とはいってもブレイブデュエルにおけるデュエルアバターの操作は理屈ではない。
「えっと、移動は飛びたい方向に意識を集中・・・だっけ?難しそう・・・」
『何事も挑戦ですよ』
そう、人が歩くときにいちいち「右足を出す~」といったことを考えないのと同じだ。
大事なのはイメージ。
やわらかい思考で「飛んでいる自分」をイメージするのが大事なのだ。
「むむむ・・・」
なのははRH-01を握り締め難しい顔でうなっている。
(何か助言したほうがいいかな?)
そう思ってアヤトがなのはへ近づこうとしたとき。
「あ・・・羽!羽が生えたよ!!」
「!!」
アヤトは驚いた。
ブレイブデュエルを始めてプレイするなのはが飛行というイメージの定着を足に光の羽をつけることでやってのけたからだ。
(すごいな・・・子供特有の思考のやわらかさというのもあるだろうけど)
そして何より、さっきから気になっていたなのはのデバイスの形状。
『我が魔導の全てを以って、貴方を倒します』
かつて戦った、ブレイブデュエルの頂点に君臨する少女。
彼女が持ってるものと形状がよく似ている。
(なのはちゃんは、強くなるかもしれない)
アヤトがそんな思考をめぐらせていると。
「わ・・・よしょっ・・・こう、かなっ!」
なのははおかしな軌道を描きながら空を飛び回っていた。
「あはは!なんだかおもしろ~い!」
「なのはちゃんもう飛んでるんだ、すごいなぁ」
なのはがはしゃいでいる間に意識を再起動させたすずかがいつの間にかアヤトの隣に浮いていた。
声に反応したアヤトが振り向くと、すずかは少し顔を赤くして目をそらす。
「あー、えっと・・・」
「ご、ごめんなさい。もう大丈夫ですから」
まだ顔は若干赤いが、すずかはアヤトに笑みを返す。
「そ、そっか・・・よし!じゃあ初心者講座を再開しよう!」
アヤトは気合を入れなおし、離れたところに居るなのはとアリサ、ついでに通信操作を覚えてもらうため、すずかにも向けて音声チャットウィンドウを開く。
この辺の操作の仕方はみんなが持っているデバイスが教えてくれるはずだ。
「みんな聞こえる?」
『はーい!聞こえてまーす!!』
真っ先に返答したのはなのは。
まだ面白おかしい軌道で飛び回っているようで、チャット画面の映像表示部分には満面の笑みのなのはの顔とめまぐるしい速度で動く背景が写っていた。
『聞こえます・・・って、言わなくてもわかってますよね』
次にすずか。
隣に居た彼女は慣れない手つきでウィンドウを操作していた。
そして彼女の手には片手に三本、計六本の水晶のような爪が付いたグローブがはまっていた。
おそらくそれが彼女のデバイスだろう。
そして・・・。
『ん、聞こえてま~す』
最後に返事をしてのはアリサだった。
「えっと、アリサちゃん。大丈夫?」
『あ・・・はい。本当の裸を見られたわけじゃないし・・・』
「ほ、ホントにごめん。」
『もう気にしてませんってば。そもそも悪いのはこんなシステムにした開発者・・・!!』
怒りの表情を浮かべてブレイブデュエルの開発者へ黒いオーラを向けるアリサ。
そしてその開発者を知っているアヤトは苦笑いを浮かべた。
(確か、魔法少女といえば光に包まれた裸からの変身シーンが必須!・・・だっけか?)
アヤトは以前ブレイブデュエルの開発者である博士が言っていた台詞を思い出す。
特撮などの日曜朝の番組が好きなあの博士は今頃メインシステムの管理でてんやわんやだろう。
「よし、じゃあ基本的なシステムはデバイスが教えてくれたはずだからその使い方とかをやろうかな」
そういいながらアヤトはすずかを伴い、アリサのほうへ向かって飛んでいく。
すずかは多少ふらつきながらだが自力で飛んでアヤトの後を追ってきた。
「味方や対戦相手を見つけるときは・・・レーダーモードで索敵できるんだね」
『その通りですわ。飲み込みが早いですわねスズカ』
すずかは飛びながら自分のデバイスから操作説明を受けていた。
すずかの前に浮かび上がっているウィンドウには中心にすずか、その近くにアヤト。
少しはなれたところにアリサとなのはを示す光点が浮かんでいた。
「お、すごい精密なレーダーだな。すずかちゃんのデバイスはこういう補助的なことが得意なのかもね」
「補助かぁ・・・じゃあがんばってみんなをサポートしないとですね!」
にこやかに笑うすずかに笑みを返すアヤト。
すずかのレーダーを頼りにアリサの居る方向へと飛んでいく。
「あ、アリサちゃん居ましたよ」
すずかの言うとおり、少し飛んだところにアリサは浮かんでいた。
手には赤いボディからオレンジ色の刃を生やした刀剣を持っており、それが彼女のデバイスのようだ。
「あとは、アタックにシールドにシュート!これが対戦の基本なのね」
『おうよ!いっちょかましてやれアリサ!』
どうやらデバイスから対戦の基礎を教わっていたようだ。
ふと前方に目をやると、アリサの居る場所から少しはなれたところになのはが浮かんでいるのが見えた。
「よーし!それじゃ、いっくわよ~!なのは!」
「ええ!?」
アリサはなのはに声をかけると手に持ったデバイスを構えた。
「ちょ、ちょっと待ってよアリサちゃん!」
「問答無用よ♪トリガーを引いてから鞭で打つ感じで・・・」
アリサがデバイスのトリガーを引く。するとデバイスの刀身から炎が立ち上り、それはまるで炎の鞭のようだった。
「斬るッ!」
炎の鞭と化したデバイスをアリサが全力で振るう。刀身から放たれた炎は赤い斬撃となってなのはへと向かって飛んでいった。
「わっ!」
しかし、単発で直線的な斬撃は軽々とよけられてしまう。
「あ、よけるのは思ったより簡単かも」
「なっ!」
なのはの言葉にムキになったアリサは炎の鞭・・・フレイムウィップを立て続けになのはへと向かって放った。
「ちょっと!大人しく!当たりなさいよ!!」
「む、無茶だよ~」
アリサががむしゃらに放つ攻撃をなのははひたすらよけ続けた。
その状況がしばらく続いたあと、とうとう痺れを切らしたアリサがデバイスにさらに力を込める。
「ぬぅ~!これなら・・・どうよっ!」
若干の溜めの後に放たれたフレイムウィップは三つ又に別れ、なのはを襲った。
先ほどよりも広範囲の攻撃に驚いたなのはは足を止めてしまい、大きな爆発が起こった。
(あっ、やりすぎた!?)
しまった、とアリサは口に手を添える。
しかし、煙がだんだんと薄くなるにつれてなのはとは別の人影が見え始めた。
「もう、だめだよアリサちゃん」
もう一人の人影は、なのはをかばうように氷の盾を展開しているすずかだった。
すずかは若干あきれた表情でアリサを諌める。
「た、対戦ゲームなんだしいいじゃない!練習よ!!」
アリサは顔を赤くし、照れ隠しのようにすずかへフレイムウィップを放つ。
ひたすら剣を振るうアリサと氷の盾でそれを受け止めるすずかを見てアヤトは笑いながらなのはの元へと降りてきた。
「あ!アヤトさん!見てたならアリサちゃんを止めてくださいよぉ!」
「はは、ごめんごめん。せっかく仲良く遊んでるのに邪魔したら悪いかなって思って」
「むぅ~!」
頬を膨らませて唸るなのはをなだめながら、アヤトはアリサとすずかの様子を見ていた。
「どうやらあの二人のパーソナルカードは属性持ちみたいだね」
「属性・・・ですか?」
『彼の言うとおりです。彼女たちの場合はそれぞれ炎と氷に特化した性能のようですね。よきパートナーとも、ライバルともなれるでしょう』
「すごいなぁ、二人とも」
ぱぁああ、とう効果音が聞こえそうな笑顔でアリサとすずかの(ほぼ一方的な)攻防を眺めるなのはだったが、ハッと思いついたように期待のまなざしでアヤトのほうを向いた。
「私にも!私にも何か無いのかな!!」
「どうなんだ?」
『無いですね』
RH-01に即答され表情が固まるなのは。
なんどかアヤトとRH-01を交互に見た後に
「ない・・・の?」
『ありません』
またもや即効で帰ってきた相棒の回答に落ち込むなのは。
そんな主を見かねたのか、RH-01が杖の先端にはまっている赤い宝石をピコピコと点滅させながらなのはに声をかけた。
『ただ、先ほどご友人の攻撃をよけた空中制動はみごとでした。あなたには「空を飛ぶ才能」があるのかもしれませんね』
「うん、初心者の子があれだけ飛べるのは本当に珍しいことだから。自信をもっていいと思う」
RH-01の意見の同調するように首を縦に振るアヤト。
そんな二人(?)の話を聞いたなのはは表情を明るくした。
「空を飛ぶ才能、かぁ・・・。ありがとう!アヤトさん!・・・えっと、RH-01って呼びづらいね」
『そうですか?』
「うーん、そうだなぁ・・・RHだから・・・」
なのはは人差し指をあごに当てて「う~ん」と数秒悩んだあと、ハッと思いついたように顔を上げた。
「レイジングハート!レイジングハートなんてどうかな!!」
『・・・・・・』
まるであっけに取られたように黙るRH-01、もといレイジングハート。
そんな彼女(?)にアヤトは声をかけた。
「いいんじゃないか?二人の絆の証みたいなものだよ、受け取っておきな」
『・・・そうですね、よき名をありがとうございますナノハ。あなたがプレイヤーデータをリセットしない限り、私はあなたと共にあり続けます』
「うんっ!これからよろしくね!レイジングハート!!」
レイジングハートと名づけたデバイスを掲げうれしそうに笑うなのはを見て、アヤトも一緒に笑った。
デバイスはただの武器ではない。人格を持ち、常に共に戦い続ける相棒なのだ。
「あっ!そういえば、アヤトさんのデバイスは?」
「ん?もちろん居るよ?」
アヤトは首から下げられた青い結晶の付いたネックレスを掲げて見せた。
「起きろ『ブレイブフォース』、みんなに紹介するよ。」
アヤトがネックレスに向かってそう声をかけると、ネックレスが光に包まれる。
まぶしさに思わず目をつぶったなのはが再び目を開けると、アヤトが手に持っていたネックレスは消え、代わりに一本の杖がアヤトの手の中にあった。
「ふぇ!?どういうことですか!?手品!?」
『彼はデバイスを待機状態にしていたんですよナノハ』
「その通り。ほら、ブレイブフォース。」
『アヤトのデバイス、ブレイブフォースだ。今後ともよろしく頼む』
アヤトの杖の先端に取り付けられた青い宝石が光ると、低めだがよく通る声が聞こえてきた。
「は、はじめまして!高町なのはです!」
『あ、ああ・・・アヤトよ、他人のデバイスに頭を下げて挨拶してくるプレイヤーなんて始めて見たぞ』
「・・・そうだな」
なのはは苦笑するアヤトが握る杖を見つめた。
杖の先端には青い宝石。それを包むように黒いフレームが取り付けられている。
そのフレームの外には左右非対称の半月型のフレーム取り付けられ、なのはのレイジングハートのヘッドと比べると全体的にシャープなデザインになっている。
そしてグリップから見て手前側にはマガジンと薬きょうの排出口が取り付けられている。
全体的なカラーリングとしては黒を基本に、ところどころが銀色のフレームになっていた。
「よし、挨拶も済んだし俺たちもちょっと遊んでみようか」
『賛成です。プレイ時間は有限ですからね』
「あ、はいっ!」
なのはとレイジングハートの同意を得たアヤトはなのはから軽く距離をとった。
「よし、まずは基本のシューターからやってみようか!レイジングハートが言うとおりに撃ってきて!」
「ええっ!?いいのかなぁ、一方的に攻撃して・・・」
『大丈夫ですよナノハ。先ほど彼のプレイヤーデータを参照しましたが、彼はかなりの実力者のようです』
「えっ、そうなの?それってどれくらい・・・」
なのはがレイジングハートにそう尋ねようとしたときだった。
突然現れた空中ディスプレイに何かのメッセージが表示され、警告音のような音が鳴り響いた。
メッセージの内容は『HERE COME NEW DUELIST !!』だった。
『・・・どうやら、乱入者のようです』
離れたところで遊んでいたアリサとすずかもメッセージに気づいたのか、ディスプレイを見つめる。
「乱入者ですって!?」
「トレーニングモードだったはずだけど・・・」
すずかの言うとおり、本来ならばトレーニングモードではプレイ中に他のプレイヤーが乱入することはできない。
つまり、これが意味することは・・・。
(なのはちゃん、ボタン間違えたな・・・)
おそらくステージ情報などの入力を終えた後、選択欄の一番下にあった『挑戦者募集』のテンプレートボタンを押してしまったんだろう。
あれを押すとフリートレーニングモードだろうが誰かが乱入すると同時に対戦モードに切り替わってしまうのだ。
そうこうしているうちにディスプレイから落雷のような光が空間内に降り注いだ。
轟音と共に煙が広がり、その中に人影がうっすらと見える。
「・・・?なんだぁ?見ねー連中だ・・・。」
「ん?」
その煙の中から聞こえた声にアヤトは聞き覚えがあった。
「お前らも、テストプレイ組か?」
【単語集】
『デバイス』・・・ゲームの操作説明やプレイヤーの戦闘補助を行ってくれる武器。形態変化できるものも存在する
『レーダーモード』・・・周囲のプレイヤーの位置や魔力反応を探ることができる。アヤトによるとすずかはこういった補助が得意のようだ。
『属性』・・・魔力変換とも言う。現時点では炎熱・氷結・電撃が確認されている。
『待機状態』・・・デバイスをアクセサリーのような状態にして持ち運びやすくするための形態。
【独り言】
遠征イベント終わりましたね。
私は諭吉を数人溶かしたにもかかわらず、目標の1000位に届きませんでした。
最後に油断してお風呂に言ったのが悪かったんです鬱だ死のう。
と思ったけど12連ガチャでフェイトのSR出たんで生きようと思う。