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時は少し遡り、デビルガンダムが地球に降下する前。
ZEUTH一同はシベリアを横断して次の目標地点へと移動していた。
~アーガマ~
アーガマの甲板の上で東方不敗は風を靡かせながら外を眺めていた。
「うむ、少し風が強いな。一荒れでもするのかもしれぬな。」
「あの、東方不敗さん。」
東方不敗が外の風景を見ているとき後ろから声を掛けられたので東方不敗は後ろを振り返る。
そこには以前、東方不敗が助けた女性セツコ・オハラがいた。
「む?お主は・・・、確かセツコといったかの。どうしたのだ?」
「あ、あの実は、お願いがありまして・・・。」
「ん?」
セツコはなにかを言いたそうだったが、恥ずかしがってか中々口に出せずにいた。
「どうした。恥ずかしがらずに言ってみるがよい。」
「あの、私を・・・、私を弟子にしてください!」
セツコは東方不敗に頭を下げて弟子入りを乞う。
「ほう・・・、なぜ儂の弟子に?」
「私はこのままではいけないと思って、せめて少しでも強くなる為に稽古を・・・。」
「喝あぁぁぁぁぁぁぁぁつ!!」
「!?」ビクッ!
セツコが答えた理由に東方不敗は耳が割れそうなほどの喝をいれる。
「お主、どうやら強さを得る理由を履き違え取るようじゃの。」
「強さを・・・履き違えている?」
「儂には、お主が強さを欲しがる理由がただ先の見えないところをただ縋り付いているだけのように見える。」
「で、でも私は・・・。」
「強さを欲しがる気持ちは分からぬでもない。
だが、己を見失って強くなるなど強さの足しにもならぬ。いや、むしろ己の弱点ともなろう。己を見つめ、過去に向き合い、そして己の意思を貫いてこそ己の強さへと変わるのだ!」
「己を見つめ、過去を向き合い、そして己の意思を貫ぬく・・・。」
「大方、お主が強くなりたいのは仲間のためを思って、お主の機体の性能をよくするために武術の経験を掴みたいのだろう。」
東方不敗の言葉はセツコにとってまるで心を読まれたかのように図星であった。
そう、デンゼルやトビー達グローリー・スターの形見であるバルゴラ。
せめて彼らの弔いとなるのはバルゴラを完成させることなのだ。
だから、少しでも・・・。
「確かに武術を会得はお主でも大丈夫だろう。」
「それって・・・。」
「だが、いまのお主には流派東方不敗の会得をすることは出来ぬな。」
「えっ?」
東方不敗はセツコに向かって流派東方不敗の会得は無理だと面と向かって言う。
セツコは東方不敗の答えに驚きを隠せなかった。
「では、聞こう。お主には覚悟はあるのか?」
「は、はい! あります!」
「では、仲間が残した機体を捨てる覚悟もあるのか?」
「・・・え?」
予想外の問いだった。
セツコはグローリー・スターの形見でもあるバルゴラの為にも強くなろうとしていた。
しかし、それを捨てる覚悟があるのかと言われると自分のなかにある覚悟が揺らいでしまう。
「お主には二つの選択肢がある。お主の機体を取るか、流派東方不敗を取るか。」
「わっ、私は・・・。」
仲間の形見を取るのか、それ捨てるのか。
バルゴラを捨てれば東方不敗の技を教えてもらえる。
しかし、グローリー・スターのバルゴラを捨てるわけにはいかない。
それはセツコのなかではすでに決めていた。
「私は・・・バルゴラを取ります。」
セツコはバルゴラを取ることを選択する。
共に戦った人との思いを捨てることはできない。
東方不敗はセツコを見つめセツコの目は紛れもなく決心した目をしていた。
その顔を見て東方不敗は思わず口元が微笑み、大きく笑った。
「ふ、ふははははははははは。」
「え?ええ?」
突然笑う東方不敗にセツコは戸惑いが隠せなかった。
「そう、それでよい。それがお主の己を貫く意思だ。」
東方不敗はセツコを試していた。
先程東方不敗が言っていた『己を見つめ、過去を向き合い、そして己の意思を貫く』。
己の目的を見失わないこそ強くなれる要因のひとつを東方不敗はセツコに教えたのだ。
もし、セツコがバルゴラを捨てて流派東方不敗を取るのなら東方不敗は『愚か者』と喝をいれるとこであった。
しかし、セツコは己の意思を貫きバルゴラを守ることにした。
「よろしい、その気持ち忘れるではないぞ。」
「はい!」
「では、早速始めるとしようかの。」
「えっ、武術を教えてくれるのですか?」
「お主が機体を取っても武術を教えぬとは言っておらんぞ。」
セツコはちょっとだけ、拍子抜けしたのか頭の理解が追い付いてなかったが内心ほっとしていた。
「それに1日や2日で会得できるほど流派東方不敗は甘くない。だが、お主はまず武術の基本を学ばねばならぬようだからな。本音を言うとお主にはかなりきついかもしれぬが、それでもやるかの?」
「はい!お願いします!」
「よろしい。ならまずやるべきことは・・・。」
「・・・。」ゴクッ、
セツコはどんな訓練が待っているのかとセツコは無意識に固唾を飲み込む。
「まず、その格好ではなく動きやすい格好にすることじゃな。」
「えっ? あ・・・。」
セツコのいまの格好はグローリー・スターの軍服を着ており、武術の訓練には不向きな格好だ。
「その格好でもできぬとは言わぬが、それでも周りを気にせずにスカートで武術をするのは向かぬ。」
「えっ、えっと。中に確かジャージがあったはずなので借りてきます。」
セツコはジャージを取りにアーガマの中へと戻る。
東方不敗はそんなセツコの背中を眺めていた。
「ふふふ、あれは、磨けば輝く原石かもしれぬの。」
今はまだ輝いていないが磨けば驚くほどの変わるかもしれないと東方不敗は少しながらセツコに期待していた。
(ジョーカー殿に言われてあの娘を守ったとき、あの娘の中には何かわからぬが明らかに何か大きな力が存在していた。
恐らくジョーカー殿はあれに期待しているためにこの儂にあの娘を守るようにいったのであろう。
なら、その力を鍛えて我らDG軍団の為に役立ててもらうとしよう。そうすればジョーカー殿も喜んでくださり地球再生への道も早まる。)
東方不敗は心の中ではセツコを利用してジョーカーを喜ばせて、地球再生への実行することを考えていた。
だが、東方不敗にはセツコを弟子にした理由はもう1つあった。
「あやつを弟子にしてもう数年か・・・。」
東方不敗はドモンを弟子にして数年が経ち、一人立ちさせたときにはもう立派になっていた。
その懐かしさなのか東方不敗はセツコを弟子にすることにしたのだ。
「まさか儂がドモンやDG軍団以外に流派東方不敗を教えるとはな。ウッ!ゴホゴホッ!」
東方不敗がドモンを修行させた日々を思いだしているとき突然咳き込み始める。
「いかんな。最近咳が酷くなってきた。年を取るのは辛いものよ。」
彼の中にある物は少しずつ、少しずつ、東方不敗の体を蝕み続ける。
しかし、ただの咳と思っている東方不敗は自分の中にある物に気がつくことはなかった。
原作でドモンと東方不敗を見ていると東方不敗って本当にいい人だなと思えます。