あけましておめでとぉー!(いまさら)
~ミネルバ艦内 独房~
ミネルバの艦内にある薄暗い部屋。
その部屋には独房があり、そこにはレイとジョーカーが捕らえられていた。
連邦の兵士の脱走の手助け、無許可の発進、さらにはザフト軍の兵器でもあるMSの無許可の使用と、重大な軍規違反を侵したため、二人はそんな薄暗い独房の檻に別々で入れられていた。
「・・・。」
「・・・。」
捕らえられている二人はというと特に会話がなく、沈黙し部屋は静かだった。
ジョーカーはあまり多く話すことはない人物であり、レイも寡黙な青年でもあるので話すことはなかった。
「・・・すまなかった。」
しかし、そんな静けさが漂う独房の中で長い沈黙を破ったのはレイだった。
「・・・ん?、何がだ?」
「本来なら俺たち二人だけで済ませるはずだったが、
あなたの手も煩わせてしまった。」
「気にしなくてもいい。
たまたま君たちのしていたことに出くわして、
ただ、手伝っただけだ。
シンが彼女とどういった関係かは知らないが、
それに彼女の体、見た限りだがもう限界だったんじゃないか?」
「・・・ああ。」
「なら、このまま衰弱するより、治療のわかる連邦に渡した方がまだ助かる可能性はある。」
「あなたはそれでよかったと?」
「ん?」
「彼女は元々は我々と敵対していた連邦の一人。
敵であった彼女をみすみす逃したことを。」
「・・・確かに我々ZEUTHやザフトからすれば彼女は敵かもしれない。
けど、シンはそんな敵である彼女を逃がしたかったのだろう?
理由は聞かないが、そんなに必死にまで守ってあげたい彼女を、奪い取るような真似はしたくはない。
それに返してあげた方がよい結果に繋がるかもしれない。」
「・・・これがいい結果であれば。」
「どういう意味だ?」
「彼女が連邦で治療を受けたとしても、
快復した彼女はまた戦争に連れ出されたときシンは果たしてどうするのかと思ってな。」
「・・・。」
レイの突きつけた可能性。
その可能性もありうる、もしくは想定とは違った結果にも。
だが、ジョーカーはレイの言葉に対してなにも言わず沈黙するが・・・。
「・・・もしかしたら、君のいう通り悲しい結果になるかもしれない。
けれど、もし神様が彼女のこと見たらきって助けてくれるんじゃないかな?」
「・・・それで救われるなら、誰も苦労はしない。」
「・・・そうだな。
明日の事なんて未来を見ることができなければ誰もわからない。
でも案外、シンなら彼女のこと何とかしてくれるのかもしれないな。」
「・・・。」
そこで会話が続かなくなってしまい、
再び、静まる独房。
そんなとき、独房の入り口が開きゾロゾロと兵士が入ってくるなかにシンがいた。
想定していた時間よりも早いが、ここにいるということは恐らく連邦にステラを無事に引き渡せたのだろう。
「さあ、入れ。」
シンは兵士の指示に従って指定された牢の中にはいり、鍵を閉められる。
「そこにいる奴等にも伝えたが処罰は追って伝える。おとなしくそこで待っていろ。」
兵士は役目を終えて独房から続々と出ていく。
そして兵士はいなくなり三人だけとなった部屋でジョーカーはシンに話しかける。
「無事、彼女は返せたか?」
「ええ、ネオっていう連邦の指揮官に彼女を返しました。」
「そうか・・・。」
壁越しで喋っているためジョーカーの状態はわからないがどこか悲しそうな感じの声で返事をした。
「あの、すみませんでした。」
「え?」
シンの突然の謝罪にジョーカーは驚いたのか唖然とした声を漏らす。
「いや、あんたも巻き込んでしまったの悪かったなと思って。」
「・・・ぷっ、ははははは!!」
シンが敬語やタメ口を混ぜながらも謝っているなか、ジョーカーは突然笑い声をあげる。
「え?、ええ!?」
シンは壁越しだが突然壁の向こうで笑い始めたジョーカーについていけず、思わず困惑する。
「はは、いや、すまない。
レイと同じ事をついさっき言われたけどまさか二人とも同じなのを言われるとはね。
俺は別にそんな気にしてないのだがね。」
「えっ、レイが?」
「・・・。」
レイと共に過ごしていたシンからすれば、レイが俺と同じことをいうなんて想像すらしていなかった。
シンとレイは性格が全く違っており、意見も考えも違っていた。
しかし、彼らは訓練生時代から一緒にいた仲間。
意識せずとも二人はよきパートナーとして成長していたのだろう。
「だが、仲がいいのは良いことだ。
シン。そういう繋がりは大切にするんだぞ。」
ジョーカーはシンにそんなことを言っていたとき、シンはふと違和感を感じた。
壁越しだから顔も見えなければ表情もわからない。
けれど、彼の言葉は何処か憐れんでいるのかもしくは哀しんでいるのかそういった感情をうっすらと感じとるのであったが、ジョーカーたちが会話をしているとき、再び入り口の扉が開きそこから同じZEUTHの仲間であるアスランが入ってきてシンの牢の前にやって来ては立ち止まる。
シンは嫌いな人物がやって来たからなのか不機嫌な表情になる。
「・・・なんですか?」
「いや、・・・彼女のことすまないと思って。」
「え?」
「君が彼女に対してそんなに思い詰めているとは思わなかった。」
「・・・ああ、別に思い詰めてたってわけじゃありませんけど。」
「・・・?」
「ただ嫌だと思っただけですよ。
彼女・・・ステラも戦争の被害者なのに、あんなに弱って、死にそうになっていてもみんなして敵だの、連邦の強化人間だからだの、死んだって仕方がないみたいに!」
シンは憤りを感じていた。
もし普通の兵士だったら、最低限の食事や治療を行う捕虜の人道的扱いが当たり前だった。
しかし、彼女が強化人間であるだけで、まともな扱いはせず、さらに弱っていくのを仕方がないと片付けることにシンは納得がいかなかったのだ。
さらにいえばその彼女がシンにとって特別な存在となればなおさらである。
「だが、それも事実だ。」
「・・・なっ!?」
「彼女は連邦のパイロットであり、そして彼女は多くの仲間を殺してきたことも事実だ。
それを君は・・・。」
「それは!
・・・でも、彼女が望んでやった訳じゃない!
望んで軍に入った俺たちとは違います!!」
「ならば、なおのこと彼女は返すべきではなかったのかもしれない。
自分の意思で戦場を去ることができないのなら彼女はまた誰かの手で戦場に連れ戻されることだって・・・。」
「なら、あのまま死なせればよかったと言いたいんですか!」
「そうは言っていない、ただ俺は・・・。」
「二人とも、もうそこまででいいだろ。」
アスランとシンの論争が激化するなか沈黙していたジョーカーが二人の会話を遮って制止させる。
「アスラン。君がいっていることも確かに正しい。
けれど、救いたい、助けたいことにすべて正当な理由がないとダメなのか?」
「それは・・・。」
ジョーカーは淡々と喋っているが、言葉の奥底にはどこか怒りのようなものを感じた。
「・・・では、質問を変えよう。
君は軍の、それも決められたルールためならばオーブの姫を撃つことはできるのか?」
「な、なぜ、カガリがそこで!?」
「簡単なことだ。
君のいう敵という明確な線引きをするのならばこちらに攻撃を仕掛けてくるアークエンジェルやオーブ軍はザフトの敵ということになるぞ?
もし、彼女が捕らえられたとき君はどうする?
見捨てるのか?それとも・・・?」
「・・・。」
アスランはジョーカーの言葉に関してはなにも言えず、ただだんまりとする。
ただ彼がいうそんな状況になったとき、アスランはどうするのだろうか?
しかし、アスランは答えは出せなかった。
アスランが口を開きせめて何かを言おうかと言葉を選んでいるとき、入り口の扉が開き武装したザフト兵が数人入ってきた。
「シン・アスカ、レイ・ザ・バレル、出ろ。」
「え?」
突然の事に理解が追い付かないのか誰かが疑問の声を出すが、果たしてそれが誰なのかはわからなかった。
「議長がお呼びだ。」
「議長が?」
シンはなぜ議長がと、疑問が湧くなか、
シンとレイの二人は兵に連れられ、独房から出るのであった。
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少し時間は巻き戻り、シンがステラをMSに乗せて連邦に連れていっているとき。
ザフトによって囚われたステラを追ってジブラルタル基地近くにまでやって来た連邦軍の強化人間たちがいるエクステンデット部隊の陸上戦艦。
そこでは指揮官ネオ・ノアローク大佐と隊員たちが奪還もしくは証拠隠滅の準備を進めていた。
強化人間の施設を見られ、さらには強化人間を捕獲される。
それらは彼ら連邦にとって人体実験をしていたなどと世間に広まるのはあまりよろしく思われてなくか、部隊の責任は指揮官がとれとのことで、ザフト軍の中でも強固な守りであるジブラルタル基地に向かって部隊1つと多くない人数で向かわなければならなかった。
俗に言う当たって砕けろである。
しかし、彼らの目的であるステラは突然ザフトのパイロットによって引き渡されることとなった。
だが、パイロット単独の・・・、それも軍の正式な手続きなしでだ。
本来ならば捕虜引き渡しには色々と面倒なことがある。
メリットとしては無駄な血を流さないことだが、この引き渡しは政治や取引的にはデメリットが多すぎる。
政治家や重要人物など怪我を負わせないように細心の注意をするにはいいが、今回は目的は強化人間のパイロット。
取引するために天秤にのせること事態がありえない。
その為、奇襲による奪還作戦のはずが敵のパイロットが単独で返還するというのだ。
しかも条件に『ネオ・ノアロークただ一人で来い』と。
これを罠と思わないはずがない。
連邦の兵士は罠だと言ったが、エクステンデットの指揮官でもあるネオ・ノアロークはこれに応じて一人で出撃した。
彼の腕前のことを知っているためか、兵士たちはしつこく止めたりはしなかったが、内心不安もあった。
しかし、ネオが単機で出撃してから数十分たつとネオの機体が帰ってきて艦に着艦した。
ネオは戦闘もなく無事に帰還したこともあってか、兵士たちは安堵し、ネオがつれてきた強化人間の少女はそのまま、調整室へと運び込まれた。
そして現在に至る。
「ふぅ、ただいまっと。
なにか問題はなかったか。」
「はっ、大佐が帰還した直後に連邦軍特務隊と名乗るものからの秘匿文を受信しました。」
「ん、秘匿文?俺たちにか?」
「はっ、読み上げます。
『ザフト軍ジブラルタル基地付近にいる連邦軍に伝える。
現在、ザフト軍最高評議会議長ギルバート・デュランダル、及びラクス・クラインによる訪問が行われている。
なお、現在、ラクス・クラインによる歌の公演により基地の警戒は手薄。我々が一部警戒網に穴を開けているため進軍可能。
戦力を持つ友軍の助力を求む。』との事です。」
「ふむ。
・・・送ってきた人物のデータの照合は確認できたか?」
「はい、IDを基地のデータベースで確認したところ本物であるのは確認できたのですが、詳細は極秘との事で詳しくは・・・。」
「いや、かまわない。
大方、潜入任務で隊員の詳細は秘匿というのだろう。」
「大佐、もしやこれこそ本当に罠なのでは?」
「・・・。」
ネオは考える。
元々はステラの救出でジブラルタル基地へとやって来たが出撃することなく救出することができた。それも敵兵士の手によって。
さらにはまるでタイミングよく、ジブラルタル基地にスパイがいると思われる通信が来た。
それがあまりにもできすぎているのだ。
ここまで立て続けにこちらに理があることに不安を覚える。
だな同時に思った。
まるで誰かのシナリオに踊らされているのではないのかと。
(もしやあの少年がステラを連れてきたのはそのスパイによるものなのか?)
ネオは思った。あのジブラルタル基地にいるスパイ、いったい何者なのかと。
「・・・援軍の要請はできるか?」
「確認します・・・、
返答によりますと早くて30分くらいには到着するとのことです。」
「十分だ。向こうについたら援軍もすぐ到着する時間だな。
援軍には我々の合図で突入するように伝えろ。」
「では?」
「我々はこのままジブラルタル基地へと向かう。」
「了解!」
「ああ、それと例の試作機の準備もしといてくれよ。」
「えっ?しかし、あの試作機にはまだパイロットが。」
「パイロットはさっき戻ってきただろう?」
「戻ってきた?・・・もしや!?」
「とにかく、彼女があれを使えるために調整するよう伝えるんだ。」
「り、了解です。」
ネオはその場を離れ少女の眠る部屋へと向かうのだった。
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ネオによるジブラルタル基地襲撃の準備をしている頃、ジブラルタル基地内にて通信機をもった複数のザフト兵が人目つかないところにいた。
「付近の連邦軍にメッセージは届けられたか?」
「はっ、問題ありません。」
「よし、ならここはじきに戦場となる。
予定通り、警戒網に穴を開けた状態でここから離脱。
その後、迎えに来ているカイメラ隊と合流する。」
「「「はっ!」」」
そして、偽のザフト兵たちは敬礼したあと、まるで何事もなかったかのようにその場から散り、周りに溶け込むかのように己のいくべき場へと向かうのであった。
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そして、場所は戻りジブラルタル基地の中央に位置する場所ではより一層に警備が厳重の場所があり、さらにその中にはザフト軍の最高評議会議長ギルバート・デュランダルが座して待っていた。
そして、ある程度時間が経つとデュランダルのいる部屋の扉がノックで叩かれ、デュランダルは扉の向こうに自分が呼んだもの達が来たと確信していたのかほんの僅かながらに口元に笑みをこぼす。
「議長、シン・アスカ、レイ・ザ・バレル両名をお連れしました。」
入ってきた兵士の後ろに付いてくるかのようにシンとレイの二人がいた。
「ご苦労。
やあ、シンとレイ。よく来てくれた。」
そしてデュランダルは二人を向かいいれるかのように席をたち二人の元に歩み寄る
「あの、議長、俺・・・。」
シンはここに連れてこられた理由は自分でも理解できていた。
しかし、デュランダルに何を言えばいいのか、言葉が見つからずシンはデュランダルの前で俯くしかなかった。
「今回の件、強化人間である兵士が逃亡の末、死亡したのは実に残念ではあるが、これまでの功績によりZEUTHの今回の件は不問に付す。」
「えっ?」
デュランダルが突然の言葉に驚くシン。
自分がステラを逃がしたのに、議長から出た言葉はまるでステラ自身が逃げたかのようであり、俺たちに罪はないと。
しかし、シンはなぜかそれを認めてはいけないような、焦燥感に駆られる。
「まっ、待ってください議長。あの・・・。」
「シン。」
議長に問いかけるシンをレイは止める。
レイはシンに言葉ではなく目で語る。
"これ以上は追究してはいけない"と。
それが伝わったのかシンはこれ以上はいけないと理解し、引き下がる。
「さて、君たちのに関する事はこれで終わりだ。
では・・・。」
「議長、その前に質問をよろしいでしょうか。」
デュランダルが次の話題にふろうとしたとき、レイは軽く挙手して、質問をする。
「何かな、レイ?」
「今回の件でジョーカーも囚われているのですが、我々は不問となったなら、彼はなぜいまだ牢なのでしょうか?」
レイの言葉でシンは思い出す。
確かにシンとレイは牢から出されたのに、ジョーカーだけは牢に入れられたままだった。
今回の事を不問にするなら彼がいまだ牢にいるのはおかしいとシンは気づく。
「ふむ、実は今から話すのはジョーカーについて君たちに聞きたいと思ってな。」
「ジョーカーについて、ですか?」
「そう、彼についてだ。
あまり大きな声では言えないが、
今回は件に関しては不問に付したが、本来なら君たち二人だけで行ったものかなと?」
「はい。」
「そして、彼は君たちの事を手助けした。
それは間違いないのだな?」
「はい、間違いないです。」
シンはデュランダルに対して嘘は言わず正直に話す。
「だが、もしそうだとしたら私は少しばかり不可解な点があるのだか。」
「不可解な点?」
不可解な点があるとデュランダルは言うがシンはとっさには思い付かなかった。
「君たち二人が行ったことをなぜ彼がすでに知っていたのかということについてだ。」
ジョーカーはたしかに二人の前に現れ、
そして、彼は俺たちがステラを連邦に連れていくことを知っていた。
「ですが、それでしたら彼が偶然出くわしたとき咄嗟に理解したというのも否定はできませんが。」
レイのいう通りなら、咄嗟に出くわしたときに瞬時にシンたちの状況を理解できる人ならば可能ではある。
しかし、デュランダルはというと。
「そう、確かに私もその可能性は考えた。」
そして、デュランダルは机におかれているパネルを操作し壁設置されているモニターが起動する。
「彼らはどうやら君たちが医務室に入る前に格納庫にいたのは確認できている、彼らは何かしらの準備をしていたようだがカメラの不調なのか確認はできなかった。
だが確認できたカメラによると格納庫からジョーカーは一直線に君たちのいる場所へと向かっている。」
スクリーンにはたしかにジョーカーとあの黒衣の少女の姿が写っていた。
「ここまでの状況を見て、君たちならもう分かるのではないかな?
彼がなぜ、君たちが連邦の兵士を逃がすことを知っていたのか。」
「あの・・・議長、いったい何を?」
「私はこう思うのだ、彼は連邦のスパイではないのかと?」
「なっ・・・!?」
シンは驚きを隠せなかった。
彼は共に戦い、仲間を助けてくれたこともあった。
そんな彼が連邦のスパイだと、シンにとっては信じがたいものであった。
「そんな!?
まっ、待ってください!
確かに変な仮面や格好で怪しそうな雰囲気はありますけど、ジョーカーは俺たちと共にいた仲間です。
それに戦闘でもZEUTHの仲間と共に戦ってくれました!」
「確かに彼はZEUTH共に戦い、さらに報告で聞いたがハイネ・ヴェステンフルスを庇ったとの報告もある。」
「なら・・・!」
「しかし、それだけで彼は無実と決めるには国と国民の上に立つものとして容易には認められぬ。」
国と国民の上に立つコーディネーターのトップでもあるデュランダル。
シンやレイは特別であるが、
一個人であり、ザフトとはあまり関わりがない彼を無実にするには彼にとってあまりよろしくはなかった。
「だが、彼が連邦のスパイではないという確証もないのもまた事実だ。」
デュランダルの言うとおりに同時にスパイの証拠もないのは紛れもない事実である。
「シン、私は彼が憎いとかではなく、あくまでザフト、そして君たちコーディネーターの為でもあるための一時的なものだ。
必ず罪に問われるわけではない。
君たちが信じるように彼がスパイではないと私も信じよう。
だから、君たちも私を信じてほしい。」
「議長。・・・あの!」
シンが口を開き喋ろうとした、
その瞬間・・・!
突然、爆発音と震動が響き渡り、シンとレイ、デュランダルは姿勢を保てず、床に崩れ倒れる。
「くっ!、・・・な、なにが?」
突然の出来事に、シンは慌てる。
しかし、その後も爆発音は響き渡る。
「議長、失礼します!」
「何事だ!」
「はっ、現在我が基地に連邦軍の部隊によって襲撃されてます!」
兵士からの報告に誰もが驚く。
無理もない。
ここは地球にあるザフト軍の基地では他よりも侵入に対して厳重に警戒しており連邦の侵入を簡単に許すはずがなかった。
「なんということだ。なぜ誰も気がつかなかったのだ。」
「申し訳ありません!、
原因は不明ですがレーダーに引っ掛からずに敵の侵入を許してしまいました。」
「とにかく、被害を最小限に食い止めるのが最優先だ!」
「りょ、了解しました。」
攻撃による爆発音が続くなか、兵士はすぐさま踵を返して、走り去る。
「なぜここに連邦軍が?
いや、そうなるとまさか・・・!
やはり、私の予想は正しかったようだな。」
「議長、早く避難を・・・。議長?」
レイはデュランダルを安全な場所に避難させようとデュランダルの顔を見ると、してやられたかのように笑みをこぼしていた。
「どうやら我々はジョーカーにしてやられたようだ。」
「どういうことです?」
「今回の連邦の兵士の脱走の手助け、そして彼が独房にいるこのタイミングで基地の警戒網に引っ掛からずに連邦の侵入されるなど、あまりにもできすぎていると思わないか?」
「そんな!?」
「彼が捕まったことで躍起になったのかもしれないな。
連邦め、それほどの彼は重要人物か。」
「もしやこの襲撃もジョーカーによるものと?」
「確実とは言えぬが、恐らくは・・・。」
「議長!」
デュランダルが顎に手を当てて、考えにふける中、先程とは別の兵士が慌ててやって来た。
「どうした。」
「はっ、独房に捕らえられていたジョーカーが脱走しました!」
「何!?
監視は何をしていた!」
「も、申し訳ありません。
どうやらこの騒動の隙に逃げられました!」
「なんということだ!
ともかく、なんとしてもジョーカーを逃がすな。」
「しかし、外はどこもかしこも戦闘状態、やつを見つけられるか・・・。」
「ならば、ここの警備の者を連れて探すのだ!
彼をここから逃がしてはならない!」
「了解しました!」
「議長、ここは危険ですお早くシェルターに!」
兵士が慌ただしく出口に向かい、さらに入れ替わって護衛の兵士がすぐにでも議長を安全な場所に移動させようと急かす。
「ともかく、まずはこの窮地を脱せねば。
シンとレイはミネルバと合流し、侵入してきた連邦を撃退せよ。」
「了解しました。」
「りょ、了解・・・しました。」
二人に役目を与え、護衛と共にデュランダルは部屋を後にする。
「シン、俺たちも急ぐぞ。」
「あ、ああ。」
レイはミネルバと合流するため即座に部屋を出て、走って向かう。
シンも、レイを追って部屋を出るが、心ここにあらずといった感じて動揺していた。
「ステラ・・・。」
ジョーカーのこともあるが、
シンにとって一番気にかかるのは連邦へと送り出した少女は無事なのだろうかと不安が積もるばかりであった。
言葉って、付け足したり、わざと減らしたりするだけで意味が変わってきますからね、政治って怖い。
(作者の文章力や表現力は相変わらず低いですが(泣))
数ヶ月もお待たせして申し訳ないですm(__)m
以前のパソコンが壊れてからようやく復帰しましたので、ちょくちょく頑張ります。(  ̄▽ ̄)