BanG Dream!~あの時の約束~完結 作:レイハントン
「雨か………」
自分の部屋の窓から見た外の景色はあいにくの雨………。時間はまだ昼間。なんだか気分が乗らない。だけどそうも言ってられないのも現実。学校の授業をサボっている分の勉強をやらなくちゃいけない。じゃあサボるなと思う人も居るだろうけど。あれな……あれだよ。
と言ってもめんどいから今日は終わりだ。俺の勉強は国語、英語、数学などだけじゃない。バンドのことや、ギターのわかりやすい教え方。学ぶことはたくさんある。その中でも大変なのは、ドラムの練習。なぜドラムの練習かと言うとだな。
バンドは基本ボーカル、ギタリスト、ベーシスト、ドラムスの構成なんだ。さらにジャンルがあったり、その中でめサブジャンルがある。調べると結構奥深かった。
今のところ、集まってるのがギターだけ………。これはヤバい。しかもギターは初心者だ。そりゃバンドどころじゃねえぞ。でもやると言った以上逃げ出すわけにはいかない。
そこで俺は戸山の現段階をノートにまとめてみた。どのコードが出来て、どのコードが出来ないとかあるからな。ここ2日の感じだと努力は感じられる。日を追うたびに出来るようにはなってきてる。家でも練習してるのがわかるな。
「明日は少し難しいの教えてみるか」
ノートを閉じて、グーッと背伸びをした。長時間座ってると背中が痛くなるんだよ。そろそろ楽器の練習でもしますかね。
教科書やら、参考書やらを持って、部屋を出て俺はあるところに向かった。昨日の夜にお父さんに教えてもらった地下室。そこは防音の部屋でギター、ベース、ドラム、キーボード、マイクなどの設備があったんだ。驚いたのなんの。一番驚いたのはその楽器が全部新品なんだ。なんでもやる気を出した俺にお父さんとお母さんからのプレゼントらしい。こんなの貰ったら正直プレッシャーにしかならん…………。
そしてお母さんからは歌唱指導のやり方を教えてもらってる。お母さんは歌唱指導の先生をしてるんだよ。だからそういうのも教えてもらえる。正直言って最高の環境だ。今はそれを全部生かして戸山をサポートしたい。
「どれ…やりますかね」
まずはドラムの練習から始めた。
「ふぅ………もう昼か~。はえーな」
夢中になってドラムを叩いていたはいいけど、時間はいつの間にか昼。今日はお母さんも誰も居ない。お昼はなにか買って食べてだそうです。もう食べるのは決まってるようなものだ。
「うし。やまぶきベーカリー直行だな」
財布、スマホを持ったのを確認。ついでに戸締まりも。傘を持って、家を出た俺は鍵を閉め、傘を差しながらやまぶきベーカリーへと向かった。
外の雨は思ったよりも強くはなく、傘に打ちつける音が心地良い。この少しの時間も無駄には出来ない。傘を首と右肩で支えながら、左ポケットに入ってるイヤホンを取り出す。それをスマホに差し込み、方耳だけに付けた。
今はいろいろな曲を聞いてるんだ。理由はバンドとか、ギターで最初に演奏するための曲。定番はキラキラ星らしいんだけど、他にもいくつか候補を出しておきたい。
しばらく歩くと商店街に入った。雨の日とはいえ、お客さんが入らないわけがない。やまぶきベーカリーの近くの北沢精肉店には何人か主婦の人が並んでいる。あそこのコロッケ旨いんだよな~。考えただけでもよだれが………。
ちょうど北沢精肉店の前を通ると美味しそうなコロッケの匂いが漂ってきた。
「あー! 神山君だー!」
「んあ? なんだ北沢か」
今話かけてきたのは、さっきから言ってる北沢精肉店の娘さんの北沢はぐみ。花女に通う1年生で、去年仲良くなった。ちなみに感じは戸山そっくりである。2人そろうともう………ね。
「ちょうどコロッケ揚げたてだから買っていかない?」
「ははっ、甘いな北沢。そんなんでお客さんは捕まえられないぞ。3つ買っていこう」
「毎度ありー!」
全く。これだからこの商店街は嫌なんだ。お金が減っていくんだよ。空腹には勝てないだろ? だけど旨いからプラマイゼロってことでよろしく。
紙袋プラス、ビニール袋で濡れないようにしてもらった。
コロッケを3つ買ったのは、俺の分とお母さんの分、それから雅史の分。お父さんは仕事で今日から一週間帰ってこない。ツアーだとツアー。大変ですなー。
ちなみに近くには羽沢珈琲店っていうカフェもある。あんまり、というか。1回優衣と行ったような気がした。
ようやくやまぶきベーカリーに着いた俺は、早速店内に入っる。するてレジに居た山吹がこっちに気付いた。
「いらっしゃいませー。久しぶりだね」
「そうか? 最近忙しくてな」
「そっか~。香澄の相手大変でしょ?」
「まあな。思ったよりは」
袋を手首にかけ、トレイとトングを持ってパンを選ぶ。いや、選ぶまでもない。メロンパンは確定だからな。
「やっぱりそうくるよね。新作のピザパンがあるんだけどどう?」
「いや。今回はいつもので行かせてもらう」
「今なら新作のパンと違うパンを4つ以上買うと、割引がつくんだけど」
「よし買った」
「即答だね」
この商売上手め。俺の弱点をわかってやがる。普通に4つも買ったら、お小遣いを稼げなくなる。だけど、割引がつけばいつもの値段でパンが1つ増える。どう考えてもお得じゃないか。そんなん買わざるを得ない。
4つ目のパンを選んでいるとお店のドアが開いた。お客さんが来たようだ。
「いらっしゃいませー。モカ、今日も来たの?」
「まあね~。モカちゃんはー、ここの常連だから~」
マイペースな感じで話す、白髪のショートカットの女の子。常連だと? 俺以外にもここに通いつめている人が居るのか。しか
も女の子で。
「山吹の知り合いか?」
「うん。うちによく来る、青葉モカ。こっちは神山恵君。神山君も、よく来るんだよ」
「そうなんですか~。青葉モカでーす。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
お互いに挨拶したあと、青葉さんの視線が俺の持っているトレイにいった。
え? もしかして狙ってらっしゃる?
「もしかしてー、メロンパンとチョココロネ好きなんですか~?」
「はい、そうですけど。青葉さんも?」
「もちろん。ここのパンは全部好きかな~」
あっ、この人は悪い人ではない。理由? んなもん決まってるだろ。パンが好きだからだよ。
「パン好きには悪い人はいませんね。それと敬語じゃなくて、タメでいいっすよ」
「それじゃああたしも、敬語じゃなくていいよ~。けーちゃんって呼んでいい?」
「まあ仕方ない。改めてよろしくな、モカ」
こうして速攻友達が1人増えたわけだ、めでたし、めでたし。え? めでたしじゃないって? いいんだよ。パン好きには悪いやつは居ないってさっきも言ったろ? だから問題ナッシング。
「意気投合するの早いね」
山吹は俺とモカのことを見て、苦笑いを浮かべていた。まあ、外から見ればおかしなことだろう。
「そういえば、モカ達もバンドやってるんだよ」
「マジか。グループ名は?」
聞いてわかるのかと思ったそこの読者さん。ガールズバンドについても調べてるんですよ。最近はバンド関係のことはいろんな事調べてるからな。
「AfterGlowってバンドだよ~」
「確か前にライブしたよな? ボーカルの人がギターもやってて凄いと思ったから、よく覚えてるよ」
ギターとボーカル両方やってるのも凄いけど、個々の演奏も目を見張るものがあった。演奏もどこかまとまりがあって、なんつうか音が合ってるという感じかな。AfterGlow……全員に会ってみたいものだ。
「ほほう~。あたし達もしかして有名人?」
「この商店街では有名人かもね」
「へえ~。でも知ったの最近なんだけどな」
てかさ、いつの間にそんなにパン買ってるの? お会計してるときだけ、俺の記憶は飛ぶんですか? それとも見てないだけ? どっちにしろおかしいじゃないか。
「じゃあ、練習があるから~。じゃあねー」
「じゃあね、モカ」
「さよなら~」
世の中以外と狭いんだな。
お会計を済ませてやまぶきベーカリーを後にした。
「まだ14時なんですけど………」
「大丈夫だ、俺のところにきたのは13時だから」
「お前は死ね」
「早く行っていろいろ見よ!」
ちょっと戸山さーん! 人が死ねって言われてるのになに平然と、早く行っていろいろ見よ! だ?! お前のスルースキルはどうなってるんだゴラァ! つうか最近オブラートに包まないで、そのまま悪意丸出しだよね? 例えば石投げつける時に、スポンジで包むとか配慮はないのか? ないですよね~そんなの。
俺の長い長いツッコミはおいといてだ。戸山が俺の家を訪ねてきたのは13時。そして、またまたあのメールがきた。今から行くね! のメールがな。だーかーらー! 行っていい? が普通だろ! 全く、いい性格してるぜ………。結果頑張って30分の足止めに成功。それでも俺には死ねの一言。・・・・こたえる………。
そしてやってきたライブハウスSpace。あのオーナー苦手なんだよな……。なんかこう・・・冷たいじゃん? もう戸山は中に入ってるし。あれぇ? 有咲もだ。俺だけ置いてけぼりー。
「こんにちはー。ライブ見にきました。高校生です!」
オーナーは何も言わずに有咲のことをみる。すると……
「高校生です」
あの有咲が素直に高校生と言った。有り得ないです。そして次に俺のことを見てきた。
「こ、高校生です」
「あんた、あいつの息子なんだってね」
「は、はい?」
あいつって誰だあれ? 徹のことか? 確かにあいつはここら辺じゃ別の有名人かもしれないけど。
「あのクソムカつく神山哲夫だよ」
「あー、え? あー、え? えー?!」
俺のお父さんとオーナーが知り合いー?! 今日一番の驚きです。あ、ちなみに哲夫は俺のお父さんの名前ですはい。けして某特撮の仮面のライダーの黒の役の人ではないです。あーだから許さん! とか言ってたのか。納得納得。じゃねーよ! あーダメだ~。テンパると独り言が激しくなる~。
「あんたもバンドやるのかい?」
「いや…今のところは」
「そうか。1人600円」
チケットを3枚出してきた。これは前にもらった奴ですな。思ったのは俺だけじゃないらしく、戸山が前に貰ったんですけど、と明るく訪ねる。
「ドリンクチケット。あっちで好きなもん頼みな」
「前の使わなかったんですけど」
「残念だけど、当日限りだ」
チケットを受け取って奥に行こうと、一歩踏み出した・・が、あんたは待ちなと声をかけられた。俺は何か悪い事でもしたのだろうか……。いや、俺じゃない…やらかしてるのはお父さんだろう。
「戸山と市ヶ谷さんは、先行っててくれ」
「わかった」
「そのまま土に帰れば?」
「帰らんわ」
2人を先に行かせ、オーナーの前に立った。怒られるの覚悟で……。
「………相変わらず、忙しいみたいだね。あんたの親父は」
「はい。今日から一週間帰ってきませんから」
なにを言われるのかと思ったけど、お父さんの普通の話で助かった。
「もし、ギターを教えてもらおうなんて考えてるなら、やめておきな」
「ど、どうしてです?」
「あいつはかなりケチだからね。どうせはぐらかされただろ?」
「は、はい……」
お父さんのああいうところは昔からなのか………。なんかそれっぽい言葉並べられて納得しちゃったけど、納得しちゃいけないやつなのね……。やられた。
「今度ギター弾きにきな」
「え?! ど、どうしてです?」
「単純に興味があるからだよ。あいつの息子ならそれなりには出来るんだろ?」
うわぁ~。嫌なプレッシャーかけてくるなこの人……。だけどどこに行っても“息子”だからっていうのは言われるんだな。そこが辛いところだよ……。でもそれだけ期待されてるってことかも。大きすぎる期待だな~。俺には重すぎる。
「ま、まぁ……少しくらいなら。そろそろ失礼します」
「引き止めて悪かったね」
「いえいえ」
さっきよりも重い足取りで戸山と有咲が待つ、テーブルへと向かった。
ライブが始まるまで……あと数時間。
新たに高評価くださったつちでんさん、EsiRさんありがとうございます!!
番外編とかあった方がよろしいでしょうか?