BanG Dream!~あの時の約束~完結 作:レイハントン
今回は話の内容を変更して書きました。氷川姉妹、あと1人登場するのでお楽しみに。
努力は報われないなんて思ったりもした。自分が一番わかっていたはずなのに……その場の気持ちに左右された。努力はした分だけ報われる………わけじゃないかもだけど。必ず返ってくるはずだ。昨日のように。
今、俺は昨日のことを思い出しながら地下室のベットに寝転がっている。ホントここは快適の一言に尽きるな。冷房も設備されてるし、線は家の外に繋がっているから大丈夫なんだと。話を戻そう。昨日は結局諦めなかった戸山達のおかげだ。俺の功績はあるかないかわからないくらいで、やっぱり一番の活躍は戸山になるんだよな~。きらきら星を何回も歌ったのはどうかと思うけど、あれがなかったら結局のところグリグリのライブは見れなかったわけで、全部が悪いわけではない。それよりもだ…………。
「どうしてこうなった?」
スマホの連絡アプリ、almondに突如増えた連絡先(女子の)。女子の連絡先は、戸山、山吹、意気投合したモカの3人だけのはず! 元カノのはブロサクする前にされてました。またそこもムカつく。そんなことよりもだ。昨日の一件以来、1つ増えた。その名は────
「
昨日の帰りのことをふと思い出す。
グリグリのライブが終わって、いざ帰ろうと思ったが、ちょっとトイレに行きたくなり戸山達に一声かけてから向かった。みんなは外で待ってるだとよ。有咲なんて冷たかったんだぞ? いつもの冷たい態度で、「そのまま帰って来なくてもいいんだけど」と言ってきた。トイレに行って行方不明になるかよ。
ちゃちゃっと済ませてトイレを出る。一歩踏み出したところで、足が止まる。目の前にはここのスタッフであろう女の人が立っていた。黒髪を腰の辺りまで伸ばし、キレイな緑色の瞳。まさに美人という言葉が似合う人。
そんな人がなぜ俺のことをジッと見つめているのだろうか?なにか悪いことしたのかな…………。いや悪いことはした。勝手にステージ上がって暴走したこと。思い当たる節がありすぎて逃げられないじゃん……。
なかなか話してくれないので、こっちから話かけようと口を開こうとした瞬間────。
「ギター」
「ぎ、ギター? ギターがなにか………」
「上手ですね」
「え? あっ、ど、どうも……」
いったいなんだこの独特な間は。調子狂うな~。つうかギターのことを褒めに来ただけ? まっさか~。そんなことあるわけないよな~。
少し期待をしつつ話をするのを待つ。
「twisterに動画あげてますよね?」
「はい?」
俺の少しの期待を裏切るように彼女の口からとんでもない言葉が出てきた。思わず「はい?」と返してしまったことに、少し焦る。
「違うよ。君の見間違いじゃないかな?」
「・・・・・でも、弾き方とか一緒でしたよ?」
なにも言葉が出なかった。嘘で言ってるかもしれない。でもこの子がギターの経験者、というよりギターを昔からやってる人だったらどうだろうか。バレる可能性はある。
「ギターの弾き方は決まってるし、そんなこと言えないと思うけど」
そう。ギターにはコードがあるから一緒になってしまう。というより一緒だ。あとはバレる理由なんてない。・・・・・と思う。
「じゃあ手見せてください」
「手? 別にいいですけど……」
手の平を彼女に見せる。すると自分のスマホを取り出しなにやら指を動かし始めた。少しすると、画面と俺の手を見比べる。
いったいなにしてるんだ? 画面と俺の手を見比べて。手相とか見てくれてる感じ?
「あっ! やっぱり! こことここに同じ傷がある!」
「傷?・・・・・・・あ」
彼女は画面を俺に見せてくる。そこに映ってるのは俺がtwisterにあげている動画。弾いてるところで一時停止し、手をズームしてある。よく見る中指の真ん中辺りに傷があった。昔なにかやって出来た傷だ。よくは覚えてない。
「これで逃げ道はないと思いますよ?」
「逆によく見つけましたね…………そうです。演奏してるのは俺ですよ」
大人しく観念すると彼女は、「ずっと会いたかったんですよね!」と笑顔で言った。もうここまで来てやっぱり嘘なんて言えない。見ている人は本当に見てるんだな………。改めて見てくれている人が居ると再確認出来たと同時に、1人の女の子に正体がバレた。
「もし良かったら明日お話しませんか?」
はい? この子はいったいなにを言ってるんだ? 知り合って間もない人とお話しようとしてるぞ。神経どうなってんだよ。いきなり急展開過ぎて信じられんねえ。
疑いがあるものの、悪い人ではなさそうなのは確か。明日は午後にバンドの練習が入ってるから、話せても午前中。なら良いかな…………。こんな美人な人と仲良くなれるかもしれないなら、正直断る理由はないと思う。きっと全国の男子諸君ならそうすると思う! ……………たぶん。
とまあ、ここまで関係ない話を連発してしまったけど、改めて言わないといけないことがある。
ここで話すことになったけど、牛込さんも戸山とバンドをやってくれることになったんだ。有咲はやらないとか言ってるけど、どうせやるだろうから問題ない。なんだかんだで結局やってくれるのが市ヶ谷有咲という人間だからな。伊達に数年一緒に居たわけじゃないからな。
時計で時間を確認し、集合時間の30分前になっていた。ベットから起き上がり、持ち物を鞄に閉まって地下室を後にし、1階に上がる。荷物を一旦玄関に置いてから、洗面所に向かった。洗面所で歯磨きをすませて家を出た。
因みに待ち合わせ場所は江戸川楽器店。近くて品揃え良くて、店員さんがよくしてくれるのは、江戸川楽器店で決まりだ。昨日の事もあるから挨拶くらいした方がいいよな? なぜ集合場所が江戸川楽器店かと言うとだな。花園さんがちょうどピックを買い換えたいから。
なんて考えながら歩いてるとスマホが2連続で震えた。恐らく花園さんからだろう。右のポケットからスマホを取り出して確認すると………。
『ねえねえ!』
『今日の練習は午後からだよね?』
という戸山からのメッセージに『そうだ』と返してポケットにしまった。若干期待した俺がバカだったな。昨日から期待すると裏切られるから期待はしないでおこう。もう痛い目にはあいたくないから。
しばらく歩くと江戸川楽器店に着いた。まだ着ていないのか外に花園さんの姿はない。中を覗いてみるが居る様子もない。時間を確認すると集合時間の20分前。とりあえず外で待つか。中に居てまだ来てないのかな? と思わせてもあれだし。…………さてさて、この20分をどう潰しますかな。とりまgoggle先生を使って調べものをするか。なにをゴゴルかな。
さてここで説明が必要になるだろう。goggleとは調べ物をするときに大変便利な検索アプリのことだ。他にはヤホーとかある。まっ、断然goggle派だけどな~。ヤホーが先生に勝てるはずがなかろうに。
「お。もうこんな時間か」
時間というのは早いもんでもう10分前だ。いつでも来ていいように、スマホの画面を消して右ポケットにしまった。辺りを見回すが花園さんらしき人は見当たらない。
ぐーっと背伸びをしてふと右をに視線を向けると、水色の長い髪を揺らしながら歩いてくる女の人と水色の髪でお下げにしている女の人の姿が目に入った。かなり似ている容姿から双子なのだろうな。キレイな人で、思わず目が追ってしまう。
俺の視線に気付いたのか、綺麗な女の人がこちらをチラッと見てお下げの子が、こちらに指を差しながら、「あー!」と声をあげた。
「ど、どうしたのよ、
「この人昨日、ライブハウスでギター演奏してた人だよ!」
「この人が?」
「うんうん!」
なにやら大変な状況になりそうな予感がする。長い髪の子が俺のことをジッと見つめてきた。石にされたかのように体が動かない。いったいどうなるんだ? と思っていると………。
「ちょっとお話良いですか?」
「は、はい……」
なぜか2つ返事で答えてしまった。だってなんか怖いんだもん。
お店の中に入って店内のテーブルの椅子に腰かけながら、氷川さん姉妹から話を聞くことになった。
「
「これはこれはご丁寧に。神山恵と申します。えっと……話とはいったい」
頭を下げて丁寧に挨拶。そして要件がなんなのかを訪ねる。それにしても美人な人達だ。可愛いよりも美人が似合うなんていったい何歳なんだ?
「お2人は双子でよろしいんですよね?」
「そうだよ! 同じ高校2年生!」
「こ、高校2年生?!」
へ-い! ちょーと待った! 高校2年生?! 3年生か大学生かと思った………。それよりも氷川さんと氷川さんだから、いったいどう呼べばいいんだ?
「このお話をする上で、お2人をどのように呼べば……」
「そっか~。お姉ちゃんが一緒だと呼びづらいよね? じゃあ、あたしのことは日菜って呼んで♪」
「いやいや。仮にも先輩ですよね? 先の
いつしか俺の言葉使いは自分でもよくわからないことになっていた。
年上の人にタメでなんて親以外無理だわ。それが気に入らないのか「えー」と明らか不機嫌そうに言う。
「じゃあ逆にどうやって呼ぶの?」
「氷川さん? と氷川先輩?」
「ビミョー。同じ名字で呼ばれるとわかんなくなっちゃうよ~」
「それは日菜の言う通りです」
じゃあどうしろと? 初対面の人を呼び捨て呼べと? それは俺に坊主にしろと言っているようなものだ。つまり絶対に嫌だということだ。でも向こうからすれば本当に困ることなんだろう。明らかにそれが表情に出ている。ん~どうするか・・・・・・。
「では、日菜先輩と紗夜先輩というのはどうでしょうか?」
「うんうん! るん♪ ってきた! それでいいよ! お姉ちゃんは?」
「私もそれでいいわよ。この場合は仕方ないもの」
結構あっさり片付いたな名前問題。あとは大丈夫だよな?
安堵の息を漏らすと、紗夜先輩が俺のことをじーっと見つめてきた。なにか悪いことをしたのかとすぐに考える。しかし、思い当たる節がありすぎて逆にわからない。本格的に冷や汗をかき始める。首筋にタラーと流れるのを右手で拭う。
「あなたが、昨日凄い演奏をした人なんですよね?」
「そ、そうです…………たぶん」
「日菜から聞きましたよ。それに神山と言えば、ギタリストの
ここで初告白だよな? なぜか俺と雅史のことはあまりメディアに出さなかったと聞いている。なんでも迷惑をかけたくなかったんだと。だけど授業参観には来るから結局のところはバレる。あと三者面談とか運動会とか。でもそのおかげであまり迷惑はかからなかった。因みにお母さんの名前は神山藍。志島は旧姓だ。
「そうだったらどうします? なにか聞きたいことでも?」
「いえ。ただ単純にあなたのギターの音を聞いてみたいの。ダメですか?」
「…………それなら全然構いませんよ。でも今日は他の人との用事があるのでまた今度で構いませんか?」
「ええ。そのときはこちらから誘うわ。それじゃあ、私達は用事があるので失礼しますね」
「またね~」
「はい」
それだけ言い残して紗夜先輩と日菜先輩は江戸川楽器店を後にした。2人とも俺の演奏に興味があるということはギターをやっているんだろう。でもよく考えたら氷川日菜って名前どこかで聞いたことがあるんだよな~。どこだ?
すると江戸川楽器店のドアが開いた。視線を向けると、ギターケースを背負った花園さんがキョロキョロと店内を見ている。恐らくというより、ほぼ確実に俺のことを探しているんだろう。
「こっち、こっち」
「来るの早いね。もしかして待った?」
「いいや。さっき来たばっかり」
お決まりの嘘をついて、椅子から立ち上がる。今日の朝、almondで話をしたんだけど同い年だからお互い敬語じゃなくてタメで話すことにした。その方が話しやすいし。
ピックが置いてある場所に移動した。そこでふと聞きたくなったことを尋ねる。
「花園さんっていつからギターやってるんだ?」
「小学生の頃から。神山君は?」
「小学校入る前からかな」
「じゃあ私より長いね。だからあんなに上手いんだ」
上手い。普通の人と比べればそうなるんだろうけど。うちには全国ツアーとか行っちゃう父親が居る。そう考えるだけで嫌になる。結局周りは比べてくるから、自分からやってるとは言わない。
「そんなことない」
「そんなことあるよ。みんな神山君のこと見てた。終わったあと拍手だって鳴ってたし」
正直昨日のことはあまり覚えていない。病気とかじゃないぞ。必死だったせいか、自分がどんな曲を弾いたのかさえ覚えてるか微妙だ。キラキラ星のあとな。覚えてないのは。
「そうだ。聞きたかったんだけど、神山ってあの神山?」
「まぁな。だから自分からギターやってるとは言わないんだ。どうせ比べられるし。お父さんと比べると下手くそだろ?」
「ん~。どうだろう」
ピックを選びながら話す花園さんの後ろ姿を見ながら俺は答えを帰ってくるのを待った。まあ、答えは決まってると思うけど。
しかし花園さんの口から出てきた言葉は俺の予想を遥かに超える答えだった。
「神山君は神山君。お父さんはお父さんじゃないかな?」
「え?」
「だって親が上手だったら子も上手なんて誰が決めたの? 私はそうは思わない」
「そっか……。意外だわ。そんな答えが帰ってくるなんて」
比べられるのが嫌と言いつつもギターを止めない。そんなのおかしいと思うだろ? だけど俺はギターが好きだ。弾いてて楽しいし、その一時だけでも嫌なことを忘れられる。だから結局のところやめられない。
大切なことを教えられたみたいだ。今は教える方なのにな………。
「花園さん。もし良かったら君のギター、聴かせてくれないかな?」
「え? うん。良いけど」
「ありがとう」
花園さんのギターはどんな音を出すのかな。
ピックを買い替えた帰りにあまり人気のない公園に来た。時間はお昼頃。みんなお昼ご飯を準備する時間帯だろう。ベンチに並んで座り花園さんは青いギターを出して、チューニングを始めた。
「チューナー使わないのか?」
「うん。この時間が好きだから」
「わかるわ。たまにチューナー使うけど、時間ある時は自分でやってるよ」
チューナーとはギターの音を調整する際に使う道具だ。使う人、使わない人が居る。さっきも言った通り、時間がある時は使わない。それと公園でジャカジャカ演奏しても大丈夫なの? と思う人も居ると思うけど、そこは安心してくれ。エレキギターはアコースティックギターと比べて音が小さいから、近所迷惑にはなりづらい。
チューナーにはまだ時間がかかるみたいで、俺は公園で遊ぶ小学生くらいの男女6人の姿を眺めていた。………昔、ああやって遊んでたっけな~。ギター始めてからは少なくなったけど。
「神山君って彼女居るの?」
「いいや。前に居たって感じ」
「そうなんだ。居ると思ってたから意外」
「そんな意外か?」
「うん」
なぜ花園さんがそう思うのかはいまいちよくわからないけど、花園さんこそ付き合ってる人は居ないのかな? 居てもおかしくないけど。今日はそういう人ばっかに会うな。
「遊んでる小学生見て微笑んでる人に悪い人居ない。それに仲良くない人と話をしようなんて思わないと思う」
「最初のはよくわからんけど………後のことはなんとなくってところだ」
「本当?」
「ホント、ホント」
美人と仲良くなれるチャンスだったからなんて口が裂けても言えねえ…………。そんな思いで会ったことが俺は恥ずかしいです。話が一区切りつくと、ちょうどチューニングが終わったみたいだ。
どんな曲を弾いてくれるのか楽しみにしていると、弾き始める。ゆっくりしたテンポでキラキラ星を演奏始めた。
戸山とは明らかに違う。途中で止まること、音一つ一つが繋がって聞こえる。聴いてて心地いい。いつの間にか遊んでいた小学生くらいの子達が近くに来て聴いていた。その中で1人だけ花園さんのことを目を輝かせながら見ている女の子が居た。
ギターに興味があるのかな?
なんて考えてると演奏が終わったみたいだ。小学生くらい子達か拍手を花園さんに贈る。俺もパチパチと小さく拍手を贈った。
「お姉ちゃん凄いね!」
「もっと聴きたい!」
おうおう。子供達に人気だなおい。さっきまでワイワイ遊んでただろ君達。
なんて思っていると花園さんが急な無茶ぶりを言ってきた。
「こっちのお兄ちゃんの方がもっと凄いの弾けるよ」
「ホントか?!」
「聴きたい! 聴きたい!」
「ちょ! 花園さん?! 俺ギター持ってないんだけど!」
しかし、すぐに解決することになる。花園さんは持っていたギターを「はい」と言って俺に渡してきた。
「でも………良いの?」
「うん。神山君になら」
どうやら断れないみたいだ。目を輝かせていた女の子は楽しみなのだろう。ワクワクした様子で待っている。チューニングは済ませてあるので、構えてとりあえず某軽音部を題材にしたアニメのOPを披露してみた。この曲はかなり練習した記憶がある。一度だけじゃない。何度も諦めかけたけど、努力しか取り柄のない俺には努力しかなかった。そのおかげで出来るようになったけどな。
演奏が終了し、様子を伺う。
「お兄ちゃん超すげぇな!」
「うん! お姉ちゃん言う通りだったね!」
「でしょ? 昨日の方がもっと凄かったんだよ」
「まあな。そんなに褒めんなよ」
こんなに褒められるとは思っていなかった。調子に乗ってるな、と思う人も居ると思うけどそこは大目に見てほしい。たまには調子にのっても罰は当たらないだろう。
このあとギターに興味がある女の子にギターの弾き方を花園さんと少しだけ教えてあげた。弾いてる時の女の子の表情はとても楽しそうだ。それと花園さんの教え方が普通に上手い。俺も勉強になったのここだけの話。
「「「「「「お姉ちゃん! お兄ちゃん! バイバイ!」」」」」」
「じゃあね」
「気を付けよう帰るんだぞー」
小学生達と別れたあと時間を確認する。すでに12時を回っていた。
「んじゃ、そろそろ帰るな」
「わかった。今度一緒にギター弾こうね」
「おう。楽しみにしてるわ」
こうして花園さんと話したわけだが、結構楽しかったし共感も出来た。また会う約束をして公園を後にした。
高評価入れてくれた迦遊羅さんありがとうございます。
評価10に変更してくれたアラタクさん本当にありがとうございます!
これからも問題等がありましたら連絡ください。