BanG Dream!~あの時の約束~完結 作:レイハントン
もうすぐバンドリ小説が100件を超えますな~。どんどん増えてええんやで(^_^)
それとお気に入りがバンバン増えてとてもとても嬉しいです(^_^) お気に入りしてくれてる方々ありがとうございます!
感想と評価を貰えるように頑張りたいですね。感想はいつもくれる優しい方が1人と最近くれるようになった方が居るのであまりわがままは言えないです^_^;
さてさて今回は最終話の前の話! 沙綾を救えるか恵よ!!
それではどうぞ!
あっ、Twitter始めましたので、探してください~。名前はレイハントンでーす。
パチパチと油がはねるような音で、ふと目が覚めるとすでに朝日が昇っていた。
「朝……か」
ボソッと呟いてソファーの上で体を少し動かすと痛みが走る。寝違えたのか………? 泊まったは良いものの着替えなんてあるはずはなく下は制服、上はYシャツの中にTシャツを着てたからそれで寝た。
そして、寝違えたのか首がすごい痛い中、なんとか上半身を起こすと、美味しそうな匂いが漂ってくる。台所を見るとすでに起きていた優衣が料理をしていた。
料理も出来るのか………。意外と万能なんだな。そう言えば前に商店街で買い物してたっけな。1人暮らしみたいなもんだし出来て当たり前って感じか。
料理に集中している優衣は俺に気付く様子はない。昨日の夜は暗かったから部屋の中がよく見えなかったが、今はちゃんと見える。綺麗に整理整頓されていてどこに物があるのかキチンと把握出来るようにしてあった。ハンガーにかけてある俺のYシャツとブレザー。
自分の制服をただなんとなくじっーとみていた。そしてふと沙綾のことを思い出し、これからどうするかと俯く。
「痛っ! なんでこんな時に…」
「朝からどうしたの?」
1人首の痛みに文句を付けているという恥ずかしい姿を優衣に見られた。すると台所から花女の制服のエプロン姿で皿を2つ持って出てきた。皿にはトーストが1枚ずつ乗っている。
「いや……寝違えたみたい」
「首がすごい方向に曲がってたよ?」
「マジで?」
「嘘、嘘」
笑顔でそう言ってテーブルに皿を置くと台所に戻っていった。いつまでも座ってるわけにはいかない。ソファーから降りて背伸びをすると再び首に痛みが走る。それをグッとこらえてテーブルについた。
「首大丈夫?」
「一応……。筋肉痛だと思えばなんとか」
「あんまり無理しちゃダメだよ?」
「わかってる」
優衣がテーブルについたのを確認して作ってもらった朝ご飯を挨拶をして食べ始めた。
「いただきます」
「どうぞ、どうぞ」
トーストを一口…………。
「美味いな」
「そう? ありがと」
にしても………昨日別人過ぎんだろ。あのドス黒い笑みはどこにいったんだよ。変わり過ぎて戸惑うんだけど………。
「昨日話せなかったんだけど……有咲に言ったことなんだけどね───」
優衣から聞いた真事実。
「そっか……。話してくれてありがとな」
「ううん。あたしが犯した罪だもん……何かあったら言って。手伝うから」
「ああ」
朝ご飯の片付けを手伝い風呂を借りた。今までにこんな風呂に入りづらいと思ったことは1回もない。
風呂から上がり、体を拭いて髪の毛を乾かし、制服に着替えてリビングに戻ると俺のYシャツ、ブレザー、ネクタイを持って立っていた。
「はい」
「ありがとな」
お礼を言ってYシャツを着た。自分の家の柔軟剤の香りではなく、優衣の家の柔軟剤の香りがする。上のボタン1つ以外を締めてネクタイを絞めた。
「じゃあ、先行くな。やることがあるから」
「うん。昨日は本当にありがとう」
「良いって良いって」
最後に俺は鞄から手紙を5つ取り出した。たぶんこれは自分で渡せないから。
「優衣……。俺の願い聞いてくれるか?」
「もちろん。どんな願い?」
俺は手紙を5つ優衣に渡した。彼女は受け取ると首を傾げ、5つの手紙よ表裏を確認する。裏の右はじにはそれぞれ名前が書いてある。
「それを明日以降、香澄達に渡してくれ」
「今日じゃダメなの?」
「明日以降だ。頼んだぞ」
「うん」
深い理由は話せない。話したら最後、俺の決断が揺らいでしまうから。もう決めたことだ。誰にも相談せずに………いや、相談出来るはずもない。すでに決まってしまったことだから。
ブレザーを受け取り、「そんじゃあ」と言って鞄を持って玄関から外に出た。スーッ、ハァーと深呼吸を1回。
まずは1つ1つ解決していけば良いんだよな。そう言ったのはお前だ…………沙綾。だから絶対に助ける。辛い思いをするのはもう十分だ。
痛む首に鞭を打つように彼女が居るであろう商店街に向かった。
これがラストミッション。
息を切らして商店街にたどり着いた俺は真っ先にやまぶきベーカリーへと向かった。今日も変わらずシャッターは開いていた───が、ガラスに張り紙が1枚張ってあったのが目に入る。
「はぁ…はぁ…。一足遅かったか」
またお母さんが倒れたのだろうか。私用により一時的に閉店という張り紙。ここのお店なら珍しいことじゃない。たまに見る張り紙で、今まではどんな私用だろうなんて考えたことなんてなかった。
だけど今ならわかる。行き先は………
「病院か!」
息を整える間もなく俺は地元の病院へと走りだした。
──────☆
恵が1人出て行った後にあたしも家を出た。さっきの恵は何かを決めているような表情だったのが頭から離れない。明日以降に渡して欲しいと頼まれた手紙にはいったいどんなことが書いてあるんだろう………。5人分用意するのもなにかおかしい。中身を見ることも出来る。だけど、本当にやっていいことなのかな………?
「さすがにダメだよね」
開けたいという気持ちが強かった。最後の願いで渡された手紙──あたしは手紙を開けることなく鞄に大事にしまった。
昨日の夜、寝る直前に恵は言ってくれた。人間何度でもやり直せる。だけど、やり直す努力はしないといけないって。このチャンス……無駄にはしたくない。せっかく恵と仲直りしたんだもん。有咲ともきっと仲直りしてみせる。こんなダメなあたしと仲良くしてくれた唯一の友達だから。
新たな決意を胸に花女へと向かった。
─────☆
自分は今、ある男に接触しようと花女周辺を偵察している。4月頃に現れたマジック青年。今まで集めた情報を照らし合わせると1人、怪しい人物が出てくる。金持ちで金髪の女の子と行動を共にする事が多いらしい。
自分で収集した情報が書いてある手帳をペラペラとめくっていると、マークしていた人物を見つけた。
「ちょっと良いかい?」
「へ? オレすか?」
驚いた表情で自分の事を指差ししながら言う青年───宇崎徹君。今の状態を見ると怪しいところはどこもない。
「そうそう。ちょーと話があるんだけどー。良いかな?」
「まっ、まぁ………」
「そんじゃあ、話をしようか」
ここで尻尾を見せれば完全に黒だ。自分の予想はどこまであってるかな。
結果から言うと見事に意気投合。考えが似てるからか、ものすごい仲良くなった。しかも聞いたところ名人の親友らしい。いや~ここまで気が合う人は会ったことがない!
「ホントすまんね。足止めしちゃって」
「いいっすよー。普通に恵に言ってくれれば良かったのに~」
「お詫びに文化祭でいろいろおごってやっから、それでチャラで」
親指と人差し指を合わせてお金を彷彿とさせる形を作って見せながら言うと、乗りよく答えてくれた。
「いいんすか~? 先輩がそういうなら、言葉に甘えますね」
「OK~」
こうして徹と2人で花女の文化祭に向かった。あれ………? なにか忘れてるような。
───────☆
あいつ……なにやってるのかな。さっきから連絡とれないみたいだし。なに香澄に心配かけてんだよ……バカのくせに。
窓ガラスに映る、外を眺める私の表情はどこか浮かなかった。なんで今更あのバカの心配をしているんだろう………。あの日、姫川さん……いや、ゆいから聞かされた事実を知ってから、あいつを見る目が変わった。
最初は話すのも嫌どころか、一緒に居るのも……顔を見るのも嫌だったのに。香澄達とバンドをやり始めてからはいつもあいつが居て、いろんな事を教えてくれた。過労で倒れた時は迷惑だったけど、あの時に聞いた話を考えたらなんだかこっちがバカらしく思った。
「肝心なことを言ってくれねぇんだから………」
独り言で今の気持ちをかき消そうと1人呟いていると、見知った顔が窓ガラスに映った。
「なに?」
「そんな怖い声出さないでよ有咲」
ニコニコ笑いながら話すゆい。あいつを振り切った後に会った時に見せたドス黒い笑みとは真逆に優しい笑顔。変な物でも食ったのかな…………。正直、キモい。
私の隣に立つと外を眺めながら言った。
「恵に全部話したよ。あたしがしたことも全部……」
「なんて言われたの?」
「………話してくれてありがとうって。怒るどころか、お礼言われちゃった」
なんで怒らないのか不思議だけどそれよりも気になったのは、全て知ったのに真っ先に私のところには来ないこと。てっきりすぐに来ると思ってたのに。珍しいこともあるんだ。
「あたし達……もう1度やり直せる……かな?」
「勝手なことばっかり言わないで。私と恵の関係が気に入らなかったんでしょ? その関係が戻りそうなのにいいわけ?」
少し強く言ったのに対して、何も言わずにゆいは頷いた。
「もちろんすぐに仲直り出来るとは思ってない。許してくれるまで……許してもらえなくてもあたしは有咲と一緒に居たい。友達として」
どこか見たことがある表情───ふとあの時のあいつが見せた表情にも似ているような気がした。
「ホント……お互いなんであんな奴好きになったんだろ」
「仕方ないよー。あの人はいつだって……」
自分のことは後回しで、他人を優先していつも自分が傷ついても、それでも他人を優先する。 そんな事が続いて、気がついたら私はあいつのことを心のどこかで許していたのかもしれない。
「もうやめよ。あいつの事を考えてたら、ムカついてきたから」
「またそうやって~。有咲はツンデレなんだから」
「ツンデレじゃねぇし」
こんなバカ相手にしてらんない………と思った私はゆいを置いて足早に自分のクラスへと戻っていった。この後クラスの出し物で劇があるんだっけ。セリフないし楽だからいいけど。
「そういえば有咲の役って、笑わないお姫様じゃなかったっけ?」
その言葉は周りの話し声でいまいち聞こえなかった。
───────☆
走り始めてから数10分経っただろうか。そんなことも今の俺にはわからない。もうとっくに走れる限界が来てるのにな……それでも走らなくちゃいけないんだ。立ち止まってる時間なんてない。
少し走るとやっと病院が見えてきた。中に入って沙綾を探すために走り回っても迷惑にしかならないことを考えると、連絡して呼び出した方がいくらかましだと思い、病院の門の付近で止まり沙綾に外に出てきてもらうように連絡した。
これであとは話すだけだ。検査とかしてる時だったら悪いな………。もう時間がない今、仕方ない。
息を整え、流れてくる汗を拭いながら敷地内に入った。敷地内はたくさんの木々が生えていて心が癒される。
しばらく歩くと病院の入り口に着いくと、そこにちょうど沙綾が花女の制服姿で出てきた。
「どうしてここに?」
いつもと変わらない表情で言う沙綾に少し安心し質問に答える。
「張り紙があったし、昨日の話を聞いたからだ」
納得したような表情で「そうなんだ」と言うと俺に視線を合わせようとはしなかった。
「まだ迷ってるのか?」
そう言いながら沙綾の元まで歩き、目の前で立ち止まった。今日のライブ次第でspaceのライブのオーディションに参加出来るかどうかがわかる。正直ドラムが居ないのはかなり痛いと思ってるし、香澄達には沙綾が必要だ。俺が居なくなっても良いように支える人が。
「けいちゃんもあたしにドラムやれって言うんだ………」
「やれなんて言ってないだろ。俺が言いにきたのは自分に嘘をつくなってことだ」
バンド活動はしたい。でも……お母さんや弟達が心配で帰りが遅くなるのが嫌。これが今の沙綾の気持ちだと思う。それ以上に足かせになってるのは、自分だけ楽しんでいいのか? という気持ち。
「お前は優しすぎるんだよ。優しすぎるから、自分以外の人が傷つくのが嫌なんだろ? だからって沙綾のやりたいことを我慢する必要はない」
そこまで言ったあとに俺は沙綾の肩にそっと右手を置いた。
「もっと自分に正直になれ。やりたいなら、やる。一度きりの人生なんだから」
「でも………」と右下に視線を向ける沙綾。自分にはそんなこと出来ないと言わんばかりの表情で。
「そんな顔するなって。俺は信じてるから」
俺の言いたいことは伝えた。あと決めるのは沙綾本人だ。きっと乗り越えてくれる………。沙綾は1人じゃない。この家族なら………。
「……じゃあ先行ってるな」
沙綾は頷くことはなかったが、背を向けて歩き始めた。この姿のまま文化祭に行くわけにもいかないと思った俺は一旦家に帰ってから花女に向かうことにした。
沙綾に言葉をかけてきましたが、この先の決断は彼女次第………。
次回はラストなので、まだ全部読んでない君! まだ時間はあるぞ! 最後は果たしてどうなるのやら~
続きを書こうかすごい迷ってます………
感想、評価等ありましたらよろしくお願いします!
次回がラストです!