BanG Dream!~あの時の約束~完結   作:レイハントン

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こんにちは。

とうとう来てしまった最終回。今日でこの作品は終わりでございます。ここまで読んでくれた読者様にはなんとお礼を申してよいのやら。本当にありがとうございます!

今回のお話で全ての決着が着きます。恵と有咲の運命は───

それではどうぞ!


最終話 STAR BEAT!──星の鼓動

 家に帰る途中、スマホの通知覧を見ると、とんでもないことになっていた。香澄とおたえからおびただしい程連絡が来ていたのだ。しかもほとんどが文化祭の写真。楽しんでるのは伝わってくる。楽しんでくるのはだ。・・・・・ちょこちょこ有咲と優衣のツーショットがあるのはなぜだ。いつの間にか仲直りしてるし…………。

 

 それが結構嬉しかったりする。一生仲直りなんて出来ないと思ってた不安はいつの間にかなくなっていた。画面を横にフリックしていると気になる写真が1枚。

 

「これは………タヌキ……か?」

 

 マグカップに入ってる飲み物はカフェモカだろう。そこに描かれているのはタヌキだろうか……こんな形をしている動物は他にいただろうか。目の周りと耳が黒い動物・・・・・・あっ、パンダが居る。

 

 しかしタヌキにも見えるしパンダにも見える。真相を知るのはこれを作ったりみだけ…………。次の1枚を見るとひなこ先輩と両脇に香澄のクラスメート? が困った顔で映っている写真。

 

「あれ? 香澄のクラスってキャバクラかなんかだっけ?」

 

 明らかにそういう風にしか見えない写真。誰かツッコンであげたのだろうか。いや………ツッコミ不在だから無理だよな。

 

 そんな事を考えながら家に帰宅した。玄関のドアを開けて中に入るとすでに荷造りが終わったのか、もぬけの殻と言っても良いほど家の中はガランとしていた。この調子だと勝手に整理されてるんだろうなと思いながら2階へ続く階段を登っていく。自分の部屋の前にたどり着き、ドアのぶに手をかけて部屋に入った。

 

 誰も居ないと思っていた部屋には窓の外の景色を眺めている人が1人。俺はその人のことを呼んだ。

 

「なにしてるの? お母さん」

 

 声をかけるとゆっくりと振り向き俺を見るなり驚いていた。そうなってもおかしくはない。昨日の夜帰らなかった上に親父と喧嘩してるから。お母さんは俺に近づいてくると優しく頬に触れてくる。そんなお母さんを見て俺自身も驚いた。前に1日帰らなかった時はため息を吐いていたのに、今は涙を流しているのだから。頬に触れている手をそっと掴んで言った。

 

「なんで泣いてるの?」

 

「当たり前よ………あなたは私の息子だもの。連絡もしないで」

 

 そう言うお母さんの表情には怒りなど存在せず、心配、優しさ、安心を感じた。泣くほど心配されていたと考えると心が締め付けられる思いだ。一瞬でも母親じゃないと思った俺を殴り倒したい。どこの母親も子には優しいんだなと改めて感じ、手でお母さんの頬を流れる涙を拭いながら言った。

 

「ごめん。ちゃんと連絡するべきだった。何があったかはあとで話すから、今は───」

 

 そこまで言うと俺の言葉を遮るようにお母さんが言ってくれた。

 

「わかってる。今日は花女の文化祭でしょ? 早く香澄ちゃん達の所に行ってあげなさい」

 

「うん。ありがとう」

 

 お礼を言うとお母さんは部屋から出て行った。制服から私服へと着替える中、いきなり扉が開いた。

 

「ちょ、入る時はノックしてよ……」

 

「あらごめんなさい。それより朝ご飯食べる?」

 

 着替えながら、「いや。大丈夫」と断り、赤いTシャツのうえにパーカで下はジーパンという普通過ぎる格好で花女へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

───────☆

 

「なんか疲れた………」

 

「ふふっ♪ 似合ってるよ~有咲のお姫様の格好~」

 

 隣で機嫌良さそうに頼んだカフェモカを1口飲んで小バカにしてくるゆい。元はと言えばゆいがあらかじめ教えてくれればこんなことにはならなかったのに………。あいつが居ないだけましだけどさ。

 

 にしても………ホント恥ずかしいんだけど、この格好。ヒラヒラしてるし、歩いてるとすごい視線集めるしで嫌なんだよ。

 

「そういえばさー。いつになったら恵は来るのかな」

 

「知らね。そのうち来るんじゃね?」

 

 どこでなにをしてるんだか………。香澄が連絡してるのを見たけど返ってきたのかな? あとで聞いてみよう……。

 

 隣を見るとスマホ片手にカフェモカを飲んでいるゆい。どこか楽しそうな表情でぽちぽちと文字を打っていた。横から覗くと会話の相手は恵。しかも『ハート付けんなキモい』と返事が返ってきている。それに『なんでそんなこと言うのぉ~♡』と普通にキモい。あいつの気持ちもわかる気がする。

 

「もうすぐ来るってよ」

 

「文章普通にキモいな」

 

「なんでそんなこと言うのぉ………」

 

 「キモい」とひと蹴りしてカフェモカを飲んだ。横で文句言ってるのをスルーしてるとトレイを持ったおたえが来た。私とゆいのことを交互に見るとにっこり笑って言った。

 

「仲良しだね」

 

「別に」

 

「えー。なんでそういうこと言うのー」

 

 明らか棒読みに近い感じで言ってきた。するとスマホのカメラを起動して、横持ちに変えるとおたえに視線を向ける。納得した様子で私の隣に来て3人で写真を撮った。

 

「なっ……。いきなり過ぎ」

 

「まあまあ。よく撮れてるよ~」

 

 さっき撮った写真を見せてきた。確かによく撮れてる……でもそれとこれとは話が違う。うっかり手元が狂ったのかホーム画面に戻ってしまい、そこにはあいつの写真が写っていた。これは……絶好のチャンス。さっきまでの分全部返してやろう。

 

「あれ~ゆいさーん。その写真は何かな~」

 

「な、な、ななんでもないの! それ以上言わないで~!」

 

 恥ずかしがりながらスマホを隠すと、何事もなかったようにカフェモカを飲み始めた。全然隠せてない上に耳まで真っ赤にして恥ずかしそうにしている。ここで空気を読まないのがおたえ。

 

「けいちゃんの寝顔だね。いつ撮ったの?」

 

「ちょ?! たえやめてよ~」

 

「なんで? わたしは良いと思うよ? けいちゃんの寝顔のホーム画面」

 

 ホント、天然なのかデリカシーないのかどっちなんだ? ゆいがそろそろ茹で上がりそうだけど。頭から煙出てるし。

 

 なんて思いながらカフェモカを飲むとその話の張本人がやってきた。かなり遅刻して。

 

 

 

 

 

────────☆

 

「俺がなんだって?」

 

 香澄達が居ると言っていた1-Aクラスに来ると、有咲と優衣とおたえがなにやら話していた。最初から聞いていないからよくわからない。俺がどうとかいうのは聞こえたんだけど。

 

 そしてすごい驚いていて、茹でだこのように顔を真っ赤にしている優衣。いったいどうしたんだろうか。

 

「ちょ?! な、なんでこのタイミングで来るのよバカ!!」

 

「えー?! 来てって言うから来たのにその言い方かよ!!」

 

 理不尽にも程がありすぎる。こっちは痛む体を引きずってきたのにさ。・・・・それよりもなんで有咲はお姫様みたいな格好をしているだろうか。

 

 不思議に思った俺は有咲をマジマジと見つめる。すると視線に気づいたのか、頬を赤らめ逆にジト目で見られた。

 

「答えたくないなら構わないんだけどさ。なんでお姫様みたいな格好してるんだ?」

 

「役だよ! 役! それ以上聞くんじゃねぇ!」

 

 役? ・・・・・・なるほど、クラスの出し物か。でもあの有咲がそう簡単に引き受けるとは思えないんだけどな。セリフないからとか、楽そうな役だから引き受けたんじゃ………。

  

 俺の予想を確認するように優衣が話始めた。

 

「セリフないから引き受けたらこうなった。話ちゃんと聞いてないからだよ~」

 

「なるほどなるほど。それは災難だったな」

 

「うるせー! 好きで引き受けたわけじゃねぇし!」

 

 あーわかってるわかってる。そんのめんどくさそうなことをそう安々と有咲が引き受けるとは微塵も思ってないからー。もっと他に適任だった人居ないのか? 人選ミスにも程があるぞ。

 

 

 

 

 

 

 そう思っていた俺だったが、有咲と優衣のクラスの劇を見たら意外や意外。納得してしまった。有咲は心を許した人の前でしか普通に笑ってくれないから、こういうのには適任ってわけだ。この話、なにかで読んだような気がする。

 

 有咲が戻って来るのを教室の外で待つことにした。劇が終わればいよいよ体育館でライブだ。沙綾は来てくれるか五分五分だけど、俺は来るって信じてる。

 

 ふとスマホをポケットから取り出し、通知覧を見るとお母さんから連絡が来ていた。内容を確認し、返事を返してそっとポケットにしまった。俺に残された時間は少ない。外の景色に視線を移してふとため息を漏らす。

 

 外でもたくさんの屋台が並んでいて、まるでお祭りみたいだ。ん? 文化祭だから一応祭りなのか。………最後で良いからまた有咲と祭りに行って、あの花火を見てみたかったな。

 

「なに羨ましそうに見てるの? 行ってくればいいじゃん」

 

 窓ガラスにうっすら移る有咲。もう出番は終わりなのかいつもの制服姿に戻っていた。

 

「行けるわけないだろ。もうすぐライブなのに」

 

 俺がそう言うとしばらく無言の時間が続いた。全ての事情を知ってどこか話かけづらいところがある。余計に怒ってなければ良いんだけど…………。

 

「山吹さん来るかな……?」

 

 お前の心配ごとはそっちかーい。

 

「来るさ。沙綾なら」

 

「そうだと良いけど」

 

 俺と同じように外を眺める有咲の表情は何か言いたそうな感じだ。こういう時こそ俺から声をかければ良いんだろうけど、いまいち言葉が出てこない。今まで隠しててごめんとか、嘘ついてごめんとか言っても言い訳にしかならない。こんな俺に仲直りする権利はあるのか………?

 

 何も言葉が出てこないでいると意外にも有咲が口を開けた。

 

「どうして……黙ってたの?」

 

 有咲の言葉にいつもの冷たさは感じなかった。

 

 ここで嘘をついても仕方ない……か。全部正直に話そう。

 

「………言い訳にしかならないと思ったから。それが有咲の為だって………そう思い込んでた」

 

「なにそれ。私が気に入らないのは“約束”を忘れて黙ってたこと」

 

 さっきまの話方とは一変して少し強気に話してくる。そして、俺の中で引っかかったのは“約束”という言葉。前にも約束がどうとか言われた覚えが────もしかして………あの時の……約束か?

 

「絶対にどこにも行かないし、有咲を裏切らない。ずっと友達………だ」

 

 約束……。いや、俺にとっては約束よりも誓いに近かった。親がなかなか帰ってこない有咲に寂しい思いをさせたくない………確かそう思ったはず。それなのに俺は………。

 

「ずっと一緒に居てくれると思ってた。なのに……」

 

「………ごめん」

 

 騙されたとはいえ、話しても無駄だと思ってしまった俺が悪い。全てを知った時に話せば良かったんだ。そしたら……こんなギリギリで分かり合うことなんてなかったりはず。ホント……バカだよな。

 

「謝るんだったら……この先もずっと居てよ……」

 

 そっぽを向いて頬を赤らめる有咲。

 

 

 

 だけど俺は頷くことは出来なかった。

 

 

 

 今の状況、周りから見たら彼氏彼女に見えるのかな……? 少し周りの目を気にしたが、文化祭を楽しんでんでいて俺らに目もくれてない。

 

「有咲……ライブ終わったら話がある。いいか?」

 

「え? うん。だけど、片付けとかあるから長くは無理だからね」

 

「ああ。俺もそんなに時間がないから構わない」

 

 2度も有咲を裏切るわけにはいかない。香澄達には悪いけど………。

 

 

 

 

 

 途中で香澄達と合流して体育館の舞台裏に来た。俺は1人準備する香澄達をよそに、舞台裏からお客さんの様子を見ると、すでに人がたくさん集まっていた。

 

「結構居るな」

 

 さっきチラッと有咲が結構お客さん居るみたいな話が聞こえたが、なかなかな観客の数だ。spaceでライブするのとはまた違う緊張感だな。まぁ、香澄達なら大丈夫だろ。

 

 後ろに振り向くと、あの元気な香澄が少し緊張気味な様子で立っていた。あのおたえもだ。りみはそわそわしてるけど、まぁ仕方ないよな。有咲はー・・・・普通な感じだけど。

 

「緊張してるだろ」

 

「べ、別に緊張なんてしてねぇし」

 

「じゃあ先頭で出ていけるよな?」

 

「なっ! それは無理!」

 

 緊張してるんじゃん………。なんでそこを隠そうと思ったかだよな。…………そろそろ出番だな。

 

「んじゃ、頑張ってこいよ」

 

「うん! けーちゃん見ててね!」

 

「おうよ。沙綾が来たからって焦んなよ?」

 

「わかってる!」

 

 いつもの笑顔で答えるとギターを持ってステージに上がって行くとおたえ、りみもステージに出て行いった。最後に有咲が俺の横を通り過ぎて行く。俺は一言だけ伝えて舞台裏をあとにした。

 

「頑張れよ…有咲」

 

 返事は帰ってこなかったけど、きっと聞こえたはずだ。あとは沙綾が来てくれれば。

 

 観客席の一番後ろに移動した俺はライブを見守ることにした。お客さんが見ている中で音の調整したりという緊張する場面でも確実に音の調整を終わらせて香澄が挨拶を始めた。

 

「こんにちは! Poppin'───」

 

「待て待て。いきなり自己紹介だっけ?」

 

「え?」

 

 俺はこのぐだぐだな感じを目の当たりにして顔に手をやった。

 

 なにやってんだか………。お客さんは笑ってるから良いものの。まぁ香澄らしいちゃ香澄らしいんだけど。個性は大切だよな。

 

「文化祭盛り上がってますかー?!!」

 

 すると大きな歓声が上がる。女子率が高いのか歓声の声が高い。周りを見ると確かに女子率が高いのがわかる。男の肩身が狭い…………。

 

 そんなことを思っていると最初の曲が始まった。

 

「最初の曲いきます!! 私の心はチョココロネ!」

 

 俺が倒れた時、クライブで俺を含めた5人で演奏した曲。元々はりみの鼻歌をお姉さんのゆり先輩が作ったらしい。才能があるってすごいな。作曲なんてなにが出来るかわからないからやろうとも思わない。歌詞を考えてる香澄は正直すごいと思う。

 

「あちゃー始まっちゃたかー」

 

 ライブの音にかき消されそうな声が聞こえた。ふと隣を見ると息を切らした優衣。クラスの手伝いが終わって来たんだろう。何も会話をせずに2人でライブを見守った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 1曲目、私の心はチョココロネが終わり歓声が上がる。

 

「ありがとうございました! 次は、今日のために作った曲です! ……今日は1人居ないけど、いつか一緒に歌おうって約束しました」

 

 そんな約束してたのか。沙綾と………。

 

「いつかはまだだけど……信じてる…一緒に歌うこと……出来るって」

 

 香澄………。

 

 右手を堅く握りしめた。あの時連れて来るのが一番だったかもしれない。だけど無理やりなんて楽しいわけがない。ただでさえ、他人が楽しめないのに自分が楽しめるわけないと言っていたんだ。

 

 じーっとステージを見ていると右手に違和感を感じ、見てみると優衣が俺の右手を握っていた。

 

「大丈夫……」

 

 にっこり笑ってそう言う。ふっと一瞬だけ笑ってステージを見た。次曲を演奏するためにりみがスマホを操作して、香澄を見て頷く。頷き返して再び口を開いた。

 

「えっと……そんな気持ちも込めて歌います。聞いてください!」

 

 まさに曲名を言おうとした瞬間。体育館の扉が開いたここからでは見えないが、俺はなんとなく予想がついていた。きっとあの家族なら背中を押してくれると思ったから無理やり連れてくるという考えを切り捨てた第1の理由。

 

「さーや!?」

 

「沙綾!」

 

「沙綾ちゃん?!」

 

 お前なら来てくれるって思ってた。やっと向けられたんだな……その優しさを自分に。

 

 香澄は笑顔で沙綾に手を差し伸べると、その手を掴んでステージに上がった。ドラムの場所まで移動して座ると早速調整を始めた。なにやらステージ上で話しているけど、マイクが拾ってないため聞こえない。少しして、調整が終わったのかスティックを持って叩き始めた。

 

 その音とリズムは本物だった。本当にここ数ヶ月やってない人の音だろうか。正直俺なんかよりも全然良い。

 

 驚いていると調整が終わった。全ての準備が完了し、香澄が前に振り返り言った。

 

「お待たせしました。……聞いてください!」

 

 

 

 沙綾に思いを伝える為に悔し涙を流しながら書いた歌詞。

 

 

 

 

 

「STAR BEAT! ~ホシノコドウ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライブは大盛況で終わった。最後に聞いたグループ名には正直驚いた。だって聞いてなかった上に隠してたらしい。でも……香澄達らしいな。Poppin'party。5人でか………いつかその名前が世に響き渡る時がくるのかな。

 

 なんて考えながら校舎裏で有咲が来るのを待っていた。大事なことを伝えるのは確かなんだけど、なんか校舎裏だと変に緊張するな。ラブコメあるあるか。……ラブコメあるあるなのか……?

 

「ごめん。遅くなった」

 

 今はどうでも良いこと考えていると有咲が来てくれた。クラスの片付けを後回しで来てくれてことを考えて話は手短にしないと。

 

「有咲、単刀直入に言うな」

 

「うん」

 

 もう後戻りは出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

「俺、アメリカに引っ越すことになったんだ」

 

 

 

 

 

 

「え? ………いつ?」

 

「今から……。荷造りはもう終わってるから。もう日本を発つ」

 

 罪悪感しか出てこない。有咲は急のことに驚いているが、すぐに怒るだろうと思っていた。そう……すぐに。しかし違ったどころか、有咲の頬を伝う涙に俺は思わず。「有……咲?」と声を詰まらせてしまった。なんで泣いてるんだ? なんで………。ここまで黙ってて怒るかと思ったのに。

 

「なんで泣いてるんだよ………。怒らないのか?」

 

「だって……せっかく分かり合えたのに……また一緒に過ごせると思ったのに………!」

 

 そう言うと有咲は両手で顔を覆ってその場に座り込んでしまった。すすり泣く声に、罪悪感が強まっていく。座り込んでしまった有咲の前でしゃがんで声をかけた。

 

「………本当に……ごめんな。本当は言うべきだと思った。だけど、どうしても言えなかったんだ。みんなの悲しむ顔を見たくなくて」

 

 何を言っても泣きやんでくれない有咲に俺の心は強く締め付けられる。本当なら行きたくなんてない、止められるものなら止めたいよ………あのクソ親父を。だけど今の俺には無理だ。だからせめて……約束だけでも。

 

「有咲……。今言うことじゃないかもしれないけど、やっぱり有咲のことが好きだ。ずっと前から好きだった」

 

 いきなり告白された有咲は両手を顔からどけて俺のことをじっと見てきた。目は赤く頬はうっすらと涙で濡れている。涙をそっと手で拭い、右頬に手を添えた。

 

「絶対帰ってくるから。何年かかっても………絶対に帰ってくる。だからその時、有咲の気持ちが変わってなかったら俺と付き合ってくれ」

 

 何も言わずにただ頷いてくれた。一足先に立ち上がって有咲に手を差し伸べる。手を掴んだのを確認して優しく引っ張り上げた。これでお別れそう思うと目の前に居る有咲が愛おしく思えてくる。

 

「待ってるから………ずっと待ってるから。絶対に帰ってきてよ……“けい”」

 

「もちろん。絶対帰ってくるから」

 

 最後にそっと有咲に────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから2年─────時が経つのは意外と早い。こうして部屋に広がるダンボール箱を見ると思う。

 

 ダンボール箱が部屋のあちこちに置いてある中、俺はベッドに座ってスマホの写真を眺めていた。画面に写る花咲川女学園の文化祭で撮った写真。右にフリックすると5人で海が背景の写真。妙に沙綾だけ気合い入ってるように見えるのは俺だけだろうか………。また右にフリックすると全員花女の制服で撮った写真。2年生になった時の写真らしい。ぱっと見わからないから、なぜ同じ写真を送ってきたのかと不思議に思った。

 

 ふと窓の外の景色を見ると空には綺麗な雲1つない青空が広がっていた。

 

「もうすぐ……約束を果たせる。待っててくれ───」

 

 

 

 スマホの画面を消してポケットにしまい部屋に飾ってある、いつ撮ったかは忘れた有咲と俺のツーショットの写真を見ながら言った。

 

 

「有咲」

 




ということで最終回。そして最後の部分を読んでわかる通り、続きがございます!! ドンドン! パフパフパフ! 

続きの内容は今のところ二通りあります。1つはこのお話の続きです。そしてもう1つは、作者が好きな仮面ライダーとのクロスオーバーを書こうと思います。あくまで予定なので、変わることありますぞ!

新たに高評価くださった方ありがとうございます!!

ここまでご愛読くださった方々ありがとうございます(^_^) 読者様のおかげで素晴らしい作品が出来て作者はとても嬉しいです。では、次会うときまで。

実はもう1話最後にあったりして。
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