ソードアートオンライン 〜鋼鉄の記憶〜   作:誠家

3 / 99
さあさあ!感想くれて俺の無茶振りに付き合ってくれた人、ありがとうございました!これからも頑張ろうという気合いが入りましたね!それではトリプル主人公のラスト!どうぞ‼︎


第3話 霧谷 隼人

ヒュウッ…

芝生の上に寝転がる俺の前髪を爽やかな風が揺らす。

ここは東京都にある荒川の河川敷。野球少年達の走る音や掛け声が目を瞑っている俺の耳に微かに聞こえてくる。

 

俺はゆっくりと目を開け空を見上げる。空は鮮やかな青色に包まれていて雲がひとつもない。快晴とはこういうときのために作られた言葉なのだろう。俺は外れかけていたヘッドホンをつけ直し、スマホを持ち上げる。するとある音声が俺の耳に入り込んでくる。

 

『やっと起きましたか。隼人さん。』

「いや、元々寝ちゃいなかったさ。少しうとうとはしたけど。」

『その割には目が半開きですけど?』

「太陽がまぶしすぎるんだよ。」

 

俺は「ふうっ…」というため息とともに上体を起こす。

 

「アカネ、今何時だ?」

『現時刻は11時37分ですね』

「まだ少し時間あるな…」

 

俺はスマホの画面に向かって話しかける。

 

「アカネ、近くに大きな図書店ないか?」

『あっ、ちょっと待ってくださいね…。はい、ありますね。河川敷の上の道路をひたすら南に行くと西側に見えてくるそうです。』

「ありがと。」

 

手をついて重い体を持ち上げる。

 

「よし、そこで時間つぶすか。」

 

友達の家に行くという選択肢があるのでは、と思う人もいるだろうがところがどっこい。俺には友達と呼べる人物は幼馴染のご近所さんぐらいしかいない。

 

『隼人さん、友達いなくてもいいことありますよ。』

 

俺の思考を読み取ったかのようにヘッドホンから声が聞こえそれにこう返す。

 

「ほっとけ。」

 

慰めの言葉が逆に痛いからな。俺はスマホをポケットに入れ、コンクリートの道路を歩き始めた。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

アカネはAIだが別に俺が作ったわけじゃない。

アカネを作り、言い方は悪いが元々所持していたのは兄である瑛一だった。

俺からすればほとんど勝てるところのない憧れの人物だった。リーダーシップがあり、運動も勉強もできていた。

理工学と柔道は俺が勝っていたがそれ以外は本当に勝てなかった。俺もあんな人になりたいと本気で思っていた。

だが、そんな兄はいきなり消えてしまった。死んだわけじゃない。俺が家で朝起きると机の上に「探さないでください。」と書かれた紙切れとひとつのスマホだけが置いてあった。そのスマホの中に保存されていたのがアカネだった。

 

アカネはすでに知識があり、育てることに手間がかかったということはなかった。

兄はゲーム会社の《アーガス》に勤めており、俺がベータテストに初当選したあの話題のソフト、《ソードアート・オンライン》の製作にも少し手を貸したということで両親が大喜びしていた。

そんな幸せな兄が消えてしまったのは正直謎だった。彼が失踪したり家出等をする理由が全然思いつかない。そしてもう一つ不思議なのが近所に住んでいる同い年で幼馴染の女の子のお兄さんも俺の兄と同時期に失踪したということだった。同時期に二人の、しかも家が近い人物が失踪するというのは偶然とは言い難い。何かが関係しているとやはり考えてしまう。そして何故アカネを置いていく必要があったのか。そうした理由も全く検討がつかない。AIほど使えるコンピューターなどこの世には存在しないというのに。何故だろう。今まで散々考えてきたことだが未だ真実には程遠いとしか言いようがなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「ありがとうございましたー」

 

店員のやる気のない声が俺の耳に入ってくる。

 

『隼人さん、どうでした?あそこの本屋。』

「品揃えは…まあまあだったな。そこらへんの本屋とほとんど変わらない…まあ普通の本屋だったよ。」

 

右手に持った袋がガサガサと音を立てる。

 

『隼人さん、何を買ったんですか?』

「雑誌だよ。ゲームの。」

『好きですよね、ゲーム。』

「そうだなー…ま、幼馴染に生粋のゲーマーがいたからな。おそらくそいつの影響だ。昔はよくゲームで遊んでたよ。…いや、しごかれてただけか…。」

『ですが最近は遊んでないようですけど…』

「俺もあいつも中学生だし、異性だし。小5か小6ぐらいから遊ばなくなったな。」

 

俺は少し過去の自分を振り返る。

ゲームがなかなか上達しなくてあいつにすげー叱られたっけ。『違う!そうじゃない‼︎』『もう!なんでこんなこともできないの⁉︎』といった感じに。今となっては良い思い出だ。

 

そんなことを考えているといつの間にか家に到着していた。俺は表札を通り過ぎポストを確認する。すると一通の封筒がポトリと落ちてくる。差出人は霧谷瑛一。兄だ。兄は家族に心配をかけまいとしてか毎週一通は手紙を送ってくる。住所等は書いてないので返すことはできないが。だがこの手紙のおかげで俺たちの家族が普通に生活できているのは確かだ。この手紙のおかげで両親は安心し警察に捜索願を出さずにいられている。親(特に父)の一時期の憔悴っぷりはそれは凄まじいものだった。

 

俺は苦い思い出を思い出しながら、封筒を取り出しドアを引き開ける。

 

「ただいまー。」

「おかえりー。」

「おかえり。」

 

いつもと変わらない声で両親が出迎えてくれる。

 

「あれ、父さんいたの?」

「ああ、土曜日だから早くに終わったんだよ。」

 

俺の父親、霧谷孝蔵は大手食品メーカーで働いている。昔は科学者を目指していたらしいが大学時代に挫折し断念したと自分で語っていた。

 

「母さん、これ。兄さんからの手紙机の上に置いとくから。」

「ありがとう。あ、隼人。柔道の試合、来週の土曜日に入ったからって先生からメールきたわよ。」

「分かった。ありがとう。」

 

俺は両親に背を向けると階段を登り自分の部屋に入る。部屋の中はベッド、机、本棚、クローゼットだけのシンプルな構造になっている。俺はベッドに腰掛けると本屋の袋から雑誌を取り出しパラパラめくる。

 

『今回はなんの特集なんですか、隼人さん』

 

俺がほぼ毎月買ってるこの雑誌はいつも内容が違う。先月のは確かモンハンの最新作の特集だった。

 

「今月はもちろん、ソードアート・オンラインだよ。」

 

今月の特集ページにはソードアート・オンラインの情報、製作者へのインタビュー記事などがでかでかと掲載されていた。俺はベータテストに当選していたのでゲームのレベリングの仕方などは無視して3、4ページほどめくりインタビュー記事に目を落とす。そこに載っていたのは長々と書かれた文章と白衣の男の写真。彼は茅場晶彦。ナーヴギアの基本設計、ソードアート・オンラインの製作責任者をも手がけている。もはやゲーマーの中で知らない者はいないだろうと言われている程の超有名人。

 

「すげえなあ、この人。ナーヴギアの基本設計なんて並大抵の頭じゃできねえよ。」

『それだけ複雑ですからね。ナーヴギアは。それより隼人さん、そろそろお時間ですよ。』

「へ?なんの?」

『ソードアート・オンライン正式サービス開始のお時間です。』

「あ、そっか。13時からだったか。」

 

壁にかけている時計を見ると12時55分を回っていた。

俺はベッドの脇に置いていたナーヴギアを取り出し、コンセントをさしてから頭に装着する。

 

「アカネ、カウンドダウン頼む。」

『わかりました。30秒前。』

 

時間が経つにつれて心拍数がどんどん上がっていく。ようやく戻れる。あの世界に。

 

『10秒前。9、8、7、6、5、4、3、2、1…0!』

 

アカネが最後の数字を言った瞬間俺も口を開ける。

 

 

「リンクスタート!」

 

 

俺の体が一瞬の浮遊感に包まれた。




さて、次話からついに本編に入ります。待ち遠しかったでしょう。俺も待ち遠しかった!やっと終わった紹介編!ヒャッホーイ‼︎さ、次話も気合い入れて頑張ります!お楽しみに…してくれたら嬉しい!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。