もこたんのヒーローアカデミア   作:ウォールナッツ

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タイトル回収会


もこたんとヒーローネーム

 雄英体育祭から2日間の休日を挟んで後の登校日。1年A組のクラスでは登校した生徒たちが雑談に花を咲かせている。もちろん、話題は体育祭後の周りの反応についてだ。

 

「超話しかけられたよ、来る途中!」

 

「私もジロジロ見られて、何か恥ずかしかった!」

 

「俺も!」

 

 芦戸と葉隠が楽しげにそう言うと、他の生徒たちも同じ状況だったようで、同意の声が上がる。しかし、一方でスッキリしない表情を浮かべている者たちも居た。

 

「俺なんか小学生にいきなりドンマイコールされたぜ」

 

「俺もだ…」

 

「ドンマイ」

 

 瀬呂と常闇の嘆きは軽く流されてしまった。最終種目まで残ったというのに、常闇に至っては3位に入賞するという結果を残したというのに、この扱いである。

 

「妹紅はどうだった?」

 

「ああ、何度も声をかけられた。それは別に良いんだが…マスコミのインタビューが大変だったな。施設(いえ)まで押しかけて来るし…」

 

 葉隠の問いに妹紅は覇気無く答えた。その顔は休み明けとは思えないほど疲れているようにも見える。

 過去のオリンピックに取って代わる人気を誇ると言われる雄英体育祭。優勝者ともなれば金メダリスト級の話題性を持ってしまうのは自明の理である。当然、マスコミたちは妹紅の特定に躍起なった。そして彼等がどこから情報を仕入れたのかは知らぬが、体育祭の翌日には寺子屋の前に多くの報道陣が押しかけてきていたのだった。

 

「あ、見た見た!妹紅がインタビューに応えてるのテレビで見たよー!アレって体育祭の次の日だったでしょ?疲れが残ってるっていうのに大変だよね!少しくらいゆっくりさせてあげればいいのに!妹紅もあんなの無視して良かったんじゃない?」

 

「変に取材拒否してマスコミを敵に回したくなかったんだ。周りに迷惑をかけてしまうのは…ちょっとな……」

 

 芦戸の言葉に、妹紅はそう答えた。妹紅自身はメディアから何を言われても構わないが、寺子屋の関係者にそのしわ寄せが来てしまうことだけは避けたかった。

 慧音は“まだプロでは無いのだから、嫌なら取材なんて受けなくてもいいんだぞ?”と言ってくれたのだが、妹紅はその言葉に甘えることは出来なかった。なにせ、寺子屋には小学校や中学校に通う弟や妹も居るのだ。下手な対応でメディアの不興を買って、彼等の学校生活に悪影響を及ぼすなんて事は、姉として許容出来なかった。

 結局、休日はインタビューや取材の対応などで潰れてしまい、ほとんど休めなかった。正直な話、体育祭当日よりも大変な休日を過ごす羽目になってしまったのだった。

 

「優勝者は大変なのね」

 

「妹紅…お疲れ様」

 

 蛙吹がそう呟き、葉隠が労う。妹紅は“ありがとう”と言って礼を返した。

 

「で、でもよ、藤原が未来のヒーローとして世間に認知されたって意味でもあるぜ!?」

 

「そうそう!たった一日で日本中の注目の的になっちまうなんて、やっぱ雄英は凄ぇよ!」

 

 疲れを見せる妹紅を元気づけようと切島と瀬呂がポジティブな話題を切り出した。

 彼等を含め、クラスメイトの多くは妹紅が孤児院で暮らしている事をマスコミの報道で初めて知った。その報道が正しければ、妹紅が身を寄せている孤児院は児童虐待やネグレクトなどの被害を受けた子どもたちが幾人も入居しているという話だった。その報道を見た時、彼等は察した。妹紅の表情の無さや感情の薄さ、そして戦闘訓練時に見せた自傷への躊躇の無さ。それらの理由を“もしや…”と、察してしまったのである。

 当然、彼等はその事を不遠慮に追求する気は無かった。慌てて話題を変えたのは、そういう理由からだった。

 

「おはよう」

 

「「「「おはようございます!」」」」

 

 そんな話をしていると、チャイムが鳴った。席を離れて喋っていた生徒は急いで自分の席に着く。そして、チャイムが鳴り終わると同時に担任の相澤が朝の挨拶と共に教室に入ってきた。生徒たちもしっかりと挨拶を返す。

 

「相澤先生、包帯がとれたのね。良かったわ」

 

婆さん(リカバリーガール)の処置が大袈裟なんだよ。んなもんより、今日の一限目のヒーロー情報学はちょっと特別だぞ」

 

 数日前まで相澤はUSJ襲撃の際に受けた怪我の処置で包帯を巻いていたのだが、ようやく完治したようで、普段と変わらぬ様子でホームルームを始めた。一限目から特別な授業だと言われた生徒たちは小テストなどを警戒する。しかし、それは良い意味で裏切られた。

 

「『コードネーム』。ヒーロー名の考案だ」

 

「「「夢ふくらむヤツきたあああ!!」」」

 

 諸手を挙げて大喜びする生徒たち。しかし、相澤は睨みを利かせてそれを黙らせた。個性も発動させている辺り、ガチである。生徒たちは一瞬で静まり返って姿勢を正すと、再び相澤の話に耳を傾ける。

 

「というのも、先日話した『プロからのドラフト指名』に関係してくる。指名が本格化するのは経験を積み、即戦力と判断される2年や3年から…。つまり今回来た指名は将来性に対する興味に近い。卒業までにその興味が削がれたら、一方的にキャンセルなんてことはよくある」

 

「頂いた指名がそんまま自身へのハードルになるんですね!」

 

 葉隠が言うと相澤は頷く。つまり体育祭は単なる前座。本番は正しくこれからという事だ。

 

「そうだ。で、その指名結果がこれだ」

 

 相澤が手元のタブレットを操作すると、黒板の前に白いスクリーンが降りてくる。そして、雄英に送られてきた各生徒の指名件数がそのスクリーンに映し出された。

 

  A組指名件数

 藤原  4,278

 轟   3,461

 爆豪  2,264

 常闇  332

 飯田  328

 上鳴  202

 八百万 88

 切島  54

 麗日  18

 瀬呂  9

 尾白  4

 

「例年はもっとバラけるんだが、今年は3人に偏った」

 

 その一覧を見た生徒たちが思い思いの声を上げた。とはいっても、約半数は指名が来ていない訳なので沈痛な声が多く、指名を貰った者たちもトップ3の圧倒的な指名数に驚きを隠せないでいるようであった。ただ、麗日だけは自身の予想以上に指名が来ていたようで、前席の飯田の肩を掴んでガクガクと揺さぶるほど喜んでいる。

 

「だーーー、白黒ついちまった!」

 

「2位と3位逆転してるじゃん」

 

「チッ!」

 

「流石ですわ藤原さん、轟さん」

 

「俺のはほとんど親の話題ありきだろ…」

 

 ザワザワとうるさくなる教室内だったが、相澤が一瞥するだけで生徒たちは慌てて口を閉じた。相澤は静かになった事を確認すると、話を続ける。

 

「これを踏まえ、指名の有無に関係なく職場体験に行ってもらう。プロの活動を実際に体験して、より実りある訓練にしようってこった。職場体験っつってもヒーロー社会に出ることには違いない。つまり、お前らにもヒーロー名が必要になってくる。まぁ、仮ではあるが適当なもんを付けたら――」

 

「地獄を見ちゃうよ!この時の名が世に認知されてそのままプロ名になってる人は多いからね!」

 

「ミッドナイト先生!!」

 

 急に扉が開き、18禁ヒーロー、ミッドナイトが教室に入ってきた。彼女はそのまま教壇に立つ。一方、相澤は寝袋を取り出している。寝る気満々だ。

 

「その辺のセンスはミッドナイトさんに査定してもらう。俺はそういうの出来んからな。将来、自分がどうなるのか。名を付けることでイメージが固まり、そこに近づいていく。それが“名は体を表す”ってことだ。よく考えてヒーロー名を付けろよ」

 

(私のヒーロー名、か…)

 

 妹紅は配られたボードを前に、目を閉じて思案する。ヒーロー名が思い浮かばない訳では無い。しかし、人生をかけたネーミングになるかもしれない訳なのだから、熟考を重ねなければならなかった。

 5分、10分と眼を閉じ続けた後、妹紅はゆっくりと目を開けた。そして、一字一句に想いを乗せて、己のヒーロー名をボードに書き込んでいく。

 

「じゃあ、そろそろ出来た人から前に出て来て発表してね」

 

 ミッドナイトが発したその言葉に生徒たちがざわめいた。まさか皆の前での発表形式だとは思っておらず、生徒たちは尻込みしている。そんな中、芦戸が真っ先に手を上げて教壇に立った。

 

「はーい!アタシ出来ました!リドリーヒーロー、エイリアンクイーン!」

 

「血が強酸性のアレを目指してるの!?やめときな!」

 

「ちぇー」

 

 自信満々の表情で発表した芦戸だったが、ミッドナイトの忠告を受けて再考となった。トップバッターに変なのが来たせいで、更に発表しにくい空気になってしまったが、そんな空気を蛙吹が変えてくれた。彼女のヒーロー名はフロッピー。皆から愛される、お手本のようなネーミングだとミッドナイトが絶賛するほどだった。

 次に手を挙げたのは切島だ。彼は尊敬するヒーロー、紅頼雄斗(クリムゾンライオット)をリスペクトして、烈怒頼雄斗(レッドライオット)と名乗った。憧れの名前を背負う重圧は覚悟の上だと言い切り、その決意を漲らせる。

 そして、次の発表者は…となった時、ここで妹紅が手を挙げた。

 

「…次、良いですか?」

 

「良いよ!発表しちゃいな!」

 

 教壇についた妹紅はボードを皆に見えるように置く。そして、それを読み上げた。

 

「フェニックスヒーロー、『もこたん』です」

 

「あだ名!?え、ホントにいいの!?そんなゆるキャラみたいなヒーロー名で!?」

 

 ミッドナイトが目を見開いて、妹紅を問い質す。妹紅が頷くと、彼女は頬に手を当てて首を傾げた。

 

「あなたならもっとこう…気高くてクールビューティーな名前の方が似合うんじゃないかしら?」

 

 ミッドナイトは妹紅をマジマジと見つめながら疑問を呈した。彼女の意見に同意するように頷いている生徒たちも何人かいる。しかし、妹紅は首を横に振ってそれを否定した。

 

「いえ、むしろ私は親しみやすさを押していきたいので…それに…」

 

「それに?」

 

「…インターネット上での、私の呼び名が『もこたん』で統一されつつあるそうです」

 

 妹紅が僅かに困った表情を見せた。実は体育祭の翌日、寺子屋卒業生の兄から“妹紅、お前ネットでも『もこたん』って呼ばれてるぞ!”と、言われたのだ。兄は爆笑していた。

 妹紅はそんな筈は無いだろう、と思って自分の携帯で検索してみると、出るわ出るわ『もこたん』の文字。本名よりも『もこたん』の方が検索件数が多いという結果に妹紅は言葉が出なかった。

 

「あ~、名前付ける前から世間に認知されちゃったパターンね。たま~にあるのよ、そのパターン。相当に濃いキャラした生徒じゃないと付けられないんだけどねぇ…。強個性と特大火力で雄英体育祭優勝、そして無表情の超色白美人……うん、キャラは充分に濃かったわ!」

 

 ミッドナイトが鞭を鳴らして頷いた。色素は薄いがキャラは濃いらしい。

 

「でも、あなた自身はこれで良いのかしら?この先、プロヒーローと成れば本名で呼ばれるよりもヒーロー名で呼ばれる事の方が多くなるわよ。『もこたん』ってね。本当にそれでも良いのね?」

 

 ミッドナイトが最終確認の意を込めて妹紅に尋ねた。彼女の一番の心配はコレだ。本人が好まぬ名前など苦痛でしかない。そうなってしまってはヒーロー活動すらも辛くなってしまうだろう。

 しかし、妹紅はこの呼び名が別に嫌いという訳では無かった。

 

「ええ、構いません。私は小さな子どもたちにも慕われるようなヒーローを目指していたので、ヒーロー名も気軽に、親しげに呼んでもらえるような名前を付けようと思っていました。インターネット上で広まった呼び名がコレだったのは、むしろ幸運だったかと思います」

 

 『もこたん』とは即ち『もこうちゃん』が訛った呼び名だ。弟から『もこたん』と呼ばれる度にその名を言わないように諭していたのは、年上なのだから『ちゃん』では無く『姉さん』と呼びなさい、という意味合いからであって他意は無い。むしろ、兄や姉たちからも昔はそう呼ばれていた事もあり、好ましいとすら思っていた。

 妹紅自身も気に入っており、ネットでの知名度もある。そして、小さな子どもたちでも親しめるであろうヒーロー名だ。ミッドナイトも、それならば、と納得した。

 今ここに、未来のヒーロー『もこたん』が誕生したのだった。

 

「切島君とはまた違った覚悟の決め方…ふふふ、中々イイじゃない!さぁー、次は誰かしら!?」

 

 その後は、他のクラスメイトたちのヒーロー名も次々と決まっていき(爆豪だけは何度も再考させられていたが)、命名の時間は終わった。寝袋の中から相澤がモゾモゾと這い出てくると、彼は再び教壇に立つ。そして、本題の説明を始めた。

 

「職場体験は一週間。肝心の職場だが、指名のあった者は個別にリストを渡すから、その中から自分で選択しろ。指名のなかった者は予めこちらからオファーした全国の受け入れ可のヒーロー事務所40件。この中から選んでもらう。それぞれ活動地域や得意なジャンルが異なるから良く考えてから選べよ」

 

 相澤がそう言って生徒たちにプリントを渡し終えた所で、一限目終了のチャイムがなった。相澤たちは“今週末までに提出しろよ”と言い残し、退出していく。因みに今日は水曜日。期限は後2日しか無かった。

 

「うわ、藤原のリストの厚さヤバっ!」

 

 妹紅がヒーロー事務所のリストを見ていると、横から耳郎が驚きの声を上げた。妹紅の指名件数は4千件を優に超えており、それらが書かれたリストの枚数は100枚近い。端から見ると分厚い冊子のようだった。

 

「ホントだ、すげぇ!なぁ藤原、ちょっとそのリスト見せてくれよ」

 

「ん?ああ、別に構わない」

 

 耳郎の声に釣られて、隣席の瀬呂も声をかけてきた。そして妹紅のリストを見せて欲しいとせがむ。特に頓着の無い妹紅は、気にすること無く自分のリストを瀬呂に手渡した。

 

「瀬呂、アンタね…。まずは自分のリストを確認しなよ」

 

「俺の指名件数、たったの9件だぜ?もう見終わっちまったよ。それに体育祭優勝者のリストも見てみたいじゃんか。耳郎もそう思わね?」

 

「そりゃ、まぁ、見たいけど…」

 

 耳郎も興味が有るようで、瀬呂の横から妹紅のリストをチラチラ見ていた。瀬呂はそんな耳郎を気にも止めずにリストに目を通していく。リストは五十音順だ。

 

「うおお、エンデヴァーヒーロー事務所…!それにエッジショットも!?まさか…やっぱりウィングヒーローのホークスからも指名が来てるぜ!ベストジーニストからは……無いか」

 

 No.2ヒーロー、エンデヴァー。No.3ヒーロー、ホークス。No.5ヒーロー、エッジショット。そうそうたる顔ぶれに瀬呂のテンションが上がる。ただ、No.4ヒーローのベストジーニストからの指名は無かった。

 

「凄っ!ねぇラビットヒーローのミルコとか、ドラグーンヒーローのリューキュウとかの女性ランカーからは?」

 

「ええと、み、み、み…あった!ミルコ!り、は後ろの方のページか…あった!リューキュウもあるぜ!トップ10ヒーローから来ている指名は以上みたいだな」

 

 耳郎の言葉に瀬呂はリストをペラペラと捲って探し、そして見つけた。ラビットヒーロー、ミルコ。ドラグーンヒーロー、リューキュウ。この2人は女性ながらもヒーローランキングのトップ10にランクインするほどの実力者である。同時にヒーローを目指す女子たちから並々ならぬ支持と羨望を集めるヒーローたちでもあった。

 

「トップ10ヒーローの半分から指名かよ!すげぇな、優勝者!」

 

「いくら指名が来たとしても職場体験には一件しか行けないんだがな」

 

 有名ヒーローからの指名を一通り確認した瀬呂はリストを妹紅に返す。興奮冷めやらぬ瀬呂だが、当の本人である妹紅は平静のままだった。もちろん、沢山のヒーローから指名が来たことは嬉しい。特にリューキュウは妹紅の好きなヒーローの1人だ。クールビューティーで個性も格好良く、雰囲気が何となく慧音に似ているところも好きな理由の一つだった。

 とはいえ、それだけで職場体験先を決めるわけには行かなかった。知名度や実力、自分の個性との関連性などを考えて決める必要がある。それで考えると体験先は必然的にエンデヴァーヒーロー事務所が有力となってくるのだが、轟の“あの話”を聞いた後では、そう簡単に決めることは出来なかった。

 

「ほう、贅沢な悩みをしているではないか、もこたん!」

 

 表情を見せずに悩んでいた妹紅に葉隠が話しかけた。いつも以上にテンションが高いように見える。

 

「ん?どうした葉隠」

 

「葉隠?ふふふ、違うぜ、もこたん!」

 

「…?…ああ、なるほど。どうしたステルスヒーロー、インビジブルガール」

 

 暫し考えた後、合点がいった。妹紅が葉隠のヒーロー名を呼ぶと、彼女は嬉しそうに“正解!”と声をあげる。どうやら誰よりも先に、妹紅から自分のヒーロー名を呼んで欲しかったようだ。

 

「あ、どうしたのかって?いやー、そのまんまだよ。贅沢な悩みしてて羨ましいなーって思って話しかけただけ。それより妹紅、指名数1位おめでとう!ヒーロー名も凄く似合ってるよ!」

 

「ありがとう、葉隠。戦闘訓練でペアになった時、私をもこたんって呼んでくれただろう?あの時は気恥ずかしくて本名で呼んでくれと言ってしまったが…本当は可愛いと言ってもらえて嬉しかった。おかげでヒーロー名を決める切っ掛けになった」

 

 妹紅が葉隠を見ながらそう言うと、彼女は照れくさそうに笑った。妹紅が真顔で言うものだから少し恥ずかしかったが、それ以上に嬉しかった。

 

「あはは、そうなんだ!もうお互いに今の呼び方で慣れちゃったけどね。えへへ、なんか照れるね!」

 

 葉隠が照れ隠しにワイワイとはしゃいでいると、耳郎がヒーロー事務所リストを片手に声をかけた。

 

「葉隠、アンタは遊んでる場合じゃ無いでしょ。受け入れ可の事務所から自分に合った所を探さないといけないじゃない。まぁ、ウチもだけど」

 

「私はもう決めたよー。受け入れ可の40件に、隠密捜査の得意なヒーローが居る事務所がたまたま有ったんだよね。ほらこのヒーロー事務所」

 

 葉隠はそう言ってリストを指差して示した。妹紅も耳郎も知らないヒーロー事務所だったが、隠密捜査を主体とするヒーローならば知名度が低いのも仕方が無いだろう。葉隠は自分の個性柄、隠密系の個性を持ったヒーローに興味があったとのことだった。

 

「妹紅はどのヒーロー事務所に行くか決めた?」

 

「いや、まだだ。興味がある事務所はいくつかあるが、とりあえず一通り目を通してから決めようかと思っている」

 

「そっかー」

 

「ウチはどうしようかな。音系個性のヒーローが居る事務所が良かったんだけど、無いしなー。うーん…」

 

 その後も3人で色々話していたが、2限目が始まるチャイムが鳴ったことで葉隠と耳郎は自席へと戻っていった。妹紅は指名リストを鞄にしまい込み、次の授業の準備を始める。次の授業は一般科目だが、雄英のレベルはとても高い。授業に集中していなければ、すぐに置いて行かれてしまうほどだ。

 しかし、職場体験先や、轟とエンデヴァーの事などがどうしても思考の片隅から出て行かず、妹紅は勉学に集中しきれない1日を送ってしまうのであった。

 




もこたんインタビューされる。
 体育祭の翌日にはマスコミが押しかけてきています。人の口に戸は立てられないのです。きっとオールマイト直伝の指笑顔を半強制でやらされた事でしょう。
 そして個性が『不死鳥』だと公にしました。ただし、蘇生能力については、ぼかして伝えています。『死んだことが無いので分かりません』って感じですね。

次。もこたん指名件数1位。
 原作で2人に偏っていた指名件数が3人に偏ることになった為、各々の指名件数は原作よりも僅かに少なくなっています。唯一、原作よりも指名件数が多くなったのは飯田。もこたんを追い詰めたことが評価された感じです。後、その飯田と戦った尾白にも指名が入っています。

次。トップヒーローから指名。
 飛行系の個性を持つホークスは、もこたんの個性に興味を示した為、指名を入れています。もこたんと常闇に指名を入れている形ですね。鳥仲間。
 エッジショットはもこたんのクールさに目をつけた感じです。クノイチもこたんですね。もこたんが蘇生する際に、エッジショットが「穢土転生の術!」と唱えるネタを思いつきましたが、外道過ぎるのでお蔵入りになりました。
 リューキュウはもこたんが女子の体育祭優勝者ということで指名を入れています。女性同士の方が何かと勉強になるだろうという彼女の親切心です。ミルコは多分なんとなく。
 エンデヴァーは……うん。

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