【とある魔術の禁書目録】朝起きたら人生勝ち組エリートコースだった俺が通りますよ   作:白滝

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終章 朝起きても人生負け組底辺ドン底なままの俺が通りますよ The_Man_Who_Became_A_Hero

「お前……は、ははは……なんだ、交通事故と共に登場とは、私を驚かせるドッキリでも仕込んでくれたのか?」

「あぁ……まぁ、そうなるかな?俺からのドッキリ、驚いてくれると嬉しいんだけど」

「残念だけど、そんな程度の事など、私は日常茶飯事で慣れてるわねぇ。正直、全く面白くない」

 黒服達に拘束され、パン屋に引き摺り込まれた。

 抵抗するが、俺の貧弱な腕では屈強な黒服に敵うはずがなかった。

 パン屋の中へ突き飛ばされる。

「へへ、乱暴な事で……」

「お前と会話する気はないわ。さっさとスタンガンで気絶させ、『不慮の事故』に見せかけて殺してやる」

「まぁ、そう言わずに、朝なんだからゆっくり話でもしようぜ、混晶さん。テレビでニュースでも流したり、パン食ってコーヒー飲んだりしてさ」

 俺は、手元にあったリモコンを拾い上げ、レジの奥にあったテレビを点けた。

「ハァ?誰にモノ言ってんのか分かってんの?……そのクソ生意気な口を潰すため、お望み通りちょーっと痛めつけてやるか」

 そう言って、混晶がパンを乗せるトレイを引っ掴み、ブーメランのように思い切り投げつけてきた。

 ガン!!と俺の頭に直撃し、思わず崩れ落ちた。

 痛っつー……

 身体に力が入らねぇ……

「テメェも拷問されたいようね。あぁ、そういやテメェも『混晶さん』『混晶さん』って気持ち悪ぃくらい私に引っ付いてきてたよなァ。あの鬱憤、ここで晴らしとくか?」

 そう言って、混晶が俺に近寄って来る。

 

 その時だった。

 

 

『次のニュースです。昨夜、統括理事会の臨時役員として新たに就任していた池村和清氏が、各地で銀行強盗、放火、少女強姦、通り魔殺人など、計、五二種類の犯罪を繰り返すという凶行が確認されました』

 

 

 

「……………………………………………………は?」

 

 

「くく、くくくくく……」

 思わず、笑みが零れた。

 混晶が、顔面蒼白になっている。

「なん、だ……これは……」

「だから言ったろ……『ドッキリを用意してる』って。これもお前にとっては日常茶飯事か?」

「あ、なん、お前……一体なんでことを……」

「簡単な事さ。『有能』なお前にも分かるよう、丁寧に説明してやるぜ」

 言って俺はゆっくりと立ち上がる。

 混晶の顔から血の気が引いていた。

「俺はアンタに殺される。これは避けようがない。俺は『無能』だしな、アンタに勝てる方法なんてない――――だから、生き残る事を諦めて、大人しくアンタに殺される事にした」

「何を言ってんだ、お前……お前、一体何を企んで――――」

「簡単だって言ったろ。何しろ、『無能』な俺が思いつく程度のことだ。実は昨晩、俺はニュースの通り、犯罪を起こしまくった。実際には、ニュースよりも多くやってるよ。家に入って女の子をレイプしたり、コンビニ強盗もやったし宝石店のガラスをブチ破って警報装置も作動させたりした。警備員(アンチスキル)の詰め所に車を盗んで突っ込んだり、学校にガソリン撒いて放火もしたし、夜遊びしてた不良を包丁で刺して殺したりもした。あぁ、さっきそこで玉突き事故の交通事故も起こしたかな」

「だ、だから、なぜ……なぜそんな事をしたァ!?」

「『池村和清が犯罪者だと世間に浸透させる』。俺が犯罪者として世間に認知され、落ちぶれていく様子をマスコミにリークしたんだ!!これで俺は警備員(アンチスキル)に追われる指名手配犯だ。当然、俺は統括理事会を失脚させられるだろう……じゃあ、その後、お前はどうなると思う?」

 ギクリ、と。

 確実に、混晶が背筋を凍らせた。

「責任問題の追及……いや、そんなレベルじゃ済まない!?テメェは未成年のガキだから、全権を肩代わりする契約になっている私の存在まで糾弾される!?そしたら、テメェを『不慮の事故』で殺しても、私は統括理事会にのし上がる機会はなくなる……ッッ!?」

「く、くくく……確かに俺は『無能』だ。俺はお前には勝てない。これは事実だ。でもな、」

 そう言って、笑う。

「俺はお前の敵じゃない、一蓮托生の味方なんだよ。味方として統括理事会に俺を担ぎ上げたのは、そもそもお前じゃねぇか。俺は敵に勝つ事もできないどうしようもない程『無能』なクズだが、でも、味方の足を引っ張る『無能』な行為は、誰よりも優れてるんだぜ……そう、味方のお前の足をだ、木原混晶!!」

「あ、ぁ、ァぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 混晶が絶叫した。

「お前にそんな度胸があるかァ!!ある訳ない!!こんなのハッタリだ!!情報工作だ!!そうに違いない!!『無能』なお前に、こんな事ができるはずがない!!」

「逆だろ。俺は『無能』だ。だけど、『無能』だからこそ思いつく発想だってある。お前の敗因は二つ!!『有能』すぎたせいで、人間としてどうかしてるレベルの俺の『無能』さを把握できなかったこと!!そして、こんな『無能』なクズ野郎の、味方になっちまったってことだ!!」

 ダン!!と机を混晶が叩き壊した。

 腰のベルトから拳銃を引き抜く。

「殺す!!ぶっ殺してやる!!たかがテメェみたいな雑魚が、よくも、よくも私の計画をぶち壊しやがったなァぁぁぁああああああああああああああああああ!!」

 その言葉を聞いて、深呼吸した。

 死ぬ時がきた。

 分かっていた、ことだ。

 落ち着け。

「あぁ、殺してみろ。ってか、俺は殺されるためにここに来たんだしな」

「クソ野郎がァぁぁぁあああああああ!!」

 混晶が拳銃の引き金を引いた。

 その直前に、俺は語る。

「ただしその引き金は、巡り巡ってアンタにも災いを齎すぜ……先にあの世で待ってるぜ、マイハニー」

 次の瞬間、弾丸が眼球を貫き、俺の頭蓋骨をぶち抜いて、脳に穴が開いた。

 

 

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」

 どうする?

 どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?

 池村和清を殺してしまった。

 統括理事会の乗っ取り計画は失敗に終わった。

「まずは池村和清の死体の処分!!そ、そうよ!!まだ終わってない!!池村和清の凶行を利用する方法を考えるのよ!!私は『木原』!!こんな所で終わるはずがない!!はは、あハハハハハハハハ!!」

 笑う。

 笑う事で、絶望から目を逸らす。

 まだいける。

 ここで終わった訳じゃない。逆転のチャンスはきっとある!!

「さぁ、何やってるのお前たち!!さっさとガキの死体を運びな――――」

 そこで、ガチリと。

 自分の額に、黒服の男が銃口を突き付けているのに気が付いた。

「な、何をしてるの、アナタ……」

「いや、状況が変わりました。池村和清の捨て身の凶行が、マスコミにリークされています。ここから情報を潰すのは容易ではない。例えアナタが統括理事会に成り上がるよう裁判で勝ち抜いたとしても、もうその時点で他の役員に勝てるようなパワーバランスにはなっていないでしょう。弱みを握られ、意見を潰されるに違いない」

「ちょ、ちょっと待って!!まだ私は――――」

「こうなった以上、事件を揉み消すのは不可能です。そして、アナタと違って私達は契約書に記載されていない非公式の部隊だ。アナタと違って、『今なら手を引けば助かる』んですよ。人質の少女たちを救出し、これ以上何もしなければ……ただ一人、私達の存在を知る人物を消せねばなりませんが」

「待って!!お願い!!まだチャンスが――――」

「さよならだ」

 ズガン!!と、銃声が響いた。木原混晶が、ドサリと床に崩れ落ちた。

 黒服達は拳銃を和清の死体に握らせ、自分達の指紋を消してパン屋から立ち去る。

 街の陰に潜みながら、男達の一人は言う。

「あの池村和清って奴、意外と度胸ありましたねぇ」

「あんなのは度胸とは言わん。死を覚悟してヤケになっただけだ。酔っ払って公園で裸になるオッサン共と大差ない……だがまぁ、」

 そう言って、男達は空を見上げた。

「それでも、自分の仲間の命を救う事ができたんだ……こういう俺ら裏稼業の業界で、ああいう奴に出会えるのは結構珍しいよ。『無能』だが、ある意味、主人公みたいな奴だったな……報われる事はないが、それでも、ちょっと羨ましい気分にさせてくれる野郎だったよ……」

 そう言って、男は胸の前で十字を切ったのだった。

 

 

 

 




という訳でして、
序章を投稿してから、完結までに約1年と1か月半かかりました。長かった……
間に、木原SSを書いたり、BL短編を書いてみたり、新たな長期作品を始めてみたり、禁書以外の他作品の短編を書いたり、またまた禁書の短編を書いたり、余計な回り道が多かったです(汗)
3作目として書き始めたのに、何故か完結する頃には7作目になってしまいました。お気に入り登録して気長に待って頂いていた方には、感謝の言葉しか見つかりません。




では、恒例のあとがきタイムとして、裏話や小話など

実はこの作品は、ラブコメとギャグ描写が苦手だった私が、練習として投稿した見切り発車の二次創作だったんですよね。
で、ジャンプの「ToLoveる」みたいなノリをイメージして、テンプレな主人公ハーレム物に敢えてチャレンジしてみよう!!という魂胆でした。
しかし、1章の投稿ののち、お気に入り登録して頂けまして、喜び勇んで、長期作品にする決意をしました。
……まぁ、エロ描写が恥ずかしすぎて、毎回頭を抱えて顔を真っ赤にしながら投稿してた訳ですがwwもう二度とこんな小説は書きたくないですww


・池村和清について
2章を書いた1年前の時点で、『「無能」な主人公が、犯罪を起こしまくって秘書を失脚させる』という妄想はしておりました。ですので、急転直下シリアスは狙ってやろうと心に決めていました。和清をぶっ殺すことも決定事項でした。
本文で明かしていませんでしたが、レベル0です。クラスメイトに原谷(削板さんの解説&実況役)がいたりするなど、細かいトコに拘っちゃいましたww彼が企画してくれたすき焼き会ですが、原作SS①巻で上条さんのクラスが打ち上げに来た店と同じだったりします。もちろん、黒服からの銃撃から生き残ってます。この二次創作は原作と同じ年の5月頃を想定していたので、彼は削板に会った後ですね。
因みに名前は、鎌池和馬と灰村キヨタカを合体させただけの安易なネーミングだったりします。


・木原混晶
正ヒロイン兼ラスボスです。……一応、新約4巻にて円周の台詞の中に出て来ていたのでオリキャラという訳ではないです(ほぼオリキャラですが)。
ラストで和清の前で見せたのが彼女の本性な訳ですが、仮面を被って秘書として接していた性格は完全に私の好みです……許して下さい、無類の『木原』好きなのです(汗)
彼女の目的の本質は、実は、統括理事会になってやりたい実験をヒャッハーする事ではありません。その本当の狙いとは、セキュリティの固い『樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)』へ最高ランクのクリアランスを有する統括理事会になり、『樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)』を乗っ取って、「演算中の他の案件に嘘の演算結果を吐き出す」ことを狙っていました。
つまり、統括理事会の正式メンバーになる事は計画の通過点に過ぎないんですよね。より高い野望、学園都市全体で起きる全ての実験を自分で統括できるポジションに到達する事でした。自分に都合のいい実験には正しい演算結果を吐き出させ、自分に都合の悪い実験には、偽の演算結果を吐き出させる。学園都市の『裏』の掌握を企んでいた訳です。
『木原』としては下の下な彼女でしたが、作者の私的には本作の中では最も可愛いヒロインだと思っておりますww


・「紙袋を頭から被ったバニーガール」について
新約7巻で登場した『ヒーロー』の一人ですね。
ですが、原作で名前が明記されていないモブキャラだったので、敢えて名前は付けませんでした。
幼馴染として登場させましたが、基本はエロ描写へのツッコミ制裁が担当でしたww
「小腸で縄跳び」はいつか二次創作でやらせたいと思っていた拷問だったので、彼女に受けて頂きました。
「素顔が可愛い」というのは私の完全な妄想ですが、これについて原作で追及があるのかどうか……


・雲川鞠亜について
加群さんの行方を追ってる頃の雲川妹です。
混晶が統括理事会の臨時役員を次々と『不慮の事故』に見せかけて暗殺している事を雲川姉は見抜いており、自分の妹をメイドとして潜入調査に向かわせます。
まぁ、ターゲットが『木原』だったので、自分の野望と合致してるから鞠亜は依頼を承諾したのですが。彼女にも混晶からの拷問を受けさせようか迷ったのですが、原作キャラですのでやめました。


・四葉&誘波について
 四葉は、シェリー襲来時に上条さんを地下街から避難させていた風紀委員ですね。一応は設定に矛盾しない程度のキャラ設定に留めておきました。
 誘波は、小萌先生宅の居候(姫神の前の)で、パン屋に修行に行ってる少女です。ほぼオリキャラですね(汗)この子には盛大に拷問を受けてもらいました。



「禁書でやる必要なくね?」というツッコミはあると思います。……正論すぎて言い返せませんね(汗)まぁ、そこは「私が禁書厨だから」という言い訳を免罪符とさせて下さい。

なんにせよ、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
他の作品も読んで頂けると嬉しいです。
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