【とある魔術の禁書目録】朝起きたら人生勝ち組エリートコースだった俺が通りますよ 作:白滝
知らなかった……
頭の中を空っぽにして、ぼけーっと流し読みして下さい。
感想・評価などご気軽にお願いします。
皆さんは気まずい雰囲気ってどう切り抜けますか?
例えば、知り合いだと思って大声で呼びかけながら駆け寄った人物が、赤の他人だったりした場合とか。
例えば、電車にて勇気を出して老人に席を譲ろうとしたら、「全然大丈夫だよ」と素っ気なく断られて周りの乗客の視線がじぃーっと自分に集まる瞬間とか。
例えば、俺に告白しようとした女の子が、その寸前で紙袋を頭から被ったバニースーツを着た変態にスカートを切断されてパンツ丸出しになった後での、その子との会話とか。
え?俺ならどうするかって?
「……ねぇ、委員長?」
「………」
「委員長?……四葉ちゃーん?」
「………」
まるで先程の事件が存在しなかったかのように、記憶から消し去ったかのような笑顔を浮かべて声かけてみましたよ現在進行形ッッ!!
沈黙!!
顔を真っ赤にして、全然取り合ってくれないっす!!
時折りぶつぶつと聞こえる「あの変態殺すあの変態殺すあの変t……」って怨嗟の声はとりあえず聞かなかった事にしておこう。
っつか、隣の席の委員長の負のオーラが殺気染みててヤベぇ……。俺を質問攻めしようとしてるクラスの連中も、声を発しづらい圧倒的な威圧感に呑まれていた。クラスの皆が、まるで
……というのは、流石に比喩表現である。
科学万歳な学園都市が時代を先導するこの時代に、『世界が崩壊』なんてまさか本当に有り得る訳がないじゃあないか、あっはっはっは。
何言ってるかよく分かんないですねぇ。
なんて現実逃避を華麗に決めながら、まるで空高くそびえ立つあのエンデュミオンのように、俺の自尊心が揺らぐ事は決してないのだ。もし俺が泣くような事があれば、それはエンデュミオンが崩壊した時くらいだよ。有り得ないだろ、そんな事?
「和清く~~~~~ん、たずげて………」
聞かなかった事にした。
「あば、あばばばばばばばばばばばばばば……」
聞かなかった事にした。
「足が、上手く座れなひ……たひけて……」
聞かなかった事にした。
うん。
聞かなかった事にした。
変態幼馴染が助け船を求めているが、俺は聞かなかった事にした。
委員長にボコボコにされて鼻血出してるが、見て見ぬ振りをした。
いや、だってコイツが元凶やん!!
せっかくの
それについてさっき言及したら、
「あ、でも和清君の衣類に盗聴器とかを仕込むのは日常的にやってるから、別に問題なくなぶべらっっ!!」
と、思わず俺の鉄拳が飛ぶほどの答えが返ってきた訳で。
なんかもう、色々と残念な女なのだった。顔は可愛いけど。顔は。顔だけね、一応。
「な、なぁ、委員長。とりあえずコイツにどんな制裁したのか教えてくれても?」
「何もしてません」
即答&断答。
こえぇよ……
いや、確かに変態バニースーツにも非があるんだが、教室に再び戻ってきた時には既にコイツが委員長にボコボコにされた後だったのだ。
あ、関係ないけど体育用のジャージ姿に着替えた委員長は、胸の膨らみが協調されてそっちのが好きだったりする。両手を袖に隠して寒そうにすりすりしてる女の子とかいいよね。今は夏だがな!!ちくせう!!!
何を言っても同じ事の繰り返しなので、しょうがないけど諦める。あんまりつつくと委員長に逆ギレされそうな気配あったしね。
……オイオイ、「焦れったいなら、お前から告白すりゃいいじゃん」って思ったそこの君!!
その通りだ!!
だが!!
しかし!!
いいかい、正論は嫌われるんだぞぅ!!
だって正論ってひどいじゃん。容赦ないじゃん。心を抉りにきてるじゃん。
そんな風に自分から告白する勇気があったら、そもそもこんなに飢えてないよ!!
あ、都合のいい言い訳を思いついた!!
『誘い受け』
そう、これだ!!
俺は恋愛テクニックとして、委員長を誘って待っているのだ。そうに違いない。無意識の内に、そんな高等技術を会得していたのだ。そりゃあ、狼のような男の
男子高校生の、こう、なんというかじっくりと煮込み詰れた真っ白でねちょねちょした油でギットギトなラーメンみたいな性欲は、純情ピュアな乙女には少々刺激が強すぎる。
だから、俺は理性的に行動しているだけなのだ。奥ゆかしさなのだ。日本人の美徳なのだ。きっと謙虚とかなんかそーいうのなんだよ、たぶん!!
そうやって客観視すると、俺って割と一途なところがあるんだなぁ。自分でも意外だわ。
この変態バニースーツは腐れ縁なだけだし、混晶さん(マイ天使)はただの愛人だし、鞠亜ちゃんは時々エッチな事をし合うだけのどこにでもいる普通のメイドだよ。
ほら、俺って委員長に一途でしょ?非の打ちどころがないね。そろそろ俺を尊敬する輩が出てこないか心配だよ、全く。
と、俺のケータイのバイブ音が鳴った。
「誰だバイブで背徳プレイを楽しんでる奴ァーーーッッ!!」
という変態幼馴染の発言は、もはやこのクラスでは聞き慣れているので、みんなも意外とリアクション薄い。俺もいつものようにスルーして、ケータイを開く。
メールにはこうあった。
『木原混晶です。
池村様のご要望にお応えして、部屋のパソコンを学園都市の最新機種に新調しておきました。
何かご不満があれば、随時仰って下さい。
それでは学業の方に引き続き励んで下さい。下校時に正門でお迎えに上がります。』
「ひゃっほーう!!混晶さん好きです結婚して下さい!!委員長に現を抜かした僕をなじって下さい!!怒って下さい!!さげずんで下さい!!」
クラスの奴らからは冷たい視線を向けられたが、テンションがハイになったのであんまり気にならないぜ!!パソコン新調きたあああああああああ!!
混晶さん(正妻)に惚れました、四葉ちゃんのファンやめます(真理)
はしゃぐ俺のテンションとは裏腹に、午後から始まる魔の
「おい、池村ぁ!はしゃいでないで席につけー!!」
チャイムと同時にやって来る事で有名な白桃先生のお叱りで我に返り、席に腰を下ろす。
頭の中で、
『静かにしなさい、池村君!!』
と委員長からも
窓の外の曇り始めた天気を気にして、はぁ、と思わず溜息を漏らしてしまった。昼を和やかに照らし出す太陽も陰りを見せ始め、落ち所を見失った俺の気持ちに誘われたように、厳かに雲のカーテンで顔を隠してしまった。テンションの行き所に迷う俺のように、曇天チラつく外の天気もご機嫌は斜めのご様子だ。
あ、なんかポエムっぽいな。急に詩人っぽくなったな。なんだこれ。なんだ急に。
まぁいいや。
この雰囲気なら言える気がする。
唐突だけど、ウンコしたいっす。
掃除の時間が終わり、放課後がやってきた。
さぁ、いよいよもって逃げられなくなってきたぞ。
クラスの奴らに捕まって根堀り葉掘り質問攻めに合うのかと憂鬱になったが、
「おい、池村!今日はお前の祝いも兼ねてすき焼き会を開いてやる!絶対来いよな!!地下街に八時ジャストに集合って事で、ヨロシクねん!!」
そういって、ドタバタと騒がしい連中が走り去って行ってしまった。
おぉ、拍子抜けだな。
つーか、焼き肉会って話じゃなかったっけ?変わったのかよー、個人的には焼き肉の方がよかったなー。
ちょっと早くホームルームが終わったし、学校で用を足すのはなんだか気恥ずかしいピュアな一七歳のオトコノコなので、混晶さん(通い妻)が来るまでに学校近くのコンビニで排便を試みよう。
いつものように変態バニースーツを
「あ、あっちに俺のパンツが落ちてる!!」
「え!?どこどこどこどこッッッッ!?????」
という、小学生もびっくりな漫画の中でしか有り得ないような安い嘘に引っ掛け、テキトーに雲に撒いた。なんで騙されるんだよ。ホントに俺のボディーガードやる気あんのか……?
「うぅ、急に腹を下したなぁ。なんでだ?」
食べた物が悪かったのか?だとしたら混晶さん(エプロン装備)の愛妻弁当か?
……いやいや、まっさかー。愛情たっぷり(に違いない。何故なら俺と混晶さんは両想いなのだから)のあの弁当に、何か腐ってたものが入ってたのか?
混晶さん(女子力カンスト)がそんなミスするかなー?野菜も新鮮だったし、肉も全部牛肉だったし、「さすが統括理事会」って感じの豪華な弁当だったけどなー……
ギュルルルゥ!!と、腹が鳴った。
はう!!と思わず両手で腹を抑え、両足でキュッと股を閉じた。
「い、いかん。急がねば」
午後の授業中、ずっと堪えてたからな。
混晶さん(ご飯にする?お風呂にする?それとも、ト・イ・レ?)が来てくれれば話が早いのだが、下校時間まではちょっと三〇分ほど早い。それまで俺の腹がもちそうにないので、しょうがなくコンビニを目指した。
痛む腹をすりすりしながら、コンビニに入る。
トイレには既に先客がいた。コンビニのトイレは男女兼用の洋式便器が一つしかないので、仕方ないが待つことにした。
トイレの中から、
「むううううううううううううううううううううううううううううううううう」
という低い唸り声が聞こえる。
力み過ぎだろコイツ。
地団駄踏みながら、さらに数分待つ。
相変わらず、低い唸り声が中から響いて来る。
(早く出ろよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!お前がトイレから出て来ないと、俺の肛門が
叫び狂うなう。
マジで早くしてくれ。
つらい。
そう思った瞬間だった。
ボフンッッッッ!!という地響きが店内に響き渡った。
「な、なんだ!?」
トイレから響く爆音。レジの店員さんも慌ててこっちにやって来る。
「どうなさったんですか?」
「い、いや、トイレの中で何かが……」
俺がそう釈明を始めようとした時、ちょうどトイレのドアが開いた。
中から出てきた白ランの男は言う。
「たったこれしきの排便に耐えられず故障するとはな。おい、店員。この便器はもうちょい根性出して修理した方がいいんじゃねえか?」
あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば!!
なんかもうね、店員と話す時間すら惜しくて、コンビニを飛び出してきたわ!!
排便で便器壊すとか頭おかしいんじゃねーの!?
ふざけんなよマジで!!
なりふり構わず、トイレを使えそうな場所を探す。
実際に探してみると、意外とトイレってねーのな。
ぐぎゅるるる!!と腹が悲鳴を上げた。ちょっと涙出てきた。
必死に目を凝らす俺の視界に、
股をすり寄せる若干気持ち悪い歩き方をしながらも、必死で早歩きする。
『体育会系のために!!』というえらく直球なスーパーマーケットへ突入する。
なんだかゲテモノ臭い野菜を掻き分け、
ヒィ、ヒィ、と目を血走らせながら駆け込む。
と、狭いトイレの中で奥に一つだけあったドアからツンツン頭の高校生が出てきた。
「あ、すいません。どうぞ」
「いやいや……ゼェ、全然………お構いなはうッッ!!」
喋ってる最中に肛門から半分顔を出しかけたよ!!このツンツン頭にも不審がられたわ!!
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!
急いで便器に駆け込んでドアを閉める。
そこでベルトを外し、ズボン脱ぎ、パンツを下ろす。
(よっし、発射準備オーケー!!いつでもいけます!!)
そう。
俺が内心でそう高らかに宣言した瞬間だった。
紙がなかった。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
あのウニ頭畜生ォォぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
紙を全部使い切りやがったああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
クイ!!と腰に力を入れ直す。
出かかっていた俺のティロ・フィナーレを抑え込む。
落ち着け!!
落ち着け!!
落ち着け!!
冷静になるんだ!!
今俺に残された選択肢は三つ!!
①ケツなんて拭かなくていい!!このまま肛門を
②もう一度神も紙もないこの冷たい現実という名の世界に飛び出て、
③混晶さん(トイレ)にトイレしてトイレにトイレってトイレる
(この中で、最も妥当な方法!!)
カバンを必死に漁る。
でも、トイレットペーパーに代用できそうなものはない。まさか教科書でケツを拭くわけにもいかない。
①は無理。
では、もう一度スーパーから出て
いや、無理!!絶対に無理!!もうもたない!!
一回踏ん張っちゃったせいで、もう先っちょが出かかってるんだよォ!!
遠くまで移動するのは不可能。一歩歩く度に、RPGの移動中の毒ダメージみたいに肛門が悲鳴を上げてるんです!!
となれば、
トイレさん(混晶)に助けを呼ぶしかない!!紙を持ってきてもらおう!!
あ、けど、混晶さんは女性だし男子トイレに入れないわ。
どうしよう。
四面楚歌。
孤立無援。
艱難辛苦。
臥薪嘗胆。
背水の陣。……いや、どっちかって言うと、『排』水の陣。
と、そこでふと禁断の方法を思いついた。
…………女子トイレに入ればよくね?
いや。
いやいや。
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや。
おーけー、分かった、冷静になろう。
突然ですが、僕はここで性善説を唱えたいと思います。
人は誰しも生まれつきは善人だと思う。穢れ無き真っ白な善性があると思うわけです。だから、この世で起こる犯罪も、きっとそうせざる得ない背景や情状酌量の余地のある不幸があったんだと思うんだ。だから、善悪を法律っていう基準で裁くのは間違ってるよ。
犯罪を行った人がいるとするじゃん。でも、きっと悪いのはこの世界だよ。その人にそういう事をさせちゃうような残酷で冷徹なこの世界が悪いんだよ。だからその人は全く悪くないね。少なくとも責任はないね。
結論を述べよう。
「なんかもう許してください犯罪でもなんでもいいから僕にウンコさせてくださああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああいッッ!!」
ドアを開ける。
男子トイレを抜けて、廊下に出る。
向いが女子トイレだ。
店内を見渡す。
オーケー、近くに誰もいない。
女子トイレのドアに耳をくっつけ、聞き耳を立てる。
無音。
オーケー、いけるぞ!!
そうだ、行けるんだ。
行けるんだ。
行こう。
行っていいんだよ。
むしろ、行く事を強いられてるんじゃね??
そう思うと確かに、行かねばならない気がしてきた。
なんだか俺は、この世に産まれ落ちてからずっと女子トイレに入るのが
ああ、そうだ、これは試練だよ。
これは犯罪とか背徳とか、そういう低俗な次元の話じゃないんだよ。
俺は今、『命の哲学』の一端に触れているんだ。
「なぜ生物は生きるのか?」という命題に対して、現代科学では「そういう風にDNAが核分裂を繰り返すから」としか答えようがないだろう。
学園都市でさえそうである。
だが!!
俺は今!!
そんな科学の理を超えた先の、自らの『天啓』に立ち向かっているのだ。
だからこそ、これは哲学だ。
俺は今、挑戦しているのだ!!『
(うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!)
断じて興奮してる訳ではない。俺はそんな変態ではない。
これはただの意気込みである。覚悟である。
ぐいっと、女子トイレのドアを開けた。
誰もいない。
予想通りだ。
女子トイレには六つも便器の部屋があった。
男子トイレは一つしかなかったのに、なんだこの男女差別!!
女子トイレにも立ちション便器作れよ!!
そんな事を思いながら、まるでムーンウォークのように足をすり足で動かし、ドアノブに手をかける。
と、俺が引いた訳でもないのに、ドアが勝手に開いた。
………………へ?
女の子がパンツを下ろして、便座に腰をかけていた。
「き、きゃあああああむぐ」
「落ち着きなさい、お嬢さん」
俺は女の子の口を手で押さえた。
そして、言う。
「静かにしろ、俺は学園都市統括理事会の役員だ。黙って俺にウンコさせろ」
これは、犯罪、では、ない、のだ………よ?
久し振りに更新した分際で申し訳ないのですが、新しい創作ネタが思いついたので、そちらの方で10万字くらい書き溜まり完結するまでは、こちらの更新は控えさせて下さい。
こちらの勝手な都合で申し訳ありません。
気分転換でまたこちらを更新する事もあるかもしれませんが、しばらくは更新はないと思われます。
亀更新で馬鹿みたいなタイトルですが、これからもお付き合い頂けたら嬉しいです。
期待せずにお待ちください。