やはり俺はSAOでも間違える 作:真の新
「…おいアルゴ」
「なんだイ?ハチ」
「お前攻略会議はもう始まるっていってたよな」
「えェ?そんなこと言ったかイ?」
全くこいつは…!
「攻略会議は13時かららしいじゃねえか。今は何時だよ。まだ昼前だぞ?」
「まあまあハチ、そのあいだに少しお姉さんと話せるじゃないカ。他の男性の人たちは羨ましがルかもヨ?」
「はぁ…全く何でこんなしょーもない嘘つくんだよ…まあいいけどよ、俺もちょうど暇してたし。」
ったくこいつは。これが男だったら問答無用で殴ってしまってそのあと返り討ちにされる自信がある。いや、やられちゃうのかよ…
「まあ、ほラ!時間的余裕をなくすことで判断を鈍らせることもあるだろうしナ!」
「お前ほんといい性格してるよな」
「ダロ?迷宮区で死にそうになってたのを助けてあげたシ。それに今までで与えてやった情報だってそのほとんどが有益だったロ?」
「まあそのほとんどが有料なのが問題なんだけどな。」
全く…ことあるごとに金とりやがるからな、こいつは。
「まあまあ、もうそろそろ正午だし昼御飯はもう食べてしまったかイ?」
「いや、まだだけど…」
「じゃあサ、一緒に飯にでもどうだイ?代金は俺っちが持ってやるからサ?」
アルゴが…飯をおごる?
「何が目的だ」
「おいおイ、そんな警戒すんなヨ。俺っちがいつもいつも商売のこと考えてる訳じゃないゼ?たまには、毎度毎度お世話になってるハチに感謝の気持ちを伝えようと思っただけだヨ。」
こいつ、絶対なんかあるな…しかし、飯をおごってくれるのはほんとのようだな。まあ、感謝の気持ちを伝えようって思ってくれてるんなら、それに応えてあげようって気持ちがないわけでもない。だから、その、つまりその感謝の気持ちに応えてやるのも吝かではないってことだ。
まあ、絶対なんかあるんだろうけどね。
「うん、まあ感謝の気持ちって言うんならそれに応えてやるのも吝かではないぞ。」
「ハチはほんと、素直じゃないナー。まあ、いいヤ。じゃあ、俺っちが知ってる街一番の旨いもの食わしてやるヨ!ハチとかこの世界に来てろくなもの食べてなさそうだシ。」
「まあ、でも仮想世界なんだし空腹が満たされればなんだっていいからなぁ。」
実際、俺がここ二ヶ月での食生活といったら毎朝黒い変なパン、昼は適当にパン、夜は疲れててソッコー寝る、みたいな感じだったし。まあでも、別に問題ないだろ…多分。
「まあ実際、食い物なんテナに食ってもあんまり変わんないんだけド、この世界にも旨いものはあるんだヨ?」
「へー、そうなのか。まあ、楽しみにしとくわ。」
なんだろう、アルゴの言う旨いものって。街一番の情報屋の言うことだから間違いないんだろう。アルゴも自信満々だったし。なんか、久しぶりにうきうきしてきた…うふふっなんだろうたのしみ!
ーーー
「で、なにこれ。」
渡されたのは、なんの変哲もないパンだ。しかも黒い。これって…
「てか、これってさ…いつも俺が食ってるのとにたようなパンなんだけど…」
おい、嘘だろ?俺のさっきのうきうき気分返せよ。ひさしぶりなんだぞ、あの感覚…
ここ2ヶ月くらい全くいいことがなくてただ生きていたような人間にそんなことするとか、なんなの?お前、あれなの?恐怖とは希望から絶望に変わる瞬間のことを言うとか言っちゃう人なの?
「まあまあハチ、落ち着いテ。何もこの焦げパンのまま食おうなんていってないじゃないカ。このパンはナ、こうやってくうんだヨ?」
そういうと、アルゴはシステムウィンドウを弄って何かを取り出した。なにか、瓶みたいなものだ。
「それ、そのパンに使ってみろヨ。」
アルゴはその怪しげな瓶に手を触れると、その指先が少し光った。その指先を今度はアルゴが手にしているパンに当てた。すると、そのパンの上にはゴッテリとしたクリームのようなものが塗りたくられた。
「さあほら、ハチも使ってみろヨ!これスッゴク旨いかラ!」
まあ、アルゴが言ってるんだし間違いないんだろう。俺はアルゴと同じようにパンにクリーム?を塗りたくった。
「…っゴクリ」
なんだか、現実世界で食ったら間違いなく胸焼けするような代物だが、ここ最近まともに飯食ってなかったせいか、すごくうまそうだ。
隣ではアルゴがうまそうにそれを食っていた。おい、「ムフーッ」とか何素で言ってるんだよ。最近の女子アナでもそんなリアクションしねえぞ。いや、昔もそんなリアクションしてねえけど。
「はぁ…いただきます。」
一口食べてみた。そうするとクリームのゴッテリした甘味が口のなかに広がり、しかし、そのクリーム自体は甘すぎず後味がいい。それに、このパンも今まで気づかなかったが、固いことを除けばそれなりに美味しいパンではあったのでこのクリームの派手派手しい感じとこのパンの素朴な感じが絶妙にマッチしていた。
まるでリア充とその引き立て役の地味なやつみたいだな。その辺は人間も飯も変わらないんだなあと思った。しかし、ボッチと言うものは常に自己完結していて誰の助けも必要とせず、すべてのことは自分でやってのけるのだ。つまり、料理でも人間でもボッチは最強ってことだ。いや違うか、違うな。
そのあと、夢中で食べた俺はアルゴの方が早く食べていたのにその数秒早く食べ終わってしまった。
「ハチ、がっつきすぎだロ…そんなに旨かったのカ?」
「あぁ。スゲーうまかった。うますぎてすぐ食べ終わってしまったわ。すごい旨い飯、ありがとな。」
「いいって、気にすることじゃないゾ!俺っちとハチの仲じゃないカ!…もっといるカ?」
「っ!あぁ、ほしい!でもいいのか?これ、スゲー高そうな気がするんだが…」
「いいんだヨ、今日は俺っちが持つって言ってるだロ?」
「マジか。なんだか、珍しく気前がいいな。これはこれでなんか気持ち悪いな。」
「そんなこと言うんなら、もうやらないゾ?」
「あー!ごめんなさい!アルゴさんマジ今日パねえわ!優しすぎるわー、いつもとは段違い!」
「なんだカ、いつもは優しくないみたいな言い方だな。あげないぞ?」
「いや、もうほんとごめんなさい。てか、急に素にもどんのやめてくんない?怖い…」
「なんだって?ギロ」
「あー、わー、いやなんでもねえです。(怖い)それでですね、えーっと、クリームを…」
「はぁ、わかったよハチ」
「ありがとうございます!いやもうほんと、大天使ミカエルウリエルアルターエゴル様樣だわ!」
「やっぱやらない。」
「あー、もう本当にごめんナサーい!」
こうして、比企谷八幡の第一次昼御飯戦争は幕を閉じたのだった…やっぱクリームちょうだい?
ーーー
昼飯が終わり、攻略会議の刻限がもうすぐそこまで迫っていた。ちなみに、アルゴからは何も言われなかった。絶対なんか裏があると思ったんだけどなあー…まあでも、昼飯うまかったしそんなことはどうでもいいや。
さっさと会議を聞き流して、家に帰ろう。あ、そうだ。アルゴに後でクリームの取り方教えて貰おう。スゲー旨かったし。
そんなことを考えていたら、もう攻略会議の刻限になっていた。広場には、人もまあまあ集まってきている。人数は…50人弱くらいか?結構集まったな。プレイヤーが全員席につくと、舞台に上がっている男が何やら話始めた。
「みんな、今日は集まってくれてありがとう!俺の名前はディアベル。職業は気持ち的にないとやってます!」
そう自己紹介すると、何やら会場の空気は緩くなった。おいなんだよ、こいつよく見たらイケメンだし、めっちゃフレンドリーじゃねえか。こんなゲームの中にもリア充っているんだな。
普段からリア充なんて滅べばいいと思っているが、今回のようなことにおいては必要だなと思った。(小並感)
そうして会議は進んでいき途中でき、キバ…?なんとかってやつの乱入とかあったがなんやかんやで収まり、会議は最終フェイズに向かっていた。最終フェイズといっても要はあとは布陣を決めて終わりって感じだ。さっさと終わらせて帰ろう……ん?布陣?嫌な予感がした。できれば、気のせいであってほしい。しかし、嫌な予感というのは無駄によく当たることが多いみたいだ。例えば……今みたいな。
「じゃあみんな、パーティー組んでくれ」
で、でたー!俺もうそれ学校で何度も聞いたよ。なんで俺だけ毎回先生とペアなんだよ。なんで仲良し3人同士でやったりするんだよ。ペアっつってるだろうに。
そんなわけで、俺はパーティーを組まされることになった。あー、だるいなーめんどくさいナーもうバックレようかナー。
そんなことを考えていた矢先、視界の端に誰かいるのを見つけた。なんだか、無駄にでかい装備を身に付けている。そして…はっきり言うと太っている。その体でそんな重装備だとさぞ動きづらいんじゃないんだろうかと心配してしまう。まあ、いいや。取り敢えずそいつ余ってるしボッチっぽいし話しかけてみるか。
仲良いもの同士は仲良いもの同士、ボッチはボッチ同士ってことだ。
「あのー、すみません。僕、パーティーメンバーがいなくて…よかったら組みませんか?」
ん?こいつ、遠目からでは顔隠してて分からんかったけど、なんかどっかで見たような…ヤバイ、嫌な予感がする。
「ムホン、我に話しかけるとは中々の強者よな!どれ、名乗るが…はっ!貴様はっ!!」
「いや、すみません人違いでした。それじゃあこれで。」
ヤバイ。さっさと立ち去ろう…くっそ、なんなんだよ、俺の嫌な予感的中しすぎだろ!もう、自分が怖くなってきたよ
「ムホーン!ハッチまーん待ってええええ!」
「なんでお前がいるんだよ…あと、実名で叫ぶな。殺すぞ」
そうして俺は、まさかの材木座義輝と再会するのだった…
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