fate/grand order 花の魔術師の義弟 作:all
ハル。
そういう名前の彼は私を見かける度に喧嘩を吹っ掛けて、返り討ちにしても懲りずにやって来る。彼の実力もかなりのものなんだが…、いかんせん冷静さに欠ける。彼の使う魔術は滅竜魔術と言い竜を滅する魔術で私の悪魔などを滅する滅悪魔術と少し似ている。
彼が死んだのは、恐らく私より後だろう。その間、彼はどうやって暮らしていたのか?いつも私に突っ掛かってきて、私と喧嘩をするのが生き甲斐のようだった彼は、私がいなくなった後、どうやって暮らしていたんだろう。どうせ、退屈な生活だったんだろう。
決してアイツの事が心の奥底から嫌いと言う訳ではない。普通に嫌いではあるけども…。あれだ、喧嘩するほど仲がいいとか言うじゃないか。それだ。多分…。
まあ、久しぶりにあったし、前のように優しく、綺麗な氷の像に変えてやるとしよう。
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「決着…ね。私の記憶では君に白星がついたことはなかった筈なんだけど」
キャスターが、突如現れた男、ハルの「決着をつけるぞ」という言葉にそう返す。
「うるせえ!今度こそ俺が勝つ!」
ハルは臨戦態勢を取る。キャスターはあの子供じみた男に対して大人の対応と言うものをしてくれるだろう、私はそう思ってキャスターの方を向いた。
「はあ…君は全く変わらないな。いや、変わったとしてもそれはそれで気持ち悪いけど」
ため息混じりに肩をすくめるキャスターを見て、私は安心した。
流石キャスター、これが大人の対応か…。
「ということで、やろうか」
「ダメだった!全然大人の対応できてない!」
つい、叫んでしまった。ダメだ、この人たち…。立花のセイバーは大変だっただろう。ブリテンの宮廷魔術師どうなっているんだ…。
「そうこなくっちゃな!火竜の…」
「氷魔の…」
まずい。非常にまずい。いまこの場で無意味に争っても意味がない。それどころか、こちらの損となる。早急に止めなくては。
誰か…。立花達はまだ戦闘中か…。いや、まだ一人いる。
「ジャンヌ、あのハルって男を止めて。私はキャスターを」
「え?あ、はい!」
そう、我らが聖女ジャンヌだ。キャスターは恐らく私が声を掛けると止まってくれる。筈だ。多分…。最悪、令呪である。
「止めて、キャスター!」
「!?マスター!?」
私の一声に驚いて臨戦態勢を解くキャスター。よかった。聞いてくれて。極力令呪は使いたくないのだ。
さて、ジャンヌの方は…。
「えぇ!?お、王様ーーーー!!?」
「え、お、王様…?」
なんと言うか、意外な光景だった。何故かハルがジャンヌの顔を見て、驚いて、王様と呼んだ。
気持ちはわかる…似てるもんね。アルトリア顔と言えばいいだろうか。ジャンヌの顔は立花のセイバーそっくりだ。まあ、似ていない部分もあるのだけど。
「はあ…。ジャンヌを見てどうしてアルトリアと見間違うんだ、アイツは」
冷静になって私のとなりまできたキャスターが彼等のやり取りを眺めながら呟く。
「でも、似てるでしょ?」
「顔はね。その他は全然違うじゃないか。性格といい、胸と言い…。まあ、ジャンヌにもアルトリアにもそれぞれのいいところが沢山あるんだけどね」
あ、言ってしまった。セイバーが気にしてそうだから今まで言わなかったことを平然と。と言うか、キャスターは随分とジャンヌを気にかけている気がする。なんだ、あれなのか?顔が似ててちょっと気が動いたか?
その後も、キャスターはジャンヌとセイバーの違いをいくつかあげているが、彼は気付いているのだろうか?後ろで鬼の形相をしたセイバーが立っていることを。
その威圧のせいで私は冷や汗をかいてしまっている。
「ん?どうかしたのかい?マスター?…ヒッ!」
「そうですか…やっぱりあなたも胸が大きい方がいいんですか…?」
「い、いや…いやいやいや。そんなこと一言もいって無いじゃないか!ちょっ!待って!エクスカリバーはノー!」
キャスター、御愁傷様。