fate/grand order 花の魔術師の義弟   作:all

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8話

岸波白野。私のマスターである彼女は、鋼のように固い精神を持った少女だ。召喚されてからまだあまり時間はたっていないものの、それは感じられた。それこそ、英霊と比べてもいいぐらいの固さだ。だから、気になった。ただの少女のはずの彼女がなぜそこまで強くいれるのかを。

なんと言うか、男らしすぎるところもあるんだよなあ…。

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「なにこの状況?」

 

「ここで何が有ったんですか?」

 

「私に聞かないで欲しい。こっちが聞きたいんだからさ」

 

私の目の前には、酷い光景が広がっている。おそらく、というか確実に頭がよろしくないであろうハルがジャンヌをセイバーと見間違えて騒いでいて、キャスターはセイバーに土下座している。そしてそれを覚めた目で見る私とマシュと立花。

 

「カオスだね…」

 

「…先に行こう」

 

「私も先輩の意見に同意します」

 

「ちょっと待ってくれマスター!置いていかないでくれ!このままでは駄目だ!殺されてしまう!」

 

「駄目?何が駄目何ですか?あれですか、胸のサイズですか。あんなの脂肪の塊じゃないですか」

 

「ええ!?私そんなこと言った!?アルトリア、ちょっと被害妄想が激しすぎるよ!」

 

未だに夫婦漫才を続ける二人。キャスターの様子はまるで浮気がばれた夫のようだ。おいセイバーそこ変われ。後リア充爆発しろ!

 

「もう、早くしないと令呪使うよ?」

 

流石に令呪をこんな無駄なところで使うのはよくないと考えたのか、キャスターとセイバーは大人しくなった。ジャンヌとハルに関してはキャスターがハルを凍らせたあと、落ち着かせてジャンヌとセイバーは別人だと言った。まあ、結局セイバーを見て騒ぎ出したので、再度氷になってもらったが。

 

 

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「ジャンヌ、皆行っているよ?」

 

楽しそうに会話をしながら歩を進めるマスター達を後ろから眺めていると、不意に声を掛けられる。優しくて、どこか聞き覚えがあるような声の主は、キャスターさんだった。

 

「どうしたんですか?キャスターさん」

 

「キャ、キャスターさん…。ま、まあいいや。それで、ジャンヌはなにボーッとしてたんだい?」

 

「いえ、微笑ましいなと思いまして」

 

今が戦争中だと言うことを忘れてしまいそうになるほどだ。

 

「そうだね…。私も、アルトリアが他の人とあそこまで楽しそうにしているのは滅多に見ることがないからね」

 

「キャスターさんは、セイバーさんに仕えていたんですよね?」

 

「まあ、そうだね…」

 

何処か歯切れが悪いキャスターさんの様子に私は首を傾げた。

確か…キャスターさんの真名は氷の魔術師ジャスパーだったか。その最後は確か…。

 

「あなたの最後は、アーサー王とモードレッド卿が戦戦ったカムランの戦いに第三勢力として参戦して戦い、そこで命を落としたとありました。それとなにか関係が?」

 

第三勢力とは言ったが、実際は十数人の少数部隊だったらしいが。

 

「ッ!そうだね…あの時はアルトリアを正しい道に戻したかったし、モードレッドと殺し合いなんてしてほしくなかった。それが正しいと思ったから戦った。それだけだよ…」

 

「しかし、結局二人は相討ち…」

 

「そう、結局変わらないし変えられないんだよ。私の努力なんて無駄なものだったのかも知れない…」

 

「そんなことありません!」

 

私がそう言うと、キャスターさんは今までは見せなかった少し怒ったような表情をしていた。

 

「何が?私が何をやろうと、結果は変わらなかったんだよ。ただ、あの物語にジャスパーと言う名前が増えただけ。私があそこで誰かを救えたり変えたりなんて、どれだけやってもできないんだ。つまり、無駄だったってことだよ」

 

これが全てだと言うようにキャスターさんは語った。

あって数時間だが、キャスターさんは簡単に怒るような方ではないとは分かる。つまり、私は地雷を踏んだようだ。

だが、

 

「結果は、事実は変わらなかったとしても、変わったものが確かにあったはずです」

 

「……何が?何が変わったと言うんだい?教えて、くれないか?」

 

先ほどとは変わってキャスターさんは俯いて喋り出す。

 

「『心』、です」

 

「心…か。本当に私は、変えることが出来たのだろうか?」

 

弱々しい声が私の耳に届く。

 

「はいっ、ルーラーの私が保証します!」

 

「ははッ、なんだよ、それ…。けどまあ、救われた気がするよ。…そういえば、前もこんな風なことを言われた気がするなあ…」

 

キャスターさんにとって、これは自分でも解決できた事なのだろうか?いや、恐らく違う。彼は誰かからの救いをずっと求めていたのかもしれない。

 

 

 

 

 

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