ぷちでれ!プチ・アイドルマスターシンデレラガールズ   作:飯屋の救世主

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NG=ニュージェネレーションズです
(申し訳程度の注釈)


プロローグ:不思議生物(ナマモノ)2

謎のデフォルメヒトガタを放り出した後、三人は盾にするようにソファの後ろにしゃがみこんだ。

 

防御力に乏しいわ、向こうが回り込んでくればまるで役に立たないわの二重苦なのは無論なのだが、そこまで頭を回す余力がなかったのだ。

 

なお、あれらはソファの対面にあるローテーブルに胴体着陸した。

 

着陸というよりは飛び込みに失敗してプールの水面に腹を打ち付ける様子に似ていた。

 

× × ×

 

「これより我々NGの緊急対策委員会本部を設置及び開会いたします」

 

未央が音頭をとる。

 

「……」

 

「……」

 

「なにか意見のある者はおらんか」

 

音頭をとるのだが。

 

「……」

 

「……」

 

「あの」

 

「…はい」

 

「なんか言ってよ…」

 

「だってぇ…」

 

「アレはちょっと」

 

「正直言って私も頭どーにかなりそうだよ!けど案を出し合って少しでもこの状況打開しようようとしてるじゃーん!」

 

「でも未央ちゃんも意見自体は言ってないというか」

 

「…むぐぅ」

 

混乱した頭では解決策の見当たらない無益な会話しか生まれなかった。

 

× × ×

 

「…そもそも私達だけでどうこうできる範疇超えてると思うんだけど。誰かに今の状況を相談するべきじゃないかな」

 

「確かにその通り…流石です凛ちゃん!」

 

「よっ!さすがNGのクール担当!格が違うね!」

 

「まだ何も解決してないんだけど」

 

「プロデューサーさんかちひろさんがいれば早い話だったんでしょうけど…そういえばプロデューサーさんは?」

 

「さっき『少し席を外す』って出てったきり。どこにいるかはわかんないや」

 

「居てほしい時はいないんだから…」

 

「そのくせホントにピンチの時は間に合ってくれるしおいしいトコ持っていっちゃうのがニクいよねぇ。

……ところでしぶりーん、居てほしい時ってどんな時ー?未央ちゃん気になっちゃうなー」

 

「別に。…変な意味なんてないよ」

 

「ほんと?ほんとにほんと?」

 

「無いってば。…それで?どうやって外と連絡とるの?」

 

「部屋から出るとか」

 

「ドアにたどり着くにはテーブルの横を通る必要があるけどね。それで、その上にはあれがいる」

 

「なら、電話はどうでしょう」

 

「いいね…って言っても私のスマホはそこのテーブルの上に置きっぱなしだけど」

 

「私のも。しまむー、持ってる?」

 

「はい、たしかここのポッケに!

………はい、ありました!」

 

「でかした!」

 

思わずグッと小さくガッツポーズをとる。

 

「充電がありませんでした!」

 

「ダメじゃん!」

 

挙げた右手を下ろさざるをえなかった。

 

「ご、ごめんなさい…」

 

「そういう時もあるよ。今回は間が悪かっただけ、卯月が気に病むことないよ」

 

「どっちみちテーブル周辺には行くことになっちゃったね」

 

テーブルの上にはまだ()()だろう。

 

 

「誰が行くんですか?スマホを取りにいくなら必然的にあの子たちと顔を合わせますけど」

 

「…」

 

「…」

 

「あの…」

 

「ジャンケン」

 

「え?」

 

「ジャンケンで決めようか」

 

× × ×

 

そうして。

 

 

「なんで私なんですかぁ!」

 

未知との遭遇先遣隊(一人)は卯月に任された。

 

「ジャンケンは全てにおいて平等だから。そういう巡り合わせだったんだよ」

 

「充電忘れたり未知との遭遇任されたり、今日の私の巡り合わせどうなってるんでしょうか」

 

「ここでクダ巻いてても仕方ないよ、当たって砕けよう?」

 

「他人事だと思って適当なこと言ってませんか?」

 

 

「そんなことないよ。ずっと一緒にアイドルやってきた仲間を簡単に見捨てたりなんかしない。

少なくとも私はそんなことしたくない」

 

「凛ちゃん」

 

「私も同じ気持ちだよ、しまむー」

 

「未央ちゃん…」

 

 

この三人に限っては、誰かひとりを売って自分だけ助かろうという魂胆はない。

幾度となく直面した困難をともに越え、そのたび固く縁を結んだのだ。生半可な難業では僅かな瑕疵さえ生じない。

築き上げた信頼は何より尊く、また過去に裏打ちされているのだ。

 

 

いつか自分が壊れ果てて駄目になっても見捨てたりはしない。

一人が倒れても二人が支えてくれる。

縋る手を掴んでくれる。

共に歩んでくれる。

そう無条件に信じられる。

 

そんな仲間を持てたことが、卯月はなにより嬉しかった。

 

 

「えへへ…二人とも、ありがとう…。

じゃあ一緒に、」

 

 

「あ、それはちょっと。今回は後方支援ってことで」

 

「しぶりんズルい。じゃあ私セコンド」

 

「一緒に来てくれるんじゃないんですか!?」

 

「その様な趣旨の発言をした覚えはございません」

 

「そんなぁ!」

 

時には縋る手を払うこともあるらしい。

 

× × ×

 

「さ、いってみよう」

 

「し、し島村卯月、ががが頑張ります…!」

 

「一同、英霊しまむらに敬礼」

 

「らじゃ」

 

「そんな気持ちで送り出すなら行きません!」

 

スマホをパッと手に入れてサッと帰還すればいいだけの話。

そう自分に言い聞かせ、奮い立たせる。

 

ついにソファの陰から躍り出た。

だが頑張りますという言葉と裏腹に随分腰が引けていた。

 

(うう、パッと行ってサッと取るだけ、パッと行ってサッと取るだけだから大丈夫……――あっ)

 

「しぶっ」

 

不意に、しかしばっちりと目を合わせてしまった。

 

「へご?」

 

「みおみお、みっ」

 

(ど、どうしましょう)

 

突然のことに思考が凝固する。

 

「えあ、えっとその、――こ、こんにちは!」

 

「しぶしぶ」

 

「がんば!」

 

「みおみ」

 

 

苦し紛れに発した言葉はどうやら通じるらしい。

それに安心して目的のスマホに手を伸ばすと、手を上げられるとでも思ったのか、ミニNG(暫定)は後ずさる。

 

「あぁっ、違うんです!危害を加えようとしたんじゃなくて、そこにあるスマホで電話をかけたいだけなんです」

 

「でんわ!」

 

「えぇっ!?」

 

 

それまで喃語のような意味の伝わらない言葉ばかり喋っていただっただけに、はっきりと意味のある言葉を発したことの対する驚きは大きかった。

 

 

「ぷるるるる、ぷるるるる…」

 

三体のうちの一体(卯月似の子)が、顔を(>3<)(こんなふう)にして電話の呼び出し音を真似ている。

 

「ど、どうしたんでしょうか…。凛ちゃん未央ちゃん、どうすればいいんですか、これ」

 

「状況要観察」

 

「現場待機」

 

「現状打開はできそうにないですね」

 

そんなタワゴトを抜かす間にもちびしまむらは「ぷるる、ぷるる」と言っている。一生懸命な様子が可愛らしい。

しかし次の瞬間、

 

「がちゃ!」

 

と突然声を上げる。そして、

 

 

 

『もしもし?』

 

 

 

 

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