デジタルモンスター〜虹の架け橋〜   作:E-OS

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序章

空に舞う銀色の羽根。

その翼は天高く、誇り高く。

私の手が届かない空へ。

遠く、高く。

貴方はは振り返ることもせずに。

真っ直ぐに、遥か先へ。

どこまでも、どこまでも。

止まることなく羽ばたいて行く。

 

 

 

 

………

………Pi

……PiPi

…PiPiPi

PiPiPiPi

 

綺麗な夢を邪魔されるのは、なんだかとても損をした気分になる。

パシンと、鳴り続ける目覚まし時計のボタンを叩いて夢の続きを見ようと再び布団に潜る。

しかし、現実は厳しい。

夢の続きなんて見られるはずもないし、時間というものは無慈悲に流れ続ける。

コンコン

「千愛美もう起きたかー?」

兄の声がする。

「ん…おきてるよぅ…」

観念してベッドから出ると、もう夢のことなんてあまり覚えていない。

「なんか切ない夢だった気がするな。」

思い出そうとしても思い出せない。

「ま、いっか」

兄が作ってくれた朝食の香りに意識を奪われる。

んーっとひと伸びしてカーテンを開けると澄んだ青空が広がっている。

高層マンションから見下ろす景色は晴れているととても清々しい。

12月25日。

世間はクリスマスと浮かれているのだろうか?

そんなことを考えながら冬物の制服に袖を通す。

クリスマスよりも明日からの冬休みに浮かれている自分に少し恥ずかしくなる。

「おはよ、潤にー。」

身支度を整え、自室から出て食卓につく。

「おはよう。今日は寝起き悪かったのか?」

朝食の支度をを済ませて、向かいの椅子に腰掛けた兄に聞かれた。

「んーん。別に。夢の続き見たいなぁとか思っただけ。いただきます。」

「どーぞ。夢の続きって、なんか面白い夢でも見れたのか?」

兄の作る食事は手が込んでいる訳では無いのに美味しい。

この食事に釣られてすっかり忘れてしまっていた。

「ん〜…忘れちゃった」

「なんだよ。まぁ夢なんてそんなもんか。」

「そんなもんです。なんか切ないような悲しいようなそんな夢だったような気がする?」

「俺に聞かれても?悲しい夢の続き見たいってどういうことなんだか。」

「確かに〜じゃあやっぱきっとなんか楽しい夢だね。妖精と一緒に空を飛んで勉強しなくていい世界に連れてってもらえるやつ。」

「はいはい。叶わぬ夢だな。現実を見て早く食べて早く学校行ってたくさん勉強してきなさい」

「残念でした!今日は終業式だから授業ないよー!」

他愛ない会話をしながら食事をしていると、つけっぱなしのTVでは2000年問題の話題になっていた。

「潤にー、うちのパソコン大丈夫なの?」

「…さぁなー。世の中のコンピュータが全部ダメになるとか言ってるけど、どうせ何も起きやしないよ。」

「それならいいんだけどさ〜」

世間では1999年から2000年になった瞬間全てのコンピュータが使えなくなるとか暴走するとかなんかすごい話をしている。

何でそうなるかなんて知らないけどそうなったらきっと困る。

そんなことを考えながら食事を済ませ、学校へ行く準備をしていると、

ピンポーン

「よー」

チャイムと同時に呼び声が聞こえた。

「いまいくー!潤にー!いってきまーす!」

「行ってらっしゃい」

兄に素っ気なく送り出され、玄関の扉を開けた。

 

玄関先ではいつも通り、お隣さんが待っていてくれた。

小学校…もっと前から?朝は早く支度ができた方がお隣さんのチャイムを鳴らす。

そんな習慣が出来てしまっていた。

「おはよー!大毅。クリスマスに女の子の家のチャイム鳴らすのってどんな気分?」

「女の子の家なら緊張するんだろうけどなー、潤さんちだしなんともないわ。」

「お互いそろそろ浮いた話の一つや二つないとヤバくない?」

「なー。」

何度同じような会話をしてきたかわからない。

それでもお互い自然体で話せる一番の友達なんだろう。

談笑しながら学校へ向かう。

 

夢に見たものもTVで見たものもちょっとした話のネタに使ったらすぐ忘れてしまうだろう。

今までもそうだったしこれからもきっと。

この時まではそう思っていた。いや、そんなことすら考えていなかった。

いつまでもこのまま平穏でいたいと、心の底で、なんとなく感じていただけだった。




キャラクター
如月 千愛美(17歳)
・主人公
・黒髪長髪の美しく快活な少女。しばしば男子から好意を抱かれることが有るが同居の兄と幼馴染みの存在を知ると皆身を退いてしまう。

如月 潤(19歳?)
・千愛美の兄
・長身色白金髪のツンツン頭。クールな雰囲気で、口数は少なめ。兄妹とは思えない容姿の違い。仲は非常に良い。

白峰 大毅(17歳)
・千愛美の幼馴染み
・黒髪短髪。元剣道部(全国クラス)。文武両道。スポーツ系イケメン。朗らかな性格で男女から信頼が厚いが、千愛美と登下校を共にしている姿を見られているため一部男子から憎まれている。

設定
1999年12月
東京都
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