ガラガラガラッ
突然、教室のドアが勢い良く開いた。
しかし皆なの視線は教室のドアではなく僕に注がれていた。
一部から「また妹を怒らしたのか、こいつ」みたいな目線を送られているのは
気のせいだと思いたい。
「恭にぃーっ!!」
しかし、教室のドアを開けた少女が発した言葉により、一瞬にしてクラスメイトたちの
視線は親友の恭介の方へ移される。
一方、恭介は驚愕の表情を浮かべて固まっている。
「おまっ何で此処に?それにその呼び方は学校ではやめろって言ってるだろ」
固まっていた恭介は、ㇵッと我に返ると、教室のドアを勢いよく開けた少女を
問い詰める。
「だって恭にぃ、今日の朝むぎゅってしてくれなかった...」
その言葉にクラスメイトたちの好奇の意識は間違いなく、僕と秦野さんから恭介へ
移されたのだった...
恭介はクラスメイトたちの好奇の視線に晒されている事に気づき
「わかった!!わかったから響、むぎゅーってしてやるから来いっ」
恭介はやけくそなのか、教室のドアを勢い良く開けた少女を呼ぶ。
響...そう言えば、恭介の妹の名前も響だったような...
って事は今目の前にいる少女は恭介の妹という事なのだろうか?
僕が思考に没頭していると
「ヒューヒュー兄妹なのに、お熱いね~」
クラスメイトたちからそんな声が上がる。
恭介の方を見ると先ほど、ドアを勢いよく開けた少女を抱きしめていた。
僕はその少女の顔を見て思い出した。
今恭介に抱きしられているのは、恭介の妹の
「にぃに温かくていい匂い~♪」
恭介に抱きしめられて幸せそうな響ちゃんとは対照的に、顔を真っ赤にして
今にも倒れそうな恭介...
これは僕と秦野さんの次は恭介が、クラスメイトたちの好奇の的になるな。
しばらくの間、抱きしめ合っていた北野兄妹だったが、
妹の響ちゃんが満足したのか恭介の頬にキスをして出て行った。
その光景を見てさらに盛り上がるクラスメイトたち...
そして顔を真っ赤にして笑顔で固まっている恭介...
すまん恭介、さすがに救い様なが無い。
無論、午後の授業はクラスメイトたちの視線が常に恭介に向けられており
誰一人として授業を真面目に聞いていなかった...僕と秦野さんを除いて。
全ての授業が終わった放課後。
クラスメイトたちが恭介を問い詰め様としていたが、既に恭介の姿は無かった。
僕も朝の件を掘り返されるのが嫌だったので、足早に帰路に着く。
「葵く~ん!!」
家に続く帰路で、秦野さんに呼び止められる。
僕が後ろを向くと、走ってきたのか息を整えている秦野さんが立っていた。
「ど、どうしたんですか?そんなに急いで」
秦野さんはにっこりと笑って首を少し傾けると、バックの中から袋に入ったクッキーを
取り出した。袋はモールとリボンで封がされている。
そして、秦野さんはそのクッキーを僕に差し出した。
「えっ?えぇ?こ、これは一体?」
状態を把握できていない僕に秦野さんは一言。
「今日は葵くんの誕生日だよ?」
あっそう言えばそうだった様な...秦野さんに言われ気が付く自分が情けない。
が、両親が海外にいるため誕生日と言ってプレゼントが貰えるわけでもないし、
誕生日ケーキなどを買う余裕もないため、誕生日はあって無いようなものだ。
「あ、ありがとうございます...」
でもそうじゃないのかもしれない。こうやってちゃんと僕の誕生日を覚えていてくれて
手作りのクッキーを持ってきてくれたのだから。
どこか救われた様な気持ちになっていると、秦野さんがじーっとこちらを見ている事に
気づく。別にジト目でじーっと見られているわけではなく、不安でしょうがないと
いった様子だ。
そしてその目線がクッキーに向けられている事に気づく。
「秦野さん...?」
僕が声を掛けると「ひゃいっ」と小さく声を上げる。どうやらいきなり声を掛けられて
驚いたらしい。
秦野さんははっとし我に戻り頬を赤く染めた。
「クッキー...今食べてもいいかな?」
僕は思い切って秦野さんに尋ねる。
僕の言葉を聞いて、秦野さんは頭を縦に振る。
僕はクッキーの封をしているモールとリボンを外し、クッキーを一つ摘まもうとした
瞬間
「やっぱダメっ!!」
あわあわと手を左右の振る秦野さん。訳が分からず僕はクッキーを摘まもうとしている
ところで静止していた。
「だって不味かったら私が立ち直れないから...」
秦野さんは涙目でもじもじしながら、ぼそぼそと言い放った...
なるほどと思いながら僕はクッキーを口に運ぶ。
秦野さんの表情が固まる。そもそも見た目は奇麗だったし、何より秦野さんが作ったの
だから変なものが入っているわけがない。
「ど、どう?」
観念したのか秦野さんは味を聞いてくる。
「うん。すっごくおいしいよ」
僕は出来る限りの笑顔で返す。見た目も奇麗で、しっとりした食感のクッキー。
口の中にほのかに広がるバターの風味。甘すぎないところもまた良い。
それから僕と秦野さんは一緒に帰った。
ずっと顔を赤くしたまま下を向いて歩く秦野さんが可愛くて、僕は頭を撫でた。
いつも妹の頭を撫でているせいか、僕の中では褒めるときは頭を撫でる。
それが普通になっていた。
僕が秦野さんの頭を撫でると、秦野さんはさらに顔を赤くして頭から湯気が出てきた...
僕はなんだがそれがおかしくて、笑ってしまった。
相手の流れを取られると何もできない秦野さん...萌える(*´ω`*)
そう言えばこの作品人物描写あまりしてないなと思ったのでちょこっと紹介。
秦野さんは黒髪のショートで巨乳ですw
イメージ的にはサノバウィッチの戸隠先輩かな...
気になった人は検索してみて下さい(^^)/
因みに皆さんは「甘えん坊の妹」と「甘えさせてくれるお姉ちゃん」
どっちが好きですか?
私は...「甘えさせてくれるお姉ちゃん」ですね。