カサンドラだけが知っている   作:schlafen

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*白鐘直斗がP3に関わっていたら、というIFです*

所々に捏造設定がありますが、見切り発車なので続くかどうかは別の話です。

オリジナル要素(予定)
・P3主人公は兄妹の双子
・直斗にオリジナルペルソナ
・直斗はP3男主人公の運命コミュ




プロローグ

2009.××.××

11:59

 

 

チクタクチクタク チクタクチクタク チクタクチクタク

 

規則正しい、時計の音

静寂な夜に響く、秒針の声

 

 

チクタクチクタク チクタクチクタク チクタクチクタク

 

 

僕はそれを凝視する。

止まることなく進む秒針の、終わることなく回る行進を

 

 

チクタクチクタク チクタクチクタク チクタクチクタク

 

 

半分が過ぎて、いよいよ僕のシーツを掴む力が強まった。震える体を、シーツごと抱きしめて、この震えは武者震いなのだと言い聞かせて、時計を見つめる。

けれど針の全てが12を指し示した時、僕はどんな気分になる?

 

 

チクタクチクタク チクタクチクタク チクタクチクタク

 

――チクタクチクタク それは魔法が解ける、灰被り少女?

それとも魔法で動き出す、ブリキ人形? ――チクタクチクタク

 

どちらにしても

 

 

チクタクチク     タク

 

 

ああ――今夜もまた、知られざる夜宴(よるじかん)が始まる。

 

 

 

***

 

 

 

“次は辰巳ポートアイランド、終着駅でございます”

 

まどろむ直斗の耳に、車内アナウンスとそれに反応してざわめく同級生たちの声が届く。

お気に入りのハンチング帽を深く被っていたため実際に見ることはできないけど、彼らの浮ついた空気からどんな光景が広がっているのか容易く想像できた。

 

(本当なら、こんなことをしている場合ではないんだ)

 

そんな楽しげな雰囲気に反感を覚え、そこから今の自分の状況を思い出すことで完全に眠気が吹き飛んだ。

 

――こうしている瞬間にも、稲羽市のどこかで行方不明者がでる可能性がある。

 

世間一般には連続殺人の犯人が逮捕されたということになっているが、直斗がそれに納得できるわけもない。白鐘直斗は探偵であり、探偵とは謎を解き明かすものであり、稲羽市の謎は未だ解かれていないのだ。

誘拐のそして、殺人の条件までは最も正しいと思える推測を建てるところまでいった。しかし肝心の犯人と手段については手詰まりなのが現状だ。

捕まえたのは模倣犯であって、事件はまだ終わっていない。そう何度主張しても証拠が出ない限り警察は無能で、また確たる証拠を示せない直斗自身もまた無能に等しい状態だった。しまいには半ばお払い箱のように扱われ、親が子供を諭すように気分転換にでも修学旅行にいったらどうだ、学生としての本分だろうといわれる始末だ。

 

今の現状を客観から見ればその通りなのだ。模倣犯だと騒いでいるのは直斗一人であって、犯人は捕まり事件を解決した子供が高校一年生としてこの修学旅行に参加することは取り立てて普通だろう。

これを許せないのは直斗の心だけで、だからこそ歯痒い。

 

(念のため、天気予報は確認しておいたけど)

 

少なくとも行方不明者が出そうな天気ではなかったし、来てしまった以上、仕方ないとぐずる心を入れ替えるべきだ。

嘆息しながら直斗は帽子のつばを上げ、視線を窓の向こうへと移した。

周囲では片付けや降りるための下準備が行なわれているが、こちらは席に着いてからというもの考え事か仮眠だけで、片付ける程の荷物も広げていないかったため必要がない。もう少しだけ、流れる風景を見つめながらまどろむ時間はありそうだ。

 

外の風景は緑の多く残る稲羽市と対照的に都会らしいビルの群れ、そして海が広がっている。事件があればその場所を問わない直斗でも、馴染みがあるのはどちらだと聞かれれば、稲羽市よりもこちらの辰巳ポートアイランドを選ぶだろう。

一度稲羽市から離れ、全く環境の異なる場所で状況を整理するのも悪くない。

そう考えて旅程を思い出してみるが、一日目は授業で潰れそうだった。となると、次の日の自由行動時間で単独行動をすれば一人で考えをまとめる時間ぐらいは作れるだろう。

折角抜けてきた眠気が再び直斗を包みはじめた。まどろむ頭はとりとめもなく、ただ心に浮かぶ想いを確かめる。

事件解決に仲間はいらない。自分一人いれば充分で、それでも他者を必要とするのだとしたら、それは仲間ではなく謎を掴むための手足。

 

独りで解決してこそ、認められる。

認められるために、直斗は謎を解く。

 

何に?

何故?

 

不意に浮かんだ疑問に、直斗は半ば無意識に答えた。

 

あるいは、夢に引きずられて

あるいは、過去の残滓をその目で見つめて

 

 

「僕を必要とする人に」

『僕の祖父に』

「僕が、探偵としての僕であるために」

『僕が探偵に相応しいと認めさせるために』

 

 

そこまで応えて、強烈な既知感に襲われる。

 

白鐘直斗は以前、ここで、同じような状況で、『何か』の事件解決を誓った。

 

それはいつ、どうしてなのか。

迫る終着駅を前にしても、直斗は思い出すことができなかった。

 





初めまして、初投稿となるます。緊張、緊張……

簡単な流れとしては
直斗が起きる(P4時間軸の話)
直斗が眠る(P3時間軸の話)
という形で進みます、進めば……

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