私の行く道は?   作:まもる

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歓迎会

 

 仲良くサラトガと一緒に提督からのお説教を受けた私は足が痺れていた。

 

 「う゛~足が痺れた・・・・・」

 

 「私は悪くない・・・・・でも、痺れた・・・・」

 

 「それにしても、サラは相変わらずトレインアタックは厄介ね」

 

 「投下した雷爆撃を全部交わして置いていえるわね。それよりも、あんたの弾幕射撃が厄介だったわよ。弾幕が濃すぎて近付けないってパイロット妖精が苦情がでてるわよ」

 

 「いやいや、濃くしないと沈んでるから!」

 

 「「ぷっ、あはははははは!」」

 

 「同じ鎮守府だからよろしくね。ノースカロライナ」

 

 「あぁ、サラ」

 

 私はサラと握手を交わして、仲直りしてからは久しぶりの会話に話が弾んだ。

 

 「そうだったわ。ノースカロライナ、お腹空いたから食堂に行く?」

 

 「そうね。私もあれから何も食べてないわね」

 

 「今日の当番は確かアイオワよ。久しぶりにアメリカンフードを楽しみましょ!」

 

 「サラなら何がオススメ?」

 

 「アイオワだから、ピクルスたっぷりのビーフチーズバーガーかな?」

 

 「何それ・・・・マジで食べたいかも・・・・・」

 

 鹵穫されてからは日本食ばかりを見ていたし、信衛と寝た時に食べたくらいだったから、私には懐かしい味だ。それに、フライドポテトにフライドチキンに冷えたコーラが懐かしい。一応、富士の船体にもノースカロライナだった名残りでコーラを造る為の施設は残っているが大戦中はラムネばかり作っていたのだ。コーラも恋しいのだ。

 

 そして、サラと一緒に食堂に行くと言葉を失った。

 

 「えっ・・・・・・・」

 

 「アイオワ、あなた・・・・・・」

 

 確かに私の歓迎会だが、テーブルに並んでいた料理が問題だった。それを見たサラが私より先に叫ぶ。

 

 「何故よ!何故、和食なのよ!しかも、これは・・・・・提督の好物ばかりじゃない!」

 

 テーブルに並ぶのは卵焼きに肉じゃがや煮魚、きんぴらごぼうなどが並ぶ。

 

 「また、和食か・・・・・・あぁ、こってりした肉汁たっぷりのハンバーガー・・・・フライドポテトにフライドチキンがぁぁ・・・・・」

 

 私も膝を折り、地面を叩きながら悔しがっていた。

 

 そう、まさかの和食だったのだ。

 

 あのアイオワが和食を作っていたのだろうか?。

 

 「あっ、サラにノースカロライナ来たのね!」

 

 厨房から出て来たのはエプロン姿で大皿を運ぶアイオワともう一人いたのだ。

 

 「えっ?まさか、この料理は伊良湖のなの?」

 

 「まさか、サラ?私が和食を作ると思った?」

 

 「だって、アイオワは提督と結婚してるわよね!だったら、普通に提督のお国料理でしょ!」

 

 「今日はノースカロライナの歓迎会よ。はい、サラとノースカロライナにはアメリカンフードを用意したわよ。コーラ付きでね!」

 

 サラの突っ込みを余所に目の前に置かれた料理は紛れもなく、私が食べたかったアメリカンフードだ。大皿にはビーフ100%のパティとこよなく愛したチーズを挟んだビーフチーズバーガーにカリッと揚がったフライドチキンやサクサクのフライドチキンが添えられていた。そして、ドリンクは・・・・・・

 

 「プッハァ!これよ!これが無ければアメリカンフードじゃないわ!」

 

 そう、強炭酸飲料のコーラだ。

 

 「ノースカロライナも良い飲みぷっりねぇ」

 

 「でも・・・・・・」

 

 私はペンダントのタグを握ると悲しくなった。

 

 「どっ、どうしたのよ?」

 

 「なんか、アイオワが羨ましいなって・・・・・・ヒックゥ・・・・・」

 

 「どうして?てっ、ノースカロライナ、泣かないでよ!」

 

 「ねぇ、私にも聞かせてよ?」

 

 「えっ?サラも?」

 

 「良いよ。でも、ここで話すには駆逐艦の子達には刺激が強すぎるから歓迎会が終わったら見せるね。アイオワにしたら気分が悪くなるかも知れないけど・・・・・・」

 

 「判ったわ。でも、私の旦那にも一緒に聞いて貰っても良いかな?」

 

 アイオワは何かを悟ったのか提督も話を聞くらしい。

 

 「良いよ・・・・・」

 

 「さて、ノースカロライナも一緒に食べよ!アメリカンフードが冷めちゃうわよ」

 

 サラに促される様に私は早速ハンバーガーをがぶり着いた。

 

 「そうね、頂くね・・・・・・・ハッム・・・・・・!?・・・・・・この肉汁・・・ハッム・・・・このチーズの溶け具合・・・・・あぁ、マスタードとケチャップのハーモニーが最高!ハッム、ハッム、ハッム・・・・・」

 

 「ノースカロライナ、慌てて食べなくても・・・・」

 

 あまりの食べっぷりに多少飽きれ気味にサラは言う。でも、食が止まらない。

 

 止まらないのだ。

 

 「サラ、違うの!クセになって止まんないの!ハッム・・・・」

 

 私は皆が見ていてもお構いなしにハンバーガーにかぶりつく。そして、フライドポテトが視線に入ると手で鷲掴みして口に押し込む。

 

 「ムッグゥ・・・・!?・・・・はぅぅ・・・・サクサク・・・・」

 

 何これ・・・・塩加減がうますぎる!?

 

 「くぅぅぅ!フライドポテトの塩加減も最高!」

 

 フライドポテトを飲み込むと炭酸が欲しくなり、コーラで流し込む。そして、今度はこんがり揚がったフライドチキンが視線にはいる。

 

 手で掴むなりかぶりつく。

 

 「んっ、んん!?」

 

 溢れる肉汁、口の中に広がるのはスパイスの効いたジューシーな鶏肉。そして、サクサクした衣がアクセントになって黙々と食べる。気付けば骨が残り、また、フライドチキンを貪る。

 

 全ての料理がハマりにハマりどんどん食べていた。気付けば、大皿に在ったハンバーガーやフライドポテト、フライドチキンは全て食べ尽くしていた。そして、物足りなくて和食にも箸を伸ばして心行くまで食事を楽しんだのだ。

 

 アイオワもサラも満足そうに終始和やかに私を見守っていた。

 

 

 

 歓迎会は無事に終わり、伊良湖さんが食堂で歓迎会で食べた食事などを片付けていた。

 

 そして、私はアイオワと提督、サラを連れて埠頭に来ている。理由は私の本体を召喚するのが目的だ。

 

 「富士、何で埠頭何だ?」

 

 「敏昭?まさか、私を妻にしておいて艦娘の本体召喚を知らないの?」

 

 「アイオワ、だって一度もしてないだろ?なら、俺は知らない」

 

 アイオワと提督とのやり取りは無視して私は本体を召喚する。

 

 まばゆい光と共にかつての私の姿が現れる。

 

 「おぉ、大和だね・・・・」

 

 「うん、大和だ」

 

 「見るのは戦前のニューヨーク港と開戦後の南太平洋海戦以来ね・・・・」

 

 サラは一度、南太平洋海戦で私の本体を見ている。

 

 「ちょっと、アイオワに提督!大和じゃないわよ!富士よ!煙突が一つ多いでしょ!カタパルトが一基少ないでしょ!どう見ても全長が大和より短いでしょうがぁぁ!ハァ、ハァハァ・・・・・」

 

 私は息を切らしながら叫ぶ。

 

 「まさか、ノースカロライナ?大和と間違われるのがトラウマなの?」

 

 「違うわよ!ただ・・・・・・」

 

 私はズゥーンとしながら、今まで我慢していた事を呟く様に話した。

 

 「「「ただ?」」」

 

 「ただ・・・・・・・・・ただね、私は叫びたかったわよ・・・・・だって、鹵穫された時なんか海軍陸戦隊に『アレ、大和じゃねぇ?』って言われたり、改装が終わったら、見た目が艦橋や主砲配置、機銃の配置など、どれ取っても大和型に準じていたし、唯一、言われなかったマストが大和だって言われなかったに電探や逆探などを追加しただけで根元から折れて海に落ちからドッグ入りして修理されたと思ったら大和型のマストに替えられていたし、呉に入港した際なんか新人が配属されて来たと思ったら大和配属予定の乗組員だったし、トラックに入港した時に『大和歓迎!』の横断幕張られたからモールス信号で『我レ、富士ナリ』って知らせたら、揃いも揃って見に来た人達なんか全員帰ったんだよ!」

 

 「「「うっ、わぁぁぁ・・・・・」」」

 

 私から滲み出るどす黒いオーラに三人はたじろぐだけだったが、私のどす黒いオーラの放出は止まらずに鎮守府全体を囲い始めた。だって、溜まっていたんだもん・・・・

 

 「後は・・・・・そうだね。南太平洋海戦の夜戦もそうだったわね・・・・・」

 

 サラは何かを気付き、顔を真っ青にする。

 

 「「南太平洋海戦の夜戦?」」

 

 「NO!アイオワ、提督触れちゃダメです!」

 

 「「えっ?もう、遅いよ?」」

 

 「オーマイガ!?」

 

 「サラ、気にしなくて良いよ。悪いのはあの二人だからね。そう、サウスダコタとミズーリには頭に来るよ・・・・」

 

 更に深まるどす黒いオーラにアイオワは初日を思い出して怯えながら私に聞いてくる。

 

 「まさか、マイ、シスターが?」

 

 「夜戦で私に砲弾が命中した時、『大和型、艦中央部に命中!』って喜びながら騒いでたんだよ。しかも、二人共、艦魂姿で小躍りしながらだよ?普通に考えられる?しかも、その後なんか大和大和大和大和大和大和って連呼するし、大和は大和で、遠距離からの砲撃担当だったから、あの二人には見える距離じゃないわ。もう、頭に来たから最初に改九一式徹甲弾を艦の手前に落下するように射撃して水中弾道で船体の水面下に当てて傾けさせたらSHS弾頭で叩き込んで叩きのめして上げたわ」

'

 「妹ながら、お馬鹿ですね・・・・・・ノースカロライナはアメリカ海軍の艦魂では気性が荒い事で有名なのに・・・・・」

 

 「でも、気性の荒さならエンタープライズよね?」

 

 「あの猛牛と一緒にしないでよ!エンタープライズは第二次珊瑚海戦までしぶとく生きて居たんだから!」

 

 「ハルゼー提督は?」

 

 「アイオワ、私よりはそれはサラが知っているよね?」

 

 「そうね。座乗していたエンタープライズが潜水艦の雷撃で大破して重巡ペンサコーラに座乗してたわ。でも、私は昼間の空襲で撃沈されたからわからないわ」

 

 「じゃあ、エセックスだと思っていたのはサラだったのね。エンタープライズを雷撃したのはイ-19潜の雷撃だね。ペンサコーラは夜間攻撃で空母魁鳳所属の(※1)惑星艦上爆撃機の急降下爆撃で艦橋に800㎏爆弾が直撃して轟沈したよ」

 

 (※1)惑星艦上爆撃機は元の名前は彗星艦上爆撃機43型改であり、(※2)瞬電艦上戦闘機22型と(※3)瑞風艦上偵察爆撃機同じエンジンである火星S42型(1870馬力)に変更して80番爆弾の使用が可能になった。他にも、操縦席に防弾や燃料タンクに防漏ゴムなどを強化されをパイロットを守る作りになった。最高速度も586㎞/hと同時期の爆撃機ではトップクラスである。

 

 (※2)瞬電艦上戦闘機は川西航空が開発した艦上戦闘機で逆ガル型の主翼が特徴的である。それに加えて零式艦上戦闘機よりも小型で主武装は陸海軍共通の13ミリ機関砲が6門と重武装でアメリカからの技術により主翼は油圧式の折りたたみ機構がある。エンジンも火星S42型を搭載し、最高速度は610㎞/hと海軍機では二番目に早い。ただ、欠点は航続距離が短く増槽を付けて1800㎞で無しでは1200㎞である。

 

 (※3)艦上偵察機彩雲が大型空母にしか格納で出来ない問題とエンジンである誉エンジンの整備に関して大型空母に限られる事から、対潜哨戒任務に偵察や爆撃任務に適した機体を依頼。出来たのが瑞風艦上偵察爆撃機で愛知航空が開発した水上偵察機瑞雲を火星S42型エンジンに換装して艦上機型にした機体である。武装も主翼の折りたたみ機構も瑞雲のままで開発された。脚部の強度不足は強風、瞬電、紫電改を手掛けた川西航空が開発に協力して完成し、1944年の春から全空母に配備され最高速度も560㎞/hと速い。

 

 

 とハルゼー提督と南太平洋海戦の話題にすり替えて一安心のサラだった。

 

 ラッタルを上がり、船内へと入り案内したのは信衛の部屋だった艦長室だ。

 

 「ここは艦長室よね?」

 

 「うん、でも今は私の部屋よ」

 

 私はペンダントを握りタグを実体化する。これを見て慌てたのはサラだった。

 

 「まさか、ノースカロライナ!あなた禁忌を犯したの?」

 

 サラが言っている意味は分かる。

 

 これだけは手放したくなかった。

 

 だから、私は正直に答えた。

 

 「うん、犯したよ。いけない?身も心も全て捧げて愛した彼のなれの果て・・・・・」

 

 「富士、彼はどうしたのだ?」

 

 「信衛は原爆の熱線で装甲板に焼き付いのよ。だから、私の本体からむしり取って艦魂としての力を使ってペンダントに替えた。でも、良かった・・・・・・」

 

 「ノースカロライナ!」

 

 「アイオワが言いたい意味は痛いほど解るよ。艦娘に生まれ変わっても、このペンダントだけは残っていたから・・・・」

 

 私は実体化させた装甲板を大事に抱きしめる。

 

 「ノースカロライナ・・・・・・・あなた狂っているわよ」

 

 「サラ、私が昔から好きになった男性には一途だって知っているでしょ?禊ぎの契を果たした信衛は永久に私から離れられない。禁忌だって言われても判っているわ。禊ぎの契をする艦魂なんて今は居ないんだから。だから、私はアイオワと提督が羨ましいって言ったのよ」

 

 「それでも!禊ぎの契をして先に契約者が死んだらどうなるかは知っているでしょ!」

 

 サラは叫ぶ様に怒る。私もサラ達に妖美な笑みを浮かべながら下腹部を摩りながら答えた。

 

 「知ってるよ。それでも信衛は承諾してくれたよ。だから、私は信衛にベッドの中で抱かれる事を心から許したの。女性としての愛される喜びを・・・・・・」

 

 「狂ってる・・・・・・狂っているわよ!」

 

 サラは涙を浮かべなから叫んでいた。

 

 話に着いて行けない提督はアイオワに聞いていた。

 

 「なぁ、アイオワ?禊ぎの契って何だ?」

 

 「艦魂だった私達の世界では艦長と結ばれる契約よ。もし、終戦まで生き残り退役すれば艦魂は肉体を得て艦長と本当の夫婦になれるのよ。だけど、どちらかが先に死ぬと船が沈めば艦長も一緒に死ぬ事になるし、艦長が死亡すれば艦長だった魂は永久的に船に縛られて成仏すら許されなくなるのよ。だから、禁忌にされているのよ」

 

 「じゃあ、何で羨ましいって?」

 

 「あなたはそれでも提督ですか!敏昭!」

 

 「まさか、艦娘には肉体があるからか?」

 

 「そうよ。だから、ノースカロライナは私に羨ましいって言ったのよ・・・・」

 

 アイオワも苦虫を潰したような表情で私を見ていた。

 

 「でもね、私の居た日本海軍では当たり前だったのよ?大和だって有馬艦長と結んでいたし、長門だって杉田艦長とも・・・・・でも、みんな原爆で死んだ。死んだのよ・・・・唯一、最後まで行けたのは三笠様だけだったけど・・・・」

 

 私も来なかった未来に涙を流したのだ。

 

 信衛と結ばれた明るい夫婦生活の淡い夢物語に・・・・・

 

 

 結局、今夜は遅いとの理由で私の本体に泊まって貰う事になった。アイオワと提督には長官室に泊まって貰い、サラには士官室に泊まって貰った。

 

 私は装甲板をペンダントに戻して握り締めながらベッドの中で泣いていた。

 

 「信衛・・・・・どうして死んじゃったのよ・・・・・・寂しいよ・・・・・温もりが欲しいよ・・・・・」

 

 そんな時だった。

 

 ペンダントが光り声が聞こえたのだ。

 

 「何だ?ノースカロライナはまた泣いているのか?」

 

 ハッとなりベッドから起き上がるも部屋には誰も居ない。部屋には泣いていた私だけだった。

 

 でも、声は聞き覚えがある。

 

 信衛の声だった。

 

 「信衛!信衛何処なの!居たら返事してよ!私を抱きしめてよ!」

 

 私の叫びは部屋の中を虚しく木霊するだけだった。

 

 「ヒックゥ・・・・・信衛・・・・・信衛・・・・・うっ、わぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 部屋の中を探すも信衛は居なかった。

 

 私は悲しくなり、ベッドの脇にぺたんと座り込み信衛の名前をつぶやきながら泣き叫んだのだ。

 

 

 艦長室の廊下ではサラが私の様子を聞いていた。

 

 「ノースカロライナは本当に愛していたのね・・・・・」

 

 踵を返して部屋へ帰って行った。サラは帰りながら呟く。

 

 「アイオワよりもノースカロライナ。あなたが羨ましいわ・・・・・・」




 次話は建造かな?

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