私の行く道は?   作:まもる

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何だ噛んだで建造です。

 

 朝起きると、見慣れた光景が広がっていた。

 

 信衛を良く後ろから抱きしめて困らせた執務用の机と椅子にフッドから全身が打撲だらけになるまでレイピアを教わった訓練用のレイピアが机の脇に立てかけられていた。でも、部屋に無いものが一つだけある。信衛の軍刀が無いのだ。

 

 そこで、寝ぼけていた私は気付いた。

 

 「あっ・・・・私の部屋だった・・・・・」

 

 寝間着である浴衣を脱ぎ身嗜みを整えて腰にレイピアを差すと艦の食堂に向かう。

 

 「ノースカロライナ、Good Morning!朝ごはんを先に頂いてるわ」

 

 いの一番に食堂に居たのはサラだった。バスケットにてんこ盛りの焼きたてのバターパンに一体何人前のオムレツとソーセージをお皿に載せて食べているのだろうと思いながら、私もいつも朝食セットを頼む。プレートにはトーストに目玉焼きにソーセージが載り、ブラックコーヒーを受け取るりサラの隣にいく。

 

 「サラ、おはよう。提督とアイオワは?」

 

 「提督とアイオワならまだ寝てるわ。二人の事だから昨晩はお盛りだったわよ」

 

 「なっ!?」

 

 ガッシャン

 

 サラの一言に思わず驚き、受け取ったプレートを床に落としてしまう。そして、ふつふつと沸き上がる怒りにレイピアの柄をに握り締めた私は踵を返して長官室に向かおうとする。

 

 「どうしたのよ?」

 

 「ちょっと、長官室に行って二人を私の剣の錆にして来るわ!」

 

 「ちょっと、待ちなさいよ!」

 

 後ろでは、サラが急いで食べているがお構いなしに部屋に向かった。

 

 長官室前に着くなり、レイピアを抜きドアを細切れにする。

 

 シュッパァ・・・・・バラバラバラ・・・・

 

 「キャア!?」

 

 「なっ!?」

 

 やはり二人は未だにお盛りの途中だった。良い証拠に体を重ね絡み合った事が判る鼻につんとくる臭いにシミの染み付いたシーツ。そして、何よりもアイオワの股から滴り見える白い液体は私も中に出された経験があるから判る。私にギロッと睨まれたアイオワと提督は全裸のままシーツを急いで被り身を隠すが既に遅かった。

 

 手に握るレイピアから手を離して机の引き出しから二本の脇差しと俳句を詠むための一式を取り出して二人に投げて叫ぶ。

 

 「二人共、人の船の中で盛るなぁぁぁぁぁ!辞世の句は読み、それで腹を斬れ!介錯してやるわ!」

 

 「「あっ、イェェェ!?」」

 

 二人は切腹は御免だと、そのまま全裸の姿で走り出して長官室から逃げ出したのだ。

 

 「にっ、逃げるなぁぁぁぁぁぁ!なら、その場で手打ちにしてくれる!」

 

 「尚更、タチが悪いわよ!冗談はエイプリルフールだけにしなさいよ!」

 

 「富士!レイピアじゃあ、介錯は無理だぁぁぁぁ!」

 

 「あら、ありがとう提督♪なら、串刺しよ♪」

 

 「敏昭!?何、敵に塩を送っているのよ!それじゃあ、串刺しされたらバーベキューじゃない!そもそも、私が熟睡しているのに敏昭が私の胸をいっぱい揉むからムラムラしちゃったんじゃない!」

 

 「そうだったな・・・・アイオワのバーベキュー・・・・・・・」

 

 「敏昭、変な想像しないで逃げるわよ!なら、責任取って串刺しになりなさい!」

 

 「だが、断る!」

 

 「待てぇぇぇ!」

 

 「あっ、提督さんとアイオワさんが富士さんに追い掛けられてるぽい?」

 

 「提督とアイオワさんが裸・・・・君には失望したよ・・・・・」

 

 夕立と時雨に白い目で二人が見られていた。

 

 しばらく、鎮守府内をノースカロライナから逃げていたが在ることに気付く。

 

 「ちょっと!?」

 

 「どうした?」

 

 「後ろにノースカロライナが居ないわ?」

 

 「なっ、何だと!?」

 

 二人共、私の事を忘れている。あの世界の日本海軍の船なら大艦巨砲主義では無い事を警戒するべきよ。いくら改装されても私の最高船速は29ノットだ。最初から私より足の速いアイオワに追い付けない事は分かり切っている。

 

 だから、既に私は救援を頼んでいたのだ。

 

 「二人にはお仕置きよ!爆撃隊、発艦!」

 

 そう、サラに頼んだのだ。

 

 私はあくまでも、航空機主兵論者だ。

 

 いや、私はそう教育されたのだから逃げ足が速いなら、更に速い航空機で追い掛けて攻撃すれば良い。そして、今頃は・・・・・・ドートレスの急降下爆撃に曝されているだろう。

 

 そして、倉庫の方で逃亡中の提督達を見付けたらしくドートレスが急降下に入っていた。そして、投弾すると爆煙があがる。

 

 チュドォォォォン

 

 「「ギャァァァァァァ!?」」

 

 どうやら、二人の頭上に艦爆隊が投下した550ポンド爆弾が炸裂したらしい。

 

 私とサラが追い付いた頃には仲良く気絶した馬鹿夫婦が横たわっていた。そして、気絶した二人を枝で突くのは浦風だった。

 

 「お二人さんはド派手にやらかしたのう」

 

 「浦風、枝で突くのは・・・・」

 

 「サラさん、だって鎮守府公認の馬鹿夫婦だもん。いろんな意味でも突きたくなるのう」

 

 納得出来るが、それは死体蹴りに近いと思う私だった。

 

 二人はサラが引きずって運びドッグへ投げ込む。

 

 戻るなり、執務室では扉を副長妖精が外して私の船に運び、長官室の扉を直しており、私はサラを手伝う形で午前の執務を行っていた。

 

 「ねぇ、ノースカロライナに今日のディリーを消化するために建造と開発を頼めないかしら?」

 

 「別に良いけど?やり方は知らないよ?」

 

 「ほら、ドッグに居るのは提督とアイオワに明石も居るから大丈夫じゃない?」

 

 「じゃあ、行って来るよ」

 

 「書類は私がやって置くから気にしないでね」

 

 サラから一枚の書類を渡されたから行くしかなかった。

 

 ひとまずは、明石さんが居る工廠に向かった。

 

 工廠にはヘルメットを被った妖精がいた。妖精は私に語りかけて来る。

 

 「建造ですか?開発ですか?」

 

 私は妖精に書類を渡して建造と答える。

 

 「書類通りよ」

 

 「オール二万まで使って構わないですと!?なら、大型建艦です。資材はどれくらい投入しますか?」

 

 私は適当に資材を投入する。

 

 「なら、800、800、800、900の三回で」

 

 資材を投入してタイマーに時間が現れる。

 

 しかし、妖精がタイマーを見て驚く。

 

 「えっ!36時間!?」

 

 他も同じ様に投入していく。

 

 こちらもタイマーは36時間

 

 建造カプセルが壊れているのかと思ってしまう。最後も同じく投入してみる。

 

 「はぁぁぁ!?19時間!?」

 

 嫌な予感しかしない。

 

 まだ、資材もあるから最後は900、900、900、900でやってみる。

 

 これもふざけているのか、タイマーは48時間だった。

 

 「イライラする!妖精さん、建造カプセル空けるには?」

 

 「高速建材使用ですね」

 

 「頼むわね」

 

 妖精さんはバーナーを持って来ると一気にカプセルを炙っていた。タイマーもみるみる減り全部タイマーがゼロになった。

 

 一番長かった建造カプセルには懐かしい顔がいた。

 

 「富士型戦艦二番艦の白根です。対空戦闘は任せてください!」

 

 「白根?いや、ワシントンなの?」

 

 込み上げてくる涙。ワシントンと呼ばれ振り返るのは私の可愛い妹だった。

 

 「お姉ちゃん!?お姉ちゃんだよね?」

 

 「うん、お姉ちゃんのノースカロライナよ」

 

 「お姉ちゃん!?」

 

 「ワシントン!?・・・・・・・やっぱり、ワシントンだね。温かいよ・・・・・・」

 

 「うん、お姉ちゃんも温かい・・・・・・」

 

 ワシントンに抱き着かれて私も床に倒れるが、私も抱き返してワシントンの温もりを味わったのだ。

 

 「ノースカロライナ!」

 

 抱きしめている後ろから声をかけられる。振り向いて居たのは

 

 「姉妹の感動の再会のところで悪いわね。高速空母の浅間よ。久しぶりねノースカロライナ」

 

 「フッド!?」

 

 「わたくしも忘れないでくださる?」

 

 「プリンスオブウェールズ!?」

 

 「今のわたくしは防空型超大型巡洋艦阿寒ですわ」

 

 「そう言えば、最後まで見なかったけどPOWは何処の艦隊に配属だったの?私はフッドとワシントンと第三機動艦隊だったけど?」

 

 「わたくしは新設の第十機動艦隊の旗艦として配属されて呉を母港に瀬戸内海に居ましたわ。就航したばかりの信濃型侵攻空母二番艦の美濃や雲龍型空母五隻を中心とした機動艦隊でしたから・・・・」

 

 「じゃあ、太平洋戦争の生き残り組?」

 

 「そうですわね。わたくし達はあの時は瀬戸内海で各艦隊に補充予定パイロット達の離着陸訓練の最中でしたわね」

 

 「POW、ノースカロライナも昔話しに華を咲かせるは構わないけど、もう一隻いるわよ?」

 

 その言葉にサッァーと引く汗に嫌な予感を感じていた。

 

 「お前ら、第一機動艦隊の私を忘れているとは良い度胸のようね?再教育が必要ですか?」

 

 「「「「!?」」」」

 

 ドスの効いた声で第一機動艦隊と言って当て嵌まる人物は一人しか居ない。

 

 そして、彼女はここにいるメンバーの教育係だった事を思い出す。

 

 高潔である彼女は同じ機動艦隊の高千穂や穂高とも仲が良く、同じ機動艦隊にいながらも姉の大鳳と似た顔立ちながらもスタイルが良く、頭脳でも他の全てにおいて姉妹逆転していたほどの人物・・・・・・

 

 嫌な予感を感じながら、全員で振り向くとこめかみに青筋を立てて、右手に『精神注入棒』と書かれた丸太らしい物を持ちニヤリと笑っている。

 

 私も恐る恐る伺う。

 

 「まさか、尖鳳教官?」

 

 「そうよ!大鳳型侵攻空母二番艦の尖鳳よ!お前ら、お尻を出して一列に並びなさい!久しぶりに再会したと思っていたら、あなたたちは弛んでいるわよ!」

 

 「「「「ヒッィ!?」」」」

 

 こうなった、教官は手に負えない。

 

 ここは、素直にお尻をだす。そして、尖鳳は精神注入棒を振りかぶりお尻を叩いて行く。

 

 「富士!」

 

 バッシィ

 

 「グッハァ!?」

 

 「白根!」

 

 バッシィ

 

 「キャン!?」

 

 「阿寒!」

 

 バッシィ

 

 「グッハァ!?」

 

 「はぁ、はぁ・・・・最後は浅間ね・・・・ふん!」

 

 バッギィ

 

 「ぎゃん!?」

 

 「全く、規則正しくしなさい!」

 

 だが、叩かれたフッドの様子がおかしい。

 

 「POW!」

 

 「はっ、はい?」

 

 尖鳳にお尻を叩かれ倒れたフッドがユラリと起き上がるとPOWを呼ぶ。イギリスではマイティーフッドと呼ばれて国民から親しまれ、イギリス艦艇の艦魂からはクィーンと呼ばれ恐れられたイギリスの古参の艦魂だった彼女だ。だが、日本海軍の軍艦になったフッドは郷に従い、彼女より年下の尖鳳に叩かれても仕方ないと思っていたが・・・・・

 

 「POWの獲物を貸しなさい!いい、恋と戦争は手段を選ばないのよ?POW判った?」

 

 笑っているが目が笑っていない笑顔。

 

 あれは、絶対女王の静かなる笑顔だ。

 

 まさか・・・・

 

 もしかして、フッドはキレてる?

 

 いや、キレてたわね。

 

 POWがクィーンど叫び、小さな悲鳴を上げて震えながら涙目になっている。

 

 「ヒッィィ!?クッ、クィーン!?」

 

 POWの持っている武器はクレイモア(大剣)だ。召喚したクレイモアをPOWから奪い取るとフッドは剣を尖鳳に向けて睨む。

 

 「まだ、お尻を叩くだけなら構わないわよ!だけど、お尻ではなく腰を叩くとは大馬鹿者!」

 

 キレたフッドが尖鳳に斬りかかる。

 

 「くっ!?」

 

 慌てた尖鳳は軍刀を召喚して鞘ごと大剣を受けるが全力で剣を振っているフッドには無意味だった。それだけの修羅場を潜り、圧倒的な場数を踏んだ彼女の前に赤子でしかないのだ。

 

 軍刀は鞘ごと叩き折られ、砕けた鞘と折れた刀が宙を舞う。そして、大剣を地面に刺すと素早い突進で尖鳳を掴んでいたのだ。

 

 「尖鳳、教育的指導はあなたよ!郷に入る者は郷に従うものよ!」

 

 ズッドォォン

 

 「グッハァ!?・・・・流石は浅間ね。老いても、尚盛ん・・・・・・・・」

 

 「誰がババァよ!」

 

 バッキィィ

 

 綺麗な一本背いで尖鳳を投げて意識を刈り取る。しかし、ババァ扱いされた事に更にキレた浅間だった。

 

 「ノースカロライナ、ひとまずは執務室に案内してくれるかな?提督にご挨拶が必要でしょ?」

 

 未だにフッドの静かなる笑顔は私にも向いている。

 

 確かに、フッドの笑顔は恐い。

 

 私もPOWに倣い、頷くしか無かった。

 

 「うん・・・・」

 

 執務室に案内した後は、再び戻り開発を行う。

 

 今頃は提督と顔を合わせているだろうし、サラが居るから大丈夫だと信じたい。

 

 

 

 結局、開発したのは航空機は紫電改Ⅱ、天山Ⅱ、惑星、瞬電、瑞風を開発し、武装は改九一式徹甲弾と改三式弾のみだった。まぁ、サラとフッドの艦載機分だけ揃えただけだが・・・・・

 

 開発を終えて、執務室に戻ると正座姿の提督とアイオワに尖鳳だった。

 

 「サラ、開発が終わったわよ。で、これはどうしたのよ?」

 

 「ノースカロライナ、開発お疲れ様。馬鹿夫婦はドッグでもお盛りだったみたいで、フッドが尖鳳を連れて行ったら偶然にもやってる最中だったのよ・・・・」

 

 「まさか?」

 

 「まさかよ。ドッグに入れるから服を脱がして担いでドッグに入ったら、やってる最中の提督とアイオワを尖鳳とフッドが見てしまって、逆に気が付いた尖鳳も全裸を提督に見られた怒りでドッグ内でガチバトルよ・・・・・・」

 

 「あれ?フッドは?」

 

 「フッドは巻き込まれて大破よ。高速修復材の使用を許可したから大丈夫よ」

 

 「そう、ならよかったわ。あと、これはサラにプレゼントよ。」

 

 私は開発した艦載機をサラに渡す。

 

 「えっ?良いの?」

 

 「良いわよ。開発で出た艦載機だから」

 

 渡された五機種に嬉しいながらも困惑するサラ。

 

 「ねぇ、艦載機は三種類で充分じゃないの?私の艦載機は戦闘機はF6Fに艦上爆撃機は偵察を兼ねてドートレスに攻撃機はアヴェンジャーだけよ」

 

 「私も最初はそうだったわよ」

 

 「えっ?」

 

 「でもね、事象例が在るから五機種に増えたのよ。制空、上空警護は艦上戦闘機の瞬電、迎撃には紫電改Ⅱ、対潜哨戒と偵察には瑞風あとはサラと同じだよ。別に瞬電で大型爆撃機の迎撃は出来るよ。でも、瞬電は軽戦で火力が低い欠点がる。だから、迎撃だけの為に重戦である紫電改Ⅱが用意されているのよ。サラもあの空海戦の初戦を覚えているでしょ?」

 

 「あれは、悪夢だったわね。私達も第一次攻撃後に第三機動艦隊の他に雲の合間から見えた第五機動艦隊や第二機動艦隊を発見した時は絶望したわ。最初の攻撃を仕掛けた時はノースカロライナの居る第三機動艦隊だけだったけど、攻撃隊を送ったら『フラッシュサンダー』の巣に入ったって戦闘機隊のパイロットの悲鳴が聴こえたわね。でも、高い高度から入った爆撃隊が悲惨だった。『ジェット戦闘機が居るぞ』の通信を最後に全滅・・・・爆撃隊はこれに鴨にされたのね」

 

 サラは(※1)紫電改Ⅱを優しく撫でながら感傷に浸っていた。

 

 「ひどい目に合ったわ・・・・あら、懐かしいわね。紫電改Ⅱじゃない」

 

 「フッド大丈夫?」

 

 「何とかね・・・・巡洋戦艦のままだったら、正直に駄目だったわ」

 

 ドッグから戻って来たフッドだった。フッドも紫電改Ⅱを見て懐かしんでいた。しかし、フッドには最新鋭の艦上戦闘機の(※2)烈風と艦上攻撃機の(※3)流星改、彩雲が搭載されている。紫電改Ⅱは迎撃任務が主だった為に防空空母へ移動となったのだ。もちろん、整備の観点から改飛鷹型のみ搭載出来た。

 

 「フッド、私が使って構わないの?」

 

 「ノースカロライナが渡したのでしょ?」

 

 「はい」

 

 「なら、そういう意味よ」

 

 フッドに私の思惑を看破され顔が赤くなる。だから、白状したのだ。

 

 「サラ、前世では駄目だったけどね、今度はサラと妹のワシントン達と艦隊が組みたい。ダメかな?」

 

 「アイオワ!」

 

 答える前に正座をしているアイオワを呼ぶ。

 

 「はい?」

 

 「反省してるなら許すわ。確か、近日中に横須賀の連中と演習が在ったわよね?」

 

 「在るわ。どうして?」

 

 「久しぶりに勝ちに行かない?そうね、編成的にアイオワを旗艦にノースカロライナ、ワシントン、フッド、POWに私かな?」

 

 「ちょっと、駆逐艦が居ないわよ!」

 

 「アイオワ、大丈夫よ。対潜装備ならPOWと艦載機の瑞風が在るわ。その前に横須賀の第一航空戦隊のコンビが居るわよ?」

 

 「高い熟練度の航空隊コンビの二人ね・・・・・」

 

 「やっぱり、こっちの世界でも高い熟練度なんだね・・・・」

 

 「ノースカロライナ、気落ちするほどじゃないわ。私の艦載機達は1944年の最終決戦のままだったわ。熟練度なら、あの二人には負けないわ」

 

 「じゃあ、艦載機は・・・・・・」

 

 「そうね。でも、お披露目するには早いわね。だから、艦載機はサラに合わせて五機種体制に戻して置くわね」

 

 「フッド、1944年の艦載機は何なの?」

 

 「その頃には烈風、流星改、彩雲の三機種体制だったのよ。紫電改Ⅱと瑞風は防空空母へ移動したからね」

 

 「日本海軍の合理化ってある意味恐ろしいわね・・・・」

 

 「アイオワとサラに渡したい物が在るのよ?」

 

 「「えっ?」」

 

 フッドは分厚い二冊の本を取り出して二人に渡す。

 

 「かなり分厚いわね?」

 

 「松田千秋中将が書きまとめた回避術よ。これを読むだけでもかなり違うわ。因みに向こうでは、私達は必ず読む事を義務化されたわ」

 

 「ちょっと!私には出番は無いの?」

 

 沈黙?いや、無視していた尖鳳が叫ぶ。

 

 「今回は海外艦のみの編成ですが?」

 

 サラは軽く尖鳳を睨み黙らせる。

 

 「判ったわ。なら、出撃なら私に声は掛かるわよね?」

 

 「尖鳳、少し傲慢さを直しなさい。これは、提督命令です。後、精神注入棒による制裁も禁止です。良いですか?」

 

 今日の秘書艦であるサラにきつく言われ、うなだれる尖鳳だった。

 

 「わかりました・・・・」

 

 「ですが、私の代わりに浦風達との遠征任務を与えます。浦風達の事は頼みます」

 

 「えっ?」

 

 サラからの任務にえっとなる尖鳳。

 

 「尖鳳、このウルシー泊地の海域はエアカバーが必要です。必ず、浦風達を護衛しなさい」

 

 尖鳳は意味を理解して重要な任務だと理解する。

 

 尖鳳ならエアカバーはもちろんの事、対潜哨戒や防空警護は十八番だったし問題無いだろう。元々、艦載機の割合が艦戦と艦偵が多いのだ。サラはそれを調べた上だったし、大鳳型なのに常用が40機前後と少ない事(大鳳ですら56機が常用)を疑問視していたのだろう。

 

 サラ自身も対潜哨戒にはあまり向いてないのは自覚していたから、尖鳳を自分の後任にして遠征任務にしたのだろと私は睨んだ。

 

 「任せてください!遠征任務を拝命致します」

 

 尖鳳はサラに敬礼を持って答えた。

 

 後の遠征クィーン事、侵攻空母尖鳳の誕生だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
 ※1 艦上迎撃戦闘機紫電改Ⅱは瞬電を手掛けた川西航空が開発した迎撃戦闘機である。当初の予定だった紫電改は誉エンジンの不調により性能の結果が芳しくなかった。そこで、瞬電の発動機である火星S42型エンジンに注目し変更しても高度一万メートルを5分以内に上昇することができなかったが、速度や旋回能力は一級品である事から紫電改は航空技術廠に預けられ改善を求める事になった。航空技術廠ではちょうど、噴式エンジンのネ式エンジンが最終段階まで開発が進んでおり、昭和22年完成予定の艦上戦闘機である橘と艦上戦闘爆撃機である火龍の試作段階でネ式エンジンのテストをする機体を探していたが見付からずに居たが、ちょうど良く、川西航空から紫電改が入りネ式エンジンを胴体下に吊す形でテストを行った。それがけがの功名となり離昇能力をクリアする事になった紫電改は紫電改Ⅱと命名され迎撃戦闘機として量産されるに至る。しかし、問題もあり一度の戦闘時間は10分以内と決められているのはネ式エンジンが焼き付いてしまう為で今後の問題の解決が求められている。紫電改Ⅱの最高速度はネ式エンジン不使用で656㎞/hで使用すると785㎞/hまで速くなる。武装はホ20ミリ機関砲が四門の重武装である。陸上機型はそれに加えて47ミリ機関砲が両翼に牽下される。


  ※2 艦上戦闘機烈風は三菱と中島飛行機の共同で作製した戦闘機で実史の烈風とは全くの別物になっている。ただ、設計主任は実史と同じ堀越技師が担当している。エンジンは陸海軍の共同開発の集大成である火星S64型エンジン(馬力2150馬力で離昇馬力は1750馬力)を搭載した乙戦と誉22型エンジン(馬力1980馬力で離昇馬力1450馬力)最高速度は628㎞/hの丙戦の二種がある。火星S64型エンジンを搭載した乙戦は最高速度が645㎞/hで武装は陸軍の傑作のホ20ミリ機関砲が二門と13ミリ機関砲を装備し、爆弾は25番なら一発を搭載が可能。航続距離は瞬電より改善されて1650㎞で増槽を搭載すると2100㎞と零式艦上戦闘機の再来である。そして、烈風と表記されるのはほとんどは乙戦の烈風である。丙戦の烈風は主に武装を試験する航空技術廠に配備されている。


 ※3 艦上攻撃機流星改は愛知航空が開発した艦上攻撃機で、実史の流星改とは別物である。搭載されているエンジンは烈風と同じく火星S64型エンジンを搭載しており最高速度は580㎞/hと速い。一応だが、誉エンジンの搭載案が在ったが整備性に難があり、前線では整備性の悪さから半分の馬力を出せない事が彩雲を運用する部隊から苦情として入り、お蔵入りしている。また、実史と同じく攻撃機、爆撃機、偵察機としても一機三役をこなせるマルチ機に仕上がっている。また、実史より早く登場した事により、最終決戦までに量産が間に合い能力を存分に振るい米軍を震撼させた。武装は実史の流星改と同じである。



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