私の行く道は?   作:まもる

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 入院生活、暇だ・・・・


セレベス海で散る乙女

 

 第一次攻撃隊が帰還する頃、私を先頭に輪陣形を形成して防空戦闘を準備していた。

 

 流石に全力投入しただけ在ってか艦載機の収容には時間が掛かる。それをスムーズに行えるのは普段の訓練の賜物だろう。背中に背負っていたフッドの身長と変わらない飛行甲板を水平にすれば攻撃隊が次々と着艦して行く。

 

 「フッド、第二攻撃隊はいる?」

 

 「第二攻撃隊は無理ね。港湾棲姫は小破か中破だけど、インド洋に向かうには空母に積めるだけ積んだ爆弾が心許なくなるわ。一応、ブルネイ泊地には補給要請は出して置いたけどね・・・・・」

 

 「浅間さん、提督から無電でサラトガさんを旗艦に討伐艦隊を編成中だそうです」

 

 「そう。なら、私達は攻撃隊を収容次第、セレベス海海域を抜けてスールー海を進みバンギ島を目指すわ。そうすれば、ブルネイは目前ね」

 

 艦載機の収容も無事に終わり、一路セレベス海を北西へ向いスールー海へ入る。五日の航海でバンギ島の沖合300㎞までたどり着いた。その間、潜水艦の襲撃や航空機に発見される事は無かった。これは、ブルネイ泊地の艦娘達の努力の賜物だろう。

 

 ウルシー泊地から約一ヶ月でブルネイに入港して、弾薬や食料、燃料を補給する。追加報告だが、セレベス海南東海域の港湾棲姫はサラトガ率いる機動艦隊によって撃破に成功している。

 

 

 

 さて、話しを少し戻ろう。

 

 「提督!ノースカロライナより入電でセレベス海南東海域にて港湾棲姫の海上型を発見し、第一次攻撃隊を発艦させ中破させりです」

 

 「なっ、何だと!?サラ、艦娘を連れて港湾棲姫を撃破しなさい!ウルシー泊地、ルンガ泊地、トラック泊地が最前線になるぞ!」

 

 提督の慌てぶりは判る。

 

 私は直ぐに赤城、加賀、翔鶴、POW、ワシントンを第一艦隊として編隊し飛龍、蒼龍、雲龍、葛城、霧島、比叡を第二艦隊として編隊した。

 

 新しい空母達は元横須賀鎮守府の艦娘だったが所属していた全員がウルシー泊地へ移動となって、ウルシー泊地へと来ている。翔鶴と瑞鶴の他に伊勢と日向、飛鷹、準鷹は提督がこっそりと建造して、アイオワにばれてこってり絞られている。

 

 そして、艦載機は全てフッドとワシントン、ノースカロライナの三人に開発させた新しい艦載機であり、主力の艦上戦闘機烈風22型と艦上攻撃機流星改22型、紫電改Ⅱ、瑞星の四機種体制で行っている。

 

 第一、第二艦隊の空母は全部で八隻と第三、第四艦隊には巡洋艦や駆逐艦を中心に編隊して待機させていた。

 

 出撃は明朝であり、ウルシー泊地の防衛艦隊である飛鷹、準鷹、龍讓、千代田、千歳、愛宕には泊地内の対潜警戒や巡視を任せている。一応、控えには妊娠中でもありながらもアイオワや対空兵装の強化中である伊勢と日向も控えにいたので安心である。

 

 (二人も建造で、記憶もアイオワ達と同じ世界である。つまり、第三機動艦隊の旗艦の白鳳と入れ代わりだが来たことになる)

 一気に60人以上の大所帯へとなっても、さしずめ、やることは同じだった。 

 

 サラトガを旗艦にセレベス海南東海域へ急行したのだ。

 

 途中、ルンガ泊地の戦艦長門が旗艦を勤め、陸奥、摩耶、秋月、照月、瑞鳳の艦隊と合流してセレベス海海域へ突入を果たしたのだった。

 

 

 セレベス海海域へ入るなり、赤城、加賀、サラトガ、翔鶴から艦上偵察機瑞星を発艦させて扇状偵察を行い、ノースカロライナから聴いていた情報通りに無人島で中破状態の港湾棲姫を発見するが、無人島周辺には救援または増援に来た戦艦リ級三隻、チ級雷巡二隻、イ級駆逐艦が二十隻が新たに発見しされ港湾棲姫を護衛していた。

 

 しかし、サラトガは好機と判断して第一次攻撃隊の発艦を下命する。第一目標は護衛艦隊の殲滅を指示、サラトガ、赤城、加賀、翔鶴から第一次攻撃隊198機の戦爆連合が発艦、5分後に飛龍、蒼龍、雲龍、葛城、瑞鳳から178機の第二次攻撃隊がセレベス海を朱く染めるべく発艦したのだった。

 

 

 「ヤツラ、マタキタ・・・・・」

 

 前回と同じ方向から攻撃隊が来て、迎撃機を上げるが烈風を前には無力で次々と港湾棲姫の航空隊は数を減らしていき、上空の護衛機が消えた護衛艦隊も流星改や天山Ⅱの雷爆撃に蹂躙され深海へ沈められて行ったのだ。

 

 護衛艦隊を無くし、港湾棲姫も第二次攻撃隊の爆撃に晒され更に損傷する。

 

 「ガァァァァ!?イタイ!イタイ・・・・・・」

 

 擬装は破壊され尽くし、悠々と飛ぶ戦闘機を睨んでも現状は悪くなるばかりだった。そして、海底への片道切符を渡すべく、第三次攻撃隊がやって来る。

 

 「アァァァァァァ!?」

 

 気が狂うような雄叫びを上げて絶叫する港湾棲姫。

 

 第一次攻撃隊と第二次攻撃隊の両方を合わせた第三次攻撃隊の376機が襲来する。

 

 「イヤダ、イヤダ!シニタクナイ、シニタクナイヨ!」

 

 擬装をその場に投げ捨てて無人島の島内に逃げ込むが、全てが遅く・・・・・・・・・・・・・

 

 最早、虐殺に等しい結末が港湾棲姫を襲ったのだった。

 

 そう、港湾棲姫だった物は手足がちぎれており、それが港湾棲姫だった事が分からないが一人の綺麗な女性だったと発見者は語っていた。

 

 

 

 ブルネイで補給を終えたノースカロライナ一行だか、三日後に無事にシンガポールへ入る。そして、シンガポールからマラッカ海峡に入るのだが、インド洋に入る為には最大の難関でもある。

 

 マラッカ海峡は敵の潜水艦が蔓延り、雷撃による通商破壊の被害が多い海域でもある。そして、マラッカ海峡は幅も狭く回避に適さないがこちらは艦娘による艦隊である。

 

 そして、3隻の空母からは対潜警戒機である瑞星が飛び回り潜水艦狩りの真っ最中でもあった。

 

 ドッドッゴォォォォン

 

 2時方向に巨大な水柱が上がる。

 

 シンガポールを出てから伸べ、15隻目だった。

 

 「思っている以上に潜水艦が多いわね」

 

 「でも、警戒しながらなら大丈夫よ。インド洋に抜けたらイギリス領のモルディブへ向かうわ。そこにはドイツからの派遣艦隊が来ているはずよ。たしかドイツからは戦艦が一隻に空母も一隻、重巡洋艦も一隻、駆逐艦が二隻の五隻にイギリスからも護衛でウォースパイトが来ていたはず」

 

 「でも、ウォースパイトがフッドを見たら驚きそうね?」

 

 「多分、大丈夫よ・・・・・」

 

 なぜか、自信なさ気に答えるフッドだった。

 

 

 

 そんな杞憂を余所にモルディブ諸島のアッヅ泊地にて待機中のビスマルク一行は暇を持て余していた。そして、暇潰しにウォースパイトに喧嘩を売っていたのだ。

 

 「で、なんでババアが護衛なの?」

 

 砂浜で赤と黒のビキニ姿で日焼け中のビスマルクがウォースパイトに文句を言っていた。

 

 「あら、ババアは失礼でありですね。せめて、英国淑女の鏡とでも言って頂けると嬉しいですが?」

 

 白いワンピースの水着姿のウォースパイトがニッコリ笑っているが目が笑っていない。

 

 「英国面が良く言うわね。毎日、糞マズいイギリス飯を食べる私達も考えて欲しいわ」

 

 「あら、ジャガ芋ばかり食べるジャガ芋女のビスマルクには言われたくありませんわよ?」

 

 「なっ、何ですって!?」

 

 「フフフ・・・」

 

 ビスマルクをジャガ芋女とニッコリしながら言う辺り、ウォースパイトも頭に来ていたようだったが、険悪な空気になる前にプリンツが止めにはいる。

 

 「ビスマルクお姉様、ウォースパイトさんに喧嘩を売らないで下さいよ!」

 

 「プリンツはウォースパイトの味方なの?」

 

 しかし、ビスマルクはプリンツにまで当たる始末だったが赤いビキニ姿でパラソルの下で読書中だったグラーフがビスマルクを叱る。

 

 「ビスマルク、いい加減にしなさい。イギリス海軍の協力が在ってスエズ運河を使わせて貰ったのよ?自重しなさい」

 

 そんな時、慌てて来る一人の艦娘が走ってきたのだ。

 

 「ウォースパイト!ウォースパイト!」

 

 走って来たのはセロイン島守備艦隊所属のロイヤル・サブリンだった。

 

 「あら、ロイヤル・サブリンどうしたの?淑女ならもっと淑女らしく振る舞いなさい」

 

 「違うのよ!」

 

 二人のやり取りにビスマルクは言ってしまった。

 

 「ここは老人ホームじゃないのよ?二人共落ち着きなさい」

 

 「「誰がババアよ!」」

 

 「で、どうしたのよ?ロイヤル・サブリンはリヴェンジ達とセロイン沖で日本艦隊と合流して案内する任務だったでしょ?」

 

 「だから、ウォースパイトを呼びに来たんですわ!ウォースパイトも正装で港に待機よ!」

 

 「どうしてよ?たかが、日本艦隊でしょ?」

 

 「判ったわよ。ウォースパイト、これを聴いてまだ言える?」

 

 ロイヤル・サブリンがスカートのポケットから取り出したのはスマホだった。そして、スマホは通話状態でスピーカーに切り替えると、その声に私は思わず背筋を伸ばした。

 

 『馬鹿者!迎えは確かに聞いているわよ?でも、熱いからって水着で出迎えとは何事よ!本体を召喚するから貴女達は全員、飛行甲板で正座して反省しなさい!』

 

 私は怖くなり、スマホを切らせてサブリンに誰が怒られているのか聴いて見た。

 

 「ねぇ、誰が怒られているの?」

 

 「先遣艦隊のキングジョージⅤとロドネイにネルソンよ」

 

 「・・・・・・」

 

 頼によって、三馬鹿トリオが行くのかと基地司令に文句を言いたくなるが仕方がない。

 

 しかし、声の主は忘れてはいけない。

 

 イギリス海軍の絶対女王のフッドの肉声だった。

 

 

 そして、待つこと二時間でアッヅ泊地に日本艦隊が入港してきた。

 

 一隻の馬鹿でかい空母を見た私は威圧され、震えが止まらなくなった。

 

 この威圧感は忘れない。

 

 空母が係留地に投錨して、タグボートから島にやって来たのはフッドだった。

 

 「日本海軍、ウルシー泊地所属空母浅間よ!」

 

 桟橋に降りるなり、彼女はかなりご立腹の様子でおり、彼女の後ろには擬装をしまわされ、涙目で半泣き状態のキングジョージⅤ、ロドネイ、ネルソンの三人。さらに、もう一隻のタグボートからは五人の女性が浅間から降りて来たのだった。

 

 「失礼しましたわ。ドイツ派遣艦隊の護衛のウォースパイトですわ」

 

 「久しぶりですわね」

 

 「やっぱり、クィーン!?」 

 

 「ウォースパイト姉様、クィーンは辞めて下さい。イギリス本国艦隊のフッドとは関係ない他世界のフッドですわ。それに・・・・」

 

 「それに?」

 

 クィーンが私を見て言葉を止める。

 

 「クィーン?」

 

 ガッバァ

 

 「キッァ!?」

 

 クィーンが私の胸に目掛けてダイブしたのだ。そして、そのまま胸を揉みくちゃに揉まれていたのだ。

 

 「クィーンが居ないからって、自堕落な生活してますわね!何?この胸!戦艦だから巨乳は判るわ!でもね、育ち過ぎよ!私なんか、巡洋戦艦だったから胸がないのよ!空母にされてからはフルフラットよ!いい、胸はね、手の平サイズのBカップがちょうど良いのよ!あの、ノースカロライナだって、戦艦なのにDカップしかないのよ!」

 

 「ちょ、ちょっと!フッドは私のバストまでばらさないでよ!」

 

 「うるさいわよ!どうせ、良いのよ・・・・合法ロリババアのフッドだもの・・・・・・」

 

 クィーンがズーンと落ち込んでしまった。

 

 「何なのよ?あっ・・・・・・・フッドなの?」

 

 「あっ、欠陥戦艦のビスマルクね」

 

 二人は睨み合ったまま時間が停止する。

 

 「欠陥戦艦ってなによ!」

 

 「あら、ビスマルク追撃戦で一緒に砲弾と装薬を揚げてロドネイに主砲塔に貫通されて爆沈した戦艦ですが?」

 

 「そこまで、酷くないわよ!フッド、また大西洋に沈めるわよ!」

 

 「あら、それは嬉しいわね。是非、そうして欲しいわね。わたくし、最期が原子爆弾で木っ端みじんになって沈みましたので、出来るなら、そうして欲しいですわ」

 

 「なっ・・・・・・・・原子爆弾・・・・・・・・・・・・・あんた、本当にフッドなの?」

 

 「元、フッドですわ。今は日本海軍ウルシー泊地所属空母浅間ですわ」

 

 ビスマルクは何かを考えた後、ノースカロライナに振る。

 

 「あんたも日本の戦艦なの?」

 

 「そうね、最初は違うけど、日本海軍の戦艦よ」

 

 「少し、聞かせてくれるかしら?」

 

 「構わないわ」

 

 食堂へと向かい、フッドは久しぶりにイギリス飯であるスープカレーを何皿も頼みパンを片手に食べており、瑞鶴は何を食べて良いのか分からず、フッドと同じ物を食べていた。

 

 そして、私は富士と呼ばれる戦艦とビスマルクを挟み、話しをすることになった。

 

 「私はウルシー泊地所属のインド洋派遣艦隊旗艦の戦艦富士よ」

 

 「私はドイツ海軍、ウルシー泊地派遣艦隊のビスマルク」

 

 「同じく、イギリス海軍、セロイン守備艦隊所属、ウルシー泊地派遣艦隊旗艦のウォースパイトよ。遥々、ウルシー泊地から迎えに来て頂いてありがとうごさいますわ。まず、何故フッドが居ますの?」

 

 「そうね、フッドいや浅間は私の居た世界の元戦艦よ。1942年の開戦前に巡洋戦艦レパルスがビスマルク追撃戦で轟沈したからレパルスの代わりにマルタで機関の修理が終えたフッドをPOWと一緒にシンガポールへ配属されたのよ。そして、1942年の開戦時にシンガポール内に機雷を撒かれた挙げ句に空挺師団によりシンガポール内にいたアメリカ海軍アジア艦隊と東洋艦隊は鹵獲されたのよ・・・・・」

 

 「じゃあ、貴女は?」

 

 「私は元アメリカ海軍アジア艦隊所属にしてノースカロライナ級一番艦のノースカロライナよ。そして、今は日本海軍ウルシー泊地所属の戦艦富士ね」

 

 「でも、あなたの擬装はどう見ても大和級よね?どうして?」

 

 「そうね、大和級の設計が艦首以外は優秀だったからかな。私の居た世界の日本海軍の戦艦は順次大和型に準じた改装をしたわ。そして、私は高千穂型の三番艦、四番艦の艦首や艦尾を移植、艦橋や主砲等もブロック工法で一年の改装で富士に生まれ代わったのよ」

 

 「そう・・・・話し代わるけど、帰りはルーシー海からウルシーへ向かうのかしら?」

 

 「帰りはフッドと相談してからですが、ブルネイで浅間と瑞鶴に物資を積む予定があるわ」

 

 「そうすると、ルーシー海からセレベス海を抜けて行くルートになるわね」

 

 「もしくは、フィリピンを目指してマリアナを抜けるルートもありますが、潜水艦がいる事に変わらないわ」

 

 「そうね、ノースカロライナ。帰りはマリアナを抜けるルートを取るわよ。幸い、グラーフに艦載機は10機程度しか無いから、グラーフへ航空隊を移動させて格納庫を空けられるわね」

 

 スープカレーを食べ終えたフッドが私の机に紅茶を入れたティーカップを持ちやってくる。

 

 「マリアナを抜けるルートですって!?」

 

 「ビスマルク、何か不都合でも?」

 

 「貴女達はセレベス海からルーシー海へ抜けたルートだったわよね。マリアナルートは深海棲艦のレ級やヲ級エリートがつい最近確認された海域よ!」

 

 「そちらに関しては大丈夫よ。ウルシー泊地、ルンガ泊地、トラック泊地からは機動艦隊と戦艦部隊が出る予定よ。それに、セレベス海へ抜けてもレ級の脅威があるなら取り除くべき事よ」

 

 「フッド、マリアナルートでも構わないけど戦艦は私とビスマルク、ウォースパイトだけ。空母もフッド、瑞鶴、龍鳳、グラーフの4隻で航空戦力が少ないわ。なら、マリアナ方面は三つの泊地の艦隊に任せてブルネイからの輸送任務の安全を優先するべきだわ」

 

 「ノースカロライナ、判ったわ。私達はセレベス海からウルシーを目指すわ」

 

 話しも纏まり、マラッカ海峡を抜けてブルネイを目指して行く事になったのだ。

 

 

 




 次回、レ級の襲撃です。

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