ファイアーエムブレム Echoes ~たった一人の竜騎士~   作:ユキユキさん

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次こそは、系譜の方を・・・!





第5話 ~アリティア脱出《後編》

ーユキー

 

ジオルが撤退する様を横目で確認しつつ、アリティア城へと・・・正確には北の塔へと向かう。途中・・・湧き出た飛竜が数匹、俺に襲い掛かってきたが撃ち墜としましたとも。俺の鍛え上げた槍術の一つに、離れた敵を攻撃する戦技がある。変わった槍を入手し、練習して編み出したこの技の前に飛竜など羽虫も同然。その技の名はアルクバリスタ、俺の鍛え上げた膂力が繰り出す空圧の一撃。それを食らった飛竜は、アルクバリスタの圧を食らって地に墜ちていく。竜の鱗に阻まれて傷は付かないけど、その衝撃の前に内部は悲鳴を上げたことだろうよ。・・・地に墜ちた時、打ちどころが悪ければ死ぬかもね。

 

因みにこのアルクバリスタ、本来の威力はこんなものではない。この戦技の本領発揮は専用武器、サウニオンを使い放った時だ。ぶっちゃけ先程の飛竜程度なら、風穴開けつつ二匹は殺れる。・・・マジで。

 

 

 

 

 

 

飛竜達の襲撃を難なく退け、辿り着いたアリティア城。そして目に入るは北の塔、この塔にエリス王女が幽閉されているわけか。さて、どうすべきかって考えるまでもない。塔の何処に囚われているか分からんからな、地道に下から登っていくのが安全確実だな。なかなかに高い塔だが、ラムの村周辺の森やら山やらで鍛えた俺には苦にもならん。サクッと登って助けるとしようか、うん。イドゥンの一撃で壁を破壊すれば楽なんだろうが、加減を間違えて崩壊したらヤバイからな。やっぱり地道に行かんと・・・、ああそれと、

 

「イドゥン、この場はお前に任せるよ。俺の合図があるまで、この塔を死守してくれ。」

 

そうイドゥンに指示をする、イドゥンは・・・、

 

「キュイ、キュイ・・・。分かった・・・、気を付けて・・・。」

 

言われなくとも気を付けるさ、・・・塔を壊さないようにな。

 

・・・・・・・・・ん、何だ。・・・イドゥンが喋った?そりゃあ喋るさ、・・・俺の相棒イドゥンはマムクートなんだから。

 

──────────────────

 

ーイドゥンー

 

私はイドゥン、ユキの相棒でありマムクートであり、・・・魔竜でもある。ユキが私に、塔を守って・・・とお願いしてきたから守る、・・・ただそれだけ。ユキが喜んでくれると、・・・私も嬉しい。だから私は、・・・この塔を守る。

 

・・・・・・ユキは塔の真ん中ぐらいまで行ったのかな?そんなことを考えながら、迫りくる人間を薙ぎ払う。・・・鬱陶しい、・・・虫みたい。ちょっとイライラしてきた私の前に、・・・数人の男がやってきた。・・・その男達が視界に入った時、・・・イライラが・・・怒りが増した。この男達はマムクート、・・・それも同じ魔竜。

 

「・・・この黒き竜が侵入してきた者の騎竜か、・・・クカカカカカ!・・・哀れなものよな?」

 

その中でも一番強いと思われる男が、この私を蔑んだ目で見てくる。・・・何様だろうか?・・・少し強いだけで調子に乗っている、・・・力を抑えている私に気付かない癖に。

 

「・・・お前のご主人様は塔の中か?・・・あの女を助けにか、・・・これは好都合。・・・女を痛めることが出来ぬのは残念だが、・・・お前もろとも塔を滅してくれよう。・・・ご主人様と一緒に滅されるのだ、・・・哀れな騎竜には過ぎた褒美になるか?・・・クカカカカカ!まぁその前に、・・・我らの玩具となってもらおう!」

 

下品な笑みを浮かべた男とその他の男も身体が光る、・・・光と共に身体も大きく変形していく。

 

・・・それが治まった時には、私よりも大きな身体の竜が佇んでいた。

 

「・・・小さき哀れな竜よ、我らの遊戯に付き合ってもらうぞ。」

 

・・・弱き者を痛めることが遊戯か、・・・マムクートの風上にも置けない者達。・・・それ以前に、・・・ユキを殺すと言った。・・・許せない、・・・私の相棒は殺らせはしない。・・・私が守るんだから、・・・絶対!・・・そう決意した私に対して、対峙した竜達が一斉に攻撃を仕掛けてきた。・・・・・・どれ程のものか、・・・見せてもらう。

 

──────────────────

 

ーエリスー

 

「・・・マルス、貴方は無事にこのアリティアから逃れることが出来ましたか?」

 

囚われた私は、この部屋にある小さな窓から外を眺め・・・そう呟く。鉄格子のはめられたこの窓から外を覗く度、ああ・・・私は囚われており、いずれはこの身に死が与えられる、・・・そう思い悲しくなる。思い浮かぶは母の死、竜に痛められながら引き裂かれたのだ。目の前で行われた惨劇に、私はあまりの恐怖に気絶。気付いた時には、この何もない・・・部屋の中であった。

 

惨たらしく殺されるであろう恐怖に怯えながらも、私は可愛い弟のマルスの無事を祈る。死を待つ私には、それぐらいしかないのだから。・・・マリクは何をやっているのかしら?あの子も私にとっては可愛い弟みたいな存在、・・・あの子のことも祈らなくてはね。まぁあの子・・・マリクは魔導馬鹿だから、お師匠様やお友達を巻き込んで何かをしでかしてそうだけど。ウフフ・・・、マリクのお陰で少しは気が紛れたかしらね。

 

 

 

 

 

 

囚われてからそんなに経っていないけれど、・・・私はいつまで生きられるのかしら?そんなことを考えていると外が騒がしくなり、それと同時に地響きと大きな揺れが私を襲う。

 

「・・・きゃあっ!」

 

私はその揺れによって倒れ込み、揺れ続けている為に・・・しがみつくように這いつくばる。・・・・・・一体、外で何が起きているの?

 

揺れ続ける現状に、少なからず恐怖する。そんな私の耳に、

 

「ぎゃあっ!」

 

「ぐばあっ!」

 

私の囚われている部屋の前から悲鳴が、・・・私の身が強張る。悲鳴は監視の兵だとは思うけれど、安心は出来ない。・・・もしかしたら、私を暗殺しようとする誰かかもしれない。警戒する私の前で、運命の扉が開かれる。

 

──────────────────

 

ーユキー

 

塔を駆け上がる途中、大きな地響きと揺れが襲ってくるが気にも留めずに歩を進める。外でイドゥンが何者かと戦い始めたのだろう、まぁイドゥンだから大丈夫。信頼度MAXだからな、俺はイドゥンを信じてエリス王女を助けるだけさ。

 

そんなわけで歩を進める中、敵兵の多い階層に到着。この階層にエリス王女が囚われていると確信し、塔の揺れる中で敵兵を薙ぎ払い進む。そして辿り着いた扉を前に、中から人の気配が・・・。戦う意志の無い弱々しい気配、エリス王女に違いない。・・・間に合った、安堵と共に扉を蹴り破る俺。乱暴だって?・・・そうは言われてもな、鍵が無いわけだし仕方なしだろ。

 

 

 

 

 

 

扉を蹴り破った俺の目に映ったのは、こちらを見て・・・というか俺?を見て震える美女が。えーと・・・、マルス王子にどことなく似ているから彼女がエリス王女だよな?・・・俺が一歩進むと彼女も後ずさる、・・・一歩進むと後ずさる。・・・マジか、俺ってばビビられてるっぽい。・・・ニーナ王女は俺にビビらずにいてくれたが、・・・まぁ俺の顔がアレだからな、・・・これが普通の反応だろう。・・・がしかし、泣けてくるぜ。

 

普通に話し掛けてもダメそうだ、・・・どうすればいいか。・・・マルス王子ネタから救出に来たと言えばいいか?・・・というか、それしかない。

 

「・・・エリス王女でしょうか?・・・そう警戒なさらないでください。・・・私はマルス王子と約束しましてね、エリス王女を助けると。・・・リーザ王妃は間に合いませんでしたが、・・・無念です。」

 

マルス王子の名が出た瞬間、彼女の顔から怯えの色が消えた。そして・・・、

 

「・・・貴方はマルスを、弟を知っているのですか!?あの子は・・・、あの子は無事なのですか・・・!」

 

逆にすがりついて、俺にマルス王子のことを聞いてくる。当然俺は・・・、

 

「私が救援に来た時には、臣下と共にご健在でしたよ。手助けとなったか分かりませんが、追撃のグラ軍を撤退させました。無事であれば、・・・このアリティアから脱出していることでしょう。」

 

なるべく穏やかに、そして優しく答える。それを聞いたエリス王女は安堵の色を浮かべ、

 

「そうですか、・・・マルスは無事である可能性が高いということですね。」

 

そう呟いて、すがりつく力が強まった。すがりつく=抱き着く、みたいなもので・・・俺は今、エリス王女に抱き着かれているわけです。

 

よく分からん流れで、俺に抱き着き・・・何か静かに涙するエリス王女。役得ではあるが、時間が無いので失礼ではあるけど、

 

「この塔より脱出せねばなりません、・・・失礼ではありますが。」

 

一応・・・、そう断りを入れてからエリス王女を抱き抱える、俗にいうお姫様抱っこというものだ。

 

「・・・きゃっ!・・・え、・・・あ。」

 

突然のことに戸惑い、そして気付いたエリス王女は顔を赤くして俯く。・・・何というか、可愛い反応ですね?

 

「落ちぬよう、首に手を回してください。・・・それを確認しましたら、脱出の為に行動を開始します。」

 

顔を俯かせたまま、無言で俺の首に手を回すエリス王女。俺はそれを確認し駆け出す、・・・目標は塔の最上階。敵兵がいたとしても、俺の俊足で撒いてくれるわ!

 

──────────────────

 

ーモーゼスー

 

この黒き竜は何なのだ!・・・その一言に尽きる。痛めて遊ぶつもりが、我が・・・我らが遊ばれている。自慢の爪で引き裂こうとすれば尾で弾かれ、強靭な顎で噛み砕こうとすれば翼で払われる。巨体で押し潰そうとすれば、その小さな身体で平然と受け止めてみせる。何をやろうにも、この黒き竜には効かぬ・・・!たかが騎竜の分際で・・・!

 

・・・・・・騎竜?

 

・・・・・・そうか!この竜には主人がいる。目の前にそびえる塔の中に、この竜の主人がいるではないか!・・・クカカカカカ!主人を消せばこの黒き竜もきっと・・・!黒き竜の悲しき嘶きを想像し、頭の中が愉悦に染まる。見ているといい、我のブレスで塔と共に・・・貴様の主人が消える様を!

 

身体中から闇の力を放出し、それを口に集約させる。黒き竜が我のやることに気付いたようだが遅い!集約させた闇を、塔に向けて吐き出す。・・・これで全てが滅せられる、・・・む!・・・馬鹿め!自らの身体で防ごうとするか!・・・愚かなことを、・・・主人と共に消えよ!

 

 

 

 

 

 

・・・勝利を確信した我の目には、跡形もなく消えた筈の塔が映る。そして・・・、

 

「ああ・・・、弱い・・・。私の同族は何と脆弱なことか・・・、堕ちるところまで堕ちたみたい・・・。」

 

心臓を鷲掴みにするような冷たい女の声、我のブレスにより発生した闇の中に輝く赤い眼光。霞に浮かぶ、威圧的な姿・・・。こ、この姿は・・・。このお方は伝説の・・・、

 

「・・・命拾いをしたね、・・・本当ならば殺したい。・・・でも呼んでいるから、・・・今度また会う時が最後。」

 

・・・感じていた圧倒的な闇は幻のように消え去った。あの黒き竜の姿も無い、・・・・・・想像もしたくない。我は、メディウス様と並ぶ・・・いや、それ以上かも知れぬお方に牙を剥いた。知らなかったとはいえ、何と畏れ多い・・・。

 

「・・・魔竜姫イドゥン、・・・古の神竜族が一人。」

 

・・・そう口にした瞬間、我の意識は闇に包まれた。




何とイドゥンはマムクートだった!?

・・・え?知ってた?

封印の剣にて登場するイドゥンを想像してください。心はあります。

何故騎竜になっているかは今はまだ謎。

主人公、戦技を自身が編み出した技だと勘違い。

その後、サウニオンを装備した者が覚えたことに驚愕することになる。

エリス王女、初めてお姫様抱っこされる。

マリクは魔導馬鹿、ただの幼馴染みの予定。




というか、自分でいうのも何だけど雑かね?

何ともいえないけど、ユルユルいきますよ。

評価はあまり気にしないww


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