ファイアーエムブレム Echoes ~たった一人の竜騎士~ 作:ユキユキさん
ーエフィー
「や、やめて・・・。はなして・・・!」
どうしてこんなことに?私達は騎士様を見に来ただけなのに。どうして私は捕まっているの?
「へへっ、スレイダー様。こいつはツイていましたね。何もないシケた田舎かと思ったら、ガキがうろちょろしてやがる。・・・どうやら、この森の何処かに村がありそうですぜ。」
恐い顔で私を見る騎士様、その中でも一番偉いと思われる騎士様は私達を馬の上から見ているだけ。物語の騎士様達は、とても優しいのに・・・この人達は違うの?捕まっている私は勿論のこと、グレイ達も震えている。逃げたくても逃げられない、私が捕まっているから。・・・助けを求めに行くことが出来ない、・・・私達はどうなっちゃうの?
震える私達に騎士様が・・・、
「いいか?よく聞け、ガキ共。」
物凄く恐い顔で、とても大きな声で、
「この!栄えある国王リマ四世陛下にお仕えする、騎士たる我々が!お前達平民共の村で辺境任務の疲れを癒し、歓待を受けてやろうと言っているのだ。・・・これ以上の栄誉はあるまい?さぁ、さっさと案内しろ。」
最後には不気味な笑みで、・・・私達に命令をする。本当なら、とても嬉しいことなんだろうけど。・・・癒しじゃなくて、・・・とても酷いことをするんじゃないかと思う。・・・だって、癒しを求めるだけなら私を捕まえたりしないもん。もっと優しい感じがする筈だもん、・・・でもこの騎士様達は全然違うよ!
「それは・・・、その・・・。村に、勝手によその人を連れてきたら父ちゃん達に怒られるし・・・。」
騎士様の振るまいに恐がりつつも、ロビンは言葉を発するけど声は小さい。騎士様がギロリと睨むと、ロビンは顔を青くして黙りこんだ。
どうしよう・・・?このままじゃあ私達・・・と思った矢先、
「き、騎士様!」
グレイが一歩前に出てきて、恐がりながらも・・・、
「俺達の村は森の中の、ちっぽけなところです。騎士様に来ていただいても、満足してもらえるようなものはありません。だから・・・。」
一生懸命、村への案内を断ろうとするけど、
「おい、貴様。・・・お前に姉はいるか?」
騎士様がそんな質問をしてくる、・・・突然の質問に驚きつつもグレイは、
「・・・えっと、姉ちゃんはいますけど・・・。二人・・・。」
素直にそう答えると、騎士様は大きく顔を歪めて笑う。
「はーっはっはっは!素晴らしい!!・・・それと酒と、食い物くらいはあるのだろう?お前達の食事など、私にとってはブタの餌同然だが・・・。まぁこの際、我慢してやろう。」
・・・騎士様の様子を見て、自分が失言をしたということに気付いたんだろうグレイは、顔を歪めて悔しがる。・・・私にも分かってしまったもの、この騎士様達は私達の村を・・・!
私達も我慢していたけど、
「・・・うぅっ、・・・ぐすっ。うぇぇ・・・・・・。」
恐怖に負けて、クリフが泣き出してしまった。
「ば、ばか!泣くな、クリフ!!」
グレイも泣きそうだけど、まだ・・・頑張ろうとしている。ロビンも視線をさ迷わせながら、必死に考えようとしている。
「・・・こんな奴らを村に?・・・そんなのはイヤだ!・・・ちくしょう、王様の騎士がこんな連中だったなんて・・・。」
グレイは悔しがる、・・・そんなグレイの言葉を聞いた上で、
「・・・何をいつまでも揉めている。私は気が短いのだ。・・・案内したくないと言うのなら、それもよかろう。・・・お前達の首を一つずつ、斬り落とすまでだ。」
玩具を見るような目で、ニヤつきながらそう言ってきた。流石のグレイも・・・、
「えぇっ!?そんな・・・!」
目から涙が零れている、酷い・・・酷すぎるよ。
泣き出す私達の様子を騎士様達は、・・・ニヤつきながら眺めている。そして・・・、
「さぁ、小娘!まずはお前からだ。」
捕まっている私に目を付けた。私は顔を青ざめて・・・、
「い、いやっ・・・・・・!」
私はここで死んじゃうの?そんなの・・・イヤだよ・・・。ここで死んじゃうのもイヤだけど、・・・アルムに会えなくなるのはもっとイヤだよ・・・。視界が涙で遮られる、こんなことって・・・。もうダメだって思った時、
「やめろ!!」
聞き覚えのある声が聞こえた、この声は・・・私の大好きな・・・。
「ああん?何だ、またガキか。」
・・・アルム、・・・アルムの声だ!
「みんなから離れろ!お前なんか、僕達の村に一歩も入れたりしないぞ!」
・・・・・・アルム!!
────────────
ーアルムー
エフィの悲鳴がした方へ走ると、騎士に捕まっているエフィが!グレイ達も囲まれている!一体、何故こんなことになっているんだろうか?それよりも・・・!
「やめろ!!」
そう叫んで、騎士達の前へと出る。状況がよく分からないけど、コイツらは悪い奴らだ!
「みんなから離れろ!お前なんか、僕達の村に一歩も入れたりしないぞ!」
僕はそう叫んで、騎士達を力一杯睨み付けた。そんな僕に対し、
「何だと?口の聞き方を知らん奴だ。・・・ん?」
エフィに剣を向けていた騎士が、僕を見てそう凄むが・・・僕の陰にいるセリカに目を向けた。
「・・・・・・っ!」
セリカはその視線に身体を強張らせ、顔を伏せようとするも、
「おい、そっちのガキ。よく顔を見せてみろ。」
エフィに向けていた剣を鞘に戻し、馬から下りた騎士は手を伸ばして、僕の陰にいるセリカの顔を自分に向けさせる。
そして・・・、
「・・・間違いない、こいつは・・・!ふふん、何故こんな所にいるのか分からんが・・・、これはドゼー様に良い土産が出来たぞ。」
セリカの顔を確認した後、喜色を浮かべた顔で何かを呟く。そして、凶悪な笑みに変わり、
「さぁ、来い!」
そのままセリカを掴みあげたのだ!当然、そのようなことをされたセリカは、
「いやっ、離して・・・!」
騎士の腕の中でもがき、どうにかして逃れようとする。許せない!そう思った僕は、
「セリカに触るな!!」
じいちゃんとユキに教わっていた体術で、セリカを掴みあげた騎士の股間を蹴り上げる。背の低い僕にとってはいい的だ、突然の一撃に流石の騎士も、
「ぐぁっ・・・!何て・・・ことをするのだ貴様はぁっ・・・・・・!!」
セリカを手離し、目を剥いて股間を押さえる。・・・いい気味だ!他の騎士達もつられて、股間を押さえる。
「ア・・・アルム!お前、ヤバいって・・・!!」
セリカを助けることが出来た僕に、半泣きになっていたグレイが慌てて駆け寄ってきた。・・・グレイの言いたいことは分かる、でも・・・セリカを助ける為には仕方のないことなんだ!それにエフィ達もこの隙に、僕の所に集まっているし。
僕が急ぎ過ぎたせいでユキとははぐれた、ユキがいない今・・・僕が動かなくちゃいけないんだ!僕はみんなをまとめて逃げようとするが、
「くっ・・・おのれ、平民のガキが!この私に手をあげるとは・・・もう許さんぞ、死をもって償え!」
苦しんでいた騎士が立ち直り激昂する、剣を抜き放ち・・・一歩一歩・・・。他の騎士達も同じように・・・、
「・・・・・・っ!」
・・・クソッ!このまま打つ手なしなのか!・・・僕がしたことは怒らせるだけだったのか?でも・・・ああしなくちゃセリカが、・・・エフィ達だって、
「・・・っははははは!さぁ、祈るがいい!」
僕の前に来た騎士が、剣を振り上げて・・・、
「やめて!アルムーーーーッ!!」
僕はその瞬間、目を閉じたけど・・・、
キィン・・・ッ!!
甲高い音がしただけで衝撃はこない、・・・何故?おそるおそる目を開けてみると、
「え・・・・・・?ユ、ユキ?・・・じいちゃん!?」
騎士の剣を受け止めているユキ、エフィ達に迫っていた騎士達と対峙するじいちゃんがいた。
僕を殺そうとした騎士は狼狽える。
「な、何者だ・・・貴様は!それに・・・お前はマイセン・・・!?何故こんな所に・・・。」
ユキに受け止められていた剣を退き、騎士は何かに勘づいたようで・・・、
「・・・いや、なるほど。そういうことか。・・・・・・ちょうどいい。あの火事の夜以来だな、マイセン。」
したり顔でそう言い、流れるように馬へと騎乗する。
「お前には、借りを返したいと思っていたのだ。・・・私は律儀な男なのでね。」
そう言って剣から槍に持ち変え、今から襲い掛かろうと構える。その流れを見ていたユキが視線だけ向けて、
「・・・お前ら、この先の墓地まで走れ。・・・死にたくないのなら、・・・・・・走れ!!」
いつもとは違うユキの迫力に、僕達は顔を頷き合って・・・墓地へと駆け出した。
次回は、ユキの相棒登場!