ファイアーエムブレム Echoes ~たった一人の竜騎士~   作:ユキユキさん

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舞台は原作の起・承・転・結のところです。


第3話 ~アリティア脱出《前編》

ーユキー

 

最後まで王女は俺のことを心配してくれたが、俺の考えは変わらずにアリティア王族を救うことを第一に行動しようと思う。王女のことをスレイダーに頼み、俺はイドゥンと共に島を発つ。飛び立つ際に見た王女の顔が忘れられない、・・・俺に死ぬ気はない。だが多少の無理はする、王女・・・俺は約束を守りますよ。生きて貴女の下へと戻ります、・・・アリティア王族を連れてね。・・・俺を含めて四人になるが、イドゥンに乗ることが出来るよな?そこが一番の心配だったり。

 

 

 

 

 

 

情報収集時に調べておいたルート、海上ギリギリを飛んでアリティア国内に侵入してみれば、多くの兵がアリティア城へ向けて進軍している。・・・グラ軍だよな?これ程の兵数を揃えて進軍している軍隊は。ということはアリティアは最早、風前の灯という状況ではないか!少数精鋭といっても、数の前には無力。グラは本気でアリティアを滅亡させる気だな?・・・これは不味いぞ、悠長に構えている暇はない。

 

俺は見付からぬように海上を飛んでいた、イドゥンの実力で音も無く。しかしこの状況下で隠密行動をしていては、辿り着いた時には手遅れとなろう。すまないなイドゥン、これまでの苦労を無にする俺を許してくれ。そんな俺の気持ちにイドゥンは、気にするなと言わんばかりに大きく嘶く。そのまま最大速度で海上を滑るように飛び、目の前にそびえる崖に沿って急上昇。一気に空へと舞い上がる、・・・グラ兵の驚く顔が目に入った。突如として現れた俺達に驚いたのだろうが命取りだな、目標を眼下のグラ軍と見定めて急襲するのみ!

 

勢いのままに急襲した俺達は、グラ兵を薙ぎ払って混乱させる。ある程度の打撃を与えた後、アリティア城へ急行した。この行いにより、アリティア城へ向かうグラ軍の行軍速度が落ちればいいのだが・・・。そう思いながらアリティア城を目指す、グラ軍に打撃を与えながら・・・。

 

──────────────────

 

ーマルスー

 

僕は姉であるエリスの言葉に従い、臣下であるアベルとフレイを伴い城を脱出する。途中、ジェイガンとカインの二人とも合流を果たした。しかし少数である僕達とは違って、対するグラ軍の包囲陣が厚い。多くのグラ兵が僕達に襲い掛かり、徐々に追い詰められてしまう。

 

母上と姉上、二人を犠牲にしてまで脱出したというのに、僕はこのまま終わってしまうのか?裏切り者のグラによって、何も出来ないまま討たれてしまうのか?そんな想いが僕の中を駆け巡る。そんな僕の心情を読み取ったのか、

 

「弱気はいけませんぞ、王子!強く心を保つのです、諦めなければきっと・・・道が拓ける、そう信じて前へと進むのです!城に残られたお二人の想いを、無駄にしてはなりませぬ!」

 

ジェイガンが僕にそう言って、活を入れてくれる。・・・その通りだ、僕は生きなければならない。母上と姉上は、僕を決死の覚悟で脱出させてくれたのだから。

 

僕は弱気になっていた心を奮い立たせて突き進む、このアリティアから脱出する為に。祖国を捨てることになるけれど、それでも僕は生きなければならないんだ。生きてさえいれば、この屈辱はきっと返すことが出来る、母上と姉上を救うことが出来る、・・・父上の仇が討てる、・・・そう信じて!

 

 

 

 

 

 

僕はみんなと協力し、グラの包囲を突破する為に戦うがやはり敵の数が多い。はっきり言って旗色が悪い中、臣下の一人であるフレイが、

 

「マルス様、ここは私が囮となり敵兵を引き付けます。その隙に、その隙に皆を率いて離脱を・・・!」

 

決意をある表情で進言してくる、・・・何てことを!

 

「フレイを囮にだって!?そんなこと、・・・僕に出来る筈がないだろう!誰一人欠けることなくこの包囲を突破し、共にこのアリティアを脱出するんだ!」

 

僕は直ぐ様フレイの言葉を否定する。しかし、フレイも頑なで食い下がってくる。

 

・・・フレイの言うことも分かる、この状況を打破する為には誰かが囮になる、今の僕達にはそれが最善の一手だろう。しかし、それは囮役の死を意味する。多くの敵兵が展開しているこの状況下で、囮となり飛び出してしまったら・・・確実に・・・。そんなこと・・・、僕が臣下に死んでこいと言える筈がない!僕はみんなと共に脱出すると決めたんだ、一人を犠牲になんて・・・!他に何か、何かある筈だ・・・!

 

そんな僕の想いが通じたのか、僕達を包囲している敵方が何かに慌てだし、包囲に乱れが出てきた。僕はそれを見逃さず、みんなに命じる。

 

「敵の包囲に乱れが出た今が好機!一点突破を仕掛ける、誰一人遅れることなく突き進むんだ!」

 

乱れの理由は分からないが、この機を逃すわけにはいかない。包囲を突破してみせる、絶対に!

 

ジェイガンを先頭に、その包囲を食い破る勢いで突撃を!決死の覚悟で臨もうとした時、

 

「「「「「うわぁぁぁぁぁぁっ!?」」」」」

 

敵兵の混乱が更に深まった、一体・・・何が?そう思った時にアベルが、

 

「マルス様、あちらを・・・!」

 

アベルが指差す方へ視線を向ければ、敵兵に襲い掛かっている一人の竜騎士が。その竜騎士は、突撃と離脱を繰り返しながら敵の包囲を乱していく。・・・凄い、僕にはその言葉しか思い浮かばない。

 

「突撃と離脱を繰り返すことにより、弓兵に狙われずらい状況を作っている。それと同時に歩兵をかき乱し、弓兵にそれさえもさせないように立ち回っている。一騎当千の竜騎士とでも言いましょうか・・・。」

 

厳しいジェイガンですら感嘆の声を上げる程、一体・・・何者なんだ。

 

その竜騎士の来襲により、

 

「・・・おのれ!・・・退け、退くのだ!・・・新手が現れたと、ジオル様への一報も忘れるな!」

 

部隊長らしき者がそう叫び、混乱する兵を纏め上げて退いていった。決死の覚悟が無駄になったけど、助かったことは事実。態勢を整えることが出来る、僕は安堵の息を吐いた。そんな僕達の前に件の竜騎士が舞い降りてきた。大きな黒竜に騎乗する目付きの鋭い男、頬に刻まれた傷が彼の凄みを高めている。その圧倒的存在感は、今は亡き父上を感じさせる程である。そんな彼が、僕の顔をジッと見詰めてくる。その視線を受けた僕は、無意識の内に息を飲んだ。

 

そして・・・、

 

「騎乗したままで無作法ではありますが・・・、貴方はアリティア王家のマルス王子ではありませんか?」

 

そう問い掛けてきた、彼は僕を知っているのか?彼の問いに、ジェイガンを含めたみんなが一瞬身構えるも、

 

「お初お目にかかります。私の名はユキ、アカネイア聖王国が王女であるニーナ様の命により、王族の方々を救出する為に参りました。」

 

次の発言でその構えを解いた。アカネイアが滅亡し、王族の全てが処刑されたと聞いていたけど、ニーナ様は生きておられたのか!僕は驚き、慌てながらも、

 

「救援感謝します、ユキ殿。貴方の言う通り、僕がマルスです。貴方のお陰で当面の危機は去りました、貴方の主であるニーナ様に感謝をお伝えください。」

 

そう返すのがやっとだった、彼は頷き・・・僕達を見回した後、

 

「必ず伝えると約束致します。・・・して、リーザ王妃とエリス王女は何処に?」

 

僕達の中に母上と姉上の姿がない、それが気になったのだろうユキ殿が僕に聞いてきた。それに対し僕は・・・、

 

「母上と姉上は・・・、僕を逃す為に・・・。」

 

僕はこれまでの経緯を掻い摘んで、竜騎士の彼に話した。

 

──────────────────

 

ーユキー

 

グラ兵に打撃を与えながら城を目指す俺の視界に、遠目故に断言は出来ないがグラ兵に抵抗をしていると思われる一団が。城から誰かが脱出してきたのか?それを確認する為に,その一団の下へと向かう俺。勿論邪魔なグラ兵は、問答無用でかき乱しながら向かっている。そうでもしなければ、弓兵に狙われてしまうからな。

 

・・・で、練度の低いグラ兵を蹴散らし退却させた俺。包囲されていた一団を助けることが出来たのだが、・・・中心人物に見覚えがある。可愛い顔の男の子、・・・見れば見る程女の子にしか思えない程の可愛らしさを持つこの男の子はまさしく、・・・マルス王子に違いない!とりあえず、名乗ってから王女の命で救援に来たことを話した結果、自分がマルス王子だと言いましたよ!・・・やっぱりな!これ程の男の娘がマルス王子じゃないわけがない!

 

内心で興奮する自身を抑え、王子に付き従う者達に視線を向ける、・・・記憶にある顔を見ることが出来て俺感動!だがしかし、何かが足りない。・・・ここに女性が一人もいないのだ、・・・一人も。王族はマルス王子の他にいないのか?リーザ王妃とエリス王女は何処にいる?その疑問にマルス王子が答えてくれた、・・・とても辛そうに。

 

 

 

 

 

 

・・・俺は間に合わなかったのか?三人を助けると王女に言ったというのに。・・・思いの外、グラの攻勢が強かった。・・・くだらん言い訳だわな、実際そうだとしても。だが、俺はまだ諦めはしない。少しの可能性があるのなら、足掻いてみせるのがこの俺さ。無理だと判断するのは、自分の目で全てを見た後だ。

 

そんなわけで、俺はマルス王子に言った。

 

「・・・なるほど、リーザ王妃とエリス王女は城におられると。分かりました、ならばこの私が急行しましょう。まだ間に合うかも知れぬ故・・・。」

 

俺は城へ行くぞ、彼女達はまだ抵抗をしているかもしれないしな。そんな俺の発言に驚くマルス王子、

 

「アリティア城内も、そして城外も敵で溢れ返っていますよ!?たとえ貴方が強者だとしても、たった一人では危険です!お気持ちは嬉しいのですがその身に何かあったら、僕はニーナ王女に何と言えば・・・!」

 

脱出してきたマルス王子だからこそ、現状での救出はかなりの危険を伴うと知っている。故にこの俺を止めようとするのだが、

 

「多少の無理は承知の上、私は行きますよ・・・マルス王子。アカネイア救援の為に出陣してくださったコーネリアス王は、その途中のメニディ川で戦死なされた。・・・我らには恩義がある、せめて・・・コーネリアス王のご家族だけでも救い、その恩に報いたいのです。故にマルス王子、私に対しての心配は無用です。私のことよりも、マルス王子達は今すぐにこの場から離脱を、敵兵は私がかき乱してきました故に今ならば・・・。」

 

俺はマルス王子の忠告を聞き入れない、行くと決めたのだからな!

 

これは王女の、ニーナ王女の為なのだ。王女が使命を果たす為の布石、アリティアに恩を売るのが俺の役目。たとえ間に合わずとも、行動した事実が重要なのだ。生きていれば上々、亡くなっていても俺の行動によって好印象、遺体をマルス王子の下へと運ぶことが出来たらなおのこと、・・・損はないのだ。そんな内心を知らずにマルス王子は、

 

「・・・ユキ殿、貴方のお気持ちは分かりました。僕は無力だった、・・・その為に母上と姉上は!・・・貴方のことを頼る不甲斐ない僕ですけど、・・・母上と姉上のことをよろしくお願いします。どのような結果でも、・・・僕は受け入れてみせます。・・・ですが!その為に命を無駄にするのだけはお止めください、絶対に生きて帰ると・・・約束してください!」

 

・・・マルス王子って良い人だよね?色んな感情が入り乱れている筈なのに、俺の心配をするなんて。内心ではそこそこ黒い俺を、俺なんかを心配してくれるマルス王子が眩しい!・・・汚れなきマルス王子の目が!・・・直視出来ねぇ、・・・居たたまれないっていうのはこのことを言うんだな!?

 

「・・・約束しましょう、マルス王子。出来る限りのことはやるつもりです、そして・・・生きて帰ります。マルス王子、そちらもお気を付けて。」

 

そう言ってから、逃げるようにその場を後にした。・・・こうなれば、是が非でも結果を出さなきゃ駄目だな!リーザ王妃にエリス王女、・・・無事でいてくれたら!




主人公の強さはステータスMAXの影の英雄クリス級です、序盤の雑魚は相手にならないのです。

強すぎですが、敵も強くする予定なんで何とかなるでしょう。それに強い人がいた方が、他の方々も影響されて強くなる筈。

マルス王子の可愛さに主人公びっくり、その汚れなきオーラに浄化されそうになり逃走。
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