サーヴァント日常劇。 作:青眼
いやぁ、本当は昨日に投稿しようと思ったんですけど、色々と忙しくて無理でした!
さて、今回は調子に乗って短編を書いて見ました!皆さんは、ちゃんと母の日に何かしてあげましたか?私は、とりあえずケーキでも買ってきましたよ!
「あぁ〜〜〜〜今日の仕事がやった終わった〜〜〜」
タブレットに最後の一文字を入力し、誤字脱字検索システムを使った最終確認。オマケでアンデルセンやギルにといった、作家及び王様系のサーヴァント達によるチェックを終え、ごろんとベッド転がり込む。手元にある携帯端末を見れば、時間は夜の十一時をとうに回っていた。
「うへぇ、一応国際機関や魔術教会に見せる資料とはいえ、ここまで時間がかかるとは。もうここのまま眠っちまおう」
タブレットの記録をセーブした後、寝巻きに着替えずにそのまま眠りに落ちようと目を閉じる。こんな所を婦長に見られでもすれば、拳銃を一発ぶっ込まれるだろうけど、それでもいいから早く眠りたい。疲れ果てた俺の精神を癒すべく、早々に夢の世界へトリップしたい。
そう思った矢先だ。コンコンと、誰かが俺の部屋にノックをした。だが、それに応じるだけの気力は今の俺には無い。このまま黙って眠ってしまおうと思ったが、段々と打ち付ける力が強くなってくる。その事にイライラしてきた俺は、ため息を吐きながら起き上がる。
「〜〜っ!! ったく何処の誰だよ! こんな時間にノックなんてしやがって! 常識ってのを考えやがれってんだ!!」
一心不乱に手を動かし、ようやく眠れると思ったのにそれを邪魔された俺は、ついキレ気味になりながらドアに近づく。扉に取り付けてあるモニターから、誰が来たのかを確認する。そこにいたのは、どこかの学校の服を着た二人の少女、こことは違う並行世界からやって来た二人の小学五年生。クロエ・フォン・アインツベルンと、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。二人の少女がそこにはいた。
《ね、ねぇクロ。やっぱりやめとこ〜よ。もう時間も遅いし〜……》
《何言ってるのよイリヤ。こんな時間だからこそ、わざわざ私たちがやって来たんでしょうが。というか、1日中部屋に籠っているんだから、どうせレポートぐらいしかしてないんだし、別に問題ないわよ》
二人は何やら、俺に何か用があって来たらしい。正直、このままスルーしてやってもいいが、幼女二人が俺の部屋の前にいる、という時点で俺的にはアウトだ。仕方がないので、部屋のロックを解除する。
「………おい、今何時だと思ってるんだ。安眠妨害だろうが。常識考えて出直しやがれ」
「あ、こ、こんばんわ研砥さん! お久しぶりです!!」
「やっほ〜研砥。まぁいいじゃない。私と貴方の仲でしょう?」
礼儀正しく挨拶をするイリヤに、快活に笑いながらこっちに手を振ってくるクロエ。イリヤの態度は普通だが、クロエのこれぐらいしても大丈夫だろうという態度に凄いイラッと来たが、俺の海の底より深い自制心でそれをグッと堪える。
「はぁ、それで? 狭間の所にいるイリヤまで連れて一体何の用だ? 俺は早くベッドインして眠りたいんだが」
「あははは………その、やっぱり今日も忙しかったんですか?」
「そりゃあな。種火とかはキャットを中心としたパーティーが勝手に周回してくれてるけど、この間の事件だけは、やっぱ纏めておきたかったしな」
「誰も覚えていない、
「頭の痛い事だが、BBがここにいるのが紛れも無い証拠だろう? ったく、急にキャスター勢が増えてきて、キャスター用の石が足りないっつーの」
頭をガシガシと掻きながら愚痴をいうと、イリヤとクロエが苦笑いを返した。まぁ、仕方がないとはいえ、ここまで素材がドロップできないと本当に辛い。もう少しドロップ率向上してくれないかね。
「あ、話が脱線しちゃったわね。え〜とね研砥。今日が何の日か知ってる?」
「…………? 五月十四日だろ? それが一体どうしたんだ?」
《あ〜〜〜これは駄目な奴ですね。いや〜、いくら忙しいとはいえ、これは流石にないですよ〜》
「お前は黙ってろよルビー。ギルのお蔵行きの刑に処すぞ」
《ちょ、それは流石に不味いですよ! あの人の蔵から出れるか本当に分からないんですからね!?」
愉快型魔術礼装・カレイドルビーがいつもの陽気な声から一変、ステッキの両端を青くした。これはイリヤ本人から聞いた事だが、どうやらこの魔術礼装。無駄に機能が豊富だったり、悪徳商法染みた喋り方で魔法少女にさせられたりと。まぁ色々とあったらしいが、俺としてはただの面倒臭いステッキだ。別に、破壊してしまっても構わんのだろう?(黒鍵を構えながら)
「まぁ、ルビーの処罰はさておき、研砥さん。本当に思い出せない? 今日が何の日か、本当に?」
「いや、悪いが本当に思い出せないんだ。教えてくれ、今日は一体何の日なんだ?」
真剣にイリヤ達に問いかける。すると、二人とステッキ一本が溜め息を漏らした。
「はぁ。あのね研砥。今日は五月の第二日曜日。つまり、日本だと母の日なのよ」
「そうそう。私もお母さんにちゃんとプレゼントとか送ったし、金時さんも頼光さんに何かプレゼントしてたよね〜」
《まぁ、感極まった彼女が施設の一部をぶっ壊してましてけどね〜〜」
「いやそれ不味いだろうが!! って、ちょっと待て。母の日………………?」
クロエの言った言葉に反応して、少し頭に手を当てて考える。そうだ、確かこの日には俺も何かプレゼントするって予定が入っていたんだ。でも、一体なんだっただろうか。ここ最近の記憶を振り返ってみるが、全然思い出せない。
「でね、あの金ピカキャスターに頼まれてこれを貴方に渡して欲しいんだってさ。中身は貴方が知ってるから、絶対に開けるなって言ってたわ」
「ギルガメッシュさん、やっぱり怖いよね。はぁ、あれがギル君の成長した姿だと思うと、少し複雑な気分だなぁー」
《まぁまぁ。どんな人にも歴史があるってことですよ。というか、むしろ幼少期と少年期と青年期の三つも顔もある英霊なんて、そうはいないですよ》
「それ、アルトリアさんの前でも言えるかなぁ」
目の前でガールズトークに花を咲かせている二人だが、とりあえず渡された物を手に取る。箱は均一な大きさからして立方体。箱をゆっくりと開くと、青い宝石を埋め込まれたブローチがあった。青い宝石には見覚えがあった。というか、これバビロニアの時によく見かけていたラピスラズリだよな。何でこんな高い物があるんだ…………。
「わぁ〜。すごく綺麗な宝石だね〜。少し羨ましいかも」
「ふ〜ん。確かに綺麗ね。それで? これを一体誰に渡そうと思ったの?」
「いや、本当に思い出せないんだ。つーか、何で俺はギルにこんな物を………」
ついこの間までSE.RA.PEで活動して、世界を救ってきたばかりで記憶の整理ができていない。BBがやって来たから新たに部屋を作ったりと。色々と忙しかったからここ最近の出来事を振り返ってみるべきか。そこまで考えた時、ポケットからバイブ音が響く。誰からだろうと表示された名前を確認すると、この箱を渡してきたギル本人からだった。
「もしもしギル? 一体これは何の」
《そういうと思ったわ戯け。全く、貴様がこの我の為に働いた報酬として渡した物を、彼の母に渡す為に加工しろと言ったのを忘れているようだな》
電話越しに聞こえるギルの声は、とても優しげなものだった。だが、絶対に顔を見たらこめかみがピクピクと動いているだろうと想像してしまった。これあれだ、顔は笑ってるんだけど目が全然笑っていないという奴だ。
《ふん。貴様がそれをどうしようと知ったことではないがな。この我の手を煩わせたのだ。とっととあやつに渡してくるがいい》
「いやだから! 俺はその渡す人を思い出せないんだって…………あ? ちょっと待て。プレゼント……母の日……ラピスラズリのブローチ………ああーーーー!!」
今まで言われたキーワード。そして、ギルが渡してくれたブローチを見てから経ってから、ようやく思い出した。そう………ことの発端は、あのSE.RA.PEでの出来事だ。
「こ、これでようやく………ギルとアンデルセンのスキルレベルが、かん、す、と………きゅう」
「おい研砥。こんな所で寝るな。寝るのならせめて教会で寝ろ」
「全く、俺のスキルレベルまで上げおって。お前まで俺を過労させるつもりか」
ここで回収したサクラチップをBBに交換して、QPを大量に集めた後、ようやく二人のスキルレベルがMAXになった。長かった………ここまで来るのに本当に苦労した。
「あ〜、ギルの為に毒針130本以上集めたからな〜。本当苦労したわ。あ〜疲れた」
「あのな……貴様は我の小間使いであろう。ならば、我の為に素材を回収するのは当然であろう」
「それより俺に休みを寄越せ。今回はずっと働いているんだ。いい加減休みを寄越さんか」
今回のイベント……というか、何故か発生した亜種特異点を解決した俺たちは、ここで可能な限りの素材回収を続けていた。この特異点には、『Fate/EXTRA』シリーズに関係したサーヴァントがボーナス対象になっている。なので、コストパフォーマンス的な意味でもアンデルセンには働いてもらわなければならないのだ。
「まぁ良い。さて、ここまで我を強化したのだ。ならば、それなりに褒美を渡さねばならんな」
呆れた顔から一変、満足そうに笑いながら黄金の波紋がギルの手に出現する。彼の宝具、『
「ほれ、今回の報酬だ。臆することなく受け取るがいい」
「お、おう。でも良いのか? 結構貴重な物だろこれ?」
「別に構わん。我が渡すに足る働きをした証拠だ。さっさと受け取れ」
面倒臭そうにラピスラズリを投げ渡しすギル。それに驚いてギリギリの所でキャッチすることに成功する。その事に安堵すると同時に、ズボンのポケットから携帯を落としてしまう。
「おいマスター。携帯を落としたぞ。全く、何でこんな事に俺が手を貸さねばならん………む?」
アンデルセンが溜め息を吐きながら携帯を拾うと、何かに気づいたように声を漏らした。すると、今度は勢いよく立ち上がる。
「おいマスター! 貴様はこの日を、十四日が何の日か覚えいるか!」
「あ? あ〜いや、別に覚えてないが……」
「馬鹿か貴様! 貴様が最も信頼しているサーヴァントにとって大事な日だろうが!!」
普段は温厚というか皮肉しか言わないアンデルセンが、今まで見たことのないレベルで怒っていた。あまりの出来事に目を丸くするが、次に彼が言った言葉は、俺をもっと驚かせた。
「十四日、それは日本でいう母の日! 貴様にとって、ブーディカといった母系のサーヴァントの大事な日だろうが!!」
「…………………あーーーー!! そうか!! 母の日か!! ってやばくないか!? もう一週間も準備期間ないじゃん!!」
今の今まで忘れていた大事な日。そう、今回のイベントのせいで忘れてしまっていた、ブーディカさんといった人たちに感謝を送れる大事な日のことを。
「やっべぇぇぇ!! こ、こんな所で素材回収なんてしてる暇なんてないじゃん!! 急いで新宿辺りにレイシフトしてーーーーむ?」
焦ってすぐにここから出て行こうと思ったその時、手の中にあるラピスラズリに目が行く。そこでふと思いついた。ここにいるギルならば、俺の考えたこともできるのではと。
「なぁギル。一つばかり頼みがあるんだが………」
「ーーーふっ。仕方があるまい。我もあの女には借りがある。言ってみろ研砥。今回は我も手を貸してやろう」
「ようやく、思い出した。ああそうか、あの時のやつか」
《はっ、思い出すのが遅いわ愚か者め。全く、我の手を煩わせおって、後で何か奢るがいい》
「あとでエミヤに何か作らせよう」
《いいだろう。ではな。早くしろよ研砥? もうすぐ日を跨ぐからな》
そう言ってギルは通信を切った。相変わらずアーチャーの時とは比べ物にならない程優しい彼に感謝を言いつつ、俺はクローゼットに掛けてあるコートを取る。
「悪いなイリヤ! それからクロエ! あとで何か奢るわ!」
「え、ちょっと! それ結局誰に渡すのよ〜〜!! こら〜!! 待て〜!!」
クロエの非難する声が聞こえたが、それを無視して俺は施設内を走り回る。召喚場、シュミレーター室に食堂。彼女がいそうな場所を色々と探して回るが、何処にもいない。それどころか、途中で頼光さんに出くわして凄い焦った。令呪とガンドが無ければほぼ即死だったなあれは。
「…………残るは、ここだけか」
最後に残ったのは彼女の部屋だけ。正直、あまり女性の部屋に入りたくはないのだけれど、これも彼女に日頃の感謝を伝えるためだ。意を決してインターホンを鳴らす。
「あ〜、え〜とブーディカさん? 今大丈夫」
《む? 研砥ではないか? 少し待っておれ》
部屋の中から現れたのは、いつものように赤を基調とした衣類を纏った、自称男装の令嬢。赤王ことネロだった。どうやら、毎度のごとくブーディカさんの部屋に入り浸っていたようだ。
「何だネロか。ブーディカさんはいるか?」
「ブーディカ? あやつなら酒を飲んで眠っておるが」
「ブーディカさんが酒ぇ? 何でまた」
「何でも、ママ系サーヴァントの集いだのて言って、さっきまで飲み会に参加しておったのだ。久しぶりに酒を飲んだのか、酔い潰れてしまってな。余が運んできてやったのだ」
やれやれと首を振ったあと、ネロは後は任せると言って、そそくさとブーディカさんの部屋から出て言ってしまった。珍しい事もあるなと思いながらも、部屋の中に入る。そして、その直後に入ったことを後悔してしまった。
「って酒くさっ!! なんだこれ、酒呑とかに度の高い奴でも飲まされたのか……?」
部屋の中に入ってすぐ。部屋中に充満した酒の匂いが酷く、鼻を押さえてしまう。普段の彼女からは全くしない匂いに驚きながらも、ゆっくりと部屋の中に入っていく。ブーディカさんはどこにいるのだろう、首を回しながら中を見た直後、誰かが俺にのしかかってきた。
「ひでふっ!?」
「あ〜研砥だ〜〜。ど〜したの〜? こんな夜更けに〜〜」
いつもの優しげな声とは違う伸びた声。遠慮無く力強く抱きしめてくる両腕。普段は纏めている髪を外し、長い髪を思いのままに伸ばしたブーディカさんが後ろにいた。
「ちょ、ブーディカさん! 離れてくださいって酒くせっ!! 一体どんだけ飲んだんですか!?」
「ん〜〜〜? さぁ〜〜一体どれだけ飲んだのかな〜〜〜!」
完全に酔っ払いのそれになったブーディカさんは、笑い上戸になりながら抱き締める力を更に強くする。おかげでとても柔らかい二つの山に思いっきり触れる事になるのだが、静謐や頼光さんとかのスキンシップ(強制)で、この程度の事に動じる軟い精神ではない。俺は抱きつかれたままゆっくりと立ち上がり、ブーディカさんを背負って移動する。
「いっちに、いっちに! いっちにっとぉ!」
「うわぁ〜〜! お布団だ〜〜!」
ベッドにまで辿り着いた俺は、そのまま勢いよく振り向き、ブーディカさんをベッドに寝転がせる。すると、一通り言い尽くしたのか、それとも飲みすぎて疲れたのか。手足を伸ばしたまま眠ってしまった。
「すーー………すー……」
「ベッドに運んだらすぐに寝るって、どんだけ疲れてたんですか……」
ふにゃ〜んと、顔を綻ばせながら眠っているブーディカさんを見て苦笑しながら、俺は彼女の部屋にある机の上に、例のブローチが入った箱を置く。直接渡せたわけじゃないけど、起こして渡すのも悪いし、今回はこうさせてもらうとしよう。
「さて、と。目的も果たしたし、後は部屋に戻って寝るかな」
「うにゅ〜……研砥ぉ………」
部屋から出ようとした矢先、ブーディカさんの寝言が聞こえた。本当は寝顔も寝言も聞くのは悪いと思うが、自分の名前を出された以上、気になるのは仕方がない。内心で彼女に謝りながら、彼女が眠るベッドに腰をかける。
「研砥ぉ〜……いつも……ありがとねぇ……大好きぃ……」
「ーーーーはぁ。全く、この人は夢の中でも俺に会ってるのかよ。旦那さんや娘さんとの夢でも見たらいいのに」
苦笑しながらも、ぼさっとした彼女の髪に手を伸ばし、優しく撫でる。その後、ついこんな言葉を口走ってしまった。
「ああ。俺も、大好きだよ。ブーディカさん」
平成二十九年五月十四日。日を既に跨ぎ、五月十五日となった午前一時頃。彼女の部屋で、俺はそんなことを口走った。
ありがとうブーディカさん。ブリタニアを守らんとした母よ。願わくば、こんな日がいつまでも続くようにと、俺は独り願うのだった。
ここまでの既読、ありがとうごさいました!
誤字脱字等がありましたら、是非指摘の方お願いします!感想は沢山送ってくれていいですからね〜!!
あ、よろしければ、『Fate/Boudica Order』や、ガチャ報告作品も読んでいってくださいね!(姑息な宣伝を………)