灼眼のシャナ 『無何有鏡』編   作:八鍵 嘯

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暇な時に投稿して行きますので、不定期です。


プロローグ

 新世界『無何有鏡( ザナドゥ)』。

 それがこの世界の名前だ。

 未だ創世から1年と5ヶ月程の若い、若い世界だ。

 だが、『真実を知る者』はまだ少ない。

 『真実を知る者』達が秘匿しているからだ。

 

 『真実を知る者』。

 彼らは、大きく二つに分けられる。

 一つ目は、“紅世( ぐぜ)(ともがら )”。

 彼らは、“紅世”からやってきた異世界人。

 もう一つは、フレイムヘイズ。

 彼らは、強大な“紅世の王”と契約した旧世界の人々。

 

 彼もまた、『真実を知る者』だった。

 しかし彼は、“徒”でも人でもない。

 彼の名は、坂井悠二。

 傍から見たらただ世界中を旅する青年だろう。

 しかし、彼を知る者達は彼をこう呼び、恐れる。

 『 廻世( かいせい)行者(ぎょうじゃ )』坂井悠二、と。

 

 彼はかつて、ごく普通の高校生だった。

 だが、一人のフレイムヘイズとの出会いが彼の人生を変えた。

 

 彼女の名は、シャナ。

 かの有名な、天罰神“天壌(てんじょう )劫火(ごうか )”アラストールのフレイムヘイズ、『炎髪灼眼(えんぱつしゃくがん )の討ち手』である。

 

 彼は、そのとき自分が特殊な残り滓(トーチ )秘宝『零時迷子(れいじまいご )』を宿した“ミステス”だと知る。

 その後、彼女と出会ったとの彼は様々な敵と戦っていくうちに思うようになった。

 “徒”と人は共存できるのではないか、と。

 彼はそれを実行すべく、[仮装舞踏会( バル・マスケ)]の盟主である、創造神“祭礼(さいれい )の蛇”の代行体となった。

 そして彼は、『無何有鏡』を創った。

 

 彼は今、この新世界で“徒”と人の共存を説いている。

 

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「は~っ……」

 悠二は深いため息をついた。

「悠二、大丈夫?」

 隣にいる少女――『炎髪灼眼の討ち手』シャナが心配そうにこちらを見つめている。

「うん、これくらいどうってことないよ」

「いや、これ以上はきついだろう。少し休んだほうがいい」

 シャナの胸元にある、黒い宝石に金の輪を意匠したペンダント型神器“コキュートス”に意思を表出させる“紅世の王”にして天罰神“天壌の劫火”アラストールも休息を勧めてきたので、悠二は大人しく休むことにした。

 いま彼らが何を行っているのか。

 答えは簡単、アルバイトである。

「悠二、ちょっとぐらい自在法使ってもいいんじゃない?」

「いや、体力をつけるためにわざわざ肉体労働を選んだのに、自在法を使っちゃ意味がないよ」

 そう言って、悠二はその場に座り込んだ。

「それにしても、だいぶ[マカベアの兄弟]は鎮まってきたね」

「上手くいけば後1回で終われるかも」

 その時、悠二の携帯電話が鳴った。

「はい、もしもし。ああ、久しぶり。うん……うん。えっ……?うん、うん。分かった。それじゃあ、一度会って話した方がいいね。うん、こっちもそのつもりで動いてみるよ。ありがと」

「誰から?」

「[仮装舞踏会(バル・マスケ)]の“驀地祲(ばくちしん)”リベザルだよ」

「プッ」

 シャナは噴き出した。

「どうしたの?いきなり噴いて」

「リベザルが携帯電話を使ってるのを想像したら可笑しくて」

「ああ。最近は[仮装舞踏会(バル・マスケ)]を中心に携帯電話を使う“徒”が増えてるらしいよ。ベルペオルが推奨しているらしいよ」

「ふーん」

「坂井悠二。電話の内容は何だったんだ」

 アラストールが話を戻す。

「なんか“螺旋(らせん)風琴(ふうきん)”が僕に用があるらしいんだ。『大命詩篇(たいめいしへん)』とかこの世界を調べ直したらしく、よく分からないけど、それについて話があるって言ってた」

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