悠二が[
「久しぶり、『
「久しいな」
ロビーでシャナとアラストールのあいさつした相手は、現在の外界宿の総司令官であるフレイムヘイズだった。
「久しぶり。あれ?『
「悠二は用事があるから後から来る」
「そうか、『コルデー』の様子見だろ?こっちだ」
そういって、サーレはシャナを奥へと通した。
サーレが通した部屋に居たのは、
「こいつが『コルデー』の解析官の」
「初めまして、お会いできて光栄です。私、“
ウィルフレッドと名乗った青年。見た目はどこからどう見ても白人。服装は白衣。だが、両手には似合わない烏羽色の手袋をしていた。
「“天壌の劫火”……」
その声は手袋型の神器“”に意思を表出する“紅世の王”、“晦位の鉾”ウィザルのものだった。
「久しいな“晦位の鉾”よ。よもやこんな所で会うとは」
「ああ」
話はこれで終わりらしいと判断したサーレがウィルに、
「俺は用事があるからあとは頼んだ」
それだけ言って逃げるように部屋を出て行った。
「はい。では、『コルデー』はこっちです」
ウィルは奥の扉を指す。
「?……ここにはないの?」
てっきり、この部屋で『コルデー』の解析をしているものだと思っていたシャナが言うと、
「はい。あれは重要資料でもあるので、別室何です。何せ『世界を跨ぐ宝具』ですから」
そう言ってウィルは扉を開けてシャナを招く。
中に入ったシャナが見たのは宙に浮いた『コルデー』と、それを包むように展開された烏羽色の巨大な自在式だった。
「現在、『詭計の施し手』の観測・情報収集の自在法『エグザミル』での観測と、その結果の解析を行っています」
「観測・情報収集の自在法?」
シャナが首を傾げる。
「はい。私が解析を任されたのは、これが使えたからです」
「『審判』とは違うのかな……」
「ええと……ちょっと見せて下さい」
「ん」
シャナが『審判』を出すとウィルはその周りに『エグザミル』を展開する。
「えーっとですね……、この自在法『審判』は自在法を『見る』事が出来ますが、この『エグザミル』は自在法だけでなく物の動き、“存在の力”の流れなどを広範囲で『知る』ことが出来ます」
「『見る』じゃなくて『知る』?」
「はい。『エグザミル』は観測された事象を理解する事ができます」
その時、部屋の扉がノックされ開き、ウィルの助手と思しき女性が入ってくる。
「坂井悠二様がいらっしゃいました」
その女性の後ろに続いて悠二が姿を現した。
「遅れてすいません」
「いえいえ。初めまして。私、“
「坂井悠二です」
お互いに自己紹介を済ませると、悠二が目の前に展開された巨大な自在式を見て、
「これはまた……大規模な、でも緻密な自在式ですね」
「はい。それで『コルデー』の観測を行っています」
ウィルは姿勢を正した。
「では、お二人が揃ったので、現在分かっている『コルデー』及び二世界間の情報についておはなししましょう。お座りください」
三人は部屋の端に置かれた椅子に腰かけた。
「はい、まずは『コルデー』のついてですが、どうやら一定量ずつ“存在の力”が取り込まれているらしいんです」
「取り込まれる?」
シャナが不思議に思う。
確かに『コルデー』は“存在の力”を取り込む事があるが、それは中に自在法を発動させるためであって、ただ勝手に“存在の力”を取り込むことは無い。
「僕ら
「ウィングフィールドさん、それってどれくらいの量が漏れ出ているんですか?」
「ウィルでいいですよ。えー、だいたい1日に一般的な“徒”なら数ヶ月は体を維持できるくらいは出てますね」
それを聞いた悠二の顔が変わる。
「悠二?」
シャナに声をかけられ彼は口を開いた。
「実はさっき、[
悠二が二人に詳しい内容を話すと、
「そうですか……。ちょっとそれは自分で確かめないことには何とも言えませんが、もし本当なら早急に対処しないといけませんね」
「お願いします。あと、『革正団《レボルシオン》』と『シェオールの使徒』が動いているらしい」
「えっ?『革正団』?」
シャナが首を傾げる。
「うん。何か残党がいたらしくて、“
「……そんなことが可能なんですか?」
自在法に長けたウィルでも信じられないらしい。
「“螺旋の風琴”に聞いたから確実だと思う」
「そう……ですか。まあ、それもこちらの方で調べておくよう上に伝えておきますよ」
その時、部屋の壁に取り付けられた内線が鳴った。
ウィルは「ちょっとお待ち下さい」と言って内戦にでた。そして数秒後、二人の方を向いたウィルは言った。
「『神速剛力の姉弟』と名乗る、シャナさんに会いたいという二人組が来ているそうです」