灼眼のシャナ 『無何有鏡』編   作:八鍵 嘯

5 / 7
久しぶりの投稿!



悠二とシャナ、『詭計の施し手』に会う

 悠二が[仮面舞踏会(バル・マスケ)]を後にした頃、シャナは一足先に外界宿(アウトロー)東京支部に来ていた。

「久しぶり、『鬼功(きこう)()り手』サーレ・ハビヒツブルグ、“(あや)羂挂(けんけい)”ギソー」

「久しいな」

 ロビーでシャナとアラストールのあいさつした相手は、現在の外界宿の総司令官であるフレイムヘイズだった。

「久しぶり。あれ?『廻世(かいせい)行者(ぎょうしゃ)』は一緒じゃないのか?」

「悠二は用事があるから後から来る」

「そうか、『コルデー』の様子見だろ?こっちだ」

 そういって、サーレはシャナを奥へと通した。

 

 サーレが通した部屋に居たのは、

「こいつが『コルデー』の解析官の」

「初めまして、お会いできて光栄です。私、“晦位(かいい)(ぼう)”ウィザルのフレイムヘイズ『詭計(きけい)()し手』ウィルフレッド=ウィングフィールドです」

 ウィルフレッドと名乗った青年。見た目はどこからどう見ても白人。服装は白衣。だが、両手には似合わない烏羽色の手袋をしていた。

「“天壌の劫火”……」

 その声は手袋型の神器“”に意思を表出する“紅世の王”、“晦位の鉾”ウィザルのものだった。

「久しいな“晦位の鉾”よ。よもやこんな所で会うとは」

「ああ」

 話はこれで終わりらしいと判断したサーレがウィルに、

「俺は用事があるからあとは頼んだ」

 それだけ言って逃げるように部屋を出て行った。

「はい。では、『コルデー』はこっちです」

 ウィルは奥の扉を指す。

「?……ここにはないの?」

 てっきり、この部屋で『コルデー』の解析をしているものだと思っていたシャナが言うと、

「はい。あれは重要資料でもあるので、別室何です。何せ『世界を跨ぐ宝具』ですから」

 そう言ってウィルは扉を開けてシャナを招く。

 中に入ったシャナが見たのは宙に浮いた『コルデー』と、それを包むように展開された烏羽色の巨大な自在式だった。

「現在、『詭計の施し手』の観測・情報収集の自在法『エグザミル』での観測と、その結果の解析を行っています」

「観測・情報収集の自在法?」

 シャナが首を傾げる。

「はい。私が解析を任されたのは、これが使えたからです」

「『審判』とは違うのかな……」

「ええと……ちょっと見せて下さい」

「ん」

 シャナが『審判』を出すとウィルはその周りに『エグザミル』を展開する。

「えーっとですね……、この自在法『審判』は自在法を『見る』事が出来ますが、この『エグザミル』は自在法だけでなく物の動き、“存在の力”の流れなどを広範囲で『知る』ことが出来ます」

「『見る』じゃなくて『知る』?」

「はい。『エグザミル』は観測された事象を理解する事ができます」

 その時、部屋の扉がノックされ開き、ウィルの助手と思しき女性が入ってくる。

「坂井悠二様がいらっしゃいました」

 その女性の後ろに続いて悠二が姿を現した。

「遅れてすいません」

「いえいえ。初めまして。私、“晦位(かいい)(ぼう)”ウィザルのフレイムヘイズ『詭計(きけい)()し手』ウィルフレッド=ウィングフィールドと言います」

「坂井悠二です」

 お互いに自己紹介を済ませると、悠二が目の前に展開された巨大な自在式を見て、

「これはまた……大規模な、でも緻密な自在式ですね」

「はい。それで『コルデー』の観測を行っています」

 ウィルは姿勢を正した。

「では、お二人が揃ったので、現在分かっている『コルデー』及び二世界間の情報についておはなししましょう。お座りください」

 三人は部屋の端に置かれた椅子に腰かけた。

「はい、まずは『コルデー』のついてですが、どうやら一定量ずつ“存在の力”が取り込まれているらしいんです」

「取り込まれる?」

 シャナが不思議に思う。

 確かに『コルデー』は“存在の力”を取り込む事があるが、それは中に自在法を発動させるためであって、ただ勝手に“存在の力”を取り込むことは無い。

「僕ら外界宿(アウトロー)では、旧世界に漏れ出ているのではないかと推測しています。考え方としては、濃度勾配があるからそれを戻そうとしている感じです」

「ウィングフィールドさん、それってどれくらいの量が漏れ出ているんですか?」

「ウィルでいいですよ。えー、だいたい1日に一般的な“徒”なら数ヶ月は体を維持できるくらいは出てますね」

 それを聞いた悠二の顔が変わる。

「悠二?」

 シャナに声をかけられ彼は口を開いた。

「実はさっき、[仮面舞踏会(バル・マスケ)]で聞いたんだけど……、あと数ヶ月後に旧世界とここ『無何有鏡(ザナドゥ)』が接触するらしい」

 悠二が二人に詳しい内容を話すと、

「そうですか……。ちょっとそれは自分で確かめないことには何とも言えませんが、もし本当なら早急に対処しないといけませんね」

「お願いします。あと、『革正団《レボルシオン》』と『シェオールの使徒』が動いているらしい」

「えっ?『革正団』?」

 シャナが首を傾げる。

「うん。何か残党がいたらしくて、“一縷(いちる)(こう)”トートと旧世界との接触を利用して三界の統一を図っているらしい」

「……そんなことが可能なんですか?」

 自在法に長けたウィルでも信じられないらしい。

「“螺旋の風琴”に聞いたから確実だと思う」

「そう……ですか。まあ、それもこちらの方で調べておくよう上に伝えておきますよ」

 その時、部屋の壁に取り付けられた内線が鳴った。

 ウィルは「ちょっとお待ち下さい」と言って内戦にでた。そして数秒後、二人の方を向いたウィルは言った。

「『神速剛力の姉弟』と名乗る、シャナさんに会いたいという二人組が来ているそうです」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。