潤み色の“封絶”の中を走り抜ける“紅世の徒”がいた。
「チッ。面倒臭い
真っ黒のロングコートを羽織った彼の正体は“刑禁背”ジャック。数々の
そんなジャックを追いかける一人の少女がいた。長く伸びた黒髪をたなびかせて走るその姿は、可憐の一言に尽きる。
「はッ!」
途轍もない速度で彼に追いつき、合計八発の炎弾を叩きつけるが、ジャックはギリギリの所でそれをかわして行く。
直後、横腹に強烈な衝撃が走る。
「グハっ!」
衝撃の正体はこの場にいるもう一人のフレイムヘイズの蹴りだった。
何とか立ち上がり目の前にいる二人組のフレイムヘイズを見る。
「……『神速剛力の姉弟』か」
「ああ、そうだぜ。一応名乗っておくが、“
「“
『神速剛力の姉弟』。
それは潤み色の炎の姉弟フレイムヘイズの事を指す。
俊足の姉と、豪力の弟。
絶妙な連携で数多くの“徒”を葬ってきた。
「クソッ!」
ジャックは“人化”の自在法を解いた。
現れたのは、3メートルはありそうな巨大な鼠。
「この姿はあまり好きじゃないんだがなッ!」
そう言って、大きくジャンプをする。軽々と二人の頭上を飛び越え、すぐそこの角を曲がる。
すぐに二人は追いかけたが、既に巨大な鼠の姿は無い。
形を変えて逃げたようだ。
「その程度で、俺が諦めるとでも思ったか!」
そう言って、基成が右手の周りに展開した一つの自在式。
「えっ!ちょ、ちょっと待って──」
姉の制止を無視して自在式を纏った右手を地面に叩きつけた。
フレイムヘイズの膂力と自在法によって生まれた膨大な力を地面が吸収──しきれるわけもなく、周囲のありとあらゆるものを吹き飛ばしてゆく。
瓦礫の山となった封絶内にもう“刑禁背”の気配はない。
どうやら、討滅できたみたいだ。
「あっぶないわね~……あと〇.一秒遅れてたらあたしまで死んでたわよ」
ギリギリのところで防御の自在法をを展開して身を守っていた深枝子が言う。
「いいだろ別に、どうせ封絶内なんだから。“存在の力”だって腐る程あるし」
基成はそう言いながら封絶内の修復に入る。
「はぁ……ねえ風天、本当にこっちであってるの?」
深枝子は腕に巻いた鎖型神器に意思を表出させる“紅世の王”、“至妙の疾風”風天に尋ねる。
「ええ、確かにあってますわ。どうやら主は東京の
風天の鎖型神器の名前募集中。
伊舎那天の神器と神器の名前も募集中。