灼眼のシャナ 『無何有鏡』編   作:八鍵 嘯

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旧世界ニテ動キ出ス。

 旧世界、外界宿(アウトロー)総本部のとある一室。

「『震威の結い手』、“払の雷剣”。じゃあつまり私は、『無何有鏡(ザナドゥ)』に行ってそれを解決してくればいいわけですね」

 青年は言った。

「すいませんね。でも、あの宝具は見つけるのも使うのもあなたたちにしか出来ないので」

 深く頭を下げるのは修道女姿の女、“払の雷剣”タケミカヅチのフレイムヘイズ、ゾフィー・サバリッシュ。

「私からもお願いする。どうか行ってはくれまいか」

 神器“ドンナー”に意思を表出させるタケミカヅチも深い敬意を払って接している青年、外見は白人。歳は十八、十九といったところか。全体的にモノクロな衣装で統一感がある。

 彼の名は、オルソ・ヴィッツォーニ。イタリア出身の古くからいるフレイムヘイズだ。

 だが、古参なのがゾフィー達の敬意を払う理由ではない。

 古くから、と言っても先の『無何有鏡』創造の時に死んだ『偽装の駆り手』カムシン・ネヴハーウ程では無いのだ。まあ、それでも千年以上もの間フレイムヘイズをやっている人ではあるが。

「いいですよ。僕はそのためにいるようなものですから」

「ああ。それでこそ我が『光の割き手』だ」

 青年の答えに青年の右目、義眼型神器“イービルアイ”に意思を表出させる契約者が反応した。

「ありがとうございます。“冥鑑の光炎”サリエル殿」

 “冥鑑の光炎”サリエルとその契約者、『光の割き手』オルソ・ヴィッツォーニ。

 彼らは『炎揺(フレイムヘイズ)の練り手』『最硬のフレイムヘイズ』など、様々な呼び名を持つ。

 『炎揺の練り手』の二つ名の通り、彼らは長い間フレイムヘイズの育成のみを行ってきた。

 ある程度、名の通ったフレイムヘイズの前に十年に一度ほど現れて、三日間程『修練』をして的確なアドバイスをしていくのだ。

 彼らはその昔フレイムヘイズたちの間で『最強のフレイムヘイズ』と呼ばれ、そして、『徒』達の間で『最凶のフレイムヘイズ』と呼ばれていた生きる伝説なのだ。

 

 外界宿(アウトロー)総本部を出たオルソ。

「さーて。じゃあ早速、例の宝具を探しますかね。大天使サリエル」

「おう。急ごうか、我の器、『偉大なる者』オルソ。我々にはあまり時間がないかもしれないからな」

 こうして、彼らは動き出した。

 いずれ、三つの世界を揺るがす事になる大事件の発端の一つが。

 

「どうやら、また面倒な事になりそうですねタケミカヅチ氏?」

 部屋で一人になったゾフィーが言う。

「そうと分かっていても、あの『守護神』サリエル……いや、『軍神』に協力を仰がなければならなかったのだ。仕方あるまい」

 彼らは分かっていた。

 あのフレイムヘイズの招く未来が闘争だと。

 彼らは分かっていなかった。

 あのフレイムヘイズの招く未来がこれまでの闘争を上回るものになると。

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