リト デビルーク王への道   作:童貞中学生

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小学生時代
1話 目覚めは病室で


 眩しさに顔を歪めながら、少年は目を覚ました。白い部屋のベッドの上で眠っていたようだ。病院の様に感じられる。記憶を掘り返すと今までの12年の人生の記憶と同時に前世の記憶も蘇った。どうやら本当に転生をしたらしい。あれは死ぬ直前に見た夢だと思っていたが事実は小説より奇なりだ。

 素直に受け止めよう。自分は「結城リト」、4人家族で彩南町に住む小学6年生だ。今世の自分もなかなかに無鉄砲のお人好しの様で、生まれ変わっても変わらない自分の性質に呆れるやら、嬉しいやらの感情でいた。前世の事をあっさりと受け入れているが、前例もないし、案外こんなもんかと思っていると自分の寝ているベッドに他にも人がいることに気づいた。

 

 ウェーブのかかった黒髪で可愛らしい少女。妹の美柑だった。いつもは結っている髪が下されていて、目元は赤く腫れている。自分がここで寝ている経緯は思い出せないが、病院という場所から考えて、妹に心配をかけてしまったことに胸が痛む。そういえばあの自称神が記憶を取り戻す時に体調を崩すかもしれないとか言っていた気がする。何時もは勝気で兄よりしっかりしている妹だが、まだまだ慕ってくれてる様で嬉しい。先程から感情の揺れが年相応になってしまっていることに気づいたが、泣いてる妹の前では些細なことである。

 

「ごめんな、美柑。兄ちゃんもう大丈夫だから」

 

 そう言いながら美柑の頭を優しく撫でると辛そうな顔をしていた美柑の顔が笑顔になった。その可愛い笑顔に少し見惚れていると、ドアの外から足音が聞こえてきた。

 

「おう、リト起きてたか! 大丈夫かぁ!?」

 

「チョット! パパ! 病院では静かに!!」

 

 騒がしい声とともに入ってきたのは、結城リトの両親である。リトをより大人にして熱血風味を加えた男が父「結城才培」であり、多数の連載を抱える今売り出し中の漫画家である。そしてリトと同じ茶髪を持ち、一目で仕事のできる女だと分かりそうな雰囲気の女性は母の「結城林檎」である。林檎は雰囲気通りの世界をまたにかけたファッションデザイナーであり、2人とも忙しい身の上の筈なのにわざわざこうして揃って来てくれるのは申し訳なさよりもやはり嬉しさの方が勝ってしまう。つくづく自分は周りの人に恵まれている。感情が年相応のものになっているがこれも転生した影響か、と考えながら両親に話しかける。

 

「親父大丈夫だよ。心配してくれてありがとな」

 

「親父ぃ?なんで急に親父なんて......まあ、いいか。本当に大丈夫そうだな。急に熱が出てぶっ倒れた時にはどうしたもんかと思ったんだが」

 

「ごめんなさいねリト。パパから電話もらって飛んで来たんだけど、遅くなって。もう起きて大丈夫? 」

 

「いいって。来てくれただけで嬉しいし。本当に大丈夫だから」

 

「そう、良かったわ。 売店で果物と飲み物買って来たんだけど、食べれる?」

 

「うん。ありがとう。食べるよ」

 

 林檎から貰った食べ物を食べながら、自分が倒れたときのことを聞いてみると、急に熱を出して倒れてから、2日目覚めずにうなされていたらしい。林檎が着いた頃にはもう熱も下がりいつ目覚めてもおかしくないと医者に言われたため、必要なものを買いに行ったそうだ。それは美柑も泣く筈だ、と胸が痛み、もう一度美柑の頭を撫でる。

 

「パパ、電話で大変だったのよ。リトがぁ〜、リトがぁ〜、って。フフ、よっぽど心配だったのね」

 

「いやぁ、俺も父親らしくなって来たと思ってはいたが、まだまだだったな。ママのありがたさが改めてわかったぜ。電話したらすぐ用意するものとか言ってくれてよ」

 

「やだっ、パパったら〜、愛してるだなんて」

 

「ん? そんなこと言ったか? がはは、まあいいか。愛してるぞぉ! ママ」

 

 息子の前で惚気出す両親に少しウンザリするが仲が悪いよりよっぽどマシだと思い直す。今回の人生は前の人生のオマケだと思っていたが、こんなにも暖かな家族がいるのだ。そんな認識は失礼だし悲しいだろう。

 

「親父、母さん。俺2人の子供でよかったよ」

 

 今の気持ちを素直に声に出して見た。言った瞬間に親父が少しだけ複雑そうな顔をしたが、次の瞬間には泣き出した。

 

「うおぉぉ、いい子に育ちやがって。俺もリトと美柑がうちに来てくれて幸せだっ!!」

 

「ええ、そうね。ママも幸せよ」

 

 感情を顔いっぱいで表す親父と違って、母さんは本当に優しい慈愛の表情で俺の頭を撫でて来る。

 

「うむぅ。リトぉ」

 

「お、美柑も起きたか。すまん、うるさかったな。美柑、リトが起きたぞ」

 

「ん?......リトッ!!」

 

 眼を覚ますや否や自分に抱きついてくる美柑。相当心配させてしまった様だ。3度目になってしまったがもう一度優しく美柑の頭を撫でる。

 

「もう! リトッ!! 心配したんだからね!」

 

「ごめんごめん。もう大丈夫だよ、美柑」

 

「ママ達もいるわよ」

 

「うわっ! ビックリした」

 

「この子ったらリトしか目に入らなかったみたいね」

 

「がはは、美柑はリトのことが大好きだからな」

 

 美柑は顔を真っ赤にして俯いてしまった。その様子は大変愛らしい。親父がチラリと病室にかかっている壁時計を見る。

 

「悪りぃな、リト。俺今日の夜が締め切りの仕事があるんだ。ママと美柑は泊まっていくらしいから、俺はそろそろ出ないとまじでやばい」

 

「ああ、来てくれてありがとう。俺を気にせず頑張ってくれよ。親父の漫画俺も楽しみにしてんだから」

 

「おう! 元気出たぜ。本当に悪いな。終わったら猛ダッシュで帰ってくっからよ」

 

「パパ、気をつけてよ。テンション上がると周りが見えなくなるから」

 

「本当だよ。デリカシーないし、いびきうるさいし、足臭いし」

 

「うお辛辣だな。ちっとはリトを見習えよ」

 

 最後まで騒がしく親父は仕事に向かって行った。病院ではどうかと思うが、個室だし、俺を元気付けるためだったんだろう。感謝しかない。看護師さんに怒られたら庇えないが。

 

「じゃあ、一応大事をとって寝ましょうか。リト眠れそう?」

 

「うん。食ったら眠くなって来た」

 

「わ、私もリトと一緒に寝る」

 

「はいはい。じゃあ、ちょっとお医者さんと話して来るから、待っててね」

 

 母さんはそう言うと病室を出て行った。隣を見ると早速美柑がベッドに潜り込んでいた。俺と目が合うと「えへへ〜」と笑いかけてくる。うちの妹が可愛すぎます。神様ありがとう。

 

 あの後医者が来て色々話したが、熱で倒れた原因は不明だったそうだ。精密検査をしても異常は見られなかったらしい。疲労からのものだったと言う結論で落ち着いた。親父達が罪悪感を感じている様で、俺は理由を知っているが、本当のことを話しても今度は違う病院に連れていかれる可能性もあるので言えなかった。うちの両親なら信じてくれるかもしれないがこれ以上心配をかけたくなかった。家族会議の末両親とももっと頻繁にうちに帰って来ることになった。申し訳なく感じたが「親に遠慮すんな」と言われ何も言えなくなった。美柑もそのことはかなり喜んでいる様で、しっかりしていてもやはりさみしい思いをさせてしまっていたのだろう。俺もこれまで以上に甘えさせることにしよう。

 




書いてるうちは楽しいんですが、読み返すとやっぱり他の人たちのようにはいかないなと思ってしまう。
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