自由気ままに好き勝手にやっています。原作と違うからって怒らないでください。
それでもいいという方は第十話をお楽しみください。
私が花の化け物に向けた手のひらから、まばゆい光が出たとか、レーザーが出たとか、そういったことも起こらず、ほんの数秒間だけ時間が流れる。
「…っ!?」
妹紅が不発だったのかと体をこわばらせるのを私は触れている左手から感じた。周りの奴よりは知能があるらしいオオカミ型の花の化け物はレーザーみたいなのが来ると思っていたらしく、走ってきていたのを止めて横に飛びのこうとするがなにも飛んできていないことに気が付き、こちらに再度突進してくる。
「魔理沙!一度逃げるぞ!魔法の構築に失敗したんだろう!?」
妹紅がそういうのも仕方のないことだ。初めのうちは花の化け物には何の変化も現れず、外骨格のように体を覆っている焦げた蔓と茎を剥がし、一回り小さくなった化け物が私たちを押しつぶそうと腕を上げたころに、ようやく魔法の効果が表れたのだから。
「…へ…?」
奴は体に違和感があるのを感じたらしく動きを止めると、外骨格を剥がして無傷となっていた花の化け物の体から蒸気が上がり始めた。
花の化け物の体の中にある水分が蒸発して気泡が生産されまくってるのか、体内に存在する物の体積が増えたことでかかる圧力が高くなり、花の化け物は体の各部分を破裂させていく。
私が手のひらを向けて発動している魔法の威力を上げるために魔力を注ぐと、さらに花の化け物の温度が上がっていき、化け物は内から体を熱で焼かれ、温度が何百度も上昇したことにより体のあちこちで自然発火が起こり、体の内から炎に焼かれていく。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?」
断末魔のように化け物が叫んで私たちに攻撃を加えようとするが、全身のあらゆる場所が内部から焼かれていることで体を満足に動かすこともできずにすぐに動きを止め、地面に数トンはありそうな巨体を投げ出してバラバラになって完全に沈黙する。
「……お前、いったい何をしたんだ…?」
何が起こったかわからない妹紅が私が肩を離したことで立ち上がり、こちらに手を差し出して説明を求めてくる。
「…まあ、あれだ」
私が周りを見ると、オオカミ型の花の化け物という司令塔を失った花の化け物たちは目標を失い。あてもなくさまよい始めている。
それを見てある程度は時間があることが分かった私は、妹紅の手を借りて立ち上がり、お尻付近についている土を払い、近くにいる花の化け物に向けてレーザーを放つ。
「……いわゆるマイクロ波ってやつだ…知ってるか?」
「マイクロ波?……それってあれだよな?電子レンジとかいう機械に使われてるやつだよな?」
まだ化け物を半分も倒していない状況にため息を漏らしている妹紅をよそに、星形の弾幕を撃って近くにいる花の化け物たちを撃ち抜くが、バラバラにしても生きている個体がいるため、入念に撃ち抜く。
「ああ、…マイクロ波っていうのは電波の一種であるわけだが…電波は突き詰めれば赤外線……赤外線は光の一種なわけだ。そこまで繋がっているならば光の魔法をちょちょいと魔力で弄ってマイクロ波を作り出したわけだが、始めてやることで過程も多かったから少し時間がかかっちまったんだよな」
「もう、なんか魔法というより化学じゃあねぇか」
妹紅が説明をした私に言うと、地面を揺るがすさっきよりも大きい爆音がし、さっきよりもだいぶ村に近い位置で大きな爆発が起き、土煙や土などが水柱に近い形で吹き上げられている。
霊夢と幽香はどういう戦い方をしているんだ。普通に戦っているのならばああはならないだろう。
「博麗の巫女だから大丈夫だとは思うが……本当に霊夢は大丈夫なのか?…魔力を使えるとはいえ、人間の常識に当てはまらないような戦い方をして、無事でいられるとは思えないが……」
妹紅がクレーターができて、凹んだ分の土や石が火山の噴火のようにこちらにまで吹っ飛ばされてきているのを見て、あきれたように言った。
「大丈夫さ……。あいつは博麗霊夢だ…誰にも負けないぜ」
「随分とあの巫女を信頼してるんだな」
妹紅は少し疲弊してきているのか、若干だが汗を流していて掌を団扇の様に振って少しでも涼しくなろうとしている。
「まあ、そうだな……一緒にいた時間もかなり長いからな…あいつの強さはよく知ってるぜ」
「なるほどな……それにしても、風見幽香か……最強クラスの妖怪がなんでこんな異変を起こしたんだかな」
幽香が花を操って霊夢に向かわせているのが遠くからでも確認でき、それを眺めて妹紅は静かにつぶやく。
「さあな、でも…何かしら目的があることには変わらんだろ…あいつがこの場所を襲ったってことは何かしら目的があったはずだ。気を付けた方がいいぜ」
私が妹紅に言うとわかってるさ、と言って面倒くさそうに頭をかき、瀕死ではあるがまだ生きている花の化け物を炎で燃やした。
「…さてと、私は霊夢を援護しに行きたいんだが……妹紅に村を任せても大丈夫か?」
「ああ…こっちは任せろ…殲滅しながら移動して、生存者がいないか探しつつ慧音と合流する」
私は魔力で自分の体を浮き上がらせ、霊夢と幽香がいる場所に向けて移動を開始し、妹紅も私から目を離して炎を操って花の化け物たちを移動しながら焼き始める。
幽香と霊夢がいる高さまで高度を上げてレーザーを数発、何百メートルも離れている幽香が霊夢に向かわせようとしていた花を撃ち落とす。
幽香と霊夢が私の存在に気が付き、霊夢は私の射撃の邪魔にならないような立ち回りになり、幽香は背中を撃たれない様に私がいる方向に花をいくつか配置する。
レーザーの貫通力を少しだけ高め、霊夢の動きに合わせて幽香の背中めがけてレーザーをぶっ放す。幽香は配置した花を蒸発させて、まっすぐ自分に突き進んでいるレーザーを察知し、閉じていた傘を広げて私のいる方向に向け、攻撃を受け流した。
レーザーに当たった部分が高温で熱されて赤く変色し、蒸気のような陽炎が傘の表面で揺らめいているのが薄っすらと見える。
幽香が開いていた傘を閉じて、自分に近寄っていた霊夢に向かってバットのように殴りかかると同時に、幽香の体がぶれて二重に見えたと思うと、幽体離脱のように分裂してもう一人の幽香が現れ、私に向かって手のひらを向けた。
「っ!?」
小さくて見づらいが、幽香の手の方向と角度から射線を予測し、目線で体のどこを狙っているか。あとは幽香の呼吸でタイミングを計る。
分裂していることで一人一人の力が少しは弱まっているはず、であるため、ずっと私の相手をしているわけにはいかず、これから五秒以内に撃ってくるはずだ。
私は自分のいる場所の前方方向に、幽香の攻撃を弱めるためのガラスのようにも鏡のようにも見える防御結界をいくつも作り出す。
避けれないわけではないが、かわせなかった時のための保険だ。
これは飛んできた弾幕の威力を、魔力を分散させることで弱める魔方陣だ。これを数枚ともなればいくら幽香の弾幕といえども死ぬほどの威力で飛んでくることはないはずだ。
霊夢と幽香の場所まで残り百メートルを切ったとき、幽香の微妙に見える掌の辺りがキラリと光る。
ゾクッ……。
私は背中に冷たい氷塊を入れられた時のような、そんな悪寒を味わい。ビクッと体を震わせてしまう。
「っ!!」
前かがみになって全速力で進んでいた私は、手を下に向けて掌から魔力を放出させて体をその推進力を使って上昇させた。
手のひらからロケットのように放出させた魔力の衝撃で肩が外れそうになるのと、上半身に下半身が引っ張られてものすごく痛いが、なんとか幽香の撃ったレーザーの射線から逃れることができる。
私のすぐ下を真っ白に光る幽香のレーザーが高速で進んでいき、斜め上から下に向けて撃っていたため、地面に当たると土を蒸発させてその下にある岩石までも簡単に融解し、二十メートルは簡単に超えている溶岩のプールを作り出す。
私が作り出していた魔力を分散させる魔方陣が機能していないのかと思ったが、きちんと機能していて魔力を分散させているが、幽香が放っているレーザーの魔力が多すぎるのと濃度が高く、分散させてあの威力だったらしい。
私は真夏だというのに、怖い話を聞いた時のように汗がすっと引いていた。あの強力なレーザーを食らえばただでは済まないのは明らかであり、それどころか肉体の欠片すら残るのかわからない威力だったからだ。
着弾地点を眺めていたが魔力を調節して体勢を整え、私にレーザーを撃つために二人となっていた幽香を睨む。
幽香は二人から一人に戻り、私への攻撃を外したこと自体はどうとも思っていないのか私を無視して霊夢に突撃していく。
幽香は下の方向から傘を振り上げ、霊夢はお祓い棒を振り下ろし、二人は武器同士を衝突させる。
二人のうち合わさった武器を中心に空気の爆発が起こり、二人の周りの空間がわずかにゆがむ。しかし、二人は一歩も引かずに二度三度と得物を振り続けた。
見た感じは二人とも互角で釣り合っているようには見えるが、怪我をしている分だけ霊夢の動きが痛みで阻害され、幽香に後れを取り始めている。
私は自分の射程圏内に幽香が入ったことを確認し、霊夢の遅れを補うために援護を開始した。
三日後から一週間後に投稿します。忙しくなければ早くなるかもしれないです。
高度な心理戦とか、頭が痛くなるのでできないのです。