東方繋華傷   作:albtraum

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自由気ままに好き勝手にやっています。

それでもいいという方は第十二話をお楽しみください。


東方繋華傷 第十二話 一度目の戦い。

「あぐっぁ……!?」

 私が蹴り飛ばされた先には、簡単には立ち上がることができないぐらいにはダメージを追った霊夢がようやく立ち上がろうとしているのがちらりと見える。

「ぐっ…!」

 霊夢の名を呼び、注意を促そうとしたが蹴られた痛みにうめき声しか出すことができず、私は霊夢に激突した。

「きゃぁ!?」

 高い場所から落とされたボールのように重力にひかれて落ちた私は、霊夢の背中を突き飛ばし、地面に転がり込んだ。

「…う………ぐぅ……ぅ…っ…!……すま……な…い……霊…夢……!」

 私は上向けに倒れたまま激痛でひきつっている腹を押さえたままうずくまり、とぎれとぎれに霊夢に言った。

「…私のことを気にしてる場合じゃあないでしょう!…あんたの方が重症そうじゃない…!」

 傘で殴られた方を押さえてこちらに歩み寄ってきた霊夢が、倒れている私の首筋に手を通して抱え込むのと同じく、私を抱き起す。

「……。うぇ……!?」

 胃がぐにゃりと動く感覚がし、私は霊夢の手から離れて胃から上がってきた液体を地面に吐き出した。

 喉の奥、食道を伝ってやってきた液体は鉄臭くて血の味がし、口でせき止めることもできずに真っ赤な血が地面に広がってしまう。

「魔理沙!?」

 霊夢が悲鳴に似た高い声で叫び、離れた私に駆け寄ってこようとするが私は来るなと手を上げると霊夢が幽香が来るのを感づいたらしく、ゆっくりと上から降りてくる幽香と対峙する。

「…魔法使いって、意外と頑丈な体の構造しているのかしら?…それとも私が攻撃する前に、運よく魔力強化で最大まで身体の防御力を上げることができただけかしら?」

 霊夢を跨いで悶絶する一歩手前まで来ていて、気絶しそうになっている私に幽香はそう言って話しかけてきた。

「……たぶんな…とっさのことであんまり覚えてないけど…仮にそうじゃなかったとしたら、今頃私はバラバラになってそこら中に散らばってるはずだからな……!」

 服の袖で血をぬぐい取っていた私は、蹴られた腹を庇いながらゆっくりと前に進み、霊夢の横で立ち止まって幽香に返答する。

「まあ、そうよね」

 聞いた幽香自身があまり興味もないのか、どうでもよさそうな顔をして私たちを見下ろしている。

「…興味がないなら…聞くんじゃあないぜ…」

 私は地面の表面にある乾いた土が、かいた汗で右腕の皮膚にこびりついているのが視界の端に見え、左手で払い落として言った。

「あら、気分を害したのなら謝るわ」

 謝る気のなさそうな幽香が開いてクルクルと回していた傘を閉じ、片手で剣を構えるように持ち直す。

「ふん……よく言うぜ」

 私は小さな声で吐き捨て、ヨロヨロと横にいる霊夢に幽香を警戒したまま少しだけ近づいた。

「…やるわよ…魔理沙」

 霊夢は真剣な顔つきで私の方向を見ずにそう告げる。私はその闘志に燃える霊夢の綺麗な顔に見とれそうになって1テンポ遅れてしまうが、強くうなづく。

 私がうなづいてからきっちり一秒後に霊夢は前に大きく進み、私は後方に大きく下がりながら、片手では数えきれない量の光の玉を魔力で作り出す。

 私が設定して置いた時間通りに幽香に向けて一斉に発射し、魔法で凝縮させた光の粒子をこの辺りに散布して置いた私の魔力で軌道を湾曲させ、レーザーをカーブさせて幽香だけを器用に撃ち抜く。

 幽香は閉じた傘を開いて向かってきたレーザーを弾き、レーザーから身を守るために突き出していた傘をぶん回してレーザーをかき消し、慣れた手つきで無駄のない動きで傘を閉じ、突っ込んでくる霊夢のぎりぎり手前まで踏み込んで、傘というよりも凶器となっている得物を振り下ろす。

 空間をゆがませるような空気を切り裂く音を響かせて振り下ろされた傘と、振り上げられたお祓い棒は打ち合わさったが鍔迫り合いにはならず、あの剛腕を持つ幽香を押し返して比較的に霊夢が優勢になる形で本格的な戦闘が始まった。

 霊夢がへこたれそうだったり、さっき負ったダメージで腕を振る速度や立ち回りが遅い場合に、私は霊夢を援護するために二人の側面側からレーザーを放つ。

 その数秒間から一秒以下の生まれた隙を使って息をわずかに整えた霊夢が数度に渡って幽香にお祓い棒を何度も食らわせるが、無呼吸運動をずっと続けているようなもので、霊夢の顔色が少しだけ青白く見えた。

 このまま戦えば嫌気的な運動によって筋肉に乳酸が溜まり、徐々に出せる筋力の最大値が低下して、立ち回るための動きや攻撃力へ大きく影響を及ぼし始めるのは目に見えている。

「……」

 そのうち霊夢が幽香の動きや攻撃力に太刀打ちできなくなる時間帯がやってくるだろう。そうなれば私たちに勝ち目はなくなり、ここでやられてしまう。

 少しでも負傷した霊夢が回復するためには私が動くしかない。

 私は霊夢の援護をするために全速力で二人に走り寄り、幽香が放ったレーザーを避けるわずかな時間を利用して霊夢を突き飛ばし、幽香との交戦域から離れさせた。

「なっ…!?」

 突き飛ばされた霊夢は目を白黒させた驚き、幽香と対峙している私の方向に戻ってきそうになるが、

「休んでろ!」

 私が言うと霊夢は自分の置かれている状況を再確認し、反論をせずに深呼吸をして一秒でも早く息を整えるのに専念する。

「魔理沙、あんたごときが私を止めることができると思っているのかしら?」

 尻込みして逃げ出したくなるような殺気を纏わせた幽香が私に向かって歩き始め、地面を靴が踏みしめる小さな音が聞こえるぐらいにまで近寄ってきた。

「…………ああ…!」

 私が幽香の頭部や胸部など、当たれば致命傷に近いダメージを負わせることのできる部位に向けてレーザーをショットガンの散弾ように放つが、彼女は器用にすべての弾幕を叩き落としてしまう。

「ただの魔法使いが私に接近戦で武器を振って殺しあう距離で戦いを挑んでくるなんてね、どうなるか見ものね」

 そう呟いた幽香にレーザーを浴びせかけると、それを切り裂くように幽香が蹴りを放ってきた。

「うっ…!?」

 レーザーのエネルギーでこちらに来る力が抑制され、速度の遅くなった蹴りを後方に下がることでかわし、十数メートルの距離を取った。

「さあ、どこからでもかかってきなさい」

 幽香はレーザーで焼けただれた足の皮膚を魔力で完璧に回復させながら、傘を握りしめて言い放った。

 




たぶん三日後か五日後に次を投稿します。
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