それでもいいという方は第十三話をお楽しみください。
今回は魔理沙が霊夢の代わりに戦って時間を稼ぐところからです。
どこからでもかかってこい。そう呟く幽香にレーザーを何百にも分割し、貫通力が普通の弾幕の数分の一にしかならない多量の弾丸を幽香に浴びせかけるが、手数を増やした分だけ精度ががくんと下がりって全体の二割か三割程度の弾丸しか幽香に向かっていない。
しかし、その二割か三割の弾幕も横方向に走る幽香の前方や後方に飛んでいき、まともに飛んでいくのはそのまた二割といったところだ。
「動くなよ…!動くと当たらんだろうが…!」
私は言いながら光る球体をいくつか作り出し、走る幽香に向けて大量にばらまいていた魔力の弾丸を撃ち止め、レーザーを発射する。
幽香は初めの一発を前転をするようにして体を射線からずらしてかわし、二発目と三発目を開いた傘でガードし、四発目と五発目を地面に強く踏み込む力を利用して足元の地面を陥没させ、それの影響で持ち上がった地面を盾にすることでかわした。
「っち…!」
私は舌打ちをして少し下がりながら、特に目立ったアイテムが入っているわけではない鞄をチラリと見下ろすと、いつも肌身離さずに持っているマジックアイテム。それがカバンの中にきちんと入っているのを確認する。
光の加減で金属特有の光沢の光が反射して私の目に映る。そのアイテムの名はミニ八卦炉。香林に作ってもらったアイテムだ。
だいぶ前に、ミニ八卦炉に使われていた金属がさびてしまって魔力の伝導率が大幅に悪くなってしまったことがあったが、ミニ八卦炉を作った張本人である香林に修理を頼み、ヒヒイロカネで加工し直して貰い。世界に一つしかない特注品として作ってもらったミニ八卦炉。
これには大量の金属などが使われており、その性質を強く受け継いでいるらしく、金属と同じように熱などの性質を持つ魔法を通しやすく、現在私が闘っている幽香が時々撃つ超極太のレーザーに似せた弾幕。熱と光が凝集されたマスタースパークを撃つのに、ほかの物質に魔力を通して撃つよりも比較的効率がいい。
だが、それを撃つのには全快時に私が持っている魔力をごっそりと持っていき、後の戦闘に支障が出るレベルで魔力を使うため、そう簡単にバカスカ撃つことはできない。使える状況と言ったら、背水の陣の状況に陥った際の最後の切り札といったところだろう。
私はチラリと見下ろしていたミニ八卦炉から目を離し、手に凝縮させていたレーザーを薙ぎ払うように放つ。
走っていたことで幽香は少し傘を開くのが遅れたらしいが、服の袖の部分を少し焦がす程度しかダメージを与えることができなかった。
私を中心にしてコンパスで円を描くようにして走っている幽香の一歩先に狙いをつけ、高出力のレーザーをぶっ放す。
幽香は私がレーザーを撃つタイミングを計っていたのか、地面にひびが入るほどの力で踏み込むことで体を急停止させ、レーザーが目の前を過ぎていくのを見下ろし、地面が爆発で爆ぜたのかと錯覚するほどの力で私に向けて方向転換して走り出した。
「っ…!?」
あれだけバカみたいにレーザーを撃ち続けたのだ。手の中で凝集された光の強さがどれぐらいでレーザーが放たれ、どれだけの速度で進んでくるのか、タイミングを計れないはずがないだろう。
少しでも時間を稼ぐために続けてレーザーを撃とうとするが、地面から伸びてきた幽香の花を操る程度の能力で操られた花が私の腕に巻き付き、引っ張られてしまったことで幽香から狙いが外れて地面や周りのヒマワリなどを少しだけ焼き焦がす。
魔力で体を強化して地面から成長している花を引きちぎって拘束から逃れようとするが、さらに数本の花が腕や足に巻き付き、花にかかる力を分散させて引きちぎられない様にされてしまう。
「くっ…!!」
さらに体に巻き付いている花は万力に匹敵する力で腕を絞めてきていることで、皮膚が圧迫されて赤や青色に変色しているのが見える。
魔力で最大まで体を強化し、蔓を引きちぎろうと引っ張るが普段から接近戦などしない私の体は魔力強化の効率や質は霊夢や幽香と比べるとかなり悪く。ピンと伸びた蔓は千切れる気配を見せない。
蔓自体の繊維が複雑に絡まって信じられない強度になっているというのも、引きちぎれない一つの理由ではある。それに、花は地面に生えているため根っこごと地面から引き抜いてやろうとしたが、花がまるで何百キロもある物体に巻き付いているようにピクリとも動かず、感覚的にはこの辺一帯の地面をそのまま持ち上げようとしている感覚、それに近いだろう。
助走をつけた幽香が地面を這うように跳躍、蔓をちぎることもできないでいた私の目の前にさらに加速して現れ、腹に全体重をかけて蹴りをかまされた。
ベキベキベキ!!
骨が砕けた音なのか、内臓が潰れた音なのか、筋肉かもしくは皮下組織や脂肪などが引き裂かれた音なのかが判別できない異音が体内と空気中から伝わってきた。
「~~~~~~~~~~っ……!!!??」
くの字に曲がる私の腹に幽香の足が抉りこみ、その鈍痛に自然と悲鳴が上がりそうになるが、喉からは悲鳴どころか声すら出ない。
普通の人間であれば、はじけ飛ぶか胴体に大穴が開いて後方にぶっ飛んでいたところだろう。
魔力を扱えたとしても幽香の蹴りを正面から受けて無傷でいられる奴はこの幻想郷には存在しない。それは私にも言えたことで、魔力強化の質が悪い私であれば死は免れないはずだったが、過剰と言える魔力を攻撃ではなく防御に回し、致命傷で重体に至る怪我を負わずに済んだのだ。
だが、蹴られた衝撃はすさまじく、後方に吹き飛ばされるかと思ったが、かなりの強度を持つ花が私の手足を固定していたことで後ろの飛ばされることはなかったが、私を縛っている花の茎が千切れそうなブチブチという音を発し、幽香の蹴りの威力を目の当たりにした。
死ぬほど痛い幽香の蹴りは、一撃で私を戦闘続行が不可能な状態へと陥らせ、自然と膝から力が抜けてなすすべもなく地面に崩れ落ちた。
一週間後から五日後に投稿します。