東方繋華傷   作:albtraum

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自由気ままに好き勝手にやっております!!

それでもええで!
と言う方のみ第百七十七話をお楽しみください!



東方繋華傷 第百七十七話 塋域

 昔、何年も前に私が使えている主に言われた。逸らすことなくまっすぐに、よどみのない瞳で、聞き間違えるはずのない透き通った声で。

「私を殺して欲しい」

 耳を疑った。あんなに楽しそうに過ごしていた彼女が、それとは正反対の事を言うとは思っていなかったため、初めは彼女が言っている事を理解できなかった。

 聞いた直後は何か冗談を言っているのかと思い、手を止めていた植物の手入れに戻ろうとするが、彼女の漂わせる雰囲気や瞳が冗談を言っていない事に気が付いた。

 死にたいと言う彼女に、そんなことを部下に頼む上司があるか。そう叱咤するが、薄い青色の着物を風ではためかせる幽々子様は、真剣にそれを望んでいる。

 冗談でもそんなことを言ってほしくはなかったが、冗談ならそろそろ笑って誤魔化してくると思ったが、そこから数秒経っても真剣その物の表情を崩さない。

「本気ですか?」

 自分でも嫌になるしゃがれた声で聞き返すと、幽々子様は思考の淀みも躊躇もなく二つ返事で返してきた。

「ええ」

 彼女は幽霊であるため、自殺という概念がない。だから、切れば霊を天に召す白楼剣に頼ったのだろう。誰かもわからない他人を斬るのとは訳が違う。実の家族よりも長い時間共に過ごしてきた、今やもう家族と変わらない存在だ。

 このクソほどに憂鬱で、殺す殺されの深淵たる世界に嫌気がさしたのだろうか。終わることのない最低の戦いを見ていられなくなったのだろうか。

「なぜですか?」

「理由は特にないわ。そう言われると、なぜかしら」

 決意の硬い意志とは裏腹に淀んでいる瞳を私に向け、首を傾げた。世界の狂気に当てられてしまったのだろうか。医者の存在しない、したとしても協力を絶対にしない状況でこれは弱みとなってしまう。

 だからと言って、このまま隠し通すことなどできる訳がない。私が切り殺さないと分かった時に、どう行動を起こすか予想がつかない。

「検討します…」

「具体的にいつかしら?」

「……。2日か3日ほど時間を下さい」

 そう呟くので精一杯だった。彼女自身はあまり納得が行っていないようだったが、了承して屋敷の方へと戻っていく。彼女が館に入っていくのを見送ってから、庭の手入れを中断して走り出した。手入れに使っていた器具を片付けず、その場に放り出す。

 霧雨魔理沙の件が発覚してから関係性が悪くなっているが、私ではどう頭を捻ってもわからないため、知恵を借りるとしたら紫さんしかいない。

 

「紫さんは、いますか?」

 こじんまりとした小さな屋敷。その玄関に出てきた式神に、所在を尋ねた。彼女も紫さんから話は聞き、関係が良くないことは知っているのだろう。前は笑顔で通してくれたが、自分の主人を殺しにきたのかと勘繰っているようだ。

「要件は私が伝えましょう」

 眼光が鋭くなり、私を紫さんに合わせるべきではないと踏んだらしく、キッパリと言い放つ。ちょっとやそっとでは、この答えを覆す事はできなさそうだ。

 腰の辺りから生える9本の尾。狐と同じ形をした耳が頭部から生えている。九尾の狐を媒体に憑けられた式神であるため、九尾の狐と変わらない戦闘能力をもつ。実力行使をしたとしても、紫さんもいるため私に勝ち目はない。敵意がないことを伝える事にした。

「命を狙いにきたのではないです。直接話したいことがあり、来ただけです。信用できないなら、刀を預けてもいいですよ?」

 腰に刺している観楼剣と白楼剣を鞘ごと引き抜き、藍さんに手渡そうとすると、玄関の奥にある茶の間の方から紫さんの特徴的な口調の声が聞こえてきた。

「大丈夫よぉ。そのまま通してくれるかしらぁ?」

 主人の決定だとしても、命を狙う可能性のある人物を通したくはないのだろう。渋っていたが、紫さんに早くと促されて渋々玄関を通してくれた。

 しかし、警戒はしたままであるため、私の背中にピッタリとくっつき、何かがあればすぐさま捻り殺すことができるように陣取っている。後ろに立たれるのは精神的に好ましくはないが、戦闘をしに来ているわけではないので黙って目を瞑る事にした。

「お邪魔します」

 靴を脱ぎ、廊下へ上がる。廊下は正面に伸びており、茶の間はその奥にある。木の床を歩いて部屋へ向った。襖は開いており、ドアを潜ると部屋の中央には背の低い机が置かれており、机を挟んで反対側に紫さんは座ってお茶を飲んでいる。

 紫さんの座っている場所から丁度対面となる位置の床には座布団が置かれ、机にはお茶と小皿に切り分けられた羊羹が置かれている。藍さんが座っていたのかと思ったが、主人を差し置いて式神だけがお菓子を食べるわけがない。一応話は聞いてくれるらしい。

「よく来たわねぇ」

「少し、話がありまして」

 後ろの式神の雰囲気が少し変わる。敵意が露骨になるが、魔理沙の件でないことは紫さんはわかっているようだ。特に表情も雰囲気も変えず、急須を傾けて湯呑椀にお茶を注いでいる。

 湯気の立つ湯呑に手は付けず、急須からこちらへ視線を移した。全てを見透かしているようにも、それが嘘で胡散臭さの漂う彼女の瞳と視線が交差し、私が話しを始めるのを待っている。

「幽々子様の事なのですが…ちょっと様子がおかしいんです」

「食べ過ぎで腹でも壊したのかしらぁ?」

 茶化すような事を紫さんは言うが、目や口元は笑っていない。次にどう切り出すのか耳を傾ける。私の考える理由等は抜きにして、先に結論だけを述べた。

「急に、殺してくれと私に頼んで来たんです」

 湯吞みを握ろうとしていた紫さんの手が止まる。狼狽える様子は見えないが、私が嘘を言っていないかを、その観察眼で見定めようとしている。偽りはないため、どっしりと構える。

「何時の事かしらぁ?」

「ついさっきです」

 紫さんが考え込むようなしぐさを見せ、沈黙が少しだけ間を支配する。止まっていた手を動かし、湯吞みを掴んで口元へと運んでいく。湯気が立つ熱湯を口に含み、食道を通して飲み込んだ。

「ふぅ……」

 一息ついてから、湯吞みに注がれているお茶をもう一口だけ飲むと机に置き、揺らぐ水面を見ていたが、こちらに顔を向けた。結論が出たようだ。

「春雪異変を覚えているかしらぁ」

「はい」

 忘れもしない。幽々子様が白玉楼にある西行妖を満開にしようとしたことで始まった異変だ。現世に春が訪れない事で発覚し、博麗の巫女達に解決された。

「おそらくだけどぉ…それが少し関わってると思うわぁ」

「あの異変が?…誰かが封印されてるからと言っていましたが、それと幽々子様がどう関係してるのですか?」

 今回の騒動で、幽々子様の精神が耐えられなかったのかと最初は思っていたが、死へ誘う能力を持つため、その辺には慣れている事で考えにくかった。そこで全くの違う方面から意見がかけられたため、すぐに思考が至らない。

「その誰かを考えたことはあるかしらぁ?」

「いえ、考えたこともなかったです」

 調べようにも外の世界の事を調べる術は私には無く、桜を切り開いて見てみようにも、封印は強固で刃を入れることすら叶わなかった。

「幽々子本人…そう言ったら驚くかしらぁ」

「へ…?幽々子様が?……」

 訳が分からない事を語り出したため、素っ頓狂な声で聞き返してしまった。部屋に通しはしたが私の話など聞くつもりがなく、からかって遊んでいるのか。お茶を飲む紫さんを睨むが、話の続きがあるのか再度話を始める。

「幽々子が幽霊になった理由を知ってるかしらぁ?」

「知らないです。以前に聞きましたが、生前の記憶は無いとおっしゃっていたので」

 私が知らないことは、想定内だったらしく、紫さんはゆっくりとかいつまんであの桜の木が咲かない訳を教えてくれた。

 大量の死を含み、紫さんでさえも手を出すことができなくなってしまっていた西行妖を、幽々子様の命を持って封印した。人を死に誘うようになった西行妖と人を死へ誘う能力を持っている幽々子様。親和性があったからできたことだと紫さんは言った。

 ここまでは前座であり、本題はここからだ。封印されたことで、命を糧に花を咲かせる西行妖が満開になることが無くなった。そのまま封印され続けてくれれば問題はなかったが、春雪異変にて、私たちが西行妖を僅かに起こしてしまったことが原因だと紫さんは言う。

「春を集めたことで…西行妖の封印が緩んだんだと思うわぁ。今の幽々子と昔の幽々子は性格が全く違かったけど…話を聞く限り今は昔に近そうねぇ」

 完璧に封印が解けたわけではないが、緩んだせいで封印されている生身の幽々子様と幽霊の幽々子様が共鳴し、思考が同調して生前に寄っている。そう紫さんは予想している。

「それでは、また封印すれば幽々子様は戻るでしょうか?」

「そんなことできるかしらぁ?生前の幽々子がもう一人いるならできるかもしれないけれど…ただの人間をいくら貢いだどころで前みたいな強固な封印を施すのは無理があると思うけれどねぇ」

 紫さんは、そう呟くと湯気の立つ湯呑を一口啜る。ふう。っと吐息を漏らすと、黙ってしまっている私に語りかける。

「どうするのかはあなた次第ねぇ。…あの子に前みたいに居て貰いたいのか…それとも望みの通りにしてあげるのかぁ」

「わかりません…でも、自分で主を切るのは…」

 白楼剣の柄に手を伸ばしながら、呟いた。村人の殆どが死んだ今回の異変、それだけの事をしでかして置きながら、今更一人の霊すら切れないとは情けない。

「その段階だと切っても意味ないわよぉ」

 スキマから自分の分の羊羹を取り出すと、添えられている菓子楊枝で一口大に切ると、刺して口へ運んでいく。

「…?意味がないとはどういうことですか?」

 私が聞き返すころには含んだ羊羹を咀嚼し終え、飲み込んだ。再度お茶を一口啜り、一呼吸間を開けて話し出す。

「死ぬ前よりも死んだ後の方が、幽々子としての期間が長いはずよねぇ。なのに生前の意思がそれを凌駕しているとしたら…幽々子としての核はもう木の下に埋まっている死体の方かもしれないからねぇ」

 霊としての幽々子様の存在があるのは、生前の彼女が不可欠である。もし紫さんの話が正しければ、今の幽々子様は西行妖の下にある死体から来る生霊に近い存在となる訳だ。

「……。ありがとうございました」

「よく考える事ねぇ」

 せっかく出してもらったお茶や羊羹をいただくのも忘れ、私は席を立っていた。後ろに立っていた藍さんの横を通り過ぎ、玄関へと向かう。

 靴を履き、扉を開いて外へ出た。お邪魔しました。その言葉を言うことを忘れる程に、幽々子様の事が頭の中で巡っている。

 私自身の意見を押し通すなら、幽々子様には白玉楼で元気にしてもらいたい。しかし、紫さんの言う通り幽々子様の意思を捻じ曲げる程に、封印される死体の意思が強い。本体がそちらと言っても過言ではなく、本当の幽々子様の思いを差し置いて自分の私欲を優先するなど、いかがなものだろうか。

 

 そこまで話し込んでいたわけではないが、紫さんの屋敷に付いた時間が遅かった事で日はすっかり落ち込み、辺りはすっかり暗くなっていた。

 白玉楼へと帰る足取りは非常に重く、脚を悪くした病人と変わらない位に遅い。どうするか悩みに悩む。どうするかなど、すぐに結論を出せる問題ではなく、頭を抱える。

 気が付くと白玉楼へ続く長い、長すぎる階段を上り終えていた。どれだけの時間をかけて登っていたのかはわからないが、かなり遅くなってしまっただろう。

 時計を持っていないため、時間が全く分からない。早く戻ろうと石畳を歩き始めるが、歩く足取りはやはり重く、屋敷に付くまでにまた時間がかかりそうだ。

「あら、妖夢。遅かったわね」

 まだ何も決めておらず、頭を悩ませる原因となった主に声をかけられた。迎えに来たというよりも、散歩をしていてたまたまその先に私が居ただけだろう。

「す、すみません。」

「大丈夫よ。それより、ご飯を作ってくれないかしら?ずっと待ってたから、お腹すいちゃったわ」

 特に怒っている様子はなさそうだ。月明かりでもわかる昼間と同じ目をした幽々子様は、屋敷の方面へ向き直ると満月を見上げながら歩き出した。

「♪~」

「幽々子様」

 口笛を吹き、こちらの気など全く留めない様子の幽々子様を呼び止め、私は質問を投げかけた。

「?…何かしら」

「……幽々子様は、本当に死にたいのですか?」

 何の捻りもない質問をすると、幽々子様はこちらへ向き直る。扇子でパタパタと自分を扇ぐ彼女は、葛藤など無い様子で肯定を示す。

「ええ」

「なぜですか?あなたほどの力を持つ人が、なぜ死にたいと思うのですか?」

 西行妖の封印は結果的に封印されただけで、意図して行われたものではない。死を操る幽々子様に、西行妖の死へ誘う効果は殆どないはず。なのに、桜の木の下で死んだ理由を私は知らない。

「力を持っているから、能力を持っていることがイコールで幸せじゃないわ。そう思ってる妖夢には、多分わからない。強さとか、弱さとかそういう事じゃないのよ。どう説明していいのかわからないけど……合理的か不合理かなんて関係ない。私にとって死こそ救済だったから」

「……っ」

 そこまで言われると、私には反論することができなくなってしまう。幽々子様は、どうしようもなく死へ渇望を抱いている。

「幽々子様は…死ぬことで救われるんですか?」

「ええ」

 何度聞いても彼女の決意は崩れない。親しんできた人物を切り殺すなど、絶対にごめん被る。けれど、奪うことが常となるこの世界で、殺すことがあなたを救うことにつながるのなら。

「わかり…ました………。私が…幽々子様を救います」

 何時になるともわからない約束。いつかは幽々子様を自らの手で殺さなければならない約束に、胸が苦しくなってくる。片手で数えられる程度だが、自分と同じ姿をした人物を殺してきた。それでも、身内を殺すのはまた別だ。

 私では彼女を変えられそうにない。私では、幽々子様を殺す以外での本当の意味で救えない。こんな形でしか助けることができない事実。その腹立たしさに、涙が溢れてしまう。

「ごめんなさい。妖夢」

 

 

 現実逃避か、走馬灯か。殺されかけている庭師には、どちらかを判断できるほどの思考能力を有していない。大妖精に肩を掴まれたことで、現実に引き戻された。

「神域『深淵喰殄絶』」

 瞬間移動する、あの意識が一瞬だけ途切れる感覚がしたと思うと、一人で見知らぬ空間にいた。呆気に取られているうちに最初に飛び込んできた情報は、ゴボッと水中を気泡がかき分けていくような音だった。

 音は様々な方向から聞こえ、音の正体を探ろうと見回すが、暗すぎる。暗すぎて何も見えない。目を塞がれているわけでも、目を潰されているわけでもない。

 自分の体は見えるのに、なぜか足元の地面すら見えない。目の前が壁なのか途方もなく何もない空間が広がっているのかすらも今の私には把握できない。

 何も見えないのが逆に怖い。今、大妖精が私の首元に爪を突き立てようとしていたとしても、当たるまではわからないのだから。

「っ……!」

 驚き、呆気に取られていたのも束の間。何をされるかわからない恐怖に支配された。握る刀が小刻みに震え、心臓がうるさいぐらいに拍動する。命の危機に緊張が高まり、額に浮かんだ汗が頬を伝う。

 どこからくる。何が来る。何をされる。こんな現象は初めてだ。自分が支配している世界に引き込むという、紫のスキマとやっている事は似ているのだろうが、その気配は全く異なる。

 雰囲気でいえば、あらゆる憎悪が蔓延する外の世界を煮詰めに煮詰め、凝縮したかのような濃密な空気の質感。広い外の世界では憎悪は分散し、希釈された空間しか体験したことの無い私には、未知の領域に踏み込んだ感覚だった。

 宣言されたスペルカードの名称から攻撃の形態をおおよそ掴むこともできず、いつ襲ってくるのかもわからない。一秒、二秒と時間が経っていくように感じるが、まだ一秒も経っていないかもしれないし、もう十秒は経っているかもしれない。緊張で時間の感覚が狂ってしまっている。

 未知の世界、未知の攻撃。先の見えない絶望に、恐怖に完全に屈していた。刀を構えるがその姿に覇気は無く、瞳に闘気は宿っていない。ただの抜け殻に等しい。

 絶対に私が幽々子様を苦しみから解放すると心に誓ったはずだった。例え、主に命じられたことによる誓いだったとしても、理を尽くそう。そう思っていたはずなのに恐怖の前には、絶望の前には、作られた体裁はあっけなく瓦解する。

「…っ……くそっ……!」

 むしろ、刀を構えたままでいるのでさえ奇跡だ。それほどまでに、自信やプライドと言う物を砕かれ、完全に戦意を喪失している。

 握っている刀を放り出して逃げ出したい衝動に駆れるが、この世界は大妖精が作り出したものであり、入れるも出すも彼女次第で逃げられない。どうあがいても八方塞がりだ。

 それに、どの方向に向かって立っているのかも分かっていない。地面とできる足場があるのか、それとも水平に浮かんでいるだけなのか。方向すらも割り出せていない中で軽率に動くのは避けなければならない。

 姿勢を維持できている事から普通に地面に立てているのか、それとも落下し続けているのかわからない。

 周りを見回し、何か認識できるものが無いか探そうとした時、後方から敵対していた大妖精の声が聞こえて来た。

「ようこそ、深淵へ」

「っ……!?」

 何も見えない世界が続いているはずなのに、大妖精の姿だけが視認できた。彼女の周りだけがぼんやりと光り、佇んでいるのが見えた。

 今まで姿が見えなかったことで、冷静さを何とか取り戻そうとしていたが、心臓を鷲掴みされでもしたのだろうか。拍動の速さが跳ね上がり、それに触発されて過呼吸気味に呼吸が早まる。

「まだ、この世界のすべてを見せたわけじゃないけど…深淵の入り口に立った気分はどうかしら?」

 そう尋ねてくる大妖精に対して私は何の返答も返せず、ただ黙ってしまう。喉に舌が張り付き、言葉を発せられない。進化の過程で手に入れた言語を話す機能を忘れてしまったのだろうか。

「この程度でそんなに震えてるなんて…よくもまあ、深淵を見たことがあるような事を言えたわね。人間が生み出せるのは欲望の入り混じる混沌まで、混沌は深淵の前日譚に過ぎない」

 この世界の主たる大妖精は、私が見てきた光景を否定する。こちらとて言われるだけではないく、否定し言い返したいが、反論の余地もなくそれが事実だ。

 これまでに体験してきたどの世界よりもどす黒く、怨嗟と憎悪が渦巻くここは、まさしく深淵をそのまま具現化しているようだった。

「そろそろわかったかしら?私が何の妖精であるか」

「………。深淵の妖精……」

 大妖精の質問に対し、私は時間をかけてゆっくりと答えを返した。その答えに対し、彼女は満足気に笑みを零す。

「そう、人間が抱く恐怖、厭悪、内にひそめる呪いから生まれた。…私が生まれたのは、幻想郷が生まれるよりももっと昔、気候変動や地形変動など自然の産物がまだ神の力で行われてると思われてた時代。空を、森を、海を、人は見えない物を恐れた。自然現象が一部科学的に解明されていたり、妖怪が普通にいる今では想像がつかないかもしれないけどね」

 そんなに昔からいたのか。なのに、なぜ正体がここまでわかっていないのかは、大妖精が発動したスペルカードの殺傷能力の高さを物語る。脱出し、逃げ切れる者が極端に少ないか、いないのだろう。

「深淵はどこにでもある。空、海、森、川の中や平地、家の中にも、あなたの後ろにだってある。私は普段、深淵から深淵へ移動してるだけ。」

 彼女が移動する前の空間に、黒色の粒子が残るのは、ここを経由するときの表れであるのだろう。その証拠に空間は限りなく暗黒でそこの見えない黒は、大妖精が残す黒煙と同じ色をしている。

「じゃあ、おしゃべりはこの辺までにして」

 大妖精が動き出す。逃げても出口など無いのに、私は大きく後方に後ずさった。元より逃がすことは無いだろうが、自分の能力をこれだけ開示したということは、逃げられない自信があり、逃がさない算段が付いているという事になる。

「本題に入りましょうか……」

 周囲の黒が濃さを増し、より深く潜り込んだ気がする。この世界に入り込んだ時のように、ゴボッと水中を気泡がかき分けていく音がする。若干の浮遊感を身体や内臓で受けたかと思うと、急に息苦しさが増す。

「墜下」

 水の中にいる感覚がしない事から、物理的に空気が入ってこないのではない。魔力が使えるただの生物が踏み入ってはいけない憎悪の掃き溜めの空気に、体が肺が吸い込むことを拒んでいるのだ。

「私も昔に比べて弱体化しちゃったなあ。前は一個師団位なら取り込めたけど…今じゃ手の届く範囲の人間しか引きずり込むことはできない。でも、魔力を扱えても動くことは難しいでしょ?」

 ここを海の底と形容するならば、水圧が高まっているとでもいうのだろうか。ぎっちりと万力で挟み込まれているように、指すら動かすことが困難だ。

 必死に動こうとしていると周囲に何かの気配がする。何もない空間が広がっていたが、地面から湧き出したかと思うと、重なり、おびただしい量の何かで埋め尽くされていく。

 周囲の漆黒とはまた違った色をしているが、深淵を満たす黒色の粒子に紛れて見えずらい。だが、紅い眼球がいくつもあり、怪しく光っているため骨格のおおよそがわかるが、何とも言えない。これまで見たことの無い形をしている。

「っ…なん……ですか…こいつら…!!」

 見るなと脳は汽笛を鳴らすが、好奇心とは違う引き寄せられる感覚に抗えない。目を凝らすと、体表は人間に近い質感だが、筋肉や血管が剥き出しになっているのが見える。

 体の構造が曖昧だったのは決まった形がなく、流動的に蠢いているからだ。真っ赤な目玉が体の各所にあり、そこの合間に大小さまざまな大きさと形のある口が不規則に配置されている。見るに堪えない、吐き気を催す見た目をしている。

 角度によっては口角を上げて笑っているように、口角が下がって起こっているようにも見える。どの口から発せられているのかは口の数が多く、折り重なって聞こえて分からない。

 哄笑する声があるが、純粋に笑うのではなく嘲笑が込められている。その他の大部分は焦燥感のある喊声、恨みを呪文のように呻く囁き声が占めている。

 それらの声は、どれも黒板を掻き毟る音のように、精神に働きかけて不快感を増大させる。耳を抱えて音を遮断したいのに、金縛りの如く拘束されている私は体を動かせない。

 カチカチと歯が打ち合わさったり、歯軋りする音もある。それらが恐怖や恨みを表す、負の感情の塊であることがおおよそ想像がついた。

 こいつらで私に何をしようとしているかなど、考えたくもない。先手必勝で周囲に現れた物体を薙ぎ払いたいが、この空間はそれを許さない。

「大抵の人間はここに引き入れた時点で頭がおかしくなるか、潰れて死ぬけど…ここまで生きているのも久々ね」

 今でも嵐のように化け物たちの声が響いており、精神がおかしくなりそうだったが、なってしまえばどれほど楽だっただろうか。

「うっ……」

 見ているだけで吐き気が込み上げる程に醜い容姿に、思わず口を押えてえずいてしまう。そうして隙を見せた私に、周りを囲む内の一体がこちらへ体を曲がりくねりながら進んでくると、俊敏な動きで私の腕を捥いだ。

 二の腕に歯を立て、千切り取る。刃で斬られる方がずっとましだろう、切るというよりも潰す役割の方が強いため、その分だけ腕に残る痛みは非常に強烈だ。

 生物としての機能があるのかはわからないが、体全体が流動し、拍動している化け物は卑下た笑い声を漏らし、いくつもある内の一つの口に食いちぎった腕を押し込んでいく。

 小型の化け物たちが千切り取った腕に殺到し、歯を立てている。食いちぎった新鮮な肉体をむしゃぶり、口周りを血肉と脂で汚しながら頬張る。

 骨を砕く音、肉をエナメル質の歯で潰す音。自分の肉体が咀嚼されて飲み込まれる様は、不快さでいえば何にも勝る者は無い。

「く……くそっ…!!」

 濃密な水に近い性質を持った魔力で周りを埋め尽くされているため動けないが、体の周りだけでも魔力で中和してやれば、拘束は続くだろうが動けはするはずだ。

 これだけ巨大な世界を維持するのには、相当量の魔力を食うはず。奴が自発的に解除するまで逃げきれれば活路は見いだせる。腕を治し、そこらにいる化け物たちを観楼剣で斬り殺しながら、逃げる。

 私の予想は一部当たっており、体の周りに魔力を散布し、周囲を取り囲んでいる大妖精の魔力を中和することで、指の一本すら動かせずにいた身体を動かすことに成功した。

 全快時から比べればカタツムリ並みに遅いが、動けない時に比べれば天と地ほどの差がある。

 あの絶望的な状況から、一筋の光明が見えた気がした。この世界の生成にも維持にも莫大な魔力を必要としている。見た所、周囲の化け物の動きは速いとはいえず、捕まりさえしなければ問題ない。

 曇天の隙間から陽光が指したと思った直後、自分の体に違和感が生じる。私は不死の能力を使っているはずで、本当ならとっくに再生し終えていてもおかしくないはずなのに、右腕は再生する兆しを一切見せない。

「何が起こって……」

「この世界は、負の感情を元に作られてる。感情を言い換えれば精神。精神を言い換えれば魂。魂は生物の根底として、根強く身体に浸透してる」

 最初に食いちぎった腕に夢中で、周囲で蠢く化け物たちは襲い掛かってくることをしない。だが、不死の能力がなぜか効かないため、いつ食い殺されるかわからない状況では生きた心地がしない。

「不死の能力は魂が変わることを嫌ってて、形が変われば戻ろうとする。肉体の元の形を決めるのは魂だから、あなたたちから生まれたノロマで醜いこの子たちでも、この世界にいる限りは魂にも干渉できる」

「…っ!」

 肉体を治すための金型である魂を、奴に食いちぎられたという事になる。こうなるとただの雑魚と言うわけにいかなくなる。差し伸べられたと思い込んでいたチャンスに、暗雲が立ち籠る。

 私の体に食いつこうと別の化け物が這い寄るが、落としていた観楼剣を拾った私の方が辛うじて早く、身体を切り裂いた。

 体長は私の身長よりも高く、脈動する肉体は丸々と太っている。大量の目玉が上部から突出しており、中部には白い歯をむき出しにする口が大量に並ぶ。体の下部からは大量の人間と同じ形をした腕が生え、見た目以上の速度で動き回る。口から金切り声に近い笑い声を上げていたが、切り裂くと笑いは悲鳴に変わる。

 それもまた不快なことこの上ないが、体を縦に半分にした程度では死なないらしく、下部から生やした手を激しく動かし、大量の眼球はそれぞれがあらぬ方向を指し、開いた口からは悲鳴や嗚咽が、閉じた口からは怒りを表す唸り声を発する。

 こんなのがあと何体いるんだ。ざっと見た限りでも両手で数えられなかったはずだ。大きさは今来た奴のように私の身長を超えるのも多いが、大部分は立った私の腰の高さまで行かないぐらいの大きさだ。だが、小さければ動きが速く、ノロノロと動く私の刀では捉えられない可能性がある。

 こんな奴らに食い散らかされるなんて御免だ。スペルカードで一掃しようとした時、大妖精の一言で私の腕に群がっていた化け物たちや周囲を取り囲んでいた化け物たちが、体の動きを止めた。

「顕現」

 何かに気が付いたようで、蜘蛛の子を散らす様に一目散に私から逃げていく。さっきまで食い殺すつもりだった様子とは一変しており、状況に頭が付いていけない。

 私の近くに転がる化け物を切り倒したのが効いたのかと思ったが、それにしては反応が遅すぎる。逃げるなら斬った直後のはず。

 顕現と大妖精は言った。一体何が現れたというのか。そう思っていると大妖精が静かになった世界で呟く。

「正餐」

 次は何が始まる。右腕から血液を滴らせ、左手で使い慣れたはずの重い観楼剣を握り、戦闘態勢を整えた。大妖精が何かをしてくる様子が無く、周囲へ意識を向けようとした時、後方に気配を感じた。

 これまでとはわけが違う。先ほどまでの化け物など赤子同然だ。恨み、呪い、敵意、殺意、それぞれの要素が入り混じった出来損ない。恨みにも呪いにも、敵意にも殺意にもなれない半端者たちだったのだ。

 これほどの憎悪など、私たちが起こした戦争ですら足元にも及ばない。真の憎悪、もしくは憎悪の化身。本物の深淵がすぐ後方にいる。背中などを向けている場合ではないのに、私は動けない。恐怖心に勝てない。振り向いたらそれで終わる。そう思える程に概念や存在の格が違う。

 ヒタッ…。ヒタッ…。

 それだけ重厚な気配、存在感を醸し出しているのに、その足音は繊細で弱々しい物だった。音から二足歩行であることは推測できるが、姿を想像することができない。

 もしかしたら二足歩行と勝手に思っているだけで、もっと悍ましい化け物かもしれない。想像が膨らむと余計に振り向くことなどできない。

「……」

 冷汗が止まらず、緊張のあまり歯がカチカチと噛み合わせられずに音を鳴らす。構えていた刀を取り落としそうになるが、すんでのところで握り直した。ただ、刀があったからなんだろうか。この鈍らが何本あったところで、不安を解消できるわけがない。

 混沌しか見たことがなく。狂い、狂気を支配していると思っていた仮初では、作られた狂気では耐えられない。現れた化け物の姿を見ることもなく、走り出していた。

 一秒でも早く、一メートルでも長く距離を開けなければならない。がむしゃらに、目的も忘れて逃げ出す姿に、歴戦の剣士の、気高き庭師の面影は残っていない。

「ひっ……あああああああぁぁぁっ……!」

 早く逃げなければならない。なのに、まるで夢の中にいるようで、足がもつれて思うように走れない。

 それどころか体を支えていた足が、その機能を放棄した。ガクンと体が落ち込み、ただの土ではない冷たい地面に倒れ込んだ。ぐにゃっと柔らかい感触がするのは、切り離された足がクッションになったのだ。

「うあっ!?」

 何かをされた感触も、接近された気配もなかったのに、切断された両脚だけをその場に残し、転がりながらようやく止まった。血で滑り、いつの間にか出現した奴と向き合う形で倒れることとなった。

 ヒタッ…ヒタッ…。

 歩調を変えず、ゆっくりと化け物は私の元にまでたどり着いた。うつむく視界の中に納まる奴の足は、人間のそれと全く変わらないように見える。

 指は五本並び、爪が指先を保護している。骨の周りを筋肉と皮下組織が構成し、さらに皮膚が覆っている。血管が浮き出ており、血色も悪くもないが、ある。皮膚の質感から皺までもが見られ、人間のそれと全く変わらない。

 ゆっくりと顔を上げてしまっていく。止めておけばいいのに、脚から足首、脹脛から膝、太ももへと視線を移した。そこまで見ているのにわからないものがある。奴の性別だ。

 人間のそれと全く同じなのに、初めて見るような感覚を覚えているのは、骨格の形が男女のそれとは異なっているからだ。中性的なイメージを受ける。

 蛾が暗闇の中で光を求めて羽ばたくように、その行為を途中でやめることができない。太ももから腰に移すと、股の間、性器が存在するはずの場所はただの皮膚で覆われて、何も存在しない。

 腹部から胸部へ更に顔を上げていくが、胸には乳房も乳首もなく、やはりのっぺりと皮膚に覆われている。

 鎖骨から、首、顎。顔に近づくにつれて見上げるスピードは目に見えて落ちていくのに、目の前に立つ化け物は、動くこともなく私が見上げるのを待っている。

 顎からさらに視線を上げ、顔を見上げた。顎まではきちんと皮膚が覆っているのに、それより上になると顔面ぶぶんには皮膚どころか筋肉すらなく、頭蓋骨がそのまま剥き出しになっている。

 乳白色の無機質な頭蓋骨は生気がまるで感じられず、二十八本の歯がずらりと並んだ口は堅く閉ざされ、鼻と目の位置にある空洞は、奥に肉体が無い事を示唆しており、これまでの化け物とは一線を画している。

 人間の恐怖と憎悪が生み出した化け物は、人間と同じ形をしているなど、皮肉もいい所だ。

 身長は立った時の私と同じぐらいであるが、弱弱しそうな骨張った中性な肉体からは考えられない威圧感は、不気味さを助長する。

 見上げたまま固まってしまい、見下ろしている化け物と目が合ってしまった。その空洞の奥には暗黒が広がっているが、それだけではない。

 蠢き、犇めき合っているのは。数十、数百、数千、数万、数千万にも上る、奴に取り込まれた人間の魂が垣間見えた。

 数年という短期間のスケールではない。何百年、何千年、何万年、何百万年という途方もない時間をかけて取り込まれてきた魂の形は、数万年前に新人として進化を遂げた現在の人間よりも猿に近い者まで存在する。

 様々な時代、人種の人間が数万年、数千年、数百年たっても解放されずに囚われていた。あらゆるものが異なり入り混じっているが、共通しているのは全員が苦しめられている。

 苦しみ、藻掻き、絶望に喘いでいる。発狂して狂うことも許されず、底のない無限の苦痛を、千古不易に味わっている。声のない叫びが、絶叫に身を切り裂かれているようだった。これが本当の、深淵。

 

「うああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

 錯乱し、無様に喚き散らす異次元妖夢を、化け物は静かに見下ろしている。ここで彼女が発狂しなかったのは、既に化け物に魂を掴み取られていたのだろう。魂を操作され、狂うことができなくなっていた。永遠の、無限の苦痛を味わうために。

 全く動かなかった化け物が動きを見せる。指で異次元妖夢を指し、ゆっくりと中空を横になぞった。叫び続ける剣士に少しの間変化はなかったが、首と残った腕に一本の赤い線が描きあげられると、そこを起点に頭と首が切断された。

「あぎゃっ…!?」

 魂にアンカーを打たれ、囚われている異次元妖夢は、それだけの致命傷を受けたにもかかわらず、生きている。出血はしているが意識は保たれ、心臓も拍動を続ける。バラバラに斬られたはずの四肢の感覚すら残っている庭師は、困惑に思考が停止しかけていた。

「牟食」

 訳が分かっていない異次元妖夢をよそに、化け物は次の行動へ移る。閉じられていた口を開き、ゆっくりと閉じていく。

 転がっている異次元妖夢が、化け物の口が閉じていくごとに歪んでいく。まるで、上から非常に強い圧力をかけられているように。

「あが…あああっ…!!…や゛…め゛っ……!!」

 異次元妖夢の身体が悲鳴と共に潰れていき、化け物の上顎と下顎が合わさった瞬間に、垂れ流していた血液を地面に残して消失した。

 声の場所が変わり、化け物の口の中から異次元妖夢と思われる悲鳴が奏でられ、静寂そのものだった深淵世界を彩る。

「蒐集」

 化け物は咀嚼を続ける。パキッ、ゴリッ、普通の食物を摂取するにあたっては、絶対に発せられることの無いであろう咀嚼音が鳴り続ける。その度に異次元妖夢の悲鳴が漏れ出る。

「あ゛ぎっ……がっ…や゛っ……う゛っ…あ゛がっ…!!」

 歯と歯を打ち合わせていると、段々と声は弱まっていく。最後にはか細い声しか残らず、異次元妖夢と言う魂を噛み砕いた化け物が、彼女を飲み込んだ。

 異次元妖夢を取り込んだ深淵の使者は大妖精から離れ、闇に紛れて消えていく。最後まで弱々しい足取りで進んでいき、やがて素足の足音は聞こえなくなった。

 先ほどまで地面に残っていた血痕も、綺麗さっぱりなくなり、孤独の暗闇が舞い戻る。深淵の少女は虚空を見上げ、深淵世界を解除した。

「拭浄」

 暗黒一色だった世界に色が宿り、やがて深淵は薄まる。見覚えのあるスキマの背景が見え始め、現実世界へ大妖精が一人で帰って来た。彼女が深淵へ降り立っていた、唯一の証拠である大量の黒色粒子が霧散していく。

 居心地のいい重い世界から、澄んだ住み慣れた世界の空気に肺を慣らす。空がどちらの方面にあるかわからないが天を仰ぎ、吐息を漏らした。

 





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