自由気ままに好き勝手にやっています。
それでもいいという方は第十九話をお楽しみください。
「魔理沙…!」
彼女は生きている。岩石が蠢きあってできていたシュレッターのようなものには引き裂かれ、潰されてはいなかったのだ。
魔理沙が生きているということがわかって、よかったと安堵していたが、彼女の行動に一つの疑問が浮かび上がった。
自分の存在を知らせたいというのならば、レーザーなどの貫通性の高いもので体を貫いた方がとても伝わりやすいだろう。
しかし、魔理沙は炎を使った。とうことは私に自分の存在を知らせるということが目的というわけではないのだ。つまり、花の化け物の体内で攻撃をしなければならない何かが起きているということだろう。
加勢をしたいが、今の私には花の化け物の体内にいる魔理沙を手助けすることはできない。できることと言えば、倒すことも視野に入れてこいつを足止めすることぐらいだ。
ダメージの抜けきっていない体を無理やり動かして立ち上がり、花の化け物の腕を薙ぎ払う攻撃を空中に逃げたことで何とかかわした。
花の化け物の頭の高さを通り過ぎ、奴を見下ろしながら私は魔理沙を吸い込んだ時のこいつの行動を思い出す。
こいつは魔理沙を飲み込もうとした時に、その前に吸い込んでいた木などのようにすり潰して引き裂く様子を見せずに口を閉じた。そして、いきなり戦闘を中断してこの場から立ち去ろうと移動を始めた。
この花の化け物が魔理沙をどこかに連れて行こうとしていることは間違いないだろう。そして、こいつが向かう先に幽香がいる可能性は極めて高い。しかし、幽香を撃破することよりも今は魔理沙を助け出すことが最優先である。
私はお祓い棒を強く握りしめ、花の化け物の体内でどういうことが起こっているかわからないが、下手に手を出すよりも魔理沙の実力を信じたほうがいいと思い。自分にできることをすることにした。
魔力を他よりも多く込めた強力な魔力の弾丸を一発だけ作り、花の化け物の顔面に向けてぶっ放すと、頭部に当たった弾幕は割れた風船のようにはじけて爆発を起こし、奴の顔面を半分消し飛ばす。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!?」
花の化け物は腹の底に響くような大きな声で叫び、地中から取り出した加工もされていない不格好な岩石で顔を修復する。
それと同時並行で手先にある木の根が伸びて地中にある岩石を掘り出し、私に向けてそれを投擲してきた。
だいぶ頭のいいやつではあるが、さっき私に聞かなかった手をもう一度するとは、やはり知能はそこそこと言える。こんな岩石の弾幕、魔力の弾丸よりも避けるのは容易い。
十数個の飛んでくる岩石のうち、私に当たるのは約六つ。この時点でかなり命中精度が悪いことがわかる。スピードは見事なものだが、魔理沙のレーザーに見慣れている私からすれば止まっているに等しい。
一つ目はかわすまでもなく私のすぐ横を通り過ぎていき、後方に生えている木のど真ん中にぶち当たって大穴をあける。
二つ目は体を少し横にずらしてやればかわすことができ、実質的に私が自分の手で処理しなければならないのは四つだ。
それ以外にも岩石はあるが見当違いの方向に飛んでいき、私に影響を与えることはないだろう。
三つ目と四つ目は太ももと肩に当たる軌道を飛んできており、速度と到達のタイミングはほぼ同時と言えるだろう。後方に飛んで行って私の手が回らないほどの太さの木の幹をえぐり取るほどの威力で、正面からやりあうにはバカみたいに魔力を消費しなければならない。ということでさっきみたいに正面からやりあうのはやめよう。
しかし、今飛んできているのは直径20センチはある岩石で、実際のところは野球のようにお祓い棒を振るうことで砕くことは簡単だろう。だがそのあとが問題であり、それは正面からやりあわないもう一つの理由で、細かく砕けた岩石が散弾のように私に降りかかってくるからだ。
十数センチ先からショットガンの散弾を射撃されればどうなるか。拡散して大量の弾丸が私を貫く。たとえ射撃のタイミングがわかっていたとしても、攻撃中ならばさらにかわすことのできる確率は低下する。
岩石をかわすこともできなくはないが、そのためには他の岩石を破壊しなければならないため、私はあらかじめ把握している岩石が通る場所で待ち構えることにした。
私は飛んでくる二つの岩石に向けてお祓い棒の中間部分を掴んだ状態で突き出し、二つの岩石がその場所を通るその瞬間にバトンのようにお祓い棒を回転させ、二つの岩石の壁面を強く押して軌道を大きく変えさせた。
肩に当たるはずだった岩石が頭の横を通り過ぎ、太ももに当たるはずだった岩石は股の下を通り過ぎて地面にめり込んだ。
次の五つ目の岩石を受け流すためにどういう軌道でお祓い棒を振ろうかと計算を始めようとした時、四つ目の受け流した岩石が地面に当たった衝撃で数メートルの範囲で土がめくりあがり、それだけでは止まらずに土と石を空中に衝撃で押し上げた。
「っ!?」
この衝撃は想像していた威力の数倍の威力を備えていて、その衝撃で私は大きくバランスを崩してしまい。五つ目の飛んでくる岩石を四つ目などのようにして受け流す作戦を放棄する。
さらに最悪なことに、別の軌道を飛んでいた岩と岩がぶつかったことで軌道上に七つ目が出現してしまう。その七つ目は五つ目と六つ目の中間にある、だが五つ目にだいぶ近くて五つ目をどうにかして破壊してから七つ目を破壊するのは体勢的に不可能だ。
しかし、その奥にある六つ目をかわすには五つ目と七つ目を破壊しなければならない。
全身を霊力で強化し、七つ目よりも速い五つ目の方に私は体をずらした。これによって七つ目の軌道上から完璧に私の姿は消えたことになる。
受け流す動作は繊細で微妙な力加減が必要で、微妙な計算があるが、目的が砕くとなれば力いっぱい殴ればいいだけであるため他のことを考える暇が少しだけできる。
宙に逃げる手もあるが、空中では地面にいる時のように踏ん張ることができず逆に危険である。私はお祓い棒で目の前にある五つ目を砕いた。
お祓い棒に殴られたことで爆弾のようにはじけた岩石がわたしに降り注ぐが、たくさんの霊力で身体を強化していたことで大したダメージにはなっていないが、当たり所や飛んできた破片の鋭さや角度が悪ければ防御力以上のダメージに皮膚が切れて血が流れ出してしまう。
そのうちに七つ目が私のすぐ横を通り過ぎ、地面に直撃した。
ドォッ!!
さっきよりも一回り以上も大きい岩石が地面にめり込んだことで、四つ目よりも強い衝撃が地面を伝って、地中に爆弾を埋めてから爆発させたように大量の土が空中に舞い上げられた。
「ぐうっ…!?」
すさまじい衝撃ではあるが、私はその衝撃を踏ん張ることで耐えきり、六つ目の到達に備えようとしたが他のと違って六つ目は一回りも二回りも大きく、直径が一メートル以上もある。この状況ではあれを破壊するのは多分無理だろう。
ならば、私は飛んでくる岩石の下にもぶり込むように進み、岩石が地面にぶつかる直前に花の化け物の方向に向けて跳躍をする。
岩石が地面に衝突する破砕音が聞こえてくる前に跳躍していたことで、地面を伝ってきた衝撃を食らうことはなかったが腹に響くような轟音とともに、数十メートルという範囲の地面をめくり上げた衝撃波と飛び散った岩石に巻き込まれてしまう。
「アアアアアアアアアッ!!」
それでも砂煙の中を突き進んだ私に、岩石をすり合わせる音を声としている花の化け物の咆哮が浴びせかけられ、上に持ち上げていた前足を振り下ろしてくる。
私は即座に霊力を足元に放出し、瞬時に硬化させて足場にした。それによってできることは踏ん張りのきく状態での前足の破壊、もう一つは奴に向けてさらに加速するために跳躍することだ。
そこで私が選んだのは後者である。
霊力で最大まで強化された筋力や霊力での浮遊を使うことで、更に加速した状態で私は花の化け物へ飛びだした。
霊力で作った足場が粉々に砕け、加速した私には花の化け物の攻撃は辛うじて当たらず、そのまま奴の顔面に向かう。
霊力で強化されたお祓い棒と筋力などを駆使し、化け物の顔を半分吹き飛ばしながら、四足歩行ということで顔の後ろの背中から生えている巨大な花を引き裂いた。
私が睨んでいた通り、岩石をくっつけて作られた顔面の方ではなく、背中から生えている花の方に目という器官がついているらしく、私がいる方とは見当違いの方向を見回しながら一時的に動きを止めた。
化け物の体は90%が岩石で構成されているが、それは根っこで絡み取って無理やり体として使っているのに過ぎない。だから、本体を破壊すればいいが腕などの体を簡単に再生させることのできるタイプの化け物は、他のとは違う少しだけ工夫した倒し方をしなければいけないことがある。
これまでの経験から、こいつは一撃でバラバラにしてやるか、体のどこかにあるコアのようなものを破壊すれば再生する間もなく絶命させることができるだろう。
前者は現実的な方法ではない。直径が十メートルほどもある巨体を身体を再生させる暇を与えずに粉々にするのはほぼ不可能だ。
そして、この幽香なみの再生能力を持つ化け物というのは、大抵は体の中にコアを隠し持っていて、それが無尽蔵に魔力を生み出しているケースが多い。つまり、それさえ破壊することができれば奴はすぐに魔力切れを起こして絶命する。
だが、それも現実的な方法とは言えないだろう。それは裏を返せばコアを破壊しなければ倒せないということにも繋がるからだ。
この巨体ではコアを探し出すのに数日を要するほどに時間がかかり、コアごと体を消し飛ばそうにも魔理沙のマスタースパークでもっても岩石や再生能力によって満足のいく効果は得られないはずだ。
私がそう思っていると花の化け物は破壊された花の部分を再生させて治った目でこちらを視認する。
今は奴を倒すことを優先にするのではなく、魔理沙が出てくるまでの時間稼ぎをしなければならない。ということを頭の片隅に置いたまま、私は奴が次の行動に移る前にスペルカードを発動した。
「霊符『夢想封印』」
私の周りに大量の白色に輝く三十センチ大の球体が形成されていき、両手どころか足の指を使っても数え切れないほどに数が増えていく。
それらを一斉に化け物に向かわせると、化け物もそれに対抗するかのように片腕に使われている岩石の固定を緩めてバラバラにし、根っこを触手のように使って絡めとり、私に向かって投擲を始める。
小屋ぐらいならば簡単に吹き飛ばすことのできるぐらいの爆発が岩石と接触した弾幕から起こり、岩石は耐えきれずにバラバラになって地面に落ちていく。
奴の攻撃で半分ぐらいの夢想封印が撃ち落とされてしまうが、残りの半分は花の化け物に向かって行き、花の化け物がこちらに投げて来た岩石は弾幕に向けての攻撃だったため、私に向かってくるものなど一つぐらいしかなく、避けるまでもない。
岩石の側面を軽く撫でてやれば私に飛んできていた岩石は、簡単に軌道を変えて後方に飛んでいく。
私は今まで見ていた情報を総合し、この花の化け物がコアを持つタイプの化け物だと確信した。
なぜなら、コアを持たずに体をかなりの速度で再生できる奴は、体全体がコアであるため、体の一部を切断すれば増えるという特性を持つことが多い。その分弱点も多く、間をあけずに体の大部分を損傷すると息絶える。
しかし、それはこいつには当てはまらない。
私が吹き飛ばした遠くに転がっている奴の腕は完全に沈黙して、そこから増える気配などは無さそうに見える。つまり、それは体全体がコアで一部が切り離されればそこから増えるのではなく、体のどこかにコアがあることで切り離された腕は治る間もなく魔力を使い果たして枯れているのだ。
こいつを倒すのはかなりの高火力が必要で、魔理沙の助けが必要不可欠であるだろう。
そう結論付けた私が地中から掘り出した岩石を使って、腕を再生させようとした花の化け物に向かって弾幕を放とうとした時、奴の腹の周りがまばゆい光とともに爆発した。
文字ばかりや字足らずでわかりずらいところが多いと思うので、意味が分からないところなどがあれば気軽に聞いてください。私が答えられる範囲で答えたいと思います。
一週間から五日後に次を投稿します。