東方繋華傷   作:albtraum

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今までからわかる通り、この作品には捏造しかありません。

自由気ままに好き勝手にやっています。

それでもいいという方は第二十五話をお楽しみください。


東方繋華傷 第二十五話 なぜ

 上下右上上左下。

 休むことなく花の化け物が鋭く強化されている蔓を伸ばしてくる。

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 花の化け物は更に大量の蔓で飛びかかって来るが、頭をフルで回転させている私は一本の蔓も撃ち漏らすことなく弾幕で撃ち落としていく。

 極限まで集中力を高めれば数十本の蔓をすべて撃ち落とすことぐらいは造作もないが、これの欠点はそう長くは持たないというところだ。限界が近づくと偏頭痛のようなひどい頭痛に見舞われるのだ。

 奴が伸ばしてくる蔓の一本一本の動く速度からそれぞれの到達時間を計算し、蔓の角度と私までの距離から体のどの部分を貫こうとするのか、さらに、化け物は動いているためこちらに向かっていればその分だけ到達時間も早まり、横にも移動しているならば蔓もそれに引っ張られて私が予測している蔓の到達座標が大きくずれてしまうことから、その分も計算に入れなければならないというわけだ。

 ズキッと頭が痛み始めた。

 私は自分が下がる分も計算に入れ、速さと私との距離の違いによって蔓の到達時間に差が出てくるため早い順からリストアップしていき、必要最小限の動きで避けるか撃ち落した。

 それに加えてこの後の動きに支障が出ないように立ち回ることができるよう、邪魔な蔓を追加で弾幕で消し飛ばす。

 頭の中で思い描いていた通りの順番でこちらに伸びてきている蔓の一本をお祓い棒で軽く払いのけ、私自身は体を横に少しだけずらすと勢いよくなびいた髪をかき分けて別の蔓が後方に伸びていく。

 蔓が地面に突き刺さり、巻き戻る前に蔓の中間部分をお祓い棒で千切れさせてやり、手数を減らしてやるのと並行して花の化け物の機動力を削ぐために、大きな杭のような足に針を投げると霊力で強化された針は豆腐に刺さるみたいに抉り込み、こめた分の霊力を放出して足をいくつかはじけさせた。

 数トンも重量がある巨体をかなりギリギリで支えていたらしく、五つか六つの足を破壊してやると体勢を大きく崩して地面に転がり込んだ。

「今のうちに行くぞ!」

 妹紅が言い、私も今のうちに走り出そうとするが、化け物の球状で何重にも重なってできている茎や蔓の体がほどけてバラバラになり、はじけた足を修復させながら体を再形成してすぐにこちらに向かって走り始める。

 いい方法だ。体をバラバラにして体重を分散させることであの巨体を持ち上げるというロスタイムをなくしたのだ。

「な…嘘だろ!?」

 予想外の速度でこちらに向かい始めた花の化け物に度肝を抜かれそうになるが、巨大な岩で体を作っていた花の化け物も腕を作り直したり、得物を作り出したりしていた。今更驚くことでもないだろう。

「…妹紅!」

 前方を走っている妹紅に向けて聞こえるように叫びながら、背負っていた魔理沙の体が横になるよう、自分の体の前で抱え直した。

「なんだ!?」

 妹紅が後ろにいる私に肩越しに振り返る前に、抱えていた魔理沙を妹紅に届く程度の力を込めて投げた。

 振り向いた妹紅は初めは驚いて目を丸くしたが私の意図が伝わったらしく、顔だけでなく体ごと振り返って最高高度に達してから、山なりに落ちて来た魔理沙を受け止める。

「永遠亭に先に行って!後で追うわ!」

 私は後ろから追ってきている花の化け物に振り返ると同時に強力な弾幕を一発だけ放つと、花の化け物の顔面部分にめり込み、頭部を丸ごとはじけさせた。

 しかし、奴のコアを破壊していないため、花の化け物の破壊した頭部がものの数秒で元通りになり、転んでから立ち上がるまでのタイムロスを補うためにスピードをあげてこちらに走って来る。

 私に噛みつこうと花の化け物は、蛇のように自身の体の何倍もの大きさに口を開く。だが、それによって視界が塞がれて私の姿が見えていないのを利用し、私は顎の下、十数センチの隙間に体を潜り込んだ。

 お祓い棒を握りしめ、再生したばかりの頭部を霊力で強化した身体の攻撃力で私は花の化け物を殴り飛ばした。

 ベキベキベキッ!!

 花の化け物の頭部と体を繋いでいる茎や蔓が断裂して引きちぎれて上に向かって吹っ飛んでいき、間髪入れず今度は千切れて頭のなくなった奴の体をお祓い棒で薙ぎ払う。

 ドゴォッ!!

 殴った衝撃がお祓い棒を通じて私の腕にまで響き、得物を持っている手がビリビリと電気を流されたように痺れて落としそうになるが、握りしめていたことで落とさずに済んだ。

 花の化け物の体がボールみたいに吹き飛んでいき、地面をぶつかった衝撃で削り取り、土と一緒に細かくなって小さくなって消えてゆく。

 花の化け物の体部分は細かくなって完全に沈黙し、再生が起こっているようには見えない。コアを破壊したのだろうか。

 体と頭部の割合的には吹き飛ばした頭よりも胴体の方が面積が広く、頭にコアがある確率は低いのだが、ゼロではない。

 頭部はかなり高く飛ばしてしまったことで木々の草で邪魔をされて見えず、確認はできなかったが私は後方に走っていった妹紅に追いつくために、竹林の中を走っていこうとした時後方に何か、かなり重量があるものが空を切って弾幕のみたいな速度で落下してくる。

「…なっ…!?」

「ぐるぁぁっ!!」

 私はとっさに弾幕を後方に連射するが、花の化け物は体を持ち上げる行為を省いたときのように体をバラバラにして私の弾幕をやり過ごすと、いくつかに分かれて私を取り囲んできた。

 この花の化け物は動物の消化管のように長い一本の管というわけではないらしい。複数いるのかそれともコアを中心にしていくつかの管に分かれているのかわからないが、囲まれるのは厄介だ。

 あらゆる方向から数百本の蔓や根っこが襲い掛かってくるのだ。この場にい続けるのは得策ではないと、今までの戦いから理解している。

 花の化け物に牽制を与えてひるませているうちに下がろうとするが、一人で一気に全方向をカバーできるわけもなく、横方向から来た蔓が私の足に巻き付いた。

「っ!?」

 その蔓を弾幕で撃ち抜こうとするが、そのころにはすでに蔓に引っ張られて鉄球投げの鉄球みたいに振り回され、そして拘束を解かれた私は投げ飛ばされてしまう。

 グルグルと回されてしまったせいで方向感覚がおかしくなり、どの方向に向けて霊力を放出して減速すればいいかわからず、されるがままになっていると竹をへし折り、地面に肩から突っ込んでゴロゴロと転がった後、また竹にぶつかって破壊してようやく止まった。

「…っ……うあ……!」

 転がっているときに頭を打ってしまったらしく、頭が痛い。いや、それ以前にすごい速度でぶん回されたことで脳が揺らされて気持ち悪い。軽く脳震盪も起こしている。

「霊…夢…!?」

 最後に竹をへし折ったと思っていたが、永遠亭に向かっていた魔理沙を抱えていた妹紅にぶつかってしまっていたらしい。

 後方から足をすくい、突き飛ばす形でぶつかったことで妹紅も体勢を崩して地面に倒れているのが見え、今の地面に落ちた衝撃には反応しない魔理沙を抱え直そうとしている。

「グルァアアアアアアアアアアアアッ!!」

 私を投げ飛ばしたときとは違い、ラグビーボール状に体を再形成させた花の化け物が後方から大量の竹をなぎ倒してきているのが気配で分かった。

「…ぐっ…!」

 起き上がろうにも三半規管を強く揺すぶられ、さらに軽い脳震盪も起こしていて起き上がることができない。

 いち早く起き上がった前方にいる妹紅が魔理沙を背中に抱え、迎撃することも逃げることもできないでいる私に手を伸ばそうとするが、花の化け物の方が到達が速そうだ。

 私は走ってくる妹紅と自分の身を守ろうと札を取り出すが、いつの間にか花の化け物が伸ばしてきていた蔓が手首に巻き付き、きつく縛り上げて拘束してくる。

「…うぐっ…!?」

 早く蔓を引き裂いて花の化け物に向けて弾幕を放ってやりたいが、頭の中が鐘が鳴っていてバットで殴られたように持続的にズキズキと痛むせいで、まともに物事を考えることがかなわず、ただただ自分が食われそうになっているのを見ているしかなかった。

 岩石で体を作っていた花の化け物は岩石などを高速で動かすことでシュレッダーの役割を作り出していたが、こいつは体の重さで圧力をかけて押しつぶすといったところだろう。

 妹紅どころかもう三人の人間ぐらいであれば、その口の中にすっぽりと収まるほどに大きな口を開けている花の化け物が私たちを飲み込もうと口を閉じ始めた。今からでは逃げることは不可能だろう。

 私がそう思ったとき、視界の中にいきなり手が現れた。その手は後方から延ばされてきたものだと肩や首筋に二の腕が当たっていることからわかり、大きく口を開けている花の化け物に向けている手にはズタズタに引き割かれた古傷がある。

 この細くてしなやかな腕は妹紅ではなく、見慣れた魔理沙の腕だ。

「魔理沙!?」

 さっきまでどんなことが起きても、反応すらしていなかった彼女の腕が意思をもって動いているということに余計に驚いた。身を乗り出しているのか、横を向くと魔理沙の顔が見え、青白い顔で気分の悪そうな魔理沙は手先に霊力をためていたらしく、淡く光っている手からレーザーをぶっ放した。

 キラッと太陽の光よりもまぶしい光の瞬きが起こると、マスタースパークに匹敵するほどの威力と広範囲のレーザーが花の化け物の体を瞬時に炭化させ、蒸発させた。

 魔理沙が魔法で調節し、私たちの方にまで強い光や熱が来ないようにしてくれているらしく、まったく暑さは感じない。

 しかし、周りへの被害はかなり甚大で、私たちがいない地面や竹からはあまりの高温にさらされてしまったことで蒸気や陽炎が出て、地面は焦げるか溶岩のように溶解し、竹は自然発火で燃えていく。

「魔理沙!?大丈夫なの!?」

 レーザーを撃ち終わった魔理沙に言うが、私の背中にもたれかかって倒れ込んでしまい。振り返って彼女のことを掴んで揺らしたが、先ほどのようにまた反応がなくなってしまう。

「おい魔理沙!…おい!」

 妹紅も魔理沙を軽くゆすって反応を見るが、同様に反応がなく。さっきよりも顔が青ざめていくのだけがわかり、焦りが生じている。

「…妹紅、とりあえず永遠亭に行きましょう!」

 私が魔理沙のことを抱えると、妹紅はすぐに振り返って永遠亭に向かってまた走り始めた。

 魔理沙の体が冷たく、止まっているのとほぼ変わらないぐらいに呼吸が浅い。こんな状態では、レーザーなど撃てるわけがない。それ以前に起き上がることすらままならない状態だっただろう。

 だというのに彼女は起き上がり、あれだけ強力なレーザーを撃った。なぜ、起き上がることができたのだろうかとは思うが、こればかりは魔理沙の生命力がすごかったとしか言えない。それが無ければ今頃潰れて死んでいるが。

 竹などの間からようやく見えて来た建造物の永遠亭に向かって、私はさらに走る速度をぐんと上げた。

 




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