東方繋華傷   作:albtraum

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自由気ままに好き勝手にやっています。駄文です。

それでもいいという方は第三話をお楽しみください。





東方繋華傷 第三話 可能性

 博麗神社を離れてから、約十分。

 結構早い速度で飛んでいるというのに、依然として汗をかくほどに熱いのはなぜだろうか。妙蓮寺まで十分も飛べば到着するというところで私は真上にある太陽を見上げながら思う。

 ダラダラと汗が流れ、進んでいる速度で風を受けて汗が蒸発すると、体の熱を同時に吸い取っていく。

 よくよく考えれば私がきている魔女の服は、基本的には黒い生地が使われているところが多い。黒色は光などの熱を吸収しやすくて熱がこもりやすい。こんな服を真夏の太陽の光が強い日なんかに着ていたらそりゃあ熱いわけだ。

 そう思いふけっていると、妙蓮寺までは急げば五分かそこらでつく距離までは近づいてきて、私の場所からは陽炎で揺らめいて見づらいが寺の影はよく見えている。

 これ以上日の光を浴びたくはない私は、魔力をまたがっている箒に込めてスピードを上げた。風のように早く飛ぶと、周りの景色がぶれてどんな形をしているのかわからなくなるような速度で加速していくと、顔や体に当たる風が強くなっていきそれ以上速度を上げることができなくなる。無理に速度を上げようとすると箒につかまっていられなくなってしまうのだ。

 そうして、しばらく進むと妙蓮寺とそれを囲う塀がしっかりと見え始めてくる。門からダウジングをするときに使うL字型に曲がった針金のようなものを持ったナーズリンが出てくるのが見え、私は減速しながらナーズリンの前に降り立った。

「よお、ナーズリン…また星が宝塔でもなくしたのか?」

 私がそう聞くとナーズリンは小さくため息をついて私の方向を見る。彼女の頭から生えているまん丸の耳がピクリと動く。

「ああ…そうだよ……ご主人がまた宝塔をなくしてね…今ネズミたちに探してもらってるところなんだ……それより、君はどうして妙蓮寺に?随分と珍しいね…何かあったのかい?」

 ナーズリンは特に私には興味はないが、私がこんなところまで出てくるということは何かが起こっているのだとわかっているらしく、私にそう聞いてくる。

「ああ、お前も聞いたことぐらいはあるんじゃないか?…ドッペルゲンガーのようなものが起こってるって」

 箒を肩に担ぎながらナーズリンに聞くと、彼女は門の壁に背中をつけてよっかがるために日陰へと移動する。

「さあね、この頃は妙蓮寺にも顔を出してないから村で噂になってることとかはあまり知らないね……でも、ドッペルゲンガーのようなものってことは…ぬえを疑ってるのかい?」

 ダウジングのロットを両手で弄び、返ってきたネズミに次の場所を探すように命令をしたナーズリンは手を団扇の様にパタパタと振る私に返答を返してきた。

「いや、まあ疑ってるというか…可能性はなくはないだろう?一番それを実現できる能力を持っているのがぬえなんだから……まあ、外の世界から幻想入りした可能性もあるけどな……」

「そう思うのが妥当だよ…たぶん私もそう思うだろうしね…ぬえならさっき縁側で座ってるのを見かけたよ。本人に直接聞いてみるといい」

 ナーズリンがそう言ってしゃがみ、帰ってきたネズミたちに次の場所を探す指示を始める。

「おう」

 私は短くナーズリンに返事を返し、門をくぐって妙蓮寺の中へと入る。庭に面している方の縁側にはぬえの姿はなく、どうやら移動してしまったらしい。

 とりあえず日の光で乾いた地面を踏みしめながら陽炎が揺らめいている庭を横切って、屋敷に近づいていくと、襖をガラッと開けて誰かが出て来た。

「…ん?魔理沙じゃないか…久しぶり」

 そう言って縁側から私のことを見下ろしているのは、白色と緑色のあるセーラー服を着て、錨のマークが付けられている帽子をかぶっている村紗水蜜だ。

「おう、水蜜か…久しぶりだな……ぬえいるか?」

 軽くあいさつを済ませ、庭などを見回すがぬえの姿は認められず、視線を水蜜に戻しながら私は彼女にぬえのことを聞いた。

「ぬえ?もしかしてドッペルゲンガーについて調べてるのか?」

 水蜜がそう言って縁側に座り、それでも私よりも身長が十センチも高い水蜜は私を見下ろしてくる。

「ああ、それができる能力を持ってるからな…一応調べないといけないんでな」

「なるほどね…ぬえならさっき聖と一緒に奥の部屋に入っていったよ。たぶんドッペルゲンガーについて聞かれてるんじゃないかな?」

 水蜜は一度座ったが、私にどの部屋に聖とぬえがいるか案内するために立ち上がり、私に案内を始めた。

「しかし、熱いな……水蜜…お前は暑くないのか?」

「熱くないよ?…一応妖怪だしね」

 魔法を使えば私も涼しむことができるが、どこで戦いが始まるかわからない現状では無駄な魔力の消費は抑えたいため、我慢することにした。

「ずるいな……」

 靴を脱いで玄関から妙蓮寺に入ると日陰に入ったことで2℃か3℃気温が低くなり、日の光で照らされていたせいでかなり暑く感じていた状態だったため、すごく涼しく感じる。

「それで、どこまで調べがついてるんだ?」

 水蜜が歩きながら不意に私に話しかけてくる。

「さっき動き始めたばかりで大したところまでは進んでないぜ」

「まあそれもそうか、確信をもってここに来たわけじゃあなさそうだしな」

 確信を持ってたらここまで悠長に話しているわけがない。そういうことなのだろう。

 水蜜はふわーっと噛み殺すこともなく大きく欠伸をし、とある部屋の前で立ち止まると、聖とぬえの話す声が聞こえてきた。

「聖―、入るよー?お客さんが来た」

 水蜜はそう言って襖を開けると、私を部屋の中に招き入れた。部屋の中に入ると金髪で光の加減でキラキラと光る長い髪の聖が初めに見え、いつものように白と黒の特殊な服を着ている。

「あら、魔理沙じゃない」

 あまり怒ったりせず、いつもと同じような温厚な聖の優しい声が私を出迎えた。

「おう、久しぶりだな…聖」

 私が部屋の中を見回すと案内をしてくれた水蜜と正座をして座っている聖、そして聖と向かい合うように座っているぬえが部屋の中にいた。

「…魔理沙」

 背中の右側の肩甲骨から青色、左側の肩甲骨からは赤色の特殊な形をした羽のようなものが三本ずつ生えているぬえが私の方向を見上げながら呟く。

 場の雰囲気的には、少し気まずいようなそんな雰囲気が流れている感じがし、水蜜が言っていた通り、ドッペルゲンガーについて聖にいろいろと聞かれていたのだろうか。

「お取込み中にすまないな。…今、お前たちがしていた会話はドッペルゲンガーについて…でいいんだよな?」

 私が聞くと聖は静かにうなづき、ぬえは聖に視線を戻す。

「ええ、あなたがここに来たってことは…ぬえを退治しに来たってことかしら?」

 話し方は優しい感じがするが、聖が醸し出している雰囲気は声とは正反対で強い敵意を向けられる、私は逃げ出したくなるが戦いに来たわけではないため、聖が勘違いしていることの訂正に入る。

「いや、私や霊夢はついさっき動き出したからな…何か情報があってぬえがドッペルゲンガーで誰かのフリをしているって断定したわけじゃないから、べつに戦いに来たわけじゃない」

 私は二人に言いながら聖とぬえの近くに移動をして、しゃがみ込んでぬえに聞きたいことを直接聞いた。

「…それで、単刀直入に聞くがぬえは誰かのフリをしたのか?」

 私がドッペルゲンガーについて聞くと、ぬえは私はしていないと小さな声で一言だけ、私に言葉を返してくる。

「…そうか、その答えが聞けて良かった…それじゃあ、私はもう行くぜ」

 そのたった一言を聞いただけで出ていこうとした私に、ぬえは驚いてこちらを見ながら言った。

「な…なんでこんな一言だけで私を信じられるんだよ!?私がうそを言っている可能性だってあるんだぞ!?」

「…それを言った時点で、お前が誰かのフリをしていた可能性はほぼゼロだよ。……お前は一時期異変を起こしたことはあったが、自分が悪いとすぐにわかってくれた。そんな奴がこんなやばいことをしでかすはずがないぜ」

 私が言うと、ぬえは首をかしげて疑問符を頭に浮かべている。ドッペルゲンガーでただ単に同じ人物が歩いているだけなのに、どうしてそこまでやばいのかと言いたいのだろう。

「つまりだな…今は人里をブラブラ歩いているだけかもしれんが、本格的に誰かのフリを始めたとして、そいつが例えば霊夢の姿になったとしよう…その霊夢の姿になった誰かが、鬼を一匹殺したとしたら…それだけで戦争が起こるんだぜ?…この幻想郷がめちゃくちゃになるレベルでな…そして、その戦争は霊夢が鬼を根絶やしにするか、鬼が霊夢を殺すまで続く…そんな異変をお前が起こすはずがない……そんなことは聖だってわかってるだろう?」

 それにドッペルゲンガーの犯人が霊夢のことを疲弊させるため、ほかの妖怪たちにまで手を出しかねない。霊夢が死ねば幻想郷は決壊が解けて崩壊する。そうなれば私たちもただでは済まない。

 私が少し考えてこの答えに行きついた。普段は温厚であまり強そうにも見えない聖だが、かなり頭の回転が速い奴だ。そいつがこの程度の答えを出せないはずがない。

 それに、ぬえのことは聖の方が私以上に知っている。初めからぬえのことは疑ってはいないだろう。

「ええ、わかってますよ…私が心配だったのはこの子が何か異変に巻き込まれていないか。それだけが気になってたけど、大丈夫そうですね」

 聖が少し安心したように呟くと、ぬえは少し嬉しそうにうなづく。

「…それじゃあ、私はもう行くぜ。邪魔したな」

 私は水蜜に軽くお礼をして、ぬえと聖がいる部屋から出ようとしたときに、聖に呼び止められる。

「待ちなさい。魔理沙」

「…ん?…なんだ?」

 私が襖に伸ばしていた手を引っ込めて、正座したまま私を呼び止めた聖の方向を見ると、聖は一泊の間をあけて言った。

「異変を解決するのは博麗の巫女の仕事ですし、一つ私が知っている情報を差し上げます」

「何か知っているのか?」

 私が聞くと、聖ははいと短く返事をして正座をした状態から立ち上がり、私の方向に歩み寄ってくる。

「私たちを異変に巻き込まず、出所を伏せておくという条件で情報を提供します」

 聖が介入を避けたいと思うほどの人物が異変を起こしたのかと思ったが、もともと聖たちはあまり異変には関わろうとはしない。それに情報の出所が自分たちで異変を起こした連中から恨みを買うことは避けたいのだろう。

「わかったぜ」

 私が短く返事を返すと聖は私の目の前で立ち止まり、いいでしょうと一言だけ呟くと私を見下ろしながら言った。

「…太陽の畑。あそこに行ってみなさい……多分何かしらの情報は得られると思います」

 太陽の畑というと、そこにいるのは風見幽香だろう。日傘をさして歩く長身で緑色の髪をした女性が頭の中をよぎる。

 ドッペルゲンガーが彼女にどう繋がっているのかはわからないが、霊夢と行くとしよう。だが、その前に、

「…太陽の畑が怪しいというのはわかったが、どうしてだ?…何かあったのか?」

 ここから太陽の畑まではかなりの距離があるし、なにより聖と幽香になにかつながりがあるとは聞いたことはない。妖怪も人間も自分の邪魔ならば遠慮なく屠ろうとする幽香と、人間と妖怪の中立の立場にいる聖は正反対の立場といえるからだ。

「ええ、ドッペルゲンガーの話題が持ち上がり始めた少し前の丑三つ時に……太陽の畑の方で強い力を感じ取りました……私の勘違いかもしれませんが、皆が寝静まったころにそんな魔力を使ったりするようなことをする理由はわかりませんが…」

「寝静まったころにここにいる聖が感じ取るほどに、強い力を放出する物事をしていたのが怪しいということか」

 聖はうなづいて私の言ったことを肯定した。

「私はたまたま起きていたので感じ取りましたが、寝ている人間やほとんどの妖怪は感じ取ることはできなかったでしょうし、たとえ感じ取っていたとしてもそれがドッペルゲンガーと繋がっているとは思わなかったから、こういった情報が出回っていないのでしょう」

「…なるほどな」

 眠っているときはすべての感覚が停止しているため、いくら霊夢などの感覚が優れている者でも、音や光などの物理的なもの以外の、魔力などの刺激では起きにくくなっていて、気が付かなかったのだろう。

「…私が知ってるのはこのぐらいです。それと、そろそろお昼で昼食を作らないといけないので、お引き取りをお願いします」

「ああ、いいことが聞けたからな…お暇させてもらうぜ」

 私は今聞いた情報を霊夢に伝えるため、来た道を戻って靴を履き、門をくぐらずに箒で飛んで博麗神社に向かった。

 




文が読みずらいなどがあったら、どうにかして改善します。

何も予定が入ってこなければ、日曜日か土曜日にもう一度投稿します。

たぶん、今までの話よりはこの話は短くなると思います。
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